■ホリイフードサービスの今後の見通し
● 2026年11月期の業績見通し
2026年11月期の業績見通しは、売上高5,980百万円、営業利益532百万円、経常利益528百万円、親会社株主に帰属する当期純利益625百万円を見込んでいる。2025年11月期は決算期変更に伴う8ヶ月決算であるため単純比較はできないが、既存事業の伸長に加え、インバウンド事業の拡大及びM&A効果の本格寄与により、売上高・各利益ともに大幅な増加を計画している。中間期時点で期初通期計画に対する営業利益及び経常利益の進捗率がいずれも80%を超えたことから、同社は通期業績予想の上方修正を実施した。
同社は、既存事業ではDXの推進や業態変更による既存店収益力の向上を進めるとともに、インバウンド向け業態「エンペラーステーキ」の多店舗展開を加速させる。また、2026年6月に子会社化した鮨桝食品については第3四半期以降から本格的な業績寄与を見込んでいるほか、セイコーポレーションではPMIを通じた収益改善を進め、グループ全体の収益力向上を図る。
同社は利益成長のドライバーとして、既存事業の収益改善に加え、インバウンド事業及びM&Aを位置付けている。インバウンド業態では、「エンペラーステーキ」は顧客の9割以上が訪日外国人であり、2号店である京都三条店も開業初月から黒字化するなど、高い収益性と再現性を確認している。また、M&AではセイコーポレーションのPMIが順調に進展しているほか、鮨桝食品についても西日本における物流拠点としての機能や中食事業とのシナジー創出を見込んでいる。さらに、同社は2030年前後を見据え、インバウンド事業の利益構成比を高める方針を掲げており、成長市場への先行投資を積極的に進める考えである。
■中長期の成長戦略
2028年11月期までに営業利益率20%体制の構築を目指す
1. 成長シナリオとKPI
同社は、「既存事業の収益力向上」「インバウンド事業の拡大」「M&Aによる事業領域拡大」の3つを成長エンジンと位置付け、段階的な企業価値の向上を目指している。まず既存事業の収益基盤を強化し、その収益を原資としてインバウンド事業やM&Aへの投資を進めることで成長を加速する考えである。さらに、これらの施策を通じてグループシナジーを創出し、持続的な利益成長と企業価値の向上を実現するシナリオを描いている。
経営目標としては、2028年11月期までに営業利益率20%体制の構築を掲げている。また、中長期的には時価総額200億円、PER20~30倍、EPS100~150円を目標水準としており、利益成長と資本市場からの評価向上の両立を目指す。
2. 主な施策
(1) 既存事業の収益力強化
同社は、地方ドミナント戦略を軸に既存店舗の収益性向上を進めている。AIやビッグデータを活用した商圏分析により、需要の高いエリアへの業態変更や店舗配置を最適化するとともに、モバイルオーダーやデジタルマーケティングなどDX施策を推進し、オペレーション効率の向上を図る。
地方においては、コロナ禍で撤退した競合店の再出店が限定的であり、良好な競争環境が継続している。また、Googleレビューなどの顧客データも店舗運営に活用しており、原価率や人件費率の抑制・改善へ確実につなげている。
(2) インバウンド事業の拡大
インバウンド事業は、中長期的な成長をけん引する重点分野である。神戸牛を提供する「エンペラーステーキ」を中心に、京都・大阪など観光地への出店を進め、高付加価値業態として収益拡大を図る。
同業態では顧客の9割以上を訪日外国人が占めており、高い利益率を確保している。同社は2号店である京都三条店が開業初月から黒字化を達成するなど、空中階立地でも予約主導型モデルが機能することが実証されたとしている。将来的にインバウンド事業の利益構成比を高める方針である。
(3) M&A・PMIによるロールアップ戦略
同社は、M&Aを成長戦略の重要な柱と位置付けている。買収後はPMIを通じてオペレーションやDX、マーケティングなどのノウハウを共有し、グループシナジーを創出するロールアップ戦略を推進する。
セイコーポレーションではPMIが順調に進展しており、収益改善が着実に進んでいる。また、鮨桝食品については西日本における物流拠点としての役割に加え、中食事業とのシナジー創出を見込んでいる。同社は、既存事業で創出したキャッシュを成長投資へ再投資する好循環を構築し、継続的な企業価値向上を目指す考えである。
■株主還元策
当面は成長投資を優先しつつも、株主優待の充実と企業価値向上を重視
同社は、現時点では配当よりも成長投資を優先する方針を採る一方、株主優待の充実と企業価値向上を通じた株主還元を重視している。株主還元については「配当」「株主優待」「企業価値向上」の3つを柱として位置付けており、まずは利益成長と株価上昇による株主価値の最大化を目指す考えを示している。また、中長期的な目標として、営業利益率20%体制の構築に加え、時価総額200億円、PER20〜30倍、EPS100〜150円を目標水準として掲げ、資本市場から適正な評価を獲得することを目指している。
現在は配当を実施していないものの、株主還元の充実に向けた検討を継続している。現行の株主優待は、自社食事券またはジャパネットクーポンを選択できる内容となっており、優待利回りは導入時で約20%、足元でも約10%と高い水準を維持している。
投資家の視点では、こうした取り組みは短期的な配当利回りよりも、中長期的な企業価値向上を重視した資本政策と捉えられる。既存事業の収益力強化、インバウンド事業の拡大、M&A・PMIによるロールアップ戦略を着実に推進し、利益成長を通じてEPS及び株価を引き上げることが、実質的な株主還元の中核を担っていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)