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エヌ・シー・エヌ、1Q増収・赤字幅改善から2Qは大幅回復へ 資材不足の影響解消で「SE構法」の出荷を順次再開

個人投資家向けIRセミナー

Ken氏(以下、Ken):1UP投資部屋のKenです。本日は、ふだんとは少し異なる形式で進めたいと思います。私から、インタビュー形式でいろいろとお話をうかがいます。よろしくお願いします。

田鎖郁夫氏(以下、田鎖):株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長執行役員の田鎖です。よろしくお願いします。

Ken:さっそくですが、初めてご覧いただく方もいらっしゃるかと思いますので、ビジネスモデルについてうかがいます。

御社の「SE構法」では、例えば住宅が1棟建つ場合、最初にどなたから案件や依頼があり、その後は御社の担当工程や最終的にどのように売上が計上されるかという、一連の流れについて教えていただけますか?

他に類を見ない木造建築プラットフォーム

田鎖:当社のビジネスモデルは他にあまり例がないため、少しご説明します。

当社は、構造設計を主業務としています。また、建物が完成すると見えなくなる省エネルギー性能、つまり断熱材がどのくらい使われているかといったシミュレーションを行い、その結果をもとに材料を供給しています。この材料供給は工務店のほか、みなさまがよくご存じのハウスメーカーにも卸しています。

NCNのビジネスモデル

田鎖:どのように進むのか、その流れを図式化してご説明します。計画、設計、加工、そして現場への搬入といった一連の流れを絵でお見せしています。

お施主様へのプレゼン(工務店様からの依頼図面)

田鎖:このような図を見たことがあるかもしれませんが、工務店やハウスメーカーは、お客さまに「このようなお家はどうですか? 間取りはこんな感じで、何人家族で、光がたくさん入って……」というような提案を提示します。それがそのまま、当社にデータまたは紙で送られてくるのです。

平面図・立面図

田鎖:こちらが、設計図の原図です。このようなかたちで、寸法も高さもすべて記載された図面になっています。

構造伏図

田鎖:ここからが、我々の真骨頂です。こちらを、中の柱や梁の図面に変えていきます。実はこれは三次元データで作成し、柱はすべてどこで加工するか、までデジタルデータになっています。

赤い線が見えますが、これが「筋交い」や「壁」と言われる部分です。ここで耐力や耐震性をどの程度確保するかを検討します。

構造パース

田鎖:立体にすると、スライドのようなかたちになります。これを3Dデータにして、お施主さまや工務店の方、そしてハウスメーカーの作る方々にもわかりやすい図にしていきます。これによって高さがどのぐらいか、梁がどの程度の大きさであるかなどが見えてきます。

Ken:これは、構造計算などを進めながら作業されているのでしょうか?

田鎖:そのとおりです。この3次元化によって3次元解析を行い、実際にこれを地震動で揺らし、どの程度揺れるのかをシミュレーションしています。

この段階で、お施主さまやハウスメーカーに「この部分を硬くしてほしい」「ここは強くしておいてほしい」といった要望を提示します。

Ken:「硬く」というのは、「ここはあまり揺れてほしくない」といったような意味合いですか?

田鎖:そのような場合もありますし、「吹き抜けが少し大きいから、部屋にしたいな。ちょっと変えたいな」というようなご要望にも応じて変更していきます。

構造見積書

田鎖:「いくらになるか?」というと、このようなかたちで金額が提示されます。材料費については、集成材がいくらかといった明細がすべて記載された、とても分厚い資料です。

構造計算書

田鎖:「この金額でOKです」となると、100ページほどにわたる構造計算書、つまり今度は役所に提出する資料になります。これは、ビルを建てる場合と同じようなボリュームです。

Ken:細かいですね。ここには、構造計算書が出ていますね。

田鎖:「この柱はどのような力を負担します」など、超高層ビルの場合も、このような分厚い資料が作成されます。それが2階建ての建物であっても、2センチほどの厚さの資料がデータとして作成されるのです。

Ken:かなりの分厚さですね。

田鎖:しかし、これからはさらにデジタル化を進めるべきだと思います。役所側も、デジタル化を推進してくれるといいなと思っています。

構造材搬入

田鎖:最後に、役所でも「これで大丈夫ですね」となると、スライドのようなかたちで構造材が現場に搬入されていきます。ここまでが、当社の業務となります。

Ken:ちなみに、P/Lに売上として計上されるタイミングは、構造計算をして3Dのデータが出てくるタイミング、またはこちらが書類として出てくるタイミング、そして資材や木材が実際に搬入されるタイミングなどが考えられますが、どのように計上されるのでしょうか?

田鎖:こちらで確認申請という作業を行う際、つまりこの資料をお届けした瞬間に、まずは構造計算費用や設計費用として、ハウスメーカーや工務店からお金をいただきます。

確認申請終了後は約3ヶ月間の基礎工事を経て、実際にこのように現場へ物が運ばれます。これが、当社で「SE構法」出荷売上と呼ばれるものです。現在では、1棟で平均500万円ほどのものが多くなっています。こちらが売上高として最も大きな部分になると思います。

Ken:全体としては大きいということですね。実は、私はこれまで何度も取材やお話をしていますが、売上が計上されるタイミングはビジネスを見ていく上で非常に重要な部分です。

少し質問なのですが、構造計算をして確認申請まで進んだものの、「やっぱり建ちません」といって躯体が出荷されず、「SE構法」出荷売上が計上されないものはほとんどないということですか?

田鎖:よほどのことがない限り、ほとんどありません。お施主さまにご不幸などの特別な事情がない限り、構造計算が終わると必ず躯体も出荷となります。

Ken:わかりました、ありがとうございます。続いておうかがいしたいのは、競合優位性についてです。御社のサービスを検討するお客さまは、工務店やハウスメーカーから勧められたり、いろいろと比較検討されたりすることが多いのではないかと思います。

他社ではなく「SE構法」を選ぶ一番の理由としては、どのような点が多いのでしょうか? 何を決め手として選ばれることが多いのでしょうか?

田鎖:まず、工務店が選ぶ場合と、お施主さまが選ぶ場合ではパターンが少し異なります。お施主さまが選ぶ場合は、ほとんど間取りの自由度や開放度などが理由となります。

高付加価値住宅を可能にするSE構法の技術

Ken:スライドの写真は、かなり開放的ですね。

田鎖:最近では、お客さまにプレゼンテーションする際、3Dでお見せすることが多いのですが、「在来工法」の場合はどうしても壁が目立ってしまいます。その点、「SE構法」は窓が大きく、吹き抜けの構造になっています。

向井沙耶氏(以下、向井):良いですね。

田鎖:ありがとうございます。実際に、「明るい部屋がいい」「それならやっぱり『SE構法』にしよう」と選ばれるお客さまも非常に多いです。

もう1つは、最近お施主さまで特に増えているのが、富裕層の方々です。富裕層の方々は、物事を非常にロジカルに考える傾向があるため、例えば「強い」「弱い」「大工の腕前が……」と言うと、「それを数値化してください」ということになります。

リーズナブルな理由がない提案を「強い」と言われたら、「なぜ?」と指摘されることもあると思います。

Ken:投資家の場合、「蓋然性が高いのか?」ということをよく言いますよね。「実際にどうなの?」というような場面などで。

田鎖:理由のない「強い」を認めたくない、というのもありますよね。そのため、私たちは施工中の写真や実験データを活用して実際に構造計算を行ったり、シミュレーションを実施したりといったサービスを提供しています。このような取り組みが不可欠だと思う方は、最近ますます増えています。

Ken:なるほど。加えて、全体的なインフレの影響があり、足元では金利もどんどん上昇しています。住宅は一生に一度の大きな買い物ですが、このような環境下では、これまで以上に購入のハードルが上がっているのではないでしょうか?

求めるもののレベルも高くなってきており、その結果として富裕層が「SE構法」を選びやすくなっているということもあるのでしょうか?

田鎖:おっしゃるとおり、そのような状況もあるかと思います。また、みなさまはあまりご存じではないかもしれませんが、この約6年間で建築資材が1.5倍にまで高騰しています。具体的には、以前2,000万円で建てられた家が、同じ条件で建築すると3,000万円になっているのです。

すると、自ずと「とりあえず家を買おう」という選択をする方は減少していますね。かつては「30歳になって所帯を持ったら、まずは家を買いましょう」といって注目されていましたが、今ではそのようなモチベーションで無理に購入することが少なくなりました。

Ken:確かに、当たり前ではあるのですが、今では計画を立て、段取りを組むというかたちが一般的ですよね。

田鎖:そのような意味では、家を建てる動機自体が大きく変わってきているのではないかと感じます。

Ken:ちなみに、過去と比べてみると、私が最初にお話をうかがった際には「やはり耐震性というところに大きな安心感があるよね」という点が非常に強かった印象があります。

おそらく現在もそうだと思いますが、その間にどのようなニーズの変化が見られたのか、または、新たに出てきたニーズなどはありますか?

田鎖:過去からの変化という観点でいうと、この20年間で国の政策が大きく変わったことが挙げられます。

ユーザー側の変化については、どうしてもマスコミの影響が大きいと感じます。私ももう60歳になりますが、私が初めて家を買おうと思った頃は、どちらかというと「家を買うことが夢です」というような感じでした。

Ken:「夢のマイホーム」というような感じですよね。

田鎖:まさにそのようなものです。『金曜日の妻たちへ』と言っても、今では知らない方も多いと思いますが、たまプラーザのようなエリアに一軒家を建てることに喜びを感じる方が多かった時代は、常に「量」が重視されていました。当時は、たくさんの住宅を供給することが国としても最優先されていたのです。

しかし2000年頃になると、「質へ」という考え方が広まり、量を作るよりも、耐震性や断熱性といった性能への注目が集まるようになりました。また、国も長期優良住宅を建てる人に対して100万円の補助金を提供するなど、性能向上を推進する仕組みを導入しました。

さらには大手企業のコマーシャルも変化し、「Z空調」「空調がいいですよ」「断熱性能が超断熱です」といった内容を訴求し始めるなど、住宅業界全体でそのような動きが見られるようになりました。

以前は「坪25万円で一軒家です」といった広告や、「30代で一軒家が持てます」というコマーシャルもありました。ただ、現代の30歳くらいの方にとって、一軒家は必ずしも夢ではないですよね。どのように感じられていますか?

Ken:やはり、マンションなども多いですよね。都内では「一軒家はハードルが高いな」と、特に感じます。

向井:土地が不足しているイメージがあるため、「マンションに住むか」と消極的な感想を抱いてしまう自分もいますね。

田鎖:そうですよね。一軒家にかかるコストや条件が高くなるからこそ、ユーザーの要求も高くなっていますよね。例えば、耐震等級3でなければ家を欲しいと思わない、という状況になっていますよね?

Ken:確かに、そうですね。

田鎖:確認申請で義務化されていなかったとしても、「構造計算した家としていない家では、どちらがいいですか?」と質問されると、対応してほしいと思うのではないでしょうか? そう考えると、ユーザーの意識が確実に変わってきていると感じます。

ただし、構造計算をしていない家も建てることは可能です。例えば、柱の本数が少なくても現在のルールでは建築可能なのです。つまり、コストを下げて質を少し妥協しつつ、一軒家を持つという選択もできるということです。

または、こだわって適切なコストを払って購入するかというと、どちらかといえば後者のほうが、最近のニーズとしては高まっているように思います。

Ken:確かに、SNSなどによる影響もあって、全体的に「ある程度高くてもいいものを使おう」という流れがきていると感じます。

田鎖:加えて、少し余計なお話かもしれませんが、投資という観点でも、一般の方々がNISAなどを通じて資産管理や投資に敏感になってきていますね。

Ken:確かにそうですね。

田鎖:物を購入することを「単なる損」と考える方も多いのですが、購入した物の価値が上がることもあります。例えば、「良い車を買ったら、中古車にしてもちょっと高いから損してない」という考え方です。

Ken:リセールバリューのようなことですね。

田鎖:マンションも、そのようなかたちでかなり高額なものを購入されている方が増えているのではないかと思います。このような消費傾向から、消費者が徐々に賢くなってきているように感じます。

Ken:すると、自ずと御社にたどり着くことが多いのではないかということですよね。

田鎖:ぜひそうなってほしいと思いながら、資産価値を上げるための仕組みをどう作ればいいかを日々一生懸命に考えています。

Ken:わかりました、ありがとうございます。続いて、決算についてお話をうかがいたいのですが、決算の全体のページを出していただけますか?

2027年3月期第1四半期 連結業績

Ken:2027年3月期第1四半期がすでに発表され、売上高は18億1,200万円、営業利益は4,100万円の赤字となっています。

この全体の評価について、会社側として「ここは想定線だった」など、上回った部分や下回った部分がいろいろあるかと思います。そのあたりについて、コメントをいただけますか?

田鎖:「この第1四半期における決算は予定どおりだったのです」と申し上げたいところですが、若干そうではない部分がありました。

2027年3月期第1四半期 事業セグメントとセグメント売上高

田鎖:セグメント別では、住宅分野は好調だった一方、非住宅分野は前期比10.3パーセントの減少となりました。環境設計分野やDX分野のうち、特にDX分野が倍増と大きな成長を遂げています。ただ、住宅分野はさらに大きく成長する計画でした。

Ken:実際に見てみると、構造計算の出荷数が大きく伸びていることがわかりますね。

[住宅分野]KPIの四半期推移

田鎖:そのとおりです。先ほどビジネスの流れをご覧いただいたかと思いますが、お問い合わせをいただき、構造に関する相談件数が非常に増えています。したがって、確認申請を行う件数は右肩上がりで増加している一方、SE構法出荷数を見ると減少していますよね。

第4四半期や第1四半期の状況については、言い訳に聞こえるかもしれないため申し上げにくいのですが、工事現場にナフサ関連の防水シートが届かない、断熱材が不足するなど、工事の延期が非常に多かったのが実情です。

大手ハウスメーカーは大量の在庫を保有してうまく対応されていましたが、中小の工務店では在庫を多く保有することが難しく、特に当社が取引している600社のうち年間10棟ほど施工する工務店が多いため、その影響を大きく受けました。

Ken:構造計算などの依頼は来るものの、SE構法出荷にまで至らないという状況ですね。このような時間のラグはもともと存在していたと思いますが、それが長引いてしまったということですね。

[住宅分野]1Q前年割れの理由

田鎖:長引いてしまいました。具体的には、通常は構造計算を行ってから120日程度で対応していたのですが、今期は150日かかってしまっています。

また、構造計算を終えたものの、まだ材料をお届けできていない物件が通常の約300件から、現在は500件に増加しています。これにより、我々ももちろん問題を抱えていますが、ハウスメーカーのみなさまもかなりお困りではないかと考えています。

Ken:いくつか質問したいのですが、まず、この構造計算自体が増えている要因を教えていただけますか? 6月の戸建て着工件数はかなり良かったと記憶しているのですが、そのあたりも含めてご説明いただけますか?

[参考]新設住宅着工戸数

田鎖:新設住宅着工件数について、6月は前年より若干多かったのですが、その理由は昨年6月の件数が少なかったためです。昨年6月は確認申請における構造チェックの義務化があり、それに伴い件数が極端に減少しました。

このスライドに示されているとおりの推移です。例えば、昨年3月にグラフが大きく上がっていますが、これは分譲業者が確認申請を早めに出すことで構造チェックを回避しようとした、いわゆる駆け込み需要の影響です。その結果、4月から6月にかけて大幅に減少しました。

これに対して、普通のペースで確認申請が行われると、それが統計上大きな増加として見える現象が生じています。このようにご覧いただくと、全体としては横ばいです。

エヌ・シー・エヌで件数が増加している理由は、スライドに記載のとおり、4月に壁量基準の変更があり、国が構造基準を大きく変更したのです。

[住宅分野]建築基準法の改正によりNCNの優位性が拡大

田鎖:具体的には、「今までのルールから1.4倍ほど強くなければ作ってはいけませんよ」というルールに変更されました。

そのため、これまでの建物をそのまま建てることができなくなり、「では『SE構法』に変えてみよう」、または間取り図をこれまでどおりお客さまに提案できなくなるため、「一度『SE構法』に変えてみよう」と考える方が増えていきました。

Ken:これまではそれほど必要とされていなかった壁量が、法改正によって必要になった結果、窓を1つ潰さなければならないなどの対応が求められるため、一般的な在来工法では対応が難しくなったのですね。

[住宅分野]構造基準変更により在来工法との差別化拡大

田鎖:制約が多くなったため、現在はワンルームが大幅に増えています。「ワンルーム」というとワンルームマンションをイメージされるかもしれませんが、リビングを大きくし、部屋数を減らす方が非常に増えているのです。

Ken:何十畳分ということですね。

田鎖:以前はリビングといえば8畳や10畳程度が一般的でしたが、今では20畳以上なければリビングという感覚にならない方が増えています。

具体的に、このスライドのリビングは30畳ほどですが、やはりリビングは広いほうが心地よいと感じる人が多いのでしょう。「SE構法」を選んでこのプランを採用される方が増えています。

Ken:徐々にシェアが上がってきている印象はありますか?

田鎖:このシェアの上昇については、投資家の方々にあまりネガティブな印象を与えたくないのですが、要するにコストの上昇も伴います。

「在来工法」と「SE構法」を比較すると、坪当たり、つまり3.3平方メートル当たりの材料費が2万円程度上昇していますし、場合によっては3万円近くまで上がることもあります。つまり30坪の場合、原価が約100万円上がってしまいます。これにより、安価な住宅を主に提供している方々にとっては大きな負担となります。

しかし、お客さまからは「窓が欲しい」「断熱性能も良くしてほしい」といったニーズがあるため、ハウスメーカーや工務店も非常に悩んでいる時期です。そのため、成長率は20パーセント程度にとどまっている状況です。

Ken:承知しました。ストック、あるいは受注残のようなものがかなり溜まっているかと思います。

その部分は第2四半期以降にしっかりと計上されるのか、それとも第3四半期、第4四半期にも影響が及ぶのか、どれくらいのスピードで消化できるのかについて、差し支えない範囲で教えていただけますか?

ナフサショックの影響は2Qより解消、順次出荷再開予定

田鎖:こちらのスライドは、第1四半期のトピックとして数字を提示しています。第2四半期が終わり、上期の見込みとしてこの程度の売上回復が見込まれることをお示ししています。

スライドをご覧いただくと、第1四半期の売上高が18億円だったものが44億4,600万円になるということは、約26億円が第2四半期の売上となるため、18億円から26億円、つまり大幅な回復となります。まだ、50棟以上が後ろに倒れている状況もあります。

実際のところ、インサイダー情報に該当しない範囲でお伝えすると、7月時点で当社の状況としてはすでに確定している部分もあります。

当社の場合は構造材を注文いただいてからすぐに出荷するのではなく、一定のリードタイムを要します。そのため、9月末まではおおむねこの程度の水準が続くと見込んでいます。

Ken:もちろん、あくまで見込みのため若干の数字の前後はあるかと思いますが、だいたいこの範囲内ということですね?

田鎖:そのとおりです。

Ken:わかりました。ちなみに、現時点で約500棟分の出荷がまだ完了していないかと思いますが、例えば1ヶ月間で木材のカット作業などを含め、どのくらいの棟数が処理可能なのか教えていただけますか?

田鎖:現在のところ、私たちは年間のキャパシティを3,000棟分として管理しているため、1ヶ月あたり約250棟分の工場の余力がある状況です。

ただし、これは提携工場がフル稼働した場合の数値であり、さまざまな条件が影響する可能性があります。そのため、出荷棟数の上限は特に提携工場の状況に依存します。しかしながら、「SE構法」以外の加工が減少している状況もあります。

Ken:余力はある、ということでしょうか?

田鎖:はい。提携工場にとっては喜ばしいことではないかもしれませんが、余力は増加傾向にあると言えます。

Ken:なるほど、ありがとうございます。非住宅分野では、以前に万博に関連する案件を手掛けていたかと思いますが、それまでは大型案件が牽引してきた印象があります。

今回、それがやや減少している状況で、第2四半期以降に回復の兆しがあるのか、大型案件を含めた見通しについて教えていただけますか?

[大規模木造建築(非住宅)分野]売上減少の要因

田鎖:スライドのグラフをご覧ください。おっしゃっているのは、この点だと思います。

棟数は増加していますが、売上高は増加していないという現象が見られます。こちらはまさにご指摘のとおり、万博などの大きなイベントがあると何億円規模の物件が出てくるため、売上において出っ張りと引っ込みが多い点が特徴です。

特に今回は、特殊加工や大型案件を得意とする翠豊が第1四半期と第2四半期は物件の端境期にあります。ただ、第3四半期以降には大型案件が出荷できる見込みであるため、通期ではおそらく前年並みになると予測しています。

Ken:ちなみに、棟数自体は比較的増加傾向にあるとのことですが、特にどのような需要が増えているのでしょうか?

田鎖:現在、非常に多くご依頼をいただいているのは店舗です。

Ken:小売店が多いのでしょうか?

関西圏初となる「無印良品」木造店舗の竣工

田鎖:わかりやすい例として、MUJI HOUSE社は、良品計画と当社が合弁会社として設立した企業の1つです。現在、良品計画4店舗目の木造店舗が完了しました。

マクドナルドやローソンといった大手企業も同様ですが、このような店舗を展開している大手企業ではCO2削減がパリ協定などによって2030年までに国際的な義務となるため、このような対応が求められています。

特に良品計画の場合はヨーロッパ、アメリカ、中国といった世界的な展開をしている企業のため、どの程度CO2を削減するかは、必ずIR資料に掲載されます。こうした背景から、そのようなニーズが急速に高まっていると感じます。

Ken:なるほど、確かに。

田鎖:また、公共機関についても触れておきますと、学校の木造化が非常に増加しています。

Ken:以前も、事例を少し見せていただきましたね。

田鎖:先般の発表でも、三井ホームという大手ハウスメーカーからの依頼で福島の学校を担当しましたが、学校も教育機関のため、木造建築が好まれる傾向があるようです。これは、1つのトレンドとなっています。

Ken:学校などは、比較的大型案件になるのでしょうか?

田鎖:そうですね。1つの教室で約8メートルのスパンを設けているため、木造の場合は大きな建物になります。ちなみに無印良品の店舗では、30センチ角の柱を使用しています。

Ken:大きな柱ですね。

田鎖:こちらは京都にありますので、京都にお越しの際はぜひご覧ください。

Ken:続いて、中古市場の話が今回の資料からも追加されていると思います。こちらについてもうかがいたいです。

そもそも、木造の中古市場の情報を耳にすることは少ないのではないかと考えています。一般的な木造住宅と比べて「SE構法」が中古になった際にどの程度高く評価されるのか、そのあたりを教えていただけますか?

SE構法の中古流通の実例

田鎖:今回、ポテンシャルについて初めてみなさまに公開したデータがあります。実は私は、中古住宅が資産価値になることを夢見て、この30年ほど仕事をしています。

私がアメリカにいた時、アメリカでは家を購入することが一般的でした。当時、私は商社でアメリカ駐在しており、賃貸ではなく家を購入して住み、帰国する際には購入時の値段よりも値上がりしていることを楽しんでいました。

今「へー」とおっしゃっていただきましたが、購入時よりも値段が下がる家というのは、ほぼ日本だけです。世界で木造の建物が普及しているのはアメリカ、日本、オーストラリアですが、値段が下がるのは日本だけなのです。そのことが、多くの人々を経済的に苦しい状況に追いやっています。

そして、当時は住宅ローンが原因で命を絶ってしまう人もいました。そのような状況を変えるため、資産価値が上がる住宅を目指し、事業に取り組んできました。

その一環として今回示したポテンシャルの中に、私が携わる「MUJI HOUSE」という会社があります。MUJI HOUSE社では、15年から20年近くの間に住宅を供給してきましたが、中古住宅を扱うのは今回が初めてです。

この住宅は、長期優良住宅、「耐震等級3」という条件を満たし、ホームページに掲載していきました。その結果、新築時の販売価格よりも若干高い価格で売却することができています。

MUJI HOUSEで中古の既存物件仲介を開始

田鎖:この家は最初に5,800万円で提示し、最終的には5,400万円で成約したと記載されています。提示金額よりは少し下がっていますが、それでも新築当初に建てられた当時の価格よりも高い値段で売れています。

中古(モデルハウス)販売

田鎖:都会だけの話ではありません。例えば、こちらはいすみ市の事例ですが、東京オリンピックのサーフィン会場の近く、九十九里浜に「陽の家」というモデルハウスを作り、転売しました。いわばメーカーの中古車のようなものです。この物件は新築時3,500万円でしたが、5,000万円でご購入いただきました。

中古物件もエビデンス付きで販売

田鎖:決め手となったのは、新築施工時の写真やシミュレーションデータ、エネルギー消費量のシミュレーション、長期優良住宅の認定証など、これらをすべて揃えたことです。

Ken:お客さまからすると、安心して購入できるということですね。

田鎖:さらに、ご購入いただいた方については、大きなローンではありませんでしたが、エビデンスがあるため、中古物件でも35年ローンを組まれました。

Ken:金融機関も、「SE構法」に対して理解が進んでいるからということですか?

田鎖:「『SE構法』に対する理解」と言うと横柄なのですが、長期優良住宅としての認定や、劣化等級といった基準があります。これは実際に検査を行い、建物が劣化していないことを確認するものです。

よくお風呂場がカビてしまうことがありますが、それがないことを証明することで、35年ローンが通常どおり利用できますし、なんなら50年ローンでも可能なかたちで、現在進められています。

名前を挙げてしまい申し訳ないのですが、私の知り合いに「R不動産」という、知る人ぞ知る房総地域で比較的優良で良心的な不動産屋があります。査定を依頼したところ、3,000万円程度の価格を提示されました。

しかし、実際に売却された金額はスライドのとおりでした。このようにして、中古住宅の流通量は、私が30年前に思い描いていた状況に比べて、徐々に良くなっています。

Ken:それはやはり、インフレなどの影響も含めて、ということでしょうか?

木造中古住宅流通は成長している

田鎖:スライドのグラフをご覧いただくと、デフレやインフレというよりも、徐々に良質な中古住宅が市場に出てきていることを示しているのだと思います。特に今後インフレが進むと、購入時よりも価格が上がる可能性が高いと感じています。

Ken:ナフサなどの影響もあり、一度値上げした価格を元に戻すことは、おそらく多くの企業では少ないですよね。

田鎖:そうでしょうね。よほど供給過多にならない限り、そのような日は来ないのではないかと思います。そのような中で、私が望む世界としては中古住宅に正しいエビデンスがあり、根拠が明確にされていれば、実は中古のほうが良い面もあるということです。

Ken:どのような点でしょうか?

田鎖:例えば、私がアメリカに行った際に目にしたことですが、新築の分譲エリアでは草木がまだ育っていないことが多いです。当然、芝生を植えたりしますが、根が付いていない状態でした。バラ園もありましたが、バラがまだ咲いていない状況でした。

しかし、5年、10年が経過すると、芝生が整い、ガーデニングができる環境がそろってきます。また、新築特有のペンキの匂いも消えています。

日本では新築特有の匂いが好きな方が多くいらっしゃるので否定は難しいですが、住宅の匂いに関して、例えば木造のログハウスにおいては木の匂いが20年ほどたっても残ることがあります。良い匂いだけが残る一方、ペンキの匂いは消えていることが多いのです。

さらに、人が住み慣れることで住宅のユーザビリティも向上していきます。そのため、中古住宅も正しく作られれば、決して悪いものではありません。これがしっかりと市場で流通していけば、きっと多くの方がハッピーになるのではないかと思います。

Ken:流通が増えそうな未来が浮かびましたが、売上はどうなるのだろうという疑問があります。そこに御社はどのように関わっていくのでしょうか?

田鎖:そこは、非常に重要な鍵です。どのようなビジネスモデルで、誰と組むのかについては、次回に持ち越してもよろしいでしょうか?

ここが、これからの鍵となる部分だと思っています。一例を挙げると、中古の高い車は新車の販売にもつながります。これはわかりやすい例ではないかと思います。

また、中古市場においてデータやモノをどのようにビジネスに変えていくかが重要です。ただ、ここで具体的にお伝えすることは控えます。ライバルも聞いている可能性があるため、少しお時間をいただければと思います。

質疑応答:建築分野におけるDXの進展とデジタル化サービスの将来展望

向井:「構造計算設計サービスに加え、部材供給や施工、関連サービスなど事業領域を広げていますが、今後はどの領域で利益率を高めていく方針でしょうか?」というご質問です。

田鎖:当然ながら、利益はサービスからいただくことを考えています。材料による利益というよりも、サービスの拡充ということです。現在はAIが流行していますが、今後はさらにDX分野に注力し、工務店やハウスメーカーの業務をよりスムーズに進めるためのデジタル化サービスを強化していきたいと考えています。

また、環境設計分野では、省エネルギー性能が求められる中古マンションにおいても、現時点での成長をさらに加速させていきたいと思います。そのような技術開発にも力を入れ、それによる利益を高めていきたいと考えています。

今後2年から3年の間は、売上高のみを追求するためにハウスメーカーのような会社をM&Aするのではなく、サービスの拡充によって利益率を向上させることを重視しています。

Ken:ちなみに、DX分野の売上が前期比で大きく伸びていると思います。この背景について教えてください。

田鎖:1つは、以前、建築図面を紙でやり取りしている業務例についてお話ししました。建築図面は、3次元化することで施工現場でもそのまま使用できるようになります。このようなサービスは、アメリカやシンガポールといった先進的な国では義務化されています。

これを「ビルディングインフォメーションモデリング」、通称BIMというシステムで実現しています。実は中国でもこのシステムが導入されています。このシステムについては、日本は導入が最も遅れている国なのです。

田鎖:スライドをご覧いただくと、平面図よりも3Dのほうがわかりやすいのではないでしょうか?

Ken:そうですね。

田鎖:100年前は当たり前でしたが、今の時代、鉛筆と定規で線を引いている人は少し変わった部類かもしれません。現在の図面はほとんどが3次元で描かれています。これらは部材製作のデータにもすべて展開可能で、今後大きく進展する分野だと考えています。

Ken:第1四半期で、その成果が売上として表れ始めているのですか?

田鎖:そうですね。今後、国の施策でも確認申請のデジタル化が2030年までの目標となっています。これまでのような紙の記録では紛失のリスクがありますが、おそらく中古住宅になった際もデータが残るため、詰まった配管の位置なども把握できるようになるでしょう。隠れたものがすべて見えるようになります。

Ken:これは本当に重要だと思います。昨年私がリフォームをした時、図面がなくて業者が「測りますね」と言って、1時間ほど測る作業から始めることがありました。配管を変更すると、「ここを変えたことを覚えておいてください」と言われましたが、おそらく覚えていられないです。

田鎖:それはそうですね。所有者が変わればなおさらです。

Ken:しかも、素人にはまったくわからないことも多いです。この仕組みがあれば、配管の位置や高さなどがしっかり把握でき、この高さで設置すれば料理しやすいといったことも明確になります。私自身も、リフォームでそのような生の声として実感しました。

田鎖:ありがとうございます。このような領域は、AIの進化により対応スピードもどんどん速くなると考えています。そのような意味からも、積極的に設備やソフトウェアへの投資を加速していこうと考えています。

特に、大手ハウスメーカーであっても、構造専門の部隊は何百人もいるわけではありません。まして地域の工務店では、構造の専門家が1人いるかどうかという状況です。

そのため、私たちのように構造や環境の層でしっかりとデジタル化して技術投資を行う会社がなければ、今後は難しくなるだろうと考えています。この分野をさらに進化させていきたいと思っています。

質疑応答:住宅業界の構造計算標準化と工務店・ハウスメーカーの提携展開について

向井:「『全国の工務店やハウスメーカー600社以上と提携している』という資料を拝見しました。この数は今後増やしていく方向性なのか、それとも工務店が減ってきていて自然と減っていくと思われているのか、ご意見を聞かせてください」というご質問です。

田鎖:我々は「SE構法」や構造計算といった、安全を確保するための仕組みが全国のデファクトスタンダードになることを願っています。今後も、提携する会社を増やしていきたいと考えています。

一方、資料に記載されているように、全体の住宅の数が減少するため、おそらく工務店やハウスメーカーといった事業者の数も減少していくと考えられます。そのような中でも、私たちはこうした事業者を増やしていきたいと考えています。

ただし、今までのように右肩上がりでまっすぐに成長が続くというよりは、増減を繰り返しながら緩やかに増加していく見込みです。

全国における工務店は、10年前には6万社いたと言われています。正確な統計データは不明ですが、保険関連のデータによると、現在は約4万8,000社にまで減少しており、1万2,000社ほどが減少したことも示されています。

このような状況から、業界内の生き残りは厳しいものと予想されますが、私たちの工務店の仲間やハウスメーカーを引き続き増やしていきたいと思います。特に最近では、大手の参入が増えてきていることが注目すべきポイントだと考えており、期待できると考えています。

質疑応答:非住宅分野での取り組みについて

向井:「縮小する住宅市場の中で『SE構法』の採用を拡大し、大規模木造建築(非住宅)分野を第2の柱へ育てるということは簡単ですが、現実化するにはかなり泥臭い取り組みが必要になると思います。どのように克服していく道筋をお考えでしょうか?」というご質問です。

田鎖:「SE構法」を住宅マーケットのスタートとして展開し、非住宅にもニーズがあるため拡大してきました。現在、非住宅のシェアは30パーセントを優に超えています。

ただ、「簡単ですが」と言えるほど簡単ではありませんでした。「泥臭い」という表現の意図は定かではありませんが、愚直に現場のリクエストにきちんとお答えしていくことが重要だと思っています。

現在は、活発な現場を含めて我々経営陣もしっかりと状況を見極め、現場のニーズを取り込んでいく必要があると考えています。

「どのような道筋で克服していくか?」という点についても、現場とお客さまを優先し、それをどのようにPDCAサイクルに組み込んでいくかが重要だと思います。引き続き、愚直に取り組んでいきたいと思います。

田鎖氏からのご挨拶

田鎖:最後までご視聴いただき、ありがとうございます。当社は今後も、日本国内の木造住宅の安全性と資産価値向上に向けて取り組んでいきます。長期的にしっかりと応援していただけますよう、よろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:ナフサショックによる影響が大きいようですが、中東情勢の不安定化は長期化する様相を呈しています。そうすると業績に対するネガティブ要素は継続するということになりませんか?

回答:第1四半期においてはナフサ不足による影響が一定程度出たものの、7月以降の影響は軽微であると考えています。今後も外部環境の動向には注視していきますが、足元の調達・出荷環境は落ち着きを取り戻しており、引き続き着実に事業を推進していきます。

<質問2>

質問:直近4年連続で下方修正となっています。第1四半期の出だしを見るに、大幅増収増益の通期予想は、今期も到底達成不可能だろうと思います。社内で意欲的な目標を掲げる分にはいいですが、投資家に対してはもっと現実的な数字を示すべきではないでしょうか?

回答:第1四半期の業績はほぼ計画どおりの推移となっており、上期全体においても前年同期を上回る見込みで進捗しています。足元では滞留していた出荷待ち案件(ストック)の出荷が進み、構造計算の受付・出荷が着実に伸びていることから、通期計画の達成に向けて引き続き事業を進めていきます。

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