■業績動向
ハマキョウレックスは、独立系の3PL(企業の物流業務を包括的に受託する物流サービス)の大手である。同社は1971年、静岡県浜松市に設立された。以降は急速な成長を遂げ、現在は全国及びインド・香港と海外に拠点がある。業界では物流を含めた総合的な事業体制見直しが進行するなか、3PLのニーズは年々高まりつつある。2026年3月期のセグメント別営業収益構成比は、物流センター事業が64.9%、貨物自動車運送事業が35.1%を占める。
1. 2026年3月期連結決算
2026年3月期連結決算は、営業収益が前期比6.0%増の155,500百万円、営業利益が同11.7%増の14,761百万円、経常利益が同12.6%増の16,080百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同20.0%増の10,720百万円となり、すべての項目で過去最高を更新した。物流センター事業が、新規稼働やこれまでのM&A効果などから順調に推移するとともに、これまで利益面で伸び悩んでいた貨物自動車運送事業が、運賃改定や貸切便の増加などによって営業収益・各利益ともに伸長した。
物流センター事業の営業収益は100,937百万円(前期比6.7%増)、営業利益は13,068百万円(同11.4%増)となった。増収増益の主な要因は、物流センター運営の充実と新規センターの寄与である。新規受託については15社の物流を受託した。物流センターの総数は、前期の193センターから194センターに増加し、その内訳は自社センターが62、借用センターが132となっている。
貨物自動車運送事業は、営業収益が54,562百万円(前期比4.8%増)、営業利益1,712百万円(同17.5%増)となった。運賃改定の進展や貸切便収入の増加、M&Aによる増収効果が貢献し、増収増益となった。
子会社の近物レックス(株)も、業績が改善した。同社単独の業績を見ると、営業収益が38,480百万円(前期比1.6%増)、営業利益398百万円(同43.0%増)と大幅増益となった。
財務面では、長短借入金など有利子負債が合計で前期末の24,340百万円から24,810百万円に増加した。これは、グループ会社の増加や設備投資による資金需要によるものである。引き続き子会社の近物レックスの借入金に関しては返済を進める。2026年3月期末時点の自己資本比率は56.8%と前期の56.2%から0.6ポイント上昇した。
2. 2027年3月期業績予想
2027年3月期通期連結の業績予想は、営業収益が165,500百万円(前期比6.4%増)、営業利益が16,300百万円(同10.4%増)、経常利益が17,200百万円(同7.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が10,800百万円(同0.7%増)と増収増益を見込む。2026年3月期に続いて営業収益・各段階利益は過去最高益の更新を想定している。
物流センター事業については、3PLへのニーズが引き続き堅調であることから、今後も成長が期待される。同社は業種の分散に取り組んでおり、これにより安定的な収益確保を目指す。貨物自動車運送事業は原油価格急騰といった不透明要因はあるものの、適正な運賃体系に取り組み、収益向上を図る。なお、軽油単価の変動による業績への影響については、1リットル当たり1円の変動につき、年間41百万円の影響があると試算される。ただし、燃料サーチャージ制度の導入等により燃料価格の変動リスクの低減に努めており、外部環境の変化に柔軟に対応した事業運営を進めている。
■中期経営計画
最終年度の2027年3月期目標値をすべての項目で上回る見通し
同社は2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。目標値は営業収益161,000百万円、経常利益15,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9,650百万円、1株当たり当期純利益(EPS)128.55円、営業収益経常利益率9.7%を掲げた。設備投資は12,000百万円を計画している。公表された2027年3月期の通期連結業績予想はこれらをいずれも上回る見通しである。次期中期経営計画の策定後も、従来の経営方針に則り、3PL事業を軸とした戦略が継続されると見られる。
現中期経営計画における重点施策としては、積極的な設備投資や物流センターのDX化及び省人化、ラストワンマイルを見据えたEC物流の拡大と自社配送への取り組みによる「3PL事業を軸とする事業展開」を推進している。また、近物レックスの貨物ターミナルを物流センター化することや、3PL配送のグループシナジー強化を図る「3PL事業とグループ会社の融合」を進めている。さらに、3PL新規受託件数で年間15社を目指すとともに、国内の顧客満足度向上につながる海外展開を図る「新規顧客獲得に向けた取り組み」を展開している。
これらに加え、物量増加への対応や労働環境改善、運賃是正を目指す「貨物自動車運送事業の取り組み」に注力するほか、3PL事業と貨物自動車運送事業の双方でシナジー効果を創出できる「M&Aの継続」、そしてCO2排出量削減やSDGsの推進を行う「ESGの取り組み強化」を柱として事業基盤の強化に邁進している。
■株主還元
2027年3月期の配当金は21期連続増配を見込む
2026年3月期の配当金は、41.75円(配当性向は28.8%)となった。2027年3月期は46.00円(同31.5%)を見込んでおり、これが実現すると、21期連続の増配を達成することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)