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Synspective、防衛省衛星コンステ事業が寄与し受注残高は前期末比+967.5億円の大幅増 通期業績見通しは変更なし

事業のハイライト:第2四半期~足元まで

新井元行氏(以下、新井):みなさま、こんにちは。Synspective代表取締役CEOの新井です。2026年12月期第2四半期の事業ハイライトについてご説明します。

まず、ビジネス面では、第2四半期末の受注残高が1,217億1,000万円に達しています。この大部分は、防衛省の衛星コンステレーションの整備・運営等事業が占めており、契約額は5年間で960億円を超えます。また、4月からサービスの納入をすでに開始しています。

また、内閣府の実証や民間企業向けのソリューションサービスを中心に契約の獲得が進んでいます。加えて、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を新たに採択しています。

ヨーロッパではミュンヘンでの子会社設立手続きが完了し、稼働を開始しました。これらがビジネス面での大きな進捗となります。

衛星の開発・製造・打上げに関しては、2026年5月に9号機を、そして6月には10号機の2つの衛星の打上げに成功しました。

また、国内外の需要拡大に対応するため、当社の量産工場であるヤマトテクノロジーセンターの拡張を決定しています。

さらに、4号機については耐用年数の短縮を決定しており、こちらについては後ほど詳細をご説明します。

2026年12月期第2四半期実績および通期業績見通しのハイライト

第2四半期の累計実績として、補助金収入と売上の合算値である総収入は39億1,800万円となり、前年同期比で186.5パーセント増加しています。

また、先ほどお話しした4号機の耐用年数短縮により減価償却の前倒し計上が発生し、コストが増加しました。しかし、人件費や投資などの後ろ倒しで相殺されたため、総額ではほぼ想定どおりに推移しています。

通期の業績は例年どおり下期偏重の見通しであり、現在の売上高の進捗率は26.6パーセント、総収入の進捗率は24.4パーセントとなっています。

下期に大きく伸びる見込みのため、通期見通しは前回の予測から据え置きとしています。以上が全体のハイライトです。

国内官公庁との主な契約/案件と計上時期 パイプライン

それぞれの事業進捗についてご説明します。まず、ビジネス面に関してです。スライドは、国内官公庁との主な契約についてのパイプラインの積み上げ状況を示しています。

最も大きな案件は、スライド表の7番に記載の、今年4月からサービス納入を開始した防衛省の衛星コンステレーションです。補助金では宇宙戦略基金が大きく、第一期については順調に進行中、第二期は採択が決定され、交付決定を待つ段階です。

「ソブリン需要」の拡大が事業機会を構造的に押し上げる

海外事業については、前回もご報告しましたが、今年の初めから「ソブリン需要」が拡大しています。地政学的リスクが依然として収束せず、むしろ高まっている背景もあり、各国が防衛関係費をGDP比で5パーセント近くまで増やすことを決定しています。

各国では大規模なプロジェクトが進行中です。これに伴い、なるべく自国でアセットを所有し、それを構築するためのサプライチェーンも国内で内製化することで、自国内での安全保障や海洋監視などの自由度を高め、主権を維持しようとする需要が世界的に増大しています。

これは今年の初め、もしくは昨年の後半頃から見え始めていた傾向ですが、その傾向がさらに顕著になってきました。それに伴い、当社でも供給能力を拡大することを決定しました。

具体的には、ヤマトテクノロジーセンターにおいて、最大で年間30機を製造できるスペースの確保を決定しました。

地域別の競合環境と当社の戦略

各地域の概況についてです。アジア、北中南米、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域における動きに関しては、大きな変化は見られません。

現在の当社の事業進捗としては、最初にシンガポールのオフィスを立ち上げたこともあり、アジアが最も順調に推移しています。また、各国政府との交渉も進んでいるため、アジアが最初に契約に結びつく見通しです。

続いて、ヨーロッパではいくつかの動きがあり、立ち上げが進んでいます。また、アメリカについては、今後どのような契約が可能か、さまざまな調整を行っているところです。

立ち上がりの順番としては、アジア、EMEA、北中南米という見通しであり、第2四半期にはある程度具体的な進展が見えてきました。

海外展開の進捗

まず、アジアについてです。日本とタイの政府間で「低軌道衛星コンステレーション協力に関する覚書」が締結されました。これに基づく共同調査が進められており、Synspectiveもこれに参加しています。

タイの大きなニーズとして、安全保障も挙げられますが、特に災害対応が非常に喫緊の課題となっています。10年以上前のことですが、バンコクで洪水が発生した際、日本の自動車関連産業が集積しているエリアが浸水し、大きな被害を受けたことがありました。

製造業が主体のタイにおいて、この出来事以降、災害対応が非常に重要な課題となっています。これに対し、コンステレーションを構築する取り組みとあわせて、災害対応にも貢献するという文脈で、日本とタイの提携が現在進められています。

ここにSAR衛星も一部組み込まれることとなり、衛星コンステレーションの提供と災害対策において、当社も日本国内を中心にさまざまな取り組みを進めています。これらのノウハウを提供し、協力を推進していくことが具体的な案件の1つとなっています。

ヨーロッパでは、パートナーシップをもとに各国政府との連携を深めています。具体的には、イタリアのe-GEOS社と戦略的パートナーシップを締結しています。

もともとe-GEOS社が持つ「COSMO-SkyMed」というSAR衛星は、当社のデータ解析にも使用していた経緯があります。このたび、当社の衛星「StriX」とのデータを統合的に利用し、解析アルゴリズムの進化やその他の付加価値サービスの共同開発を目指すため、戦略的パートナーシップを締結しました。

次に、ノルウェーのKongsberg Satellite Services社(以下、KSAT社)についてです。KSAT社は、衛星データのダウンリンクや衛星への指示送信といった分野で使用されるアンテナ運用で知られる企業です。今回はこれにとどまらず、メガコンステレーション向けに設計された先方のサービス「KSATlite」の活用や、その他のソリューションサービスを共同で提供することを視野に入れ、戦略的提携の拡大を目指しました。その結果、今期、MOU(基本合意書)を締結するに至っています。

活動実績:20件の災害緊急観測と解析データ提供を実施

ソリューション関係における目立った実績についてです。今年、日本では非常に多くの災害が発生しており、現在も現場で対応している方々が多くいらっしゃいます。

当社では、衛星の数が増加し、オペレーションの自動化も進んできたことで、現在千葉県で発生している洪水や熊本県の震災に対して、データ提供や被害状況の解析結果の提供を積極的に進めています。

具体的には、今回の熊本地震の場合、発災は7月28日午後4時半頃でしたが、当日中にデータ取得の登録と撮像計画を確定し、翌朝までに撮像を完了しました。

その後、当社の解析チームがフル稼働で解析を進め、段階的に政府に判読結果を提供しています。オペレーションの自動化や政府とのやり取りが標準化されてきており、以前よりも早く効果的に情報提供ができるようになりました。これは当社のミッションに謳うレジリエントな未来に直結する重要な分野です。今後も引き続きしっかりと対応していきたいと考えています。

衛星の製造および打上げ計画

衛星の製造および打上げ計画についてですが、今期の成果として、2機の打上げに成功しています。すでに両方とも8月に初画像を取得しています。

今後については、年産30機以上のキャパシティを持つ計画です。先ほどヤマトテクノロジーセンターのスペースを確保したとお話ししましたが、今後は製造能力やプロセスの拡張を進めることで、キャパシティの強化に努めていきたいと考えています。

9・10号機の打上げに成功、現在軌道上で7機運用中

2機の衛星打上げ成功により、現在軌道上で稼働している衛星は7機となります。スライドに示されている4号機から10号機が該当し、これらからのデータ提供を進めています。

4号機の耐用年数短縮について

4号機について、耐用年数の短縮を決定しました。具体的に何が起きているのかについては、スライドに記載されていますが、もともと経年劣化を想定していたものの、4号機の発電性能の低下傾向を再評価した結果、当初の想定よりも早く劣化が進行していることが確認されました。

現在調査中ですが、解析の進捗として、発電機能に関連する特定の部品や部材の性能低下が原因として最も可能性が高いことが判明しています。その結果、使用している部材による効率的な発電ができていない状況であると、現時点での解析結果で明らかになっています。

この影響により、運用に必要な電力を確保できる期間が短くなる見込みがあり、スライドの3つ目に記載されているように、現在2つの対策を実施中です。

1つ目は、特定の部材を変更できない現在運用中の衛星への対応です。この部材の性能低下は避けられないため、効率的な発電を維持するためにソフトウェアのチューニングを実施し、運用期間の延伸を図っています。

2つ目は、今後打上げる衛星への対応です。年内に打上げ予定の一部の衛星以降、原因となっている部材を交換し、新しい部材に換装するといった恒久的な対応を講じています。

実際には、まだ原因特定を進めている段階ではありますが、可能性が高い要因への対処を行うことで、同様の課題は収束していくだろうと考えています。

財務的な影響については、償却終了見込みを2027年1月までに短縮することを決定しており、これに伴い減価償却の前倒し計上が発生しています。

業績予想への影響額は、2026年12月期で8億2,000万円、2027年では1億円弱を予定しています。しかしながら、冒頭で申し上げたとおり、コスト面での影響は最終的に他の部分と相殺されるかたちとなり、全体としての影響は限定的に抑えられています。

以上が業績面での報告です。

連結業績ハイライト

志藤篤氏(以下、志藤):Synspective取締役CFOの志藤です。まず、連結業績のハイライトについてご説明します。スライドグラフは、2024年第2四半期から2026年第2四半期までの推移を示しています。

総収入は39億1,800万円となり、前年同期の13億6,700万円から大幅な増収となりました。これは、防衛省の衛星コンステ事業による売上への寄与と、宇宙戦略基金からの補助金収入が寄与したものです。

コスト面では、衛星運用機数の増加に伴い、売上原価および販管費が増加したため、営業損失は拡大しています。一方、補助金収入の寄与により、経常損失は13億7,200万円となり、前年同期から損失が縮小しています。

主要な経営指標

主要な経営指標についてです。総収入や受注残高は前述のとおりです。EBITDAは当期で8億6,700万円となり、前年同期比で18億3,000万円改善しました。この数値は経常利益を基に計算されたものです。補助金収入の寄与により経常損失が縮小し、あわせてEBITDAも改善しています。

現預金は162億900万円で、前期末比マイナス83億3,200万円となりました。これは衛星の製造・打上げが進捗していることが要因です。四半期末の衛星運用機数は6機で、前期末からプラス2機という状況です。

連結損益計算書

連結決算書の詳細です。売上高は16億9,100万円で、主にデータ販売の増加によるものです。その要因としては、防衛省の衛星コンステ事業の開始が挙げられます。補助金は、宇宙戦略基金によるものです。

売上原価は24億600万円で、前年同期比で9億7,000万円増加しました。この増加は、衛星機数の増加と、先ほど触れた4号機の償却期間短縮が主な要因です。

販管費は26億3,400万円で、前年同期比で6億3,400万円増加しました。これは、人件費や研究開発費、その他の費用が増加した結果です。

結果的に、営業損失は33億5,000万円となりましたが、補助金収入により経常損失は13億7,200万円となりました。また、繰延税金資産等の調整を経て、中間純損失は14億1,700万円となりました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。衛星の製造および設備投資への支出は計画どおり推移しており、それに伴い現預金が減少し、固定資産に計上している衛星資産が増加しています。

負債は120億5,500万円で、前期末比で微増しています。これは新規の借入金の実行によるものです。全体として、衛星の製造・打上げに関するキャッシュアウトは当社の計画どおり進んでおり、着実に進捗しているとご理解いただければと思います。

連結キャッシュ・フロー計算書

キャッシュフローについてです。営業活動によるキャッシュフローは、補助金収入の寄与などによりプラスとなっています。一方で、投資活動によるキャッシュフローは衛星の製造・打上げへの投資があるため、大きな支出となっています。

2026年12月期通期 連結業績予想

業績の見通しについてです。結論としては、年初の2月に公表した業績予想を据え置いています。進捗率は第2四半期の実績ベースで、売上高が26.6パーセント、総収入が24.4パーセントとなっています。これらは年度末に向けて偏重して計上される見込みであり、現状は想定どおりです。

2026年12月期 連結業績予想の前提

業績予想の前提です。契約の獲得については第1四半期と比較して進捗しており、国内外の政府向け契約においては96パーセント程度がすでに契約済みとなっています。

補助金収入については、当初見込んでいなかった2つの補助金を獲得できています。

売上原価については、4号機の耐用年数短縮により想定よりも増加する見通しです。

販管費については、4号機の耐用年数短縮の影響を考慮した下期の販管費精査や、一部投資プロジェクトの効率化によって吸収可能と見込んでいます。このため、通期の業績予想の変更は不要と判断しています。

当期の重点投資領域

重点投資領域は第1四半期から大きな変化はありません。ただし、コストの一部増額の影響があるため、柔軟に投資を進めていきたいと考えています。

質疑応答:海外案件の受注拡大の見通しについて

司会者:「中期的な海外案件について、アジアはすでに契約を終えている3ヶ国があると思いますが、さらに受注拡大を見込むのでしょうか?」というご質問です。 

新井:昨年すでに契約を終えていた3ヶ国については、現在いずれも拡大しています。契約・受注というよりは、次期予算で拡大していくために交渉を進めているところであり、現在はそれ以外の複数の国とも交渉を進めています。そのため、3ヶ国以上に増えた状態で政府との交渉を進めています。

先ほどお話ししたタイもそうですが、全体として世界規模で見ると、現在はおおむね10数ヶ国と並行してさまざまな交渉や相手の要件を満たせるかどうかの調査を進めています。昨年の3ヶ国と比較すると、数としてはかなり増えています。

質疑応答:タイ政府との案件の受注時期と規模感について

司会者:「タイ政府との案件はいつ頃の受注と見込まれるのでしょうか? また、可能であれば、期待できる受注の規模についても教えてください」というご質問です。

新井:この件については金額も時期も現時点ではまだ不明確です。まず、タイ政府が何を実施したいのかを踏まえ、それに対して予算を計上するために「どのような規模のコンステレーションなのか」「どのような規模の解析システムなのか」「何を導入していけばよいのか」という調査を政府とともに進めている段階です。

そのため、具体的な開始時期や金額については、それらを踏まえた上で決定されることになるかと思います。タイ政府の予算策定時期は、おおむね秋頃に予算申請が行われ、翌年の10月頃に執行されるタイミングになるかと思いますが、実際に来年そこで立ち上がるかどうかはまだ不明です。

ただし、具体的な調査や決定に関しては、タイ政府もかなり積極的に動いているようですので、最速では来年、見通しが立つかと思います。

質疑応答:海外10数ヶ国との交渉範囲について

司会者:「先ほどのご質問にあった『海外10数ヶ国と交渉中』というのは、アジアではなく世界全体での合計の交渉数になりますでしょうか?」というご質問です。 

新井:おっしゃるとおりです。

質疑応答:防衛省の衛星コンステ事業における収益計上ペースとペナルティについて

司会者:「防衛省の衛星コンステ事業についておうかがいします。受注残の動きから、第2四半期では約9億円の収益計上があったと推察されます。2026年4月から2027年3月における契約金額が年間74億円であることを踏まえると、収益計上ペースがやや遅れているように見受けられますが、ペナルティが発生していないか確認させてください」というご質問です。

新井:申し訳ありませんが、政府案件ということもあり、個別契約の状況についてはお答えできない部分があります。

志藤:前提として、衛星の機数に応じて売上が増加していく仕組みになっています。そのため、今回第2四半期で9億円という収益は少なく見えるかもしれませんが、この74億円に一定の減額を織り込んだかたちでの当初予想は達成できる見込みです。したがって、その点に関してはご心配いただく必要はないと考えています。

質疑応答:防衛省のPFI事業(民間資金等活用事業)の運用機数と売上の関係について

司会者:「防衛省のPFI事業の運用機数と売上の関係についてです。PFI事業の売上は、運用機数に連動して逓増するとのことですが、運用7機時点と10機到達時点での四半期売上は、それぞれどの程度の水準になるのでしょうか?  

また、今期計画に織り込んでいる74億1,000万円の9ヶ月分は、10機フル稼働を前提とした金額でしょうか? それとも機数が増加する過程を織り込んだ金額でしょうか?」というご質問です。 

新井:10機フル稼働を前提とした金額ではありません。こちらのスライドは、1機当たりの事業モデルを示しており、既存契約で年間10億円強の売上が見込めると記載されています。
これを月単位に換算すると、約1億円弱となります。

例えばその月に、10機分の既存契約にすべてデータを提供している場合、1億円に10機分を掛けた金額が売上となる計算です。したがって、10機に徐々に近づいていく過程にあるため、その数に達成しなくても、この74億1,000万円という数字に関しては対応可能な機数だと考えています。

質疑応答:ヤマトテクノロジーセンターの能力拡大と30機設定の背景について

司会者:「本日、適時開示で発表されたヤマトテクノロジーセンターの能力拡大に関してです。製造機数の能力について、20機ではなく30機と定めた背景を教えてください」というご質問です。

新井:需給を鑑み、30機が必要だろうという判断のもと、キャパシティの確保を進めています。最近のグローバルマーケティングの中で、その規模の需要が見込まれると判断されたからです。

また、ヤマトテクノロジーセンターの工場でさまざまなプロセスを収斂する前提で考えた場合、ちょうどよいマイルストーンが30機だという結論に至りました。この数値を目標として設定し、今後段階的に増やしていく予定です。

質疑応答:製造能力拡大の背景・規模感とタイムラインについて

司会者:「先ほどのご質問と一部重複しますが、段階的な判断において、海外案件の受注進捗や今期および来期以降の受注見込み額など、製造能力拡大を決定された背景に関連して、今後の規模感やタイムラインについて教えてください」というご質問です。

新井:現在進めている防衛省の案件対応に加え、他の案件を考慮すると中期的な年産30機規模に見合う需要が見えてきました。これは先ほど申し上げたグローバルマーケティングの中でも確認できた部分です。

ソブリン需要の話に関連して、各国政府からは「ここのエリアに関しては、必ず自分たちが優先順位高く見られるようにしてほしい」といった要望が寄せられています。

これを積み上げていくことで、従来と比較してかなり大きなコンステレーションの規模が必要とされると見込んでおり、その規模感は技術的な側面や、実際に見えているエリアごとの需要を考慮した結果です。

タイムラインについては、「すぐに来年か?」という話ではなく、各国政府との具体的な案件を進める中で、相手国の支払い計画やローカルでのシステム実装の準備、具体的には「パッケージシステムを導入します」と言っても相手国側での受け入れ体制が整わなければ成立しないため、そのあたりをうまく調整する必要があります。

したがって現時点では、今年は当初目標としていた12機、来年以降はさらに十数機といった規模に段階的に増加させていき、中期的には年産30機を目指すことになります。

それ以上の規模が求められる場合には、また別の対策を検討しなければなりませんが、現時点でのボトムラインとして捉えています。

また、マーケットの需要も「ここまでは少なくとも見込めるけれども、そこから先はまだ見えていない」という状況にあるため、そのあたりの顕在化している安全ラインを考慮し、計画として無理のない拡張が必要だと判断した次第です。

質疑応答:競合について

司会者:「ICEYE社が年産100機を掲げている件について、御社の年産30機という規模感で十分に競争ができるのかについて教えてください」というご質問です。

新井:製造能力のみで競争が決まるとは考えていません。当社としては、具体的に顧客との交渉が進展する中で、それに応じた製造能力の拡張が必要だと考えています。

ICEYE社には自社の資金調達の事情があると思いますので、さまざまな意見があるかもしれませんが、当社としては堅実に需要を積み上げていき、それにミートするかたちで製造能力を拡張する方針です。

また、製造したとしても、例えば現地政府が「データをうまくプロセッシング、あるいはダウンリンクをしていくようなものが欲しい」といった状況であれば、先ほどお話ししたような、受け入れ側の技術体制やエンジニア体制の整備、政府予算の中での支払い方法など、さまざまな調整が必要となります。

そのため、単に「製造能力を増やします」にとどまらず、需要側と密接にコミュニケーションを図りながら決定していくべきだと考えています。

したがって、年産30機の規模感で十分に競争は可能であり、経済性の観点でも効率的に進められると考えています。

質疑応答:ヤマトテクノロジーセンター増産に向けたサプライチェーンと人的リソースの課題について

司会者:「ヤマトテクノロジーセンターの増産に向けて、安定的なサプライチェーンの確保など、課題はありますでしょうか?」というご質問です。 

新井:おっしゃるとおり、サプライチェーンをどのように増強していくのかが、今後最も検討を進めるべきポイントとして挙がっています。

また、「製造能力の内部的な拡大」ということに関しては、エンジニアなどのマンパワーが次の制約になると考えられます。そのため、部材の調達に関わるサプライチェーンの増強と、それを組み上げるための人的リソースの確保が、大きな2つの課題になると考えています。

エンジニアについては、各国政府の需要に対応するため、新しい技術要素の開発も求められます。衛星の製造だけでなく、それ以外の技術開発も必要であり、これらの準備を進める必要があります。

質疑応答:増床に関する投資額と資金対応について

司会者:「増床に関する投資額とその資金について、ヤマトテクノロジーセンターの増床の総投資額はいくらを見込まれていますでしょうか? また、この増産資金は既存の借入枠と補助金で対応可能なのでしょうか?」というご質問です。 

志藤:スペースの確保に関する投資額は、内装費と一部の設備導入費用を含め、数億円から10億円未満に収まる見込みです。

また、衛星をどの程度のペースで製造していくかによって具体的な投資額が決まりますが、着実かつ緩やかに製造機数を増やす場合には、P/Lに応じて借入が可能ですので、基本的にはその方向で進めたいと考えています。

ただし、急激に製造機数を増やす局面では、借入だけではカバーできない可能性もあります。その際は、借入か増資かを含めて柔軟に対応を検討していきたいと思います。

質疑応答:今年予定の打上げスケジュールと業績への影響について

司会者:「打上げに関して、今年打上げ予定の11号機から13号機の打上げ事業者は未定とのことですが、それぞれ何月頃の打上げを想定されていますでしょうか? また、1機でもずれ込んだ場合、通期業績予想の売上高63億円にどの程度影響があるのかについてもお聞かせください」というご質問です。

志藤:打上げ事業者や時期については、これまでと同様に決まり次第、公表させていただく予定です。なお、年内に打上げる計画に変わりはありませんので、詳細についてはもう少々お待ちいただきたいと思います。

ずれ込んだ場合についてですが、打上げ後、データの提供までには一定期間を要します。そのため、今後打上げる衛星については、もともと今年の売上への寄与はあまり考慮していません。

基本的には、現在打ち上がっているものに加えて1機程度で今年の売上を構成していく予定です。したがって、多少の遅延があったとしても、今年の売上には影響はないと考えています。

質疑応答:SpaceX社の報道に伴う御社への事業影響の可能性について

司会者:「SpaceX社が『Falcon 9』のライドシェアをやめる検討をしているという報道がありました。中期的に御社の事業に影響が出る可能性はありますか?」というご質問です。

新井:この情報については把握しており、すでに対策を講じています。中期的な話ではありますが、他の代替手段、具体的には他の代替ロケットが立ち上がってくるという見込みのもとで、現在複数の会社と交渉を進めている状況です。

そのため、こうした打上げにおいて特定の企業に対する依存性は徐々に低下していくと考えています。また、Rocket Lab社やSpaceX社以外にも新たな選択肢が出てきたこともあり、現時点ではこれを大きなリスクとは見ていません。

質疑応答:4号機の運用終了と他の衛星の対策・運用年数について

司会者:「4号機の状況ですが、2027年1月で運用を終了するのでしょうか? また、他の現在運用中の衛星についてはどのような対策を講じているのか、さらに他の衛星の運用年数についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

新井:まず、4号機の運用終了についてですが、これは自社でのシミュレーションによるもので確率論的な話であり、はっきりと時期は言えません。

シミュレーション結果として、現時点で可能性として最も高いのは、この時点で終了するということです。そのため、財務的な対応を先に行ったというかたちになります。

現在運用中の衛星については、発電性能の低下傾向が見られるものと見られないものがあり、必ずしも一様ではないことが調査を難しくしている要因です。

太陽活動はここ1年から2年でピークに近い状態にあり、それに伴い想定を上回る影響が出た可能性も考えられます。この影響を最も受けやすい部材を置換あるいは換装することで対処することが、最適な対応策とされています。

また、他の衛星については現時点では4号機と同様のレベルの発電性能の低下傾向は見られていません。現時点では、クリティカルな状況となっている衛星は他に見られないため、モニタリングを継続していく方針であり、影響が見られた場合には報告を行う予定です。

質疑応答:ヨーロッパと中東における協業の進展状況について

司会者:「ヨーロッパにおいて、Airbus Defence and Space社との協業ではなにか進展はありましたか? また、イタリアだけでなくサウジアラビアとのパートナーシップを結んでいると思いますが、中東での進展はいかがでしょうか?」というご質問です。 

新井:先ほど「アジアが一番早そうで、続いてヨーロッパだ」とお伝えしましたが、今後Airbus Defence and Space社についても発表できるかと思います。ただ、現在は具体的に申し上げられる段階ではありませんので、詳細は控えますが、近いうちに良い報告ができることを期待しています。

サウジアラビアでもパートナーシップを締結していますが、中東における具体的な進展については、国単位で見ると1ヶ国から2ヶ国程度となっています。サウジアラビア政府と具体的に話を進めているかどうかは現段階でお伝えできませんが、他のエリアと比較すると、現状の地域的な状況の難しさから進展がやや遅い状況です。

ニーズはあるものの、話がスムーズに進みにくい部分があります。その結果、現在はアジアとヨーロッパで多くの進展が見られる状況です。

質疑応答:KSAT社との戦略的提携の目的と方向性について

司会者:「KSAT社は『SPOCK 2』関連でも動きがありますが、今回のKSAT社との戦略的提携は、これを主眼に置いたかたちとなるのか、それとも衛星運用のオペレーション面での提携となるのか、どちらに該当するのでしょうか?」というご質問です。 

新井:これは「SPOCK 2」に限定されるわけではありません。基本的にはノルウェーの企業ですので、ヨーロッパ地域から世界全体で、衛星運用面においてこれまで行ってきた取り組みをさらに強化していく内容です。

具体的には、ソリューション面や海洋監視などのサービスをKSAT社がさまざま提供している中で、これらの分野での提携を模索していきます。

また、中期的には、運用面だけでなく、ソリューション面にとどまらない提携も検討が始まったところです。そのため、「SPOCK 2」に関連した具体的な1ヶ国ベースでの話というよりは、グローバル全体に視野を広げ、これまでの運用面に加えてさらに拡大したかたちでの提携を進めている状況です。したがって、前広にさまざまな検討を進めています。

質疑応答:2031年4月開始の防衛省衛星コンステレーション事業について

司会者:「防衛省案件について、現在動いている案件ではなく、2031年4月から開始する防衛省の衛星コンステレーション事業の5ヶ年契約に向けて、コンステレーション機数をどの程度まで拡大することを検討されているのでしょうか?」というご質問です。 

新井:この件については、まだ具体的な数字はまったく出ていない段階です。これから要件が決まり、それに伴い数字も見えてくるのではないかと考えています。

今回すでに受注している防衛省案件についても、まずはさまざまな調査を行い、要件を決定した上で、要件を満たすための技術的な条件を最終的に確定させるというプロセスを経ています。この検討には2年から3年をかけて進めていましたので、同様の前提で数年がかりでのウォッチが必要となります。現段階では、まだ具体的に決まった事項はありません。

質疑応答:ヤマトテクノロジーセンターの製造機数増加とその時間軸について

司会者:「ヤマトテクノロジーセンターに関して、年産30機のスペースを確保したとの発表がありました。しかし、製造機数の増加については言及されていません。製造機数増加の意思決定にはどのような要素が不足しているのか、また、それをどのような時間軸で決定していく予定なのかについて教えてください」というご質問です。

新井:製造機数の増加についてですが、サプライチェーンにおけるパートナー企業が対応可能かどうかを今後協議し、必要な投資も含めて検討を進める必要があります。

加えて、エンジニアの採用といった人材面の強化も課題となります。こうした要素が今後検討すべき点として挙げられます。

時間軸については現状は明確にはありませんが、段階的に増産していく方針です。また、衛星は部品の購買から製造、打上げまで約2年のリードタイムを見込んでいます。そのため、2027年から2028年頃までには段階的に詳細な検討を進め、それを実装するかたちで拡張を進めていくことになると思います。

質疑応答:QPS研究所の生産・打上げについて

司会者:「QPS研究所が機数を20機以上製造する計画を発表しています。今後の生産や打上げ数の競争について、どのように考えているのか教えてください」というご質問です。

新井:先ほども少し触れたように、生産能力そのものを向上させることが、収益源たる衛星の運用機数という観点で1つのKPIになり得ると考えています。

ただし、顧客があっての製造計画であるとの認識のもと、先ほど言及した具体的な案件の生成と併せて進めていく必要があります。その結果、案件獲得とタイムラインを合わせることが利益に影響を与える重要な要因となり得るため、経済性を重視しつつ、相手政府との協議を進めていくことが、最終的な競争力の向上につながると考えています。

製造能力やその他システムの実装能力については強化していきますが、そのペース配分については、需給のバランスを保ちながら長続きできるかたちで進めていく方針で、現在検討を進めています。

質疑応答:Synspectiveの次世代衛星の新機能について

司会者:「QPS研究所は次世代衛星への移行を公表していますが、Synspectiveの次世代衛星にはどのような新機能が搭載される予定でしょうか?」というご質問です。 

新井:現在、スペックは確定途上ですが、1つの軸として挙げられるのは、宇宙戦略基金の第二期で採択されている開発要素です。この要素として、より広域をカバーできるような研究開発を進めています。

この広域性の強化は、現在発生している災害対応や海洋監視において、非常に高い効果を発揮します。特に、当社の強みである衛星アンテナの様式や方式、さらにシステムの設計の面で他社が容易に追随できない点があり、ここをさらに強化することが盛り込まれる要素になると考えています。

その他の機能については、衛星間通信やオンボードコンピューターなどが、宇宙産業全体の蓋然性の高いトレンドとして注目されています。時間はかかるかもしれませんが、これらの機能も当然実装される方向で進んでいくだろうと見ています。

質疑応答:防衛省PFI事業の営業損失拡大要因と下期業績改善見通しについて

司会者:「防衛省PFI事業について、これまで、『第1四半期で準備費用が先行し、4月のサービス開始後は、既存の固定費を吸収していく』というご説明をいただいていました。

第2四半期では、売上が第1四半期の7億円から9億9,000万円へ増加しましたが、一方で営業損失はマイナス16億1,000万円からマイナス17億4,000万円へと赤字が拡大しています。増収にもかかわらず損失が拡大した要因について、原価と販管費に分けてご説明いただけますか? 

また、下期においては四半期売上が第2四半期の2倍から3倍に増加する一方で、営業損失はマイナス10億6,000万円まで縮小する計画とのことです。これにより、限界利益率が50パーセント程度になる計算になりますが、この見込みについても教えてください。第2四半期実績との差はどこから生じるのでしょうか?」というご質問です。 

志藤:順番にご説明します。まず、営業損失が拡大した理由の1つとして、4号機の短縮により2億7,000万円の増額があったことが挙げられます。また、防衛コンステレーション事業については、先ほど新井が申し上げたように、衛星機数に連動する部分とデータに連動する部分があります。

データに連動する部分については、どちらかといえば下期に偏る傾向があります。これは、1機あたりのデータ提供枚数が下期に集中する傾向があるためです。そのため、機数あたりの売上という観点からも、下期に改善すると考えています。

ご質問にあった「限界利益率50パーセント程度」の計算方法が少しわからないのですが、防衛省の衛星コンステレーション事業において、1機当たりの単価が下期に改善する見通しとなっているため、想定どおりに進捗すれば、現状の業績予想は十分達成可能であると考えています。

質疑応答:衛星コンステレーション拡大計画と黒字化時期への影響について

司会者:「衛星コンステレーション拡大を目指すという話が進んでいるかと思いますが、黒字化の時期は投資が先行することと合わせて先延ばしになるのでしょうか?」というご質問です。 

志藤:必ずしもそれがセットになっているわけではないと考えています。海外事業に進出するにあたって、さまざまな準備や新しい開発要素が必要となり、固定費が上がることは事実です。

ただ、それが直接的に黒字化の時期を遅らせるものではないと考えています。この増産を決めたことで、すぐに黒字化がずれるというものではないです。

質疑応答:解析ソリューションの大きな受注案件の見通しについて

司会者:「解析ソリューションの大きな受注案件の見通しについて、もし動きがありましたら教えてください」というご質問です。

新井:現時点では、防衛省の案件の金額が非常に大きいため、それに比較するとソリューションでの受注は相対的に大型といえるものはあまりありません。しかし、当社が「LDM(Land Displacement Monitoring)」と呼ぶ地盤変動モニタリングや、洪水の被害分析などは個別で実施しています。これらには具体的に顧客がついており、いくつかのリピート利用が始まっています。

ソリューションに関しては、衛星データをどのように活用するかという点で、SAR衛星などの場合、以前は潜在顧客の間で理解が進んでいなかったことがありました。

ただ、現在では固定的に利用を開始していただけるようになり、衛星の数が増えるにつれてその機会も拡大しています。そのような状況の中で、やっと糸口が見つかってきたと考えており、現在は数千万円規模の個別案件を積み上げている状況です。

例えば、グローバルで拠点を拡大してマーケティングを本格化させる中で、アジア圏や南米では、地盤変動や森林のモニタリングが少しずつ利用され始めています。また、鉱山のオペレーターなどにも地盤変動のモニタリングが活用されており、これらの分野へのリーチが可能となってきました。そのため、今後これらが具体的な契約につながる可能性を実感しています。

今年から来年にかけて衛星の数が増え、より多くのデータをソリューションに活用できるようになることで、顧客層がさらに広がると考えています。現在は初期段階におけるアンカーカスタマーが多く見つかりつつある状況です。したがって、今後はさらに広がっていくだろうと見込んでいます。

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