インフキュリオンは「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションに掲げ、決済・金融機能をあらゆる産業やサービスに組み込む決済イネーブラーとして事業を展開している。一般消費者向けサービス事業者から、BtoB企業、金融機関、フィンテックスタートアップまでを顧客とし、事業者が自社サービスの中に決済機能を自然に実装できるよう支援する点が特徴である。祖業であるコンサルティングで培った決済に関する深い知見と業界理解をもとに、制度対応や業務設計を踏まえた最適な決済・金融基盤を設計し、自社開発のプロダクトをクラウド型・API接続により提供している。主要サービスとして、BtoC・BtoB双方の事業者で導入可能な決済プラットフォームや、事業者が展開するサービス領域に応じて柔軟に拡張可能な金融機能を提供し、導入企業が展開するサービスの提供価値向上と、決済インフラの最適化によるキャッシュレスの社会実装を支えている。
1QはBtoB GTVが計画を上回って拡大、収益性改善と次世代決済への展開が進む
1. 2027年3月期第1四半期の業績概要
2027年3月期第1四半期業績は、売上高が前年同期比21.4%増の2,419百万円、売上総利益が同32.8%増の1,142百万円、調整後EBITDAが同31.7%増の83百万円、営業利益が同5.6%増の48百万円、経常利益が同6.2%減の35百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同91.7%減の19百万円となった。
収益区分別では、「Xard(エクサード)」及び「Winvoice(ウィンボイス)」の提供領域拡大、新規導入、既存導入先のカード利用増加により、BtoB GTV(決済処理金額)が前年同期比2.3倍の1,128億円に拡大した。これに伴い、BtoB GTVに連動する従量型ストック収入が同165.5%増、ストック収入全体が同73.7%増となり、増収をけん引した。金融機関向けのモダナイズ開発や新規導入に伴う開発も貢献し、フロー収入は同11.1%増となった。一方で、コンサルティング収入は人員の他セグメントへの移管や大型案件に伴うグループ内取引の増加により同31.4%減少した。ストック収入の構成比上昇と業務委託費の抑制により、売上総利益率は47.2%と同4.0ポイント改善した。販管費は「Winvoice」のBtoB GTV増加に伴う収益分配費用の増加や人件費、租税公課の増加で同34.3%増となった。四半期純利益の大幅減の主因は、前年同期に法人税等調整額△222百万円を計上した反動である。セグメント別では、ペイメントプラットフォーム事業の売上高が同58.9%増となり、セグメント損失は前年同期の178百万円から13百万円へ縮小した。マーチャントプラットフォーム事業は決済端末の前倒し導入の反動により売上高が同2.5%減、コンサルティング事業は同31.4%減となったものの、ペイメントプラットフォーム利用企業数は同50.2%増の116,498社に達している。BtoB GTVの伸長により、ペイメントプラットフォーム事業の赤字は大幅に縮小しており、ストック収入を軸とした収益構造の改善が進んでいる。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期業績は、売上高が前期比17.8%増の11,200百万円、EBITDAが同50.0%増の840百万円、営業利益が同36.3%増の600百万円、経常利益が同57.4%増の530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.0%増の480百万円の見通しである。期初時点では大型案件の体制整備に伴い、第1四半期が営業赤字となる可能性も想定されていたものの、BtoB GTVの計画上振れによる売上総利益の増加に加え、業務委託費などのコストコントロールも寄与し、黒字を確保した。業績が下半期に偏る季節性や今後の大型開発案件の費用を考慮すれば、順調な滑り出しと見られる。
セグメント別の売上高は、ペイメントプラットフォーム事業が前期比43.7%増の7,600百万円、マーチャントプラットフォーム事業が同15.9%減の2,300百万円、コンサルティング事業が同12.1%減の1,300百万円の見通しである。ペイメントプラットフォーム事業では、「Xard」や「Winvoice」の利用拡大によるストック収入や、SMBCグループ向けを含む大型開発案件のフロー収入を伸ばし、通期黒字化を目指す。マーチャントプラットフォーム事業は前期の端末導入の反動で減収を見込むが、稼働端末数の増加や「Axios(アクシオス)」の新規稼働に伴うストック収入が下支えすると見られる。コンサルティング事業はグループ内のリソースシフトによるコンサルタント人材の減少が課題となるものの、需要は強く、採用・育成及びAIによる生産性向上により回復を目指す。通期計画の達成に向けては、ペイメントプラットフォーム事業の黒字化、大型開発案件の進捗、コンサルティング人材の確保が主な注目点となる。
3. 成長戦略
同社の成長戦略の中核は、「Xard」、「Winvoice」を中心とするペイメントプラットフォーム事業の拡大である。SaaS企業、金融機関、事業会社への導入を増やすとともに、既存顧客のカード利用を伸ばし、BtoB GTVに連動する従量型ストック収入を積み上げる。あわせて、「Xard」の機能を、与信領域をはじめとしたフルサービスへ広げカード事業への参入障壁を下げるほか、「Winvoice」のアクワイアリングシステムを自社基盤へ切り替え、限界利益率の改善を図る。コンサルティングで得た決済・金融の知見をプロダクト開発に生かせる点も同社の強みである。
足下では、HQの「食事補助HQ」、セブン銀行の「money ring」、「TOKIUMビジネスカード」への「Xard」採用が決定した。また、同社の決済基盤にはAIとの連携を実現する高い接続性や、AIの自律的な購買を柔軟に制御できる機能群がすでに備わっており、足下では需要が急速に高まっている。さらにDCPとデジタル通貨領域における共同検討を開始するなど、AI・デジタル通貨時代に最適化された決済インフラとして更なる発展を目指す。ストック収入の拡大と次世代決済への対応を両立することで、中長期の成長余地は広がっていくと考える。
■Key Points
・2027年3月期第1四半期はBtoB GTVの拡大により好発進
・2027年3月期通期業績は、ペイメントプラットフォーム事業の黒字化や大型開発案件の進捗が注目点
・「Xard」のフルサービス化とAI・デジタル通貨対応により中長期の成長領域を拡張
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)