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日東精工、中間期は増収増益、営業利益は前年比31.3%増 インド好調、自動車・データセンター向け付加価値製品が伸長

目次

荒賀誠氏(以下、荒賀):日東精工株式会社 代表取締役社長兼COOの荒賀です。本日はよろしくお願いします。それではさっそく、2026年12月期の中間決算についてご説明します。

スライドのとおり、決算のサマリー、今年度からスタートした中期経営計画の進捗状況、そして12月期の期末予想計画についてご説明します。

当社グループは、今年度より新たな中期経営計画「Mission G-final」をスタートしました。その初年度として「イノベーションを核に、稼ぎ力を加速する2026」というテーマのもと、4つの成長戦略である事業拡大戦略、環境戦略、人財戦略、財務戦略の取り組みを進めています。

業績ハイライト

決算のサマリーとして、業績ハイライトをスライドに記載しています。詳細については、セグメントごとにご説明します。

売上高は253億5,200万円で、前年同期比6.3パーセント増、営業利益は19億4,100万円で前年同期比31.3パーセント増、経常利益は19億3,800万円で前年同期比37.8パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は12億300万円で前年同期比41.4パーセント増となり、増収増益となりました。

売上のポイントとして、ファスナー事業では、昨年度から進出しているインドでの売上が好調に推移しました。ゲーム機向けは生産調整で若干減少したものの、国内自動車向けのCASE関連におけるADAS(先進運転支援システム)分野の部品が好調に推移しました。

産機事業においては、主力である自動車業界では国内でのEV開発計画見直しの影響を受け、やや伸び悩みました。一方、海外ではファスナー同様、インドでの好調に加え、アメリカ、タイ、韓国での設備投資需要も改善しています。さらに、データセンター向けの関連設備投資も増加しています。

制御事業においては、環境分野におけるPFAS対応製品の初動販売が落ち着いた影響があったものの、エネルギー分野での石油化学向け大型案件の寄与により増収となりました。

利益に関しては、売上高の増加、自動車・データセンター向け高付加価値製品の増加に加え、前年の第1四半期にはインドにおけるM&A費用を計上していたため、販管費が減少し、前年同期比で増益となりました。

売上高 増減要因

売上高の増減については、スライドに記載されているとおりですが、インドの売上が好調に推移しています。

セグメント別の売上では、ファスナー事業ではインドの売上が7億7,000万円、産機事業では4,600万円、さらに制御事業では2億4,600万円と、インド関連の売上が増加しています。

営業利益 増減要因

営業利益の増減要因については、スライドに記載されているとおりです。

自動車向けを中心とした高付加価値品であるファスナー製品が好調に推移し、利益を大きく押し上げました。原価率の変動に関しては、さまざまなコストダウン施策や価格改定などに取り組んだ結果、改善が見られています。

一方で、マイナス要因としては、子会社の監査費用や今年度から導入した株主優待、賃上げに伴う労務費の上昇などが挙げられますが、これらを含めても増益を達成しています。

セグメント別売上高・営業利益

セグメント別の数字について、スライドに記載しています。先ほどご説明したセグメントの概況についても、こちらに簡単に記載していますので、ご覧いただければと思います。制御事業のみ減益となりましたが、ファスナー事業および産機事業はともに増収増益で推移しています。

海外地域別売上高

海外売上の推移については、前年と比較して14億円の増加となっています。特に大きいのは、先ほどご説明した南アジアで、こちらはインドを中心とした地域です。それ以外の海外では全体で9億7,000万円の売上が増加しており、国別に見ると、中国、マレーシア、インドネシア、インド、アメリカの順となっています。

成長戦略のロードマップ

中期経営計画の進捗についてご説明します。

成長戦略のロードマップとして、私たちは2019年から10年間の長期経営計画を策定しています。長期ビジョンとして「世界中で認められ、求められる『モノづくりソリューショングループ』を目指す」を掲げ、これを10年間の目標としました。

この長期計画は3期に分けています。まず、2022年までの4年間を事業領域の拡大期とし、第1ステージとして位置づけて取り組んできました。

当社では、三菱ケミカルグループから計測・検査・分析の会社を買収し、日東精工アナリテックを設立しました。これにより、当社の制御セグメントにおける計測検査分野の拡充を進めてきました。

また、この時期に医療分野への参入も開始し、事業領域の拡大を図りました。その後、第2ステージとなる2023年から昨年まではグローバル展開期と位置づけ、当社の未開拓地域であった欧州においてドイツに販売会社を設立しました。

昨年はインドで金属部品メーカーを買収し、2社を子会社化することでグローバル拠点の確立を進めてきました。

また、本年から新たに中期経営計画(3年計画)をスタートさせており、①事業および製品のポートフォリオ改革、②環境・社会のソリューション事業、③働きがいと働きやすさ両立による人財力最大化、④高効率・高収益の戦略投資という4つのテーマを柱に掲げています。

2028年の目指す姿

2028年の目標として、営業利益60億円を掲げています。財務指標とサステナビリティ指標、いわゆる非財務指標も設定し、その達成に向けて、すべての行動が収益につながるよう取り組みを進めています。

Mission G-final 2026年度の進捗状況

その中で、最終目標となる営業利益に関する現在の進捗状況をお伝えします。今年度の業績予想としては、中期経営計画の目標である営業利益38億円に対し、現時点での見通しではこの目標に達していない状況です。

4つのグロース戦略については、下に目標と今年度第2四半期の実績を踏まえた見通しを記載しています。Growth#1の事業拡大戦略については、売上高の目標が513億円に対し、現時点で520億円の見込みです。ただし、営業利益率は目標の8パーセントに対し、現状では7.3パーセントとなっています。

Growth#2の環境戦略については、中期経営計画の目標を達成する見込みです。

Growth#3の人財戦略についても、労働生産性は目標達成の見込みです。エンゲージメントについては、毎年11月から12月に調査を予定しています。

Growth#4の財務戦略について、ROE9パーセント以上、ROIC8パーセント以上を目標に掲げていますが、現在の見通しはROE6.6パーセント、ROIC7.3パーセントとなっています。

したがって、事業拡大戦略、財務戦略の未達については、収益性の改善と資産の効率的な活用が、今後の下期に向けた課題であると考えています。

ファスナー 中期経営計画の取り組み

具体的な事業の取り組みについて、当社が今年度の中期経営計画で示したグロースターゲット、および重点的に進めている施策について説明します。

ファスナー事業においては、「CASE関連」「非日系企業」「新市場」「既存顧客深耕」という4つのテーマで目標を掲げ、取り組みを進めています。スライド右側の枠に第2四半期の実績と進捗率を記載しています。

進捗率が50パーセントに達していれば、上期の計画が予定どおりに進んでいることになります。ご覧いただいたとおり、新市場への開拓がまだ十分進んでおらず、下期の課題となっています。

中期経営計画達成に向けたファスナー事業の取り組みとしては、売上の継続的成長を求めるとともに、利益率の改善を進めていくという方針です。

成長に向けた具体的な取り組みとして、インドへの進出があります。1月に新工場を建設し、現在稼働させています。また、データセンター向けの需要については多くの受注をいただいていることから、生産設備の増強を進める予定です。

成長に向けた取り組みについてスライド左下に、新市場、顧客深耕、CASE関連といった内容が記載されており、グロースターゲットに基づいた取り組みが示されています。

ファスナー インド<Vulcan社>の展開

この1つとして、インドのVulcan社の展開に関してご説明します。Vulcan社とは、昨年当社が買収したグループ会社で、ファスナー事業に関連する冷間圧造部品を製造している企業です。

スライドに写真を掲載していますが、シャフトと示しているのは、バイクのバックミラー用のシャフトを指します。スライド右側にある特殊冷間圧造部品は、特殊ナットや特殊なパーツで、いずれもインド国内の自動車やバイクに使用されているものです。

子会社化後は、現在、生産増強と工場改革を進めています。この目標として掲げているのは、中期経営計画の期間である3年間で日東精工製品の製造・品質管理体制を構築し、インドの日系企業への拡販を実現することです。

現時点では、日東精工の特許製品の生産は行っていません。また、インドでのビジネス展開は進めていますが、取引は主に非日系企業との間で進んでいる状況です。

この生産増強と工場改革の一環として、新工場を含む3つの工場をインドに建設しました。これにより生産能力を強化し、安定的な供給体制を整えることで売上の向上を図る方針です。

同時に工場改革として、日系企業への拡販を見据えた品質管理レベルの向上にも取り組んでいます。

産機 中期経営計画の取り組み

産機事業においては、「CASE関連」「事業領域の拡大」「海外販売」「新製品売上の増加」という4つのテーマをグロースターゲットとして設定し、取り組みを進めています。ただし、進捗はいずれも50パーセントに達していない状況です。

中期経営計画に向けては、海外展開の強化と市場開拓を通じて売上成長を目指しています。

産機事業は、当社の3つのセグメントの中で最も収益力の高い分野です。そのため、国内シェアを基盤として海外でのシェア拡大を図り、市場開拓を進めていくことをテーマとしています。

成長に向けた取り組みとして、現在、データセンター向けの営業活動を強化しています。また、新製品として、新型ナットランナやコンタミ対策ユニットの開発を進めており、まもなく新製品の発表に向けた準備を進めているところです。

また、収益の改善・転換に向けて原価低減活動を進めています。

産機 海外販売強化/新製品によるシェア拡大

海外販売の強化と新製品によるシェア拡大の取り組みについて詳しくご説明します。

現在、ねじ締め機のシェアにおいては国内でトップシェアを占めており、海外シェアは2位となっています。

さらにねじ締め機の海外シェアを高めるため、現在アメリカや中国への依存度が高い状況ですが、市場規模の拡大が見込まれるインド、欧州、ベトナムを注力エリアとしてシェア拡大に取り組んでいます。

スライド右側に示されている「コンタミクリーナー」は、電子機器などの製造現場で発生するコンタミ、すなわちホコリやゴミの混入を防ぐために提供されているオプションです。このたび、「コンタミクリーナー」として新たに改良し、8月から発売を開始しました。

新型ナットランナについては、9月にリリース予定で現在準備を進めています。

各国のニーズに対応するため、低コスト型のアジアモデルを東アジアを中心に拡充しています。また、高機能製品としては、コンタミ製品や超高精度のねじ浮き検出機能をオプションとした高性能・高機能なねじ締め機の販売を進めていきたいと考えています。

制御 中期経営計画の取り組み

制御事業の取り組みとしては、グロースターゲットを「環境関連」「地盤関連」「エネルギー/石油化学」「自動車関連」の4点に絞り、拡販活動を進めています。現在、環境関連と自動車関連の2つについては、進捗率が予定・計画を下回っている状況です。

制御セグメントにおいては、新規事業と市場開拓を通じて売上の成長を目指しており、成長に向けた取り組みとして、昨年発表した有機溶剤のリサイクル装置の製品化に向けて準備を進めています。

また、大型クレーンの転倒リスクを評価する試験機「GeoJudge」を今年度発売しました。スライド右側にある写真が「GeoJudge」となります。簡単にご説明すると、大型建機、いわゆる大型クレーンの需要が高まる一方で、支持地盤や地盤の耐力不足によりクレーンが転倒する災害が増加しています。

このような状況を受けて、私どもは地耐力が不足している場合に発生するクレーンの転倒リスクを低減し、大規模な災害や事故を防ぐことを目的に、評価時間を8分の1に短縮できる測定装置を開発しました。

この測定装置の時間短縮化により、作業が迅速に行えると考えています。今後、こちらを積極的にPRしていきたいと考えています。

そして、第2四半期の決算期に発表しましたとおり、PFAS分解事業を含む綾部市・立命館大学との包括連携協定を締結し、地域の社会課題を解決するための社会実装を進めていきたいと考えています。

制御 シリカ分離膜を用いた有機溶剤リサイクル

その中で、有機溶剤のリサイクル装置の上市に向けた展開についてご説明します。以前の決算でもご紹介したとおり、当社ではシリカ分離膜を用いた有機溶剤のリサイクル装置の製品化に取り組んでいます。

ベンチャー企業であるイーセップ社の持つシリカ分離膜技術を活用し、二酸化炭素の排出量を抑えつつ、コストや機能面で優位性を持つ製造装置の開発を共同で進めています。

7月には、東京ビッグサイトで開催された「プラントショー」に出展し、共同開発先であるイーセップ社がセミナーを行いました。このリサイクル装置は今年度末から来年にかけて発売する準備を進めています。

メディカル 医療用生体内溶解性高純度マグネシウム

メディカル事業についてです。2020年に発足した医療分野への展開で、医療用生体内溶解性高純度マグネシウムを中心に、医療分野での製品化を進めています。

今年に入り、申請していたタイ王国において特許を取得しました。これにより、日本、アメリカ、タイで特許を取得し、現在も残りの5カ国で申請を進めています。

また、さまざまな医療分野において当社の技術や技能が転用できる可能性の模索を進めています。

今後の海外展開-エリア別戦略

今後の海外展開について、エリア別にご説明します。

現在、私どもは本中期経営計画のスタートにあたり、新たにグローバル戦略本部を設置しました。この本部は海外戦略全体を総括し、既存地域の販売戦略の見直しに加え、新規エリアの開発および販路拡大を進めていく方針です。

南アジアでは、インドを中心とした生産の増強を進めています。また、これまで当社の生産拠点であった東南アジアでも、生産拠点の増強を進めています。

欧州では「CEマーキング」などの欧州で販売可能な製品における規制対応を進めており、東アジアではローカルモデルの展開を中心に進めていきます。

北米には現在、販売会社を1社保有していますが、日系企業を中心とした販売ルートに加えて、非日系企業向けの販売ネットワークを構築することが課題となっています。この課題解決に向けて取り組みを進めています。

販売比率が低かった中南米については、アメリカを拠点とし、自動車部品メーカーへの販売およびサービス体制の構築に取り組んでいます。

Growth#2 環境戦略

環境戦略については「CO2排出量削減」「廃棄量削減」「お客さまへのE・S支援」というテーマで取り組みを行っています。2035年にCO2排出量を2019年度比60パーセント削減するという中期経営計画のもと、現在進めています。足元では、計画どおり進行している状況です。

Growth#3 人財戦略

人財戦略についてです。「働きがい」「働きやすさ」「人財育成」に関して進行中です。

「働きがい」では、持株会の特別奨励金や優良従業員表彰の見直し、業績連動型賞与への移行、および株式報酬制度を課長職へ拡大することで、中期経営計画にコミットしたインセンティブの整理を行いました。

「働きやすさ」に関しては、健康経営を推進しつつ生産性の効率化を図り、これまでの「QCサークル活動」で行ってきた自発的なサークル活動を、収益向上を目的とした「NUP改善活動」に切り替え、就業時間中に取り組む形式に変更しました。現在、50チームを結成し、400人体制で活動を進めています。

「人財育成」については、今年度からキャリア支援推進室を新設し、キャリアサポートデスクを設置しました。また、この中期経営計画を浸透させるために、理念教育として「MVVミーティング」と「社長座談会」を実施し、毎月継続して進めています。

Growth#4 財務戦略

財務戦略については、当社の課題であるROE・ROICの向上やPBR1倍割れの改善に向けて取り組みを進めています。

スライドには「BSの圧縮・キャッシュ創出と成長投資」や「流動性向上・株主との対話の拡充」と記載していますが、当社としては、認知度向上や株主との対話を通じて経営改革につなげていきたいと考えています。

また、財務戦略を通じて、海外拠点の生産増強や産機セグメントにおける海外M&Aの実施を現在進めています。このような取り組みを通じて、財務戦略の改善にも引き続き取り組んでいきたいと考えています。

今年度は初めての試みとなりますが、今週末に開催される「日経・東証IRフェア」に出展する予定です。

連結業績予想

2026年12月期の予想と計画についてです。

連結業績予想は年初の予想を据え置いており、売上高は前年同期比3.5パーセント増の520億円、営業利益は前年同期比10.7パーセント増の38億円、経常利益は前年同期比11.5パーセント増の38億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比6.9パーセント増の23億円を見込んでいます。

特に産機事業を中心に、自動車メーカーのEV戦略の見直しが影響を及ぼしている部分があります。その点を考慮しつつも、今後は高付加価値製品の拡販や海外需要、さらに制御事業における大口案件の需要を見込んでいます。

先ほどご説明した産機事業の新製品の投入も計画しています。また、自動車向けのADASやデータセンター向けの成長分野の需要拡大を追い風として、通期業績予想の達成を目指して取り組んでいきたいと考えています。

足元の受注残は、昨年末や第1四半期末と比較して約10パーセント増加しています。この業績目標の達成に加え、中期経営計画において現時点で未達となっている利益力の向上を目指して取り組みを進めていきたいと考えています。

セグメント別市場動向と取り組み状況

各セグメントの動向について、詳細をスライドに記載しています。

ファスナー事業の動向については、国内自動車分野では、ADAS向けのオリジナル製品など、高付加価値製品の拡大を進めています。ゲーム機向けの精密ねじについては、第2四半期後半から受注が回復しつつあり、比較的好調に推移するものと考えています。

データセンター向けでは、当社のオリジナル製品「CPグリップ」を採用いただいており、この好調が継続すると見込んでいます。

産機事業の動向については、EV市場の成長鈍化や国内における大型設備投資の減少がある一方で、海外向け自動車部品やデータセンター向けの需要が堅調に推移している状況です。

セグメント別市場動向と取り組み状況

制御事業については、システム製品の大口案件が継続していることに加え、電子材料向けの水分計や自動粉体抵抗装置など、PFAS関連の需要も堅調に推移しています。また、新製品の投入を行ったため、これから売上の確保に努めていきたいと考えています。

メディカル事業については、医療用生体内溶解性高純度マグネシウムの早期製品化に向けた準備を進めるとともに、さまざまな医療機器領域への適用拡大に向けた研究も進めています。

また、当社の既存技術を活用した新たな医療機器の製造受託案件の獲得に向け、現在体制を構築中です。これにより、メディカル事業のさらなる拡大を進めているところです。

成長投資

成長投資についてです。本日ご説明した研究開発では、有機溶剤リサイクル事業に関連する取り組みを引き続き進めています。また、下期にはデータセンター向けの生産設備への投資も進めています。

データセンターについては、来年や再来年に向けて需要の増加を見込んでおり、その製造体制の確立に向けた準備を進めています。

株主還元

株主還元については、本中期経営計画の期間中に累進配当を発表しました。また、DOE3パーセント以上を目標として設定しており、今年度の配当は24円とする予定です。

経営の考え方

総括すると、当社は高付加価値化とグローバル化を軸に成長を進めていると言えるのではないかと認識しています。これまでトップラインの向上に取り組んできましたが、稼ぐ力を高めることで、厳しい環境下においても利益を確保できる体制作りを進めています。

ファスナー事業では、これまでにも申し上げていますCASE関連やADAS向けなど、軽量化、電動化、電子部品化といったニーズの高まりによって、当社製品の需要が大きく増加しています。そのような中で、当社にしか提供できない特許製品である高機能ねじや異種金属接合技術「AKROSE(アクローズ)」といった製品が市場で非常に注目を集めており、これが成長の一因となっていると考えています。

生成AIの普及に伴い、データセンターへの投資が世界的に拡大している状況です。当社では通信機器、電源装置などに多くの締結部品を提供しており、それらに使用される高精度な組み立てや品質管理が評価され、産機事業においても多くのご注文をいただいています。

特に「CPグリップ」は、当社の高機能ファスナー部品です。このほか、自動ねじ締め機や流量計といった製品の需要も、この分野で積極的に取り組んでいます。

海外市場については、インドを最重要市場として位置づけています。昨年度から進出したインドの新工場の建設を行い、生産能力の増強、日系企業への拡販、インド国内市場の開拓を課題として取り組んでいます。

制御事業では、PFAS関連や有機溶剤リサイクル事業といった環境分野において、社会課題の解決を目指しており、これを次世代の成長機会と捉えています。医療用マグネシウムの事業化についても積極的に進めていますので、進展があり次第ご報告します。

中期経営計画の3年間における目標としては、営業利益60億円を掲げています。これは現在の収益力を基に逆算すると、売上高632億円を確保するための戦略となります。この戦略の柱として「モノづくりソリューショングループ」と位置づけ、これまではねじメーカーとしてのビジネスを展開してきた中で、モノづくりのソリューションビジネスをさらに加速させるべく取り組んでいます。

引き続き、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

質疑応答:現中期経営計画達成に向けた取り組みと懸念点について

質問者:御社の数字を拝見していると、掲げられている中期経営計画と現状のギャップがどうしても目につくというのが率直な印象です。

前回の中期経営計画では利益目標が50億円少々で、最終的な着地は30億円半ばだったかと思います。今回はグローバル戦略本部などを新設されたというお話がありましたが、前回と比べて何が異なっているのかをおうかがいしたいです。

現状の中期経営計画を達成するにあたり、荒賀社長がお考えになって、起こそうとされる最も重要な変化を1、2点教えてください。反対に、現時点で最も達成の確度が低い部分について、社長ご自身はどのように見ているのか、という点もあわせておうかがいしたいです。

荒賀:中期経営計画達成に向けてというご質問と受け止めました。前回の中期経営計画についての反省点について、さまざまな外的要因もございましたが、やはり海外展開の遅れが最も大きい課題であったと考えています。

本来であれば、前中期経営計画の中でインド市場への進出を利益寄与にまで結びつけるべきところでした。しかし、買収が遅れたことで売上への貢献はほとんど見られなかったという点が重要な課題と捉えています。

今年度の中期経営計画ではさまざまな施策を実施しますが、特に産機事業は当社にとって収益力が最も高い分野です。

自動ねじ締め機の市場シェアについては、国内でトップ、世界ではドイツのメーカーに次ぐ2位となっており、ニッチな市場ではありますが、当社のねじ締め技術の信頼性はグローバルで一定の評価を得ています。

この分野に関連した省力化機器や自動組立ラインの展開をさらに進めていくためには、グローバル展開が不可欠です。産機事業の有機的なグローバル展開に加え、さまざまなメーカーとのアライアンスやM&Aなども含めた取り組みが必要であると考えています。

これらの施策を通じて、今年度の中期経営計画を確実に達成していきたいと思います。さまざまな取り組みを進めているということでご理解いただきたいと思います。

懸念点として挙げられるのは、海外事業です。インドという大きな市場にはすでに展開し、現在3つの工場を建設しています。次に、インドに続き、中東からアフリカに向けてのビジネス展開を進めようとしています。

ただ、足元の地政学リスクを考慮すると、中東への事業展開には支障が出る可能性があり、私どもとして非常に懸念しています。以上の現状の事業の中でポイントを絞って挙げるとすれば、1つ、2つに絞られるかと考えています。

質疑応答:配当方針とDOE3パーセント達成目標について

質問者:配当についてうかがいます。DOE3パーセントであれば30円ということになり、現在の水準からおよそ3割増加させるかたちで発表されているようですが、この3パーセントは現中期経営計画の期間中に達成を目指すのでしょうか?

それとも、次回以降の中期経営計画で、例えば6年ほどかけて実現するものなのでしょうか? また、御社のキャッシュフローの状況から見ると、毎年12億円程度の配当を出しても問題ないように思われますが、それを踏まえた達成目標やコミットメントの位置づけについてはどうお考えか教えてください。

荒賀:結論として、DOE3パーセントは中期経営計画の期間中に達成したいと考えています。ただし、他の事業活動もあり、収益力をさらに確保しなければなりませんので、それらとのバランスを取りながら進めていきます。

株主のみなさまには、安定的かつ継続的な累進配当を提供しつつ、DOE3パーセント以上を中期経営計画の期間中に達成する形で取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:データセンター向け事業の現状と成長見通しについて

司会者:「データセンター向けの売上高はどのぐらいで、当面の需要をどのように見通していますか?」というご質問です。

荒賀:当社は、ファスナー事業、産機事業、制御事業という3つのセグメントを展開しており、それぞれデータセンター向けのさまざまな需要に対応しています。

ファスナー事業では、通信機器、電源装置といった製品に組み込まれる締結部品があります。産機事業では、これらの部品を組み立てる自動ねじ締め機を提供しています。制御事業では、冷却装置などに関連する流量計をご使用いただいています。

今年度の上期の売上高は、約5億円となりました。全体として、当社の売上のうち約2パーセントがデータセンター向けとなっていますが、今後は成長の見通しが非常に高まると考えています。

質疑応答:収益性向上およびROE・ROIC改善の取り組みについて

司会者:「収益性向上を打ち出しましたが、前中期経営計画までと何を変えるのでしょうか? また、ROE9パーセント以上の目標の達成に最も寄与する施策は何でしょうか?」というご質問です。

荒賀:私ども製造メーカーとしては、収益性の向上のために継続的なコストダウンや新製品の投入、また近年では価格改定など、さまざまな取り組みを進めています。

むしろ収益の確保ではなく、収益の改善と表現するほうが適切かと思いますが、いずれにしても、これらの取り組みを推進しているところです。特に新製品の開発を進めることは、製品の収益力の確保につながるため、新製品の投入を重点的に進めているところです。

ROEとROICの改善については、本業の収益力の確保が私たちの課題と認識しています。そのため、当初掲げた収益力の確保を着実に実現するかたちで、取り組みを進めていきたいと考えています。

足元では、昨年に比べて粗利益も着実に改善してきています。特にモノづくりの過程で原価を見直した結果、ファスナー事業においては収益が回復してきていると考えています。このように収益力を向上させる取り組みを継続し、ROEおよびROICのさらなる改善を目指していきたいと思います。

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