■FRB議長講演を受けた米早期利上げ観測再燃から節目の160円を上抜け
今週(8月24日-28日)は、米長期金利の動向とジャクソンホール会議でのウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長講演をにらみ、方向感を欠く展開から週末にかけて円安が加速した。週初24日は時間外取引で米長期金利が低下したことで上値が重く、一時158円71銭まで軟化。目立った経済指標もなく、158円半ばから159円前半でのもみ合いとなった。25日は159円30銭を割り込んだ後、158円02銭まで急落する場面もみられたが、対イラン制裁強化などのヘッドラインへの反応は限定的にとどまり、値動きは乏しかった。26日に発表された米7月個人消費支出(PCE)デフレーターと4-6月期GDP改定値はインフレの根強さと景気の底堅さを示す内容となり、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。27日には、氷見野日銀副総裁が追加利上げの時期やペースについて明言を避けたことがややハト派的と受け止められて円売りが強まったほか、米長期金利の上昇も重なり159円52銭前後まで値を上げた。週末28日は、ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長が物価高への対応の必要性を強調したと受け止められ、米長期金利の上昇とともにドルが全面高となり、7月末の日米協調介入以来およそ1カ月ぶりとなる160円台を回復した。介入後の戻り高値を更新し節目の160円を明確に上抜けたことで、次の焦点は当局の対応の有無に移りそうだ。
28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、159円41銭まで弱含んだのち、160円20銭まで上昇し、160円09銭で引けた。
■伸び悩みか、米インフレ高止まりも追加為替介入に警戒
ドル・円は伸び悩みか。米国のインフレ圧力は弱まらず、引き締め的な金融政策を見込んだドル買いに振れやすい地合いが続く。ただ、心理的節目の160円を上抜ければ、追加為替介入への警戒感が強まり、引き続き上値は重い。
26日に発表された米コアPCE価格指数は前年比+3.3%と、前回から横ばいとの予想と一致した。前月比では+0.2%と、伸びは加速している。インフレ指標は高止まっており、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め的な政策に思惑が広がる。
9月4日発表予定の米雇用統計は、前回悪化の反動から強い内容が予想され、早期追加利上げ観測により長期金利が高水準を維持すれば、ドル買いに振れやすい。また、中東情勢の過度な懸念は一服したものの不透明感は払拭されず、ドルは売りづらい。
一方、日本銀行は9月17-18日開催予定の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切る公算。ただ、市場はすでに織り込みつつあり、円買いは抑制されそうだ。高市政権の積極財政を不安視した円売りも、引き続きドルを支えるだろう。
ただ、米トランプ政権が取りまとめを急ぐ財政健全化プログラムの内容を見極めようと、過度なドル買いは抑制されよう。また、160円台は追加為替介入への警戒感が強まるため、ドルは上昇基調ながらそのピッチは緩慢になるとみる。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)
9月1日発表の米8月ISM製造業景況指数は55.2と、前回55.6を小幅に下回る見通し。ただ、節目の50を大きく超え、景気回復期待を背景としたドル買い地合いに。
【米・8月雇用統計】(9月4日発表予定)
9月4日発表の米8月雇用統計で失業率は4.1%(7月4.1%)、非農業部門雇用者数は前月比+5.5万人(同-2.3万人)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.1%)と予想される。雇用情勢の改善が示されれば、引き締め的な金融政策をにらみドル買い継続。
予想レンジ:157円00銭-162円00銭
○上値・下値ポイント一覧
上値ポイント:161.50円、170.0円、177.8円、191.6円、209.1円
下値ポイント:158.0円、152.0円、145.0円、127.2円
【ドル買い要因】
・日本の財政悪化懸念
・米PCE高止まりによる追加利上げ観測
・日米金利差を背景としたドル買い
【ドル売り要因】
・日米協調介入継続への警戒
・日銀9月利上げ観測
・米財政・国債買い戻し策への懸念によるドル売り