■事業内容
国土開発工業(株)やコクドビルエース(株)など連結子会社14社を擁する日本国土開発は、様々な社会課題を解決するため長年培った技術やノウハウを生かしたソリューションを提供している。こうした背景から、同社は土木事業と建築事業を軸に複数の事業を有機的に展開し、事業構造の変革を進めてきた。こうした事業構造の足元の変化を的確に反映し、情報開示の明瞭性と理解促進を図るため、2026年5月期より、従来の「土木事業」「建築事業」「関連事業」という事業区分を見直し、「関連事業」の成長拡大に伴って「不動産事業」と「エネルギー事業」を独立開示することとした。併せて「その他」を新設し、新規事業など報告セグメントに属さない事業を集約した。なお、報告セグメント変更後の2026年5月期売上構成比(調整前)は、土木事業が27.7%、建築事業が67.2%、不動産事業が1.8%、エネルギー事業が2.5%、その他が0.8%となった。
1. 土木事業
祖業とも言える土木事業では、ダム、河川、橋梁、トンネル、道路、上下水道、造成工事などの社会基盤整備をはじめ、災害からの復興支援関連工事、大規模土地造成工事、土地区画整理事業など幅広い工事の施工管理を行っている。創業以来培ってきた土木技術と最新のICTを活用した多彩で独自の技術・工法の開発に特徴があり、これまでも建設材料としての改良土の精製・リサイクルを実現する「回転式破砕混合工法(通称:ツイスター工法)」、自然材料を利用した新しい処分場覆土技術「キャピラリーバリア」、ゴミの減容化にも対応可能な「動圧密工法」などを開発してきた。
近年は、技術提案型の企業として社会や時代の要請に応える技術研究開発にも力を注いでおり、堤防強化などの整備工事に必要な土質を改良する自走型回転式破砕混合機や、下水道管などを掘削するシールドマシンを自社で開発・製造している。また、「スクレーパ※」も大規模造成工事の工期短縮・省力化に強みを発揮している。土木事業は工期が長く案件の入れ替えに時間を要する傾向があるなか、現在、手持ち工事の利益率改善と採算重視の受注により収益力の向上を着実に進めている。なお、子会社の国土開発工業は土木工事の施工及びシールドマシンの製造・販売などを、海洋工業(株)は地盤を固める動圧密工法などによる地盤改良工事を行っている。
※ 1台で掘削から積込み、運搬、捨土、敷きならしまで一連の土工作業を行うことができる重機。
2. 建築事業
建築事業は同社の主力事業で、オフィスビル・マンション、マルチテナント型物流施設、公共施設や競技場など様々な大型建築構造物で豊富な実績を持つ。施工管理能力と設計・施工能力を併せ持つ点に特徴がある。また、循環型社会に応える建物診断や補修補強などの「リニューアル技術」や、独自技術による床免震システムを保有しており、全国各地のサーバー室や、精密試験・防災管理制御などを行う重要設備に採用されている。さらに、地球温暖化対策で注目を集めているZEB・ZEH※の施工実績も年々拡大している。なお、子会社のコクドビルエースはリニューアル工事を主体とする建築工事の施工などを行っており、足元で急成長している。
※ ZEB(Net Zero Energy Building)・ZEH(Net Zero Energy House)は、省エネと創エネを組み合わせることで建物が消費する年間のエネルギー消費量の収支をゼロにするための仕組み。
3. 不動産事業
不動産事業では、不動産開発や海外を含む不動産投資、土地区画整理事業といった開発案件に加え、不動産賃貸や不動産仲介など幅広く事業を展開している。収益は、自ら事業主体となった不動産開発や土地区画整理事業を通じた不動産売却に伴うフロー収益と、不動産賃貸や不動産仲介などによるストック収益で構成されており、ストック収益を積み上げることでフロー収益に依存しない安定した収益ポートフォリオを構築している※。
※ フロー収益は資産売却などにより得られる短期的な収益。ストック収益は賃貸などから得られる長期的に安定した収益。
4. エネルギー事業
エネルギー事業では、太陽光発電所の運営によるストック収益を安定した収益基盤としつつ、適切なタイミングで開発した発電所を売却し、フロー収益も機動的に獲得する方針を採っている。現在、セカンダリー(稼働済み)案件の取得や次世代エネルギー事業への展開によって、安定収益基盤をさらに強化する方針を掲げている。これにより、2026年8月現在で132MWとなった自社開発案件の累計発電容量を、2030年には200MWへ拡大する計画だ。また、蓄電池事業やPPA※を成長ドライバーにストック収益の拡大も進めている。なお、蓄電池事業では、2025年12月に岩手県宮古市で蓄電設備を活用した「夜間連系太陽光発電所」の稼働を開始した。
※ 再エネ設備で発電した電気を需要家が長期の電力購入契約(Power Purchase Agreement)で買い取る仕組み。
5. 新規事業
福島エコクリートは、石炭火力発電所より排出される石炭灰を主原料とする路盤材の石炭灰混合材料「ORクリート」の製造販売などを行っている。石炭灰という廃棄物を利用する点、比重が軽い点、品質が安定しやすい点で優れており、大きな金額ではないものの、既にその他の売上高の大半を占めている。ANIONは、塩害対策に向け、樹脂材料やコンクリート材料に添加して使用する硝酸型機能性吸着材「ADOXパウダー」の製造販売を主に行っている。2025年秋の南相馬工場稼働を機に営業を本格化させており、2028年5月期以降の利益貢献を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)