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イノテック、2027年3月期営業利益40億円予想で最高益水準へ AIデータセンター需要や半導体向けテスターが成長を牽引

会社概要

棚橋祥紀氏(以下、棚橋):イノテック株式会社、代表取締役専務執行役員の棚橋です。本日はよろしくお願いします。

イノテックは、みなさまの目に触れる最終製品を製造しているわけではないため、馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。本日は限られた時間ではありますが、当社の事業内容、直近の業績動向、中期的な戦略について、できるだけ簡潔にご説明します。

まず、会社概要についてです。当社は1987年に設立され、約半年後に40周年を迎える歴史ある会社です。

本社は新横浜にあります。当社は、企業規模に対して比較的多くのグループ企業を有しており、M&Aを活用しながら事業を拡大してきました。

事業変遷

棚橋:事業変遷についてご説明します。当社は1987年の設立当初、完全な商社としてスタートしました。スライドの上部に記載している半導体製造装置やEDA(半導体設計用ソフトウェア)を中心に、欧米から輸入して日本の半導体企業へ販売することが当社の主な事業でした。

その後、半導体を含む電子部品やハードディスクの商社ビジネスも展開し、業績を拡大しました。しかし、2000年頃からは日本の半導体大手企業が韓国企業などに取って代わられる事態となり、当社のような輸入商社が日本企業のみを相手に事業を続けることが難しくなりました。このため、商社ビジネスである半導体製造装置、電子部品、ハードディスクドライブ事業から徐々に撤退することとなりました。

スライド下部に記載の自社製品ビジネスに関しては、このような状況の中で、社内での事業立ち上げやM&Aを通じて、メーカー型の事業やソフトウェア事業、自社製品・自社サービスを提供する事業へと徐々に転換してきました。

現在、商社ビジネスとして大きな割合を残しているのは、半導体設計用ソフトウェアです。ただし、売上の7割以上はスライド下部で示した自社製品が占めています。

東証の業種分類はもともと「卸売業」に属しており、現在メディアなどで当社の決算情報が「半導体商社のイノテック」と紹介される場合があります。しかしながら、現時点ではほとんどメーカー化していると考えているため、この点をご留意いただければと思います。

事業ポートフォリオ

棚橋:当社の事業は大きく3つに分けられます。

1つ目は、テストソリューション事業です。半導体を検査する装置を自社製品として開発し、製造を委託して販売しています。この事業はイノテック本体と台湾の子会社が行っています。

2つ目は、半導体設計関連事業です。創業時から扱っているEDAソフトウェア、すなわち半導体を設計するためのソフトウェアを提供しています。当社自身が独自の半導体を設計・開発するのではなく、半導体を設計する企業にソフトウェアを提供しています。

また、当社の子会社には、半導体の設計技術者を多数擁する企業があり、設計そのものを支援する事業を展開しています。

3つ目は、システム・サービス事業です。この事業では、半導体にとどまらず、エレクトロニクス全般に関わる複数の事業を手がけています。お客さまの製品に当社のハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを活用いただき、製品をより良いものにするための技術を提供しています。

具体的には、組込み用CPUボード、ソフトウェア開発、ソフトウェア検証ツールなどを提供することで、幅広くエレクトロニクス関連の事業を展開しています。

事業内容:イノテックのビジネスとは

棚橋:それぞれの事業について、もう少しご説明します。1つ目は、テストソリューション事業についてです。スライド上段右側に記載のSTAr Technologiesの信頼性評価装置・プローブカードと、その下に記載のイノテックのテストシステムが該当します。

イノテック本体のテストシステム事業では、主にNANDフラッシュメモリーを検査する装置を取り扱っています。NANDフラッシュメモリーは、みなさまが使用されているスマートフォンなどで写真や動画を保存する際に利用される記憶用の半導体です。この半導体を製造する企業が行うテストのための検査装置を、当社が製造・販売しています。

また、STAr Technologiesは、台湾の子会社です。台湾には、半導体の製造を受託する企業が数多く存在しますが、これらの企業に向けて、研究開発用途の信頼性評価装置やテストに使用するプローブカードを提供しています。

当社本体と子会社では分野に若干の違いがありますが、いずれも総じて、半導体をテストするための装置を提供しています。

2つ目は、半導体設計関連事業についてです。スライド上半分の左端に「設計・開発」と記載された部分が該当します。この事業には、イノテック、子会社の三栄ハイテックス、モーデック、ファイ・マイクロテックが属しています。本日は、時間の都合上、業績への影響が大きいものに絞ってご説明します。

まず、イノテック本体が扱うEDAソフトウェアについてです。冒頭に申し上げたとおり、創業時から行っているビジネスです。米国には、ケイデンスというEDAソフトウェアで世界的に有力な企業があります。当社は約40年間、同社の日本における代理店を務めています。

このビジネスは、テスターのように装置を販売するものではなく、ソフトウェアのライセンスを販売するビジネスです。数年間にわたるライセンスを提供し、毎月一定の売上を得るため、半導体業界の中で非常に安定的に業績を上げられることが特徴です。

子会社の三栄ハイテックスは、半導体の設計を受託したり、半導体設計の技術者を派遣したりして、半導体メーカーの設計を支援しています。

3つ目は、スライド下段に記載されているシステム・サービス事業についてです。この事業には、多くの子会社があります。

スライド一番右側に記載のエッジコンピューターは、イノテック本体が行っている事業です。組込み用CPUボードについては、先ほどお話ししましたが、ここで言うコンピューターは、一般的に想像されるパソコンやメインフレームのようなものではありません。

私たちが日常的に利用する多くの機械にも、コンピューターで動くものが数多くあります。例えば、駅の券売機や行き先表示板、マンションの宅配ボックスなどに組み込まれているコンピューターがそれに該当します。当社では、このような機械の中で使用されるCPUボード、いわゆる組込み向けのコンピューターを、さまざまな用途に提供しています。

どのような分野の需要が伸びているのかについては、後ほどご説明します。

子会社の中で売上が大きいのは、スライド下段に記載のアイティアクセスと中央に記載のガイオ・テクノロジーです。

アイティアクセスは従来からソフトウェア開発を行っており、数年前に新規事業としてクラウド決済システム、すなわち電子マネーの決済システムの提供を開始しました。みなさまも自動販売機でジュースやお茶を電子マネーで購入されることが多いかと思いますが、その決済端末を当社が開発・提供しており、現在はこのビジネスが主力です。

ガイオ・テクノロジーについてです。自動車は、ブレーキ、エンジン、トランスミッションなど、さまざまな機能がソフトウェアで制御されています。これら各種のソフトウェアが仕様どおり作動しているかを、実機を動かさずにシミュレーション上で検証するためのツールを提供しています。

2027年3月期第1四半期 実績

棚橋:2027年3月期第1四半期の業績について、8月10日に発表しました。前年同期の実績と比べて、売上・利益がともに大きく伸びています。この要因は、スライド下段に示されているセグメント別売上実績にあるテストソリューション事業が大きく伸びたためです。

テストソリューション事業では、半導体を検査する装置を製造・販売しています。特にイノテック本体の事業は、NANDフラッシュメモリーに集中しています。

そのため、お客さまが投資をする時期には売上・利益が大きく上がりますが、投資が毎年コンスタントに行われるわけではありません。年によって、投資が集中する時期と、その後の休止期間が生じます。

今回は複数のお客さまの投資が第1四半期にかなり集中したかたちになったと考えられます。

したがって、第2四半期以降はやや下がる可能性があるものの、業界環境全体が下降トレンドにあるわけではありません。第1四半期に投資が集中しただけであり、その後も需要は続くものの、今期中に再び大きな山が来る可能性は低いと考えています。

2027年3月期 通期予想

棚橋:そのような意味から、通期予想をご覧いただいたほうが、現状をご理解いただけるかと思います。

通期予想は売上高510億円、営業利益40億円で、期初予想を少し上方修正しています。

前期の営業利益は約31億円でした。30億円台の利益は約20年ぶりとなります。20年前は、現在とは業態が大きく異なっていたため、メーカー中心の事業構成となった後では、実質的に過去最高益といっても差し支えない利益水準です。今期はさらにそれを超え、40億円台に到達しそうだというのが足元の状況です。

2027年3月期 通期予想のポイント

棚橋:2027年3月期通期予想のポイントをセグメントごとにご説明します。テストソリューション事業では、海外のお客さま向けの需要が前年度から非常に好調であり、第1四半期もその好調を維持しています。したがって、今期も一定の需要が見込まれます。

また、国内メーカー向けのテスター販売は一昨年度から前年度にかけて非常に低迷していましたが、前年度の第4四半期から回復基調にあります。今期は、一昨年度や前年度を大きく上回る伸びが期待されています。

半導体設計関連事業は、非常に安定しており、主力のEDAを中心に予定どおり進んでいます。前年度比で増収増益を達成できると見込んでいます。

一方、システム・サービス事業では、自動車産業を顧客とするガイオ・テクノロジーが、自動車メーカーの業績低迷の影響を受けています。これに対して、さまざまな用途に使われる組込み用コンピューターの需要が非常に強く、今回の上方修正の主な要因となっています。

2027年3月期 事業別売上予想

棚橋:こちらのスライドでは、各セグメントについて、事業別・子会社別の売上見通しを示しています。イノテック本体が扱うNANDフラッシュメモリー向けテスター事業は前期比で約60パーセント、組込みシステムも60パーセント近い伸びを予想しています。

一方、ガイオ・テクノロジーは、残念ながら前期比で約20パーセントの減収を想定しています。

業績の推移

棚橋:こちらのグラフは、過去4年間と今期予想の売上・利益を示しています。2024年度は若干利益を減らしましたが、その後は順調に伸びています。営業利益が30億円台、40億円台に達したことは、当社にとって非常に大きなステップになったと考えています。

テスター事業:「顧客最適化モデル」で高シェアを獲得~AI関連需要と国内・海外の需要回復を背景に成長加速~

棚橋:現在、イノテック本体のテスター事業と組込みシステム事業が非常に好調であるとお伝えしましたが、それぞれについて少しコメントします。

まず、テスター事業においては、大手のテスター会社が存在する中で、当社が事業を継続できている理由があります。当社のテスターは、お客さまの要求に従い、その要求に応えることを最大の特徴としています。

大手企業では、高性能で多用途に対応できるテスターを提供する傾向がありますが、当社がそうした分野で正面から競争することは難しいと考えています。そのため、当社はお客さまの要求を確実に実現すると同時に、要求されていない機能を追加しないことで、相対的に安価なテスターを製造しています。この特徴が評価され、海外および国内のお客さまから需要をいただいています。

また、メモリー半導体の市況が好転しており、当社の業績を後押ししています。ただし、現時点ではNANDフラッシュメモリーへの依存度が非常に高いため、今後に向けて、同じメモリー分野のDRAMや、スマートフォンのカメラなどに使用されるイメージセンサーの検査装置への参入を目指し、研究開発を進めています。

組込みシステム事業:防衛・船舶等の安定需要に加え、AIデータセンター向けの計測器・SSD需要が急拡大

棚橋:次に、組込みシステム事業も非常に好調です。先ほどさまざまな用途で使用されていると申し上げましたが、具体的な例としてはスライド右側に記載の防衛・船舶分野が挙げられます。

これらの分野でもさまざまな電装品が使用されており、その中に当社のコンピューターが搭載されています。防衛関連や船舶は政府の成長戦略にも含まれており、実際に需要も大きく伸びているため、安定的な成長が期待できます。

同時に、足元でより勢いがあるのが、スライド左側に記載のデータセンターやSSDなど、フラッシュメモリー関連の分野です。半導体の製造過程では、工場内のさまざまな機械が使用されており、また、データセンターで使用される計測器も含まれます。

このような機器を製造するお客さまからの需要が非常に増加しており、これを背景に、今期は組込みシステム事業の売上が大幅に伸びると想定しています。

荒井沙織氏(以下、荒井):あらゆるものに使われているからこその強みがあるということですね。

棚橋:そのとおりです。さまざまな業界に製品を提供していることで、ある業界が不調でも別の業界が好調であれば売上を確保できます。また、多くのお客さまとお付き合いする中で、どこに需要があるのかを把握することができるという効果もあります。

全社経営戦略 – 目指すべき姿

棚橋:中長期戦略についてです。当社の中期経営計画は2024年度から2026年度を対象としており、現計画は今期が最終年度となります。そのため、今後3年間に向けて新たな中期経営計画を策定する必要があります。現中期経営計画の内容と進捗状況、次の数年間に向けた取り組みについてご説明します。

当社のビジョンとミッションについて、詳細な説明は省略しますが、当社はテクノロジー企業である一方で、新たな技術そのものを開発しているわけではありません。もともと商社だったこともあり、お客さまのニーズを確実に把握し、それに対応した解決策を当社の製品で提供することをモットーとしています。

中期経営計画(2024~2026年度)数値目標

棚橋:中期経営計画では、ROEやROICなどの目標を設定しています。利益水準については、過去最高益である2007年度の33億円を更新することが、2年前に立てた目標でした。現在の予想どおりにいけば、達成できると考えています。

中期経営計画(2024~2026年度)グループ共通の事業戦略

棚橋:中期経営計画において、グループ共通で取り組んでいることの1つが営業利益率の向上です。当社は商社からメーカー、つまり自社製品を中心としたビジネスへと移行してきました。そのため、営業利益率をさらに向上させる余地があると考え、その実現に向けて取り組んでいます。

また、当社の事業は非常に多岐にわたっており、M&Aによる獲得事業も含まれています。その中で、どこに経営資源を集中させるべきか、どこが成長分野なのかを慎重に見極めています。

第1四半期の業績をご覧いただくと、テスター事業の変動が依然として非常に大きい状況です。その変動を少しでも緩和するために、業績の安定性向上に向けても取り組んでいます。

具体的にはストック型ビジネスの強化や、特定顧客への依存からの脱却を進めています。テスター事業では、国内のお客さま中心だった構成に海外のお客さまが加わり、ある程度進捗していると考えています。

中計事業戦略の進捗 ~テストソリューション事業~

棚橋:セグメントごとの取り組みについて、簡単に触れます。テストソリューション事業では、フラッシュメモリーや特定顧客への依存度を下げるため、NANDフラッシュメモリー以外の半導体を検査する装置の開発に注力しています。

この中期経営計画期間中に売上実績が出るわけではありませんが、来期以降に向けて大きく進捗していると考えています。

中計事業戦略の進捗 ~半導体設計関連事業~

棚橋:半導体設計関連事業ではEDA事業が主力です。当社は大手EDAメーカーであるケイデンスの製品を日本で販売するとともに、サービスも提供しています。

一方、商社であるため、独自の付加価値を提供することは容易ではありません。そのため、半導体設計やその周辺の各種サービスを提供する子会社と連携し、より付加価値の高いサービスを同時に提供することを目指して、さまざまな取り組みを進めています。

中計事業戦略の進捗 ~システム・サービス事業~

棚橋:システム・サービス事業では、さまざまなコンピューターやソフトウェアを提供しています。最初にお客さまに合った製品を提供し、その後、なるべく横展開できる製品として他のお客さまにもご利用いただけるよう取り組んでいます。

また、先ほど申し上げた産業用・組込み用コンピューターの他、飲料自動販売機のクラウド決済システムも、飲料自動販売機以外の用途で活用できる方向で戦略を実行しています。

財務戦略(2024~2026年度)成長戦略と株主還元を重視したキャピタルアロケーション

棚橋:中期経営計画では、この3年という短い期間の中で大きく変更した部分があります。それがキャピタルアロケーションです。

具体的には、もともと検討していた新横浜に本社がある自社ビルの売却を、昨年度に決定しました。この売却は昨年度末の3月と今年度の9月の2回に分けて実施する予定です。

これにより、特別利益が大きく計上されるだけでなく、多額のキャッシュが得られることになりました。そのため、当初の予定に比べ、株主還元をほぼ倍増させることにしました。

特別利益が当初の想定を上回ったため、その税引後利益分を特別配当および自社株買いのかたちで株主還元に充てます。残りの部分については、成長投資に活用していく計画です。

ただし、現中期経営計画の期間中にすべてを使い切ることは困難なため、いったん借入金を返済しました。その上で、将来の成長投資のための資金余力が十分にある状態とご理解いただければと思います。

成長戦略 ~成長投資の方向性~

棚橋:成長投資としては、これまでどおりM&Aを進めるとともに、R&D(研究開発)を強化していきます。特に半導体のテスター分野は、非常に大きなチャンスがあるため、この分野に多くの資金を投入することを検討しています。

さらに、輸入商社としての背景から、海外ビジネス展開がまだ十分でない点を踏まえ、その分野にも成長投資を進めるための資金を確保していきたいと考えています。

株主還元(配当+自社株買い)

棚橋:株主還元については先ほどお話ししたとおり、昨年度の期末配当および今年度の中間配当に関しては、本社ビル売却に伴う特別配当を実施しています。

また、自己株式の取得も現在継続中ですが、そのような背景から、現時点では少しイレギュラーな利益が発生しています。

そのため配当性向は30パーセント台となっていますが、通常の状況に戻れば40パーセントから50パーセント程度を配当性向の目安として考えています。

株価推移(直近1年間)

棚橋:株価に関しては、昨年度の途中からようやくPBR1倍を超える状態になりました。

しかし、まだ課題が残っているため、当社は中期経営計画やその先の戦略を着実に実行し、みなさまの期待に応えられるよう努めていきたいと考えています。

ROEとROICの推移

棚橋:そのような意味では、現状非常に注目されているのが、ROEやROICという指標です。

中期経営計画の目標であるROE10パーセントは表面上達成していますが、これは特別利益が出ている影響によるものです。そのため、特別利益を除いた場合の仮計算では、昨年度末時点で8パーセント台でした。

今期は大幅な増益を予想しており、今期が終了すれば特別利益を除いたベースでもROE10パーセントを達成できると考えています。その先に向けてもしっかりと意識しながら成長戦略を進めていく方針です。

私からのご説明は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:テストソリューション事業の収益性向上要因について

荒井:「上方修正の理由の1つに、テストソリューション事業において収益性の向上が見られたこと、継続性があることとの記載がありますが、収益性の向上とは具体的にどのようなものでしょうか?」というご質問です。

棚橋:テストソリューション事業に関しては、第1四半期にかなり大きな売上を記録しました。

そのため、「売上が大きく伸びるのではないか」と期待される投資家の方も多いようですが、先ほどお話ししたとおり、第1四半期に売上が偏った結果となっています。このため、売上の予想については変更していません。ただし、利益面では若干上向きが見込まれるため、こちらは上方修正に反映させています。

要因としては、当社の原価低減への取り組みです。これにより、当初想定していたよりも粗利率、つまり売上総利益率がやや上昇する可能性があると考えています。部材調達などを工夫することによって、想定よりも売上原価が減少する見込みがあります。

また、第2四半期以降の話ですが、当社の製品群の中で、テスターそのものではなく周辺機器にあたるいくつかの商品を扱っています。これらは当社が開発して提供しているものですが、その中で、想定以上に需要が大きく、利益率の高い製品の販売が増加する見込みです。これを踏まえ、収益性の改善につながるという見通しで上方修正しています。

荒井:その利益率の高い周辺機器とは具体的にはどのようなものなのでしょうか? 

棚橋:説明が難しい部分もありますが、あるテスト工程に使用される1つのボードのようなものを多く提供し、それをお客さまに繰り返し使っていただくような種類の商品です。

当社の主力製品であるテスターは、大型の機械を購入いただき、長期間ご利用いただくというものですが、これとは異なり、別の検査工程で使用される商品になります。

その検査工程で利用されるテスター本体は他メーカーが提供していますが、当社はそれに付随する周辺機器を提供しています。この周辺機器、例えばボードのような製品は非常に収益性の高いビジネスとなっています。

荒井:主力製品以外にも、そのような収益性の高い商品があるとは驚きました。

棚橋:売上のボリュームとしては非常に小規模で、メインのテスターと比較すると規模は小さいです。そのため、利益改善の一因にはなりますが、やはり大きな成長を目指すには、テスター本体の販売拡大に注力していかなければならないと考えています。

質疑応答:半導体関連事業において今後成長を期待している分野について

荒井:「AIデータセンター向け半導体需要の拡大を成長機会とされていますが、現在の半導体関連事業の中で、特に成長を期待している分野や注力領域について教えてください」というご質問です。

棚橋:AIデータセンターの分野では、もともとNVIDIAが製造するGPUが最も注目されていましたが、最近ではDRAMやフラッシュメモリーといったメモリーもAIに必要不可欠であることから、注目され始めています。

そのような意味で、ようやく当社がテスト装置を提供している分野に成長の機会が到来したと考えており、このチャンスを逃したくないという思いです。

したがって、これまでどおりNANDフラッシュメモリー用のテスターについては、既存のビジネスをしっかりと継続し、お客さまに満足いただける商品を提供することが、当社の主軸となる戦略です。

また、DRAMについてもAIの普及によって需要が大幅に増加しています。そのため、それらに関連するテスターの開発も進めており、これが成功し実績を上げられるようになれば、当社にとって非常に大きな成果となると考えています。

質疑応答:競争優位性を高めるために強化すべき領域について

荒井:「御社の競争優位性を今後さらに高めるために、最優先で強化するのは、提案力、保守サポートのどちらでしょうか? あるいはそれ以外の領域なのでしょうか?」というご質問です。

棚橋:あらゆる分野をしっかりと強化していかなければならないと考えています。

当社の最大の特徴は、もともと商社だったということです。その時代には、お客さまのニーズを的確に把握し、それに見合う商品を提供する目利き力が重要な要素でした。

現在はメーカーとして、お客さまの要求に合った製品をしっかりと提供し続けるためには、その技術力を高め、維持し続ける必要があります。したがって、当社にとって最大の課題、または強化すべき点はエンジニアの確保であると考えています。

当然ですが、お客さまのニーズを的確に把握し、それに基づいた提案を行うことは、必須条件です。

また、EDAのビジネスにおいては、単にソフトウェアや期間ライセンスを販売するだけでなく、その期間中に的確な技術サポートを行うことが、当社の評価につながっています。そのため、このような側面も強化していく必要があると考えています。

特に強化すべき点を挙げるとすれば、それは技術力です。エンジニアの確保には最も苦労している部分もあり、ここをしっかりと強化していく必要があると認識しています。

質疑応答:組込みシステム事業の特徴と将来展望について

荒井:「組込みシステム事業は、今後どのような用途領域を重点として伸ばしていきたいでしょうか?」というご質問です。

棚橋:先ほど、「組込み製品は非常にいろいろな用途に使われている」とお話ししました。

防衛や船舶といった分野が近年大きく伸びており、半導体やデータセンター向けも、足元で非常に拡大しているとお伝えしました。このように、その時々で成長する業界を的確に捉えることが重要だと思っています。

ただ、当社の特徴として、組込み用のCPUボードは、もともと国内で設計し、国内のEMSで製造していただいているため、海外、特に台湾や韓国勢と価格で勝負するのは難しい状況です。

そのため、当社の製品に非常に高い信頼性をお持ちのお客さま、あるいは24時間365日連続稼働できるといった点を評価していただいているお客さまに採用いただいているという背景があります。

今後もそのようなニーズを的確に捉え、インフラ系などを中心に展開していきます。また、お金の決済に関わる分野では信頼性が特に求められるため、そうした分野を長期的に伸ばしていくことが、当社にとって最善と考えています。

荒井:本当に多岐にわたる用途で利用されているということが理解できましたが、お客さまからニーズがあった際に、それぞれに対応できる人材をしっかり確保することが重要なのでしょうか? 

棚橋:そうですね。テスター事業、EDA事業、組込み事業、さらには子会社のソフトウェア事業も含め、今は技術者の確保や育成が非常に重要です。

当社はもともと卸売業、いわゆる商社的なイメージがあったため、過去には理系の学生からの応募が多くありませんでした。しかし最近では、インターンシップを通じて理系の学生に当社のビジネスを理解していただく取り組みを進めた結果、新卒でも理系学生を採用できるようになってきました。

そのため、これらの若い方々にいかに早く成長してもらえるかが、とても重要なポイントだと考えています。

質疑応答:中期経営計画の達成に向けた施策について

荒井:「中期経営計画の達成に向けて、今後、特に注力している施策や重点テーマについて教えてください」というご質問です。

棚橋:今年度は中期経営計画の最終年度となります。数値目標については、今回、メモリー市場そのものがかなり盛り上がっていることもあり、追い風を受けて達成がかなり見えてきた状況です。

一方で、現時点ではまだ十分ではないと感じている点があります。スライドに記載の「経営資源の再分配による事業ポートフォリオの最適化」に関連する、成長分野への集中投資や事業の見直し、グループ再編については一部取り組んでいるものの、まだ課題が残っています。

先ほどご説明できていませんでしたが、事業撤退を行ったケースもあります。このような取り組みは進めていますが、依然として十分ではないと考えています。そのため、この中期経営計画期間だけでなく、次の数年をかけてじっくり取り組むべき部分だと考えています。

また、「業績の安定性向上」の部分については、現在取り組んでいる研究開発の成果が出れば実績として表れると考えています。これも中期経営計画期間中に取り組むとともに、継続して大きな課題となると考えています。

質疑応答:半導体製造装置関連における成長維持のための収益源について

荒井:「半導体製造装置関連で、景気変動が大きい中でも成長を維持するために、どの収益源を厚くしますか?」というご質問です。

棚橋:先ほど、「業績の安定性向上」が非常に大きな課題であるとお話ししました。

「景気変動が大きい中で」というご質問ですが、それはなかなか避けられない部分があります。

テスター事業だけで変動を抑えようとする場合、お客さまを増やしていくことや、別の半導体検査装置で実績を出していくことが必要です。

したがって、現状の収益源以外の部分からもしっかりと売上や利益を生み出せる体制を整えなければならず、そのための取り組みを進めています。

また、このような事業を持ちながら、グループ全体の業績をもう少し安定させていこうと考えています。例えば、EDA事業は非常に安定した事業です。

ゆえに、このような事業について、先ほどお話ししたグループ会社と協力し、半導体設計関連事業をさらに厚みのあるものにしていくことで、全体としての業績の安定性向上が期待できます。

さらに、当社はサブスクリプション収入やストック型のビジネスがまだ多くはありませんが、少しずつそのような収入源も増えてきています。

例えば、子会社のアイティアクセスで行っている決済端末事業です。飲料自動販売機に設置される電子マネーの決済端末は、当社が端末を製造し、飲料メーカーに販売して自動販売機に設置していただくというビジネスモデルになっています。

先ほどの資料に「クラウド型」と記載してありましたが、端末自体に決済機能は備わっていません。お客さまが飲料を購入しようとすると、その際に通信が発生し、クラウド、つまりセンターのコンピューターとやり取りして決済処理が行われる仕組みです。そのような点が評価されています。

具体的には、通信が発生することで、さまざまな売上データを提供したり、メンテナンス時に遠隔地からソフトウェアの書き換えが可能であったりと、多くのメリットがあります。端末を販売して終わりではなく、「月々いくら」というサービス収入を得ています。

この収益が現在非常に大きくなっており、このようなストック型、すなわち累積販売台数に応じて売上が積み上がっていくスタイルのビジネスを増やしていくことが、全体的な業績の安定性につながると考えています。

荒井:自動販売機だけでなく、クラウド型のスタイルは増えているのでしょうか? 

棚橋:そうですね。基本的に、当社が最初に導入した形式であり、当社の端末が増えていることもありますが、競合他社も同様のスタイルの製品を出しています。

そのため、日本全体としてこのスタイルは徐々に増加していると考えています。

質疑応答:半導体分野における収益安定のための打ち手について

荒井:「景気変動がある半導体分野でも成長を続けるために、収益を安定させる打ち手を1つ挙げるとすると何ですか?」というご質問です。

棚橋:なにか1つを挙げるとすれば、やはり一番変動するのがテスター事業のため、そこの安定性を上げることが最も直接的に効果的だと思います。

そのため、テスター分野のお客さまを可能な限り増やしていきます。ただし、闇雲に増やしてしまうと当社の特徴が失われてしまうため、しっかりと特徴を活かせる範囲内で、お客さまや売上の分散を図ることが最大の戦略となると考えています。

荒井:ただ、そのような分野がどんどん伸びていったとしても、業績は通期で見たほうがよいという点は変わらないのでしょうか? 

棚橋:おっしゃるとおりです。分野が広がり分散されたとしても、当社のビジネスは毎月一定の利益や売上が上がるというものではなく、徐々に増減する性質のものではありません。そのため、少し長いスパンで傾向をご覧いただければと思います。

質疑応答:イノテックのオリジナルテスターを生み出した開発ストーリーについて

荒井:「現在の事業の主軸品であるテスターですが、イノテックのオリジナルテスターを生み出した開発ストーリーがありましたら、教えていただけないでしょうか?」というご質問です。

棚橋:こちらは、現社長の大塚がゼロから立ち上げた事業です。

私が話すのも少しおかしいのですが、私が聞いている話によると、もともと当社は商社として、テスターも欧米の他社製品を輸入して販売する事業を行っていました。

そのような事業から撤退することもありました。また、欧米の大手テスター会社の製品においては、「これを買ってください」「こんなことができるテスターです」という販売方法をとっていました。

しかし、お客さまから「大塚さん、我々はこういうテストをしたいのだが、なんとか応えてもらうことはできないか?」という声をいただいたことがきっかけで、「じゃあ、やってみましょう」ということで作り始めたと聞いています。

荒井:最初からお客さまの声を非常に大切にされてきたのですね。

棚橋:おっしゃるとおりです。テスター事業は、そこを非常に重視して進めてきました。今でもそこが唯一無二の強みと言っても過言ではないかもしれません。

質疑応答:STAr Technologiesの減収要因と今後の利益見通しについて

荒井:「STAr Technologiesが通期では減収予想の中、第1四半期で増収となった一方、収益面では赤字となった要因を教えてください。また、今期のSTAr Technologiesの事業環境や今後の利益見通しについて教えてください」というご質問です。

棚橋:減収予想になっていますが、実質的には横ばい程度です。為替換算の関係で少し減収に見えるものの、現地通貨ベースでは横ばい程度とご理解ください。

また、STAr Technologiesのプローブカードの一部事業については、一昨年頃に撤退しています。

ただ、撤退したプローブカードについては、譲渡先が販売網を構築するまでの間、一部の地域で当社が引き続き販売を行っています。

そのような売上は、徐々に減少していきます。利益には大きな影響はありませんが、売上高だけを見ると減収に見える要因の1つとなっています。しかしながら、事業環境としては、それほど悪くないと考えています。

第1四半期については、昨年度と比較して大幅な増収となりました。STAr Technologiesは、前年の第4四半期に非常に大きな売上と利益を計上し、その反動で第1四半期に売上が減少しました。過去には利益が1億円から2億円の赤字になることもありました。

今期については、当初の計画では第2四半期から売上が増加する見込みだった分野の売上が、第1四半期にギリギリ計上されるスケジュールとなったため、売上が伸びました。その結果、利益も赤字ではありますが、ほぼ収支トントンの状態になっています。

ただし、例年であれば第2四半期に計上される売上が第1四半期に前倒しで計上された側面が大きいため、通期としては期初の予想どおりにおおむね進捗していると考えています。

棚橋氏からのご挨拶

棚橋:本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。

限られた時間の中で、当社は企業規模に比して事業が非常に多岐にわたっているため、十分にご理解いただくのは難しかったかもしれません。ただ、注目していただきたい事業については、できる限りご説明できたのではないかと思っています。

今後とも、みなさまのご期待に応えられるよう、しっかりと成長戦略を進めていきますので、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

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