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トーヨーカネツ、豊富な受注残を背景に下期の収益拡大を見込む 高採算メンテナンスが業績のプラス要因に

投資家1on1 トーヨーカネツ×塩谷航平氏

塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands代表取締役の塩谷です。

それでは、さっそくですが、投資家1on1を始めたいと思います。事前質問をベースに進めていきます。

今期の業績予想について

今期の業績予想についてです。御社の季節性に関するご質問も含まれていますが、今期の予想数字を見ると、上期の営業利益が11億円、下期が29億円、合計で40億円という通期計画になっていると考えています。

前期は上期に利益が偏重していた印象を受けますが、今期の配分は前期と比べて季節性が逆転しているように見受けられます。今期の配分の背景と、前期における特殊な季節要因の背景について教えてください。

足元の受注残が約344億円とされていますが、工事進捗の見通しがどのようにガイダンスに反映されているのかについても教えてください。また、下期の新規受注について、ガイダンスに対してどの程度織り込んでいるのか教えていただけますか?

米原岳史氏(以下、米原):トーヨーカネツ株式会社取締役の米原です。上期と下期について、当社は例年、下期のほうが売上・利益ともに増加する傾向にあります。物流ソリューション事業に関しては、流通関係のお客さまが多いため、基本的に中元、歳暮、ブラックフライデーなどの時期は繁忙期にあたるため、結果として物流センター設備が完工して検収をいただけるのが、基本的に期末になるケースが多く、計上もその時期となります。

前年比について、2025年度の第1四半期は、当社の大口のお客さまの大規模なセンター案件が6月までに完全に終了したこともあり、例年と違う、異例な動きとなりました。

当社では、工事進行基準に基づいて売上を計上しており、工事には必ず不可抗力やリスクを想定した予算を組んでいます。そのため、工事が完了した段階でリスクが発生しなかった場合、利益として計上されやすい会計方式となっています。

これにより、工事が終わった段階では、売上はそれほど多くありませんが、利益が大きく計上されました。

2025年度は少しイレギュラーな要素がありましたが、今年度は通常の傾向、つまり、下期偏重に戻って、下期に売上および利益が大きく計上されることをご理解ください。

受注残について、物流ソリューション事業と機械・プラント事業では、収益の出方に若干の違いがあります。おおむね期末に受注残となったものは、翌年度または翌々年度に売上として計上される傾向があります。

上期・下期別の予想は立てていませんが、全体的には2026年度の物流ソリューション事業の売上予想は380億円です。このうち、当期受注・当期売上といった意味では、まずサービス売上が150億円程度含まれています。サービス売上は、基本的に当期受注・当期売上となります。残りの230億円が新設案件として、344億円の受注残から売り上がる内容になります。

新設案件230億円のうち、当期受注・当期売上としては60億円程度を見ています。そのため、344億円の受注残からは、約170億円が売上に反映されると見込んでいます。残りについては、2027年度以降の売上ということになります。

塩谷:344億円のうち、残り170億円が来期の売上金ということですね。

米原:2027年度以降です。

塩谷:当期の受注目標について、当期受注・当期売上のものを60億円というかたちで分けて回答いただいたということでよろしいですか?

米原:受注目標としては全体で240億円です。そのうち、60億円程度が当期受注・当期売上となります。

塩谷:残りの180億円は一部が今期に、また一部が来年度にまたがるような受注になるということですね。

米原:おっしゃるとおりです。

物流ソリューション事業のサービス売上について

塩谷:物流ソリューション事業のサービス売上について、あらためて概要をご教示いただけますか?

大和田能史氏(以下、大和田):トーヨーカネツ株式会社代表取締役社長の大和田です。正確には、サービス売上で150億円程度を計画しており、主に定期メンテナンスと部品供給、そして既設設備で当社が導入したコンベヤーの入れ替えなど小規模な工事の3つが主な業務です。比率については、定期メンテナンスが約65パーセント、部品供給が約20パーセント、小規模工事が約15パーセントとなります。

塩谷:関連して、保守・メンテナンスに関するサービス売上と新設案件の利益率について、一般的には保守・メンテナンスに関する利益率のほうが高いという認識を持っています。この理解で合っていますか?

米原:おっしゃるとおりです。利益率ベースでは、3倍程度の開きがあると思います。

リスクを踏まえた予実管理について

塩谷:上期と下期の相違について、概算で見ると、売上比率は4対6、営業利益の比率は3対7の見込みになると思います。新設案件を含む納品の期ずれといったリスクに関して、どのような予実管理を行っているか、可能な範囲でお答えいただけますか?

米原:予算と実績の対比という意味では、特に物流ソリューション事業を中心に、毎月実施していますが、半年に1回、大きな予算会議があります。この会議は、それぞれ9月初めと3月初め頃に行われており、その中で、上期の実績着地見込みや、通期の着地見込みを管理するかたちです。

今期の上期の売上について、例年は確かに上期よりも下期のほうが良い傾向にあります。しかし、今年度は、上期と下期の業績差がさらに広がる傾向があります。

先般来進めていますが、基本的には新しい製品の開発や新たな取り組みを進める中で、どうしてもコストを優先する仕事が一部あるという状況です。そのため、上期・下期の差は、例年よりもやや広がる傾向があると思います。

塩谷:上期と下期における季節性による利益の偏重ということですか?

米原:季節性ともいえるかもしれませんが、どちらかといえば、私たちの新しい取り組みに対するコストが先行する傾向が上期に強く出るように感じています。

塩谷:それは、持株会社への移行費用や、御社が説明資料で触れている液化水素貯蔵タンクに関するものなのでしょうか?

米原:今申し上げたのは、物流ソリューション事業のお話です。

塩谷:物流ソリューション事業だけのお話ということでしょうか?

米原:おっしゃるとおりです。もちろん、これから持株会社関連の話や水素開発に関しても、コストが当然出ていくことになりますが、それとは別の部分です。新しい技術を用いたシステムの納入に関する、R&D的なコストの発生です。

塩谷:新システム開発に関連する費用について回答いただいていたと思います。このような費用が上期に発生するイメージでしょうか?

米原:おっしゃるとおりです。そのような取り組みを先行的に行い、パイロット的なかたちでお客さまに導入している事例もあります。そのため、こうした取り組みにおいてコストがやや多めにかかる傾向があります。

プラント事業の前期予想について

塩谷:前期の予想に関するご質問です。過去5年間を振り返ると、大型の納品案件を抱える会社として、他の競合会社と比較して、予実管理能力が相対的に高い印象を受けています。

一方で、前期の予実管理については、途中で開示された修正予想に対し、売上・利益ともに未達となった実績値で着地しているかと思います。この背景を教えていただけますか?

米原:プラント事業についてのご質問だと理解しました。プラント事業については、現在、国内のタンクメンテナンスが主流となっていますが、マレーシアにおいて1件の大型補修案件が進行中です。

全体的には、数字が増加傾向にあると考えていましたが、インドネシアの子会社が不調でした。近年の中東情勢などの影響を受け、インドネシアのお客さまからのキャンセルや延期が相次いで発生したためです。

インドネシア子会社で見込んでいた売上が約半分になってしまいました。このような状況は、9月時点でほぼ予想されていました。一方で、国内のメンテナンス案件が好調だったため、プラント事業全体の収益について修正は行いませんでした。

しかし、最終的には国内メンテナンス分野がほぼ当初の計画どおりに収まり、結果として売上が10億円ほど減少しました。

塩谷:プラント事業について、国内での好調な予想が一時期立っていたものの、結果的には予想どおりだったということですね。

また、国内メンテナンス売上の予想について、半年単位では予想が少し難しい印象を受けました。この認識で間違いないでしょうか?

米原:国内のプラント事業全体の傾向としては、少しずつ増加しており、営業利益率も向上しています。特に懸念すべき要素は感じていません。ただし、年度収益となると、完全にお客さまの検収がいつきちんと出るのかが重要です。

会計が「検収基準」であるため、ある意味ではお客さまからペーパーで「工事が終わった」と最終的に確認できないと、売上や利益の確定ができない状況です。

塩谷:それは、メンテナンス分野でも同じですか?

米原:おっしゃるとおりです。物流ソリューション事業も、基本的には同様です。やはり工事会社ですので、工事が終了したことの証明として、お客さまからの検収書を入手することが最終段階になります。

ですので、これが微妙なタイミングで4月1日以降にずれたりすると、どれほど理由や説明を尽くしても、会計上では認められません。そのため、最終的な詰めの段階では予想がつきにくい部分があり、そのような事情から数字に少し変動が生じることがあります。

塩谷:その場合、前期の9月時点で好調と見込まれた国内売上の状況はいかがでしょうか?

米原:全体的には好調です。9月時点で見込んでいた増加分についても、おそらく3月からずれて4月以降に少し寄与してくるのではないかと考えています。

物流ソリューション事業とプラント事業の会計基準については、少し異なる基準を採用しています。正確には、どちらも工事進行基準に近いかたちです。建設会計は、POSシステムのように「現金収入=仕入計上」といったかたちにはなりません。

一定の予算、進捗、最終的な着地、検収といった段階ごとに、収益を適切に認識する必要があります。このような会計基準がまず存在します。

その中で有名な方法の1つとして、工事進行基準があります。最初に予算を立て、その予算どおりに毎月コストが発生し、その比率に基づいて売上を計上する方法です。

一方で、プラント事業では少し異なる方法を採用しています。原価回収基準というものですが、聞き覚えはありますか?

塩谷:申し訳ありませんが、それについては存じ上げていません。

米原:原価回収基準というのは、極端に言えば、毎月コストと同額の売上を計上していく基準です。

例えば、コストが100万円発生した場合は、売上も毎月100万円計上します。そして、例えばコストが1,000万円、売上が1,000万円の時点で、その月に検収書が発行されると、残っている売上をすべて計上するという方法です。

そのため、原価の出方や収益の出方は工事進行基準に似ていますが、微妙に異なっています。プラント事業は、毎月の売上に対して同額のコストが発生するため、毎月利益が出るわけではありません。検収書が出た時に初めて利益が計上されます。

塩谷:プラント事業では、納品時に計上される売上の利益率が高くなるということでしょうか?

米原:偏るという表現が正しいです。

塩谷:御社のセグメント利益率を見ると、プラント事業のほうがばらつき、偏差が大きいように思います。

米原:おそらく、そのようになる傾向があります。3月に工事が完了しない場合、その時も利益はゼロとなります。

塩谷:これは、創業時から行われているのでしょうか?

米原:数年前からです。過去は、国内メンテナンス案件に関しては完成基準で対応していました。

完成基準とは、工事が終了するまでコストも売上もまったく計上されない方法です。この方法では、会計上のばらつきがより大きくなるため、中庸を取って、現在は原価回収基準という方法を採用しています。

塩谷:その会計基準でいうと、物流に関しては進行基準が採用され、この数年間一貫して変わらないという認識でよろしいでしょうか?

米原:物流に関しては以前からずっと工事進行基準を採用しています。

中期経営計画の前提について

塩谷:中期経営計画における数値についてです。2028年3月期が中期経営計画の最終年度となっていると思いますが、売上高は680億円、営業利益は43億円となっています。

資料の注記部分に、M&A効果は業績予測から除外と記載されているため、オーガニック成長を示した数字のイメージなのではないかという印象を持っています。

みらい創生事業を含め、一部M&Aによる連結取り込みなどもあると考えます。売上高680億円および営業利益43億円について、過去のM&Aの寄与を含めたどのような前提で設定されているか、ご説明いただいてもよろしいでしょうか?

米原:まず、売上高680億円の内訳についてご説明します。基本的には、物流ソリューション事業で400億円を見込んでいます。現在は350億円超のレベルですので、あと40億円から50億円の増加を計画しています。

プラント事業で145億円、みらい創生事業で130億円、その他では5億円としています。ご指摘のとおり、この計画は基本的にオーガニックな成長だけを見込んでおり、特に買収による影響は考慮していません。

現状として、今年度からは坂田電機社の売上がみらい創生事業に寄与し始めていますが、市場成長という意味では物流ソリューション事業が当社の主力です。そのため、EC市場を中心にさらなる進展を期待しており、市場の拡大が最大の要因となる見通しです。

大型案件については減少傾向が見られますが、中小企業がEコマース分野に進出すれば、それに伴うセンター需要が生まれる可能性があると期待しています。

塩谷:プラント事業はいかがでしょうか?

米原:プラント事業について、水素タンクの研究開発を進めています。しかしながら、現状ではこれが収益に貢献する見通しはまだ立っていません。そのため、メンテナンスを中心として、地道に事業を伸ばしていく方向です。近い将来の取り組みとして、中期的な内容となります。

塩谷:中期経営計画のメインとしては、やはり物流ソリューション事業の伸長が中心戦略となるイメージを持っていますが、いかがでしょうか?

米原:おっしゃるとおりです。来年度から持株会社化を進める予定です。意思決定を迅速化し、積極的に展開していくことを期待しています。

塩谷:先ほど回答内でも触れられていたと思いますが、物流の外部環境を考えると、Tier1の物流・EC企業の設備投資のガイダンスを見る限り、海外、日本双方で少し下がっている傾向が見受けられるかと思います。

中小企業の物流センターのようなキーワードが挙がりましたが、国内では、中小企業の物流センターへの投資ニーズが、足元で高まっている印象があるという認識でよろしいでしょうか?

大和田:1つは、当社における今期・前期の状況を見ると、「Amazon」や「アスクル」のような大手ユーザーさまへの対応は、ある程度一巡したと考えています。

現在、中小企業の案件が増加してきており、物流システムへの投資の裾野が、中小企業にまで広がっていることを実感しています。それが、中小企業の投資ニーズとして表れていると思います。

さらに、ECの現状をご覧いただくと、「Amazon」や「アスクル」のように、何十万アイテムもの多種多様な商材を扱う企業や、特定の商品、例えば化粧品や工具といった分野に特化した企業など、さまざまな特徴を持つECサイトがあります。

これを中小と呼んでいますが、そのような企業が競争に生き残るためには、高度化した物流システムの導入が必須であり、その危機感から投資意欲が高まっていると考えています。この点が需要に結びついています。

また、中期経営計画の3年目にあたる時期には、生協の物流センター案件について話を進める機会が増える見込みです。当社が得意とするこの分野では、過去10年ほど前に多くのセンターを建設しましたが、それらのリニューアルが徐々に始まる時期へと差し掛かっています。

したがって、中期経営計画の3年目には、そのようなリニューアル案件も部分的に市場に出てくると見込んでいます。中小型案件に加え、これまでの「Amazon」「アスクル」とは異なる大型案件も、当社が得意とする市場で出てくることを期待しています。

みらい創生事業の利益率低下の背景について

塩谷:みらい創生事業について、売上の伸長がある一方で、利益率の低下が気になっています。予想比の達成率も51パーセントと、やや厳しい結果となったのが前期の状況だと思います。利益率の低下を含め、その背景をご説明いただけますか?

米原:みらい創生事業では、環境・防災分野を中心に数社の子会社を抱えています。

1つ目は、環境リサーチ社です。建物にアスベストなどが含まれているかの分析を主たる事業としていますが、現在レッドオーシャン化が進み、競争が激化しています。この影響で利益水準が伸び悩み、利益率が低下傾向にあります。

2つ目は、産業機械を中心とするトーヨーコーケン社です。前々期に一時的な大型受注があり、利益率も高まりましたが、その反動で前期は利益が減少しました。

3つ目は、新たに当社グループに加わった坂田電機社です。会計基準を当社の方法に統一するため、会計を整備し制度化した結果、当初の目論見から数字が変わりました。

以上の3点が主な理由です。

物流ソリューション事業の利益率予想について

塩谷:御社の中核事業である物流ソリューション事業についてのご質問です。今期の予想を見ると、こちらも利益率に関して、上期と下期で大きな差があるように感じています。

冒頭でいくつかご説明をいただき、おおよその背景は理解しましたが、あらためて利益率の変動に関する具体的なご説明をいただければと思います。

米原:先ほどもお伝えしたとおり、前期がイレギュラーなケースであったため、なかなか比較対象にはならない部分があると思っています。

全体的な傾向としては、下期に利益率が上がり、それに伴い売上の金額も増えることが多い事業です。基本的には、将来を見据えて、上期にさまざまなパイロット的な仕事をしてきた関係で、今年度の上期は利益率としてはあまりよくないと見ています。

ただし、下期は豊富な受注残を背景に、これらの仕事が完成すれば、それをカバーして当初計画どおりの水準になるのではないかと考えています。

塩谷:上期は会社の業績予想どおりの着地を目指されており、投資も含めて順調に進んでいるように思います。一方で、下期にはいくつかの要因が重なれば、会社計画を上回る可能性もあるのではないかと感じています。

仮に上振れる余地があるとすれば、どのような事象があれば会社計画をアウトパフォームする可能性があるのか教えていただけますか?

大和田:これまでの経緯からも、上振れる時というのは、やはり仕事が順調にスムーズに運んだ時です。

補足すると、前期には新しい要素を取り入れるチャレンジングな案件がいくつかありました。我々の取り組みとして、開発しても、大量に一気に導入するのではなく、少しずつ段階的に導入していくプロセスを踏んでいます。

そのタイミングが上期に訪れたため、正直に申し上げて、利益率が低いのはやむを得ない状況だと考えています。新しいものを導入する際には、さまざまなリスクが伴うからです。

下期については、それほどチャレンジングではなく、予定どおりに進むだろうと見ています。ただし、プラスに転じる可能性があるとすれば、プロジェクトがスムーズに進行した場合や、利益率の観点でいえばメンテナンス業務の利益率が高いことが挙げられます。

メンテナンスは当期受注・当期売上計上となるため、その進捗が良い方向に予想外の動きを見せた場合には、プラス要因となりうると考えています。

プラント事業の受注と売上バランスについて

塩谷:プラント事業の受注と売上のバランスについてお聞かせください。プラント事業においては、御社がセグメントごとに受注高の予想を出されていると思います。受注残が足元で約116億円ある一方で、海外案件はどの程度の頻度で発生しているのでしょうか?

また、受注残の中には当期受注・当期売上となるメンテナンス部分や新設工事など、いくつかの要素がミックスされていると思います。それらの採算性の違いについても教えてください。

米原:ご質問のとおり、プラント事業の売上予想は140億円で、受注高は115億円となっており、ギャップが生じています。

ただし、これは受注残を売上に変えるプロセスの一環です。基本的には、マレーシアで大型補修案件を2年前に受注したことが影響し、依然として受注残が高めに推移しています。そこから、工事の進捗に従い受注残が売上に変換していきます。

具体的には、国内のメンテナンス案件が約100億円から110億円程度、また先ほど触れたマレーシアの案件が約20億円という計画を立てています。さらに、期中受注および期中売上については、およそ20億円から30億円程度を見込んでいます。

基本的には国内メンテナンスは消防法に基づく法定点検であるため、変動が少ない分野です。当社の海外比率はほとんどなく、グループ全体で90数パーセントが国内売上であるため、海外の影響はそれほど大きくないのが現状です。

全社費用調整費の増加理由について

塩谷:コストに関するご質問です。全社費用調整費が、今期に4億円ほど増加する背景を教えていただけますか?

米原:全社費用調整費は、14億7,000万円から19億円と大幅に増加しています。この要因としては、持株会社体制への移行や生成AIを全社員に導入するための費用が含まれていることが挙げられます。

これらの費用がどの程度になるかについては、現時点ではまだ明確ではなく、手探りの段階です。資料にあるとおり、だいたい制度設計に1億円程度のコストが見込まれています。また、液化水素タンクの研究開発が今年活況となる見込みであり、これも影響しています。

今年はタンクの実機を具体的に作る計画があり、ベンチスケールとして小さい実機ですが、この製作に1億円から2億円程度かかると見込んでいます。

また、その他の研究開発やAI導入により、例年に比べて研究開発投資が増加する見込みで、これに1億円程度を見込んでいます。結果的に全体で約4億円の増加を見込んでいます。

販管費増加の背景について

塩谷:販管費の増加についておうかがいします。前期の売上総利益が増加した一方で、営業利益が減少したことから、販管費区分の増加が確認されています。御社の説明資料にもその理由が記載されていると思いますが、あらためてその背景について教えていただけますか?

米原:全体的には人件費相当の増加額が大きく、ベースアップのみならず、人材開発を積極的に行っている関係で、キャッシュフローとしては約6億円増加しているのが現状です。

ただし、この内容については資料にも記載されているとおり、販管費だけでなく原価も含まれています。その按分について明確な数値はここでは申し上げられませんが、主な要因は人件費の増加です。

資本政策・株主還元と成長投資のバランスについて

塩谷:資本政策および株主還元についてです。御社は足元で非常に市場から意欲的と捉えられる自社株買いを発表されており、還元方針に関しても市場から非常に好感を得ている印象があります。

その上で、DOE基準と成長投資のバランスについてです。今後、大型M&Aといった成長投資の話や、水素タンクのような新規事業やプロダクトに関する話題もあると思いますが、この還元と成長投資のバランスについてお聞きします。

あるいは、還元に関する考え方を教えていただけますか?

米原:資本について、当社の自己資本比率は6割近い水準にあります。このため、これ以上の資本の充実は必要ないと思っており、むしろ多すぎるという印象を持っています。そのため、これを50パーセント程度に抑えるため、投資を増やしていく方針を基本としています。

DOEは4パーセントですが、これは複雑な計算ではありません。当社が従来から続けている配当性向50パーセントに、ROE8パーセントを掛け合わせた結果です。ROE8パーセントは当社にとって経営課題であり、重要な命題でもあります。

本業を通じて、ROE8パーセントを達成することを目標とし、そのうちの半分はみなさまと収益を分かち合うという方針を掲げています。

大規模なM&Aについて、実際に起こってみなければ詳細はわからないものの、現状では自己資本の厚みがあることから、借入余力としてデットエクイティ比率がまだ0.3倍や0.4倍に届かないレベルです。

このため、デットエクイティ比率を倍の0.6倍程度に引き上げても、十分な余力があると考えています。そのため、追加的に100億円程度までは借り入れで対応可能というのが現時点での考えです。

還元姿勢と資本市場への向き合い方の変化について

塩谷:御社については、ちょうど新型コロナウイルスの流行前後から個人的に注目していました。また、弊社でもリサーチを行っていたところです。その上で、還元姿勢や資本市場への向き合い方が2021年から2023年頃にかけて急速に強化されてきたと感じています。

高ROEの達成といった点も、説明資料で頻出するようになった印象を受けています。この間に具体的にどのような変化があったのか、お答えできる範囲で教えていただけますか?

米原:当時は、現在の大和田の前の社長の時代で、その時期にみらい創生プロジェクトを立ち上げていました。このプロジェクトでは、2030年に我々がどのような姿でありたいかという議論を全社的に行っていました。

その中で、安定というキーワードも当然重要視されましたが、成長をいかに進めていくかという点にも焦点を当て、現社長の大和田への交代のタイミングに合わせて前回の中期経営計画が策定されました。

中期経営計画には、みらい創生プロジェクトの考え方が色濃く反映されており、2030年の目指す姿からバックキャストして構成されたものでした。

当時、東証からそのような要請はなかったものの、私たちは当時まだ時価総額が200億円から300億円程度の企業でした。そのため、規模をさらに大きくしなければプライム市場企業として十分ではない、当時の一部上場企業としても基準を満たさないのではないかという認識がありました。

このような背景から、伊藤レポートの影響ではないものの、ROEを8パーセントとすることが1つの基準として浮上しました。当時は金利がゼロの状況でしたが、8パーセントという数値がプライム企業(当時の東証一部上場企業)として達成すべきハードルと認識されていたのです。

こうした目標を踏まえ、株主さまへの還元も含め、経営をスケールアップさせるための取り組みを行ってきました。そして現在、大和田社長体制の下でこの4年間を過ごしているという状況にあります。

大和田:1点補足します。みらい創生プロジェクトとみらい創生事業という、「みらい創生」と名付けられた言葉が2つ登場しました。

みらい創生プロジェクトは、2017年にタンクの業績が低下したことを受けて、事業の安定を図るために立ち上げられたものです。このプロジェクトでは、現在のみらい創生事業だけでなく、物流やタンクを含め、将来に向けてどう対応していくかを検討していました。

塩谷:現在のセグメント定義とは異なる意味で使われていたわけですね?

大和田:おっしゃるとおりです。このプロジェクトから派生し、みらい創生事業が誕生しました。いろいろな子会社や、プラントも物流も含め、みらい創生プロジェクトの中で成長戦略を検討してきました。

その後、第3の事業として独立させるかたちで、みらい創生事業が立ち上げられました。みらい創生事業では、2030年のあるべき姿を見据えたプロジェクト全体とは異なり、第3の柱を構築することに重点を置いています。

昨年からは、新たに策定した中期経営計画のもと、防災と環境分野へ進出するという明確な方向性が定まりました。

PBR1倍回復に向けた取り組みと評価について

塩谷:経営陣の変化や経営の方針の変化、それに伴う株主還元方針や資本市場との向き合い方の変化が複合的に評価され、御社の株価がPBR1倍台へ回復し、上昇してきたと理解しています。

御社の社内でも、今回のPBR1倍回復達成に関して、市場から「このような点が好感されているのではないか」といったご意見や印象があれば、ぜひお聞かせいただければと思います。

米原:過去、当社にはPBRという意識そのものがあまりありませんでした。

ただ、東証の要請や姿勢の変化など、当社も当然影響を受けています。一方で、PBRを意識することは、買収や株主のみなさま、さらにはマーケットとの向き合い方が問われるということを意味します。そのため、これを上げるにはどうすればよいのかという思考につながっています。

その結果、当社はBtoBの会社であり、知名度が高くない点を課題と認識しました。専門家には評価される部分があるものの、広く知られていない状況を変えなければならないと判断し、この2年間でIR活動を積極的に行ってきた背景があります。

また、EPSやROEなどの指標も重要ですが、それ以上に人気度という要素が収益率に影響すると考えています。そのため、ブランド名をより多くの方に浸透させることが一番の変化であり、重要な取り組みだと認識しています。

機関投資家との四半期ミーティング回数について

塩谷:機関投資家さまとの四半期のミーティング回数はどれくらいになっていますか?

米原:昨年度は年間で延べ90回以上となりました。このメンバーでロンドン、エジンバラ、シンガポール、香港、ニューヨーク、ボストン、シカゴを訪問しており、いずれもノンディール・ロードショー(NDR)として実施しています。ホームページ経由で直接面談したいというご要望にもお応えし、対応しています。

米原:証券会社さまがアレンジしてくださったり、継続的に四半期ごとに面談のご依頼をいただいたりすることもあり、年間では約90回、四半期ごとでは20件前後に増えてきました。

米原:3年前は年間で20回から25回程度でしたので、それに比べて大幅に増加しており、我々にとってはありがたい状況です。

運転資本とキャッシュフローの変化の背景について

塩谷:運転資本とキャッシュフローについて、営業キャッシュフローは前期が前々期比で12億円ほど増加していたと記憶しています。この増加には、契約負債などが10億円弱ほど増加したことも関係しているように見受けられます。

キャッシュフローの部分で、前々期と前期で大きな変化があったのではないかと思っています。そちらに至った背景について、お聞かせいただけますか?

米原:当社では、利益とキャッシュ、営業キャッシュフローがまったく一致しないという特徴があります。

売掛金は工事進行基準の進行に従って計上されていき、現金回収が完了すれば解消されることとなります。しかしながら、契約上現金回収の条件はさまざまであり、中には検収時一括支払い、というものもあります。もし大型案件でこのような回収条件だった場合、売掛金の残高は増える一方となり、検収時に一気に減少します。この考えに沿い、前期および前々期については回収の年、すなわち回収期間であったと捉えています。

したがって、営業キャッシュフローが赤字となる年が3年続くこともあります。このような状況は長期的な目線でご覧いただいたほうが明確に理解できると思いますので、単年度での判断はミスリードとなる可能性があります。

塩谷:つまり、今期や来期を含めて、数年間は同じような状況が続き、キャッシュフローに大きなばらつきが出るという認識でよろしいでしょうか?

米原:その点については、あまり関連性がないため、分析が難しい状況です。

ソフトウェア開発による収益貢献見通しについて

塩谷:新規事業についてのご質問です。現在、WMSプロトタイプの完成や、先ほど新製品で水素タンクという言葉も出ていたと思いますが、まずソフトウェア部分についてお聞きします。このソフトウェアによる新規事業の収益貢献の見通しを教えていただけますか?

米原:WMS関連について、中期経営計画期間で10億円程度とお伝えしています。

もともと、ソフトウェア開発やWMS開発については、ソフトウェアを販売するのではなく、基本的に物流センターでは入荷から出荷まで、一連の保管プロセスを経て、これらがチェーンのようにつながっています。

当社は出荷の部分に非常に強みを持つ一方で、入荷や保管についてはこれまであまり受注がありませんでした。その主な理由の1つとして、WMSという倉庫全体を管理・運営するソフトウェアがなかったという認識があります。

そこで、このWMSを開発し、それを組み込んだ提案を行うことで、入荷や自動倉庫といった保管などの領域に大きく業務範囲を広げ、受注の拡大を目指しています。この開発を進めているところです。

WMS自体の販売価格は、単品で1億円から2億円程度と見込んでいます。そのため、直接販売するというよりも、業務領域の拡大に注力していきたいと考えています。

2030年に向けた物流ソフトウェア売上目標の割合について

塩谷:物流に関するソフトウェアについて、御社は2030年までに物流全体で600億円の売上目標を掲げていると思います。ざっくりとした概算や現在の感覚値でもかまいませんが、ソフトウェアの売上は、2030年時点の600億円のうち何割程度を占めるイメージでしょうか?

大和田:売上そのものはそれほど期待しておらず、WMSを構築することで、物流センター全体にハードを導入できるという点に、受注売上の期待を寄せています。

ただし、売上については実際に販売してみなければわからない部分もありますが、600億円をベースにすると、20億円前後になると思います。

塩谷:600億円の中で、大部分はハードの売上が占めるという認識でよろしいでしょうか?

大和田:おっしゃるとおりです。ただ、ソフトという言葉が非常に曖昧になっています。例えば、現在のWMSは倉庫全体を管理するもので、基本的には在庫管理の仕組みから始まったものです。

一方、その下にWarehouse Control System(WCS)があります。WCSは、その下の機械を動かすためのソフトです。そのため、WMS、WCS、ハードという3階層があるとお考えください。

一般的にソフトと呼ばれているのは、WMSとWCSを合わせた部分を指していると理解していただければと思います。

我々は、すでにハードとWCSについては、ある程度セットで対応できる状態になっています。そのため、当社が指すソフトというのは、WMS部分を指しています。したがって、ソフトで20億円というところは「ちょっと低いよね」と思われるかもしれませんが、WCSまで含めると、範囲はさらに広がっていきます。

ワールドリンク社買収によるシナジーについて

塩谷:6月に発表されたワールドリンク社の買収に関するリリースについて、これはWMSだけでなく、WCSについてもシナジーがある買収先という印象を受けました。この認識は正しいでしょうか?

大和田:ワールドリンク社は、我々の市場占有率が非常に高い生協向けのWMSにおいて、実際に生協で活動している会社です。

塩谷:そのようなSIerなのですね。

大和田:そのため、当社が期待しているのは、生協という当社の得意分野で活躍しているWMSへの取り組みです。WMSについては、これまでワールドリンク社を含めて、3社ほどのソフトウェア会社のM&Aを行ってきましたが、各社におけるシナジーについてはこれからと考えていただければと思います。

私は現在、WMSとWCSを区別してお話ししましたが、これが次世代においても正しい区分であるかどうかについては、懐疑的に思っています。

そのため、その部分については、さらに細かく分かれるのか、あるいは統合されるかたちになるのかを、3社と話し合いながら新しいシステム構築を進めていきたいと考えています。現時点では、WMSへの期待が大きいです。

M&A案件のソーシング手法について

塩谷:ワールドリンク社のようなM&A案件は、自社内でソーシングチームをお持ちなのでしょうか? それとも、仲介業者やFAを利用してソーシングを行っているというイメージなのでしょうか?

大和田:さまざまな銀行など、我々も多くの関係がありますので、そのような方面からの紹介もあります。みらい創生事業については、環境リサーチ社や環境計測社、坂田電機社などのM&Aを行ってきた実績があり、M&Aの進め方という点でノウハウを蓄積しています。

今回も、これまでの物流関連のソフトウェア会社のM&Aについても、みらい創生事業のノウハウを活用しています。

液化水素タンク事業の位置づけと見通しについて

塩谷:液化水素タンク事業について、あらためて位置づけをご説明いただけますか? 新規事業に該当すると思いますので、年間のコストイメージについても具体的に教えてください。

米原:液化水素タンクの研究開発は、現在ベンチスケールタンクの製造段階にあります。実機の製造を行い、その後来年度に分析を実施する予定で、一連の取り組みが完了します。今年度は、コスト面で最も費用がかかる年と見込んでおり、合わせて約5億円のコストとなる見込みです。

調整額14億7,000万円の中に、研究開発にかけている予算が含まれています。次世代エネルギー開発センターの年間経費はおおよそ2億円から3億円です。そのため、14億7,000万円の中から、2億円から3億円が液化水素タンクの研究に充てられているとご理解ください。

水素タンクの研究は引き続き進めていき、2027年度までを目処に完了する予定です。ここで、開発の目処をつけたいと考えています。ただ、水素社会の到来がいつになるのかという点は、もう1つの大きな課題です。この点は非常に悩ましい部分です。

大和田:おそらく塩谷さんは、その時期がいつ利益として顕在化するのかという点をご指摘されているのではないかと思います。

最近IR活動に携わっている中で、多くの個人投資家の方々からさまざまなご意見をいただくことがありますが、この状況は本当に急激に変化したと実感しています。振り返れば、私が4年前に社長に就任した際には、2030年に水素社会の兆しが見えるとされていました。

しかし、2年前には2035年と言われ、さらに現在では2040年という見通しが語られています。この変化を踏まえると、当社としては2027年までに開発を進め、2030年の兆しが現れた時点ですぐに対応できるよう準備を進めていますが、計画が後ろ倒しになり、戸惑いも感じています。

とはいえ、ここ10年にわたってこの開発を進めてきた実績があります。仮に2040年が目標になったとしても、これまで進めてきたプロジェクトを途中で中断し、先送りにすることはありません。

当社のポリシーとして、創業の原点であるタンク事業に注力し、エネルギーを大量に保管できる技術を引き続き追求していきます。多くの株主さまにタンクメーカーとしてご説明しているため「水素事業を止めるのはいかがなものか」という思いもあります。しかし、「投資家目線とは異なる、トーヨーカネツの理念がそうさせている」とご説明しています。

塩谷:現在の見通しでは2040年となっているのですね。私も存じ上げていませんでした。

大和田:現在は、2035年から2040年と言われています。ただし、私の考えでは、少なくとも2035年には実現しないと思っています。

米原:国の発表によると、これまでは火力、水力、再生可能エネルギーが電源構成に占める割合を示してきましたが、直近の発表ではそれを示していませんでした。

塩谷:そうなのですね。

米原:わからなくなっています。

塩谷:水素の社会実装が伸び悩んでいる理由は、どのようなボトルネックがあるのでしょうか?

大和田:おそらく、水素自体が必ずしも安全なものではないという点が1つ挙げられます。また、現在の試算では、化石燃料で発電する場合と水素で発電する場合では、1キロワットアワーあたりのコストが5倍から10倍ほど違うと言われており、高いと指摘されています。

これは、当初の太陽光や再生可能エネルギーも同様でした。結局、予算の配分状況を見ると、原子力に多くの予算が割り当てられています。それは、原子力がキロワットアワーあたりの単価が安いからだと考えられます。

そこが現在も大きな障害となっており、今後も障害になり得ると考えています。

塩谷:ありがとうございます。質問を通じて、御社の事業理解が大変深まりました。

大和田:ありがとうございます。

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