■ウォーシュ講演で160円台回復から日銀利上げ観測で155円台へ急落も、米雇用統計でやや切り返す
今週(8月31日-9月4日)はドル・円が一時160円台に回復する場面が見られたのち、日本銀行の利上げ観測と米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派発言を受けて155円台へ急反落する、乱高下の一週間となった。週初31日は先週末のウォーシュFRB議長のジャクソンホール会議でのタカ派的な講演を引き継ぐ形で円売りが強まり、160円台に定着する場面がみられた。9月1日はG20財務相・中央銀行総裁会議を控える中、朝方に160円20銭前後まで値を上げたものの伸び悩み、ベッセント米財務長官が改めて日本側に円安是正の対応を求めたこともあり、159円75銭前後で引けた。2日には米国によるイランへの攻撃再開を受けて原油価格が急伸、インフレ懸念の高まりとともに米10年債利回りが4.8%台まで上昇し、160円台前半でのドル高・円安基調が続いた。3日には日銀が今月の会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とする公算と伝わったほか、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が基本ポートフォリオを見直すとの思惑も重なり円買いが加速。さらにNY時間にはウォラーFRB理事がディスインフレ継続なら政策金利据え置きを支持すると発言し、早期利上げ観測が急速に後退、ドル売りも重なって一時155円30銭まで急落した。週末の4日は米8月雇用統計が市場予想を上回る強い内容となったことで早期利上げ観測が再燃し、ドルが買い戻される展開となった。介入後の戻り高値だった160円台からわずか2日で5円近く急落したのち反発するなど、円キャリー取引の巻き戻し観測もくすぶる値動きの荒い一週間となった。
4日のニューヨーク外為市場でドル・円は156円75銭まで上昇後、155円36銭まで下落し、156円23銭まで戻して引けた。
■下げ渋りか、日銀引き締めにらみ円買いもドルに買戻し
ドル・円は下げ渋りか。日本銀行の引き締めペース加速の見方から、円買い地合い継続が予想される。ただ、ドルは155円を下回れば買戻しが見込まれる。
日米中銀の政策決定を翌週に控え、金融政策に思惑が広がりやすい。日銀審議委員のタカ派的な見解をきっかけに、今後の引き締めはピッチが速いとの見方が浮上。これを受け、円買い主導の相場展開が続く。
一方、ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、ジャクソンホール会議での講演でタカ派姿勢を示した。しかし、他の主要政策メンバーからは早期利上げに慎重な見解が相次いでいる。
足下で発表された米経済指標は強弱まちまちで、来週のインフレ指標の鈍化が顕著なら、早期利上げ観測は後退し、ドル売り材料に。もっとも、ドル・円は今年4月と7月の為替介入で下げ止まった155円台がメドとなり、同水準を下回ればドルは買戻しの可能性がある。
中東情勢は再び混迷を深め、原油相場は上向いている。今後のインフレ圧力として意識されれば、ドル売りを弱めそうだ。また、米国の財政健全化プログラムの内容を見極めようと、過度なドル売りは回避されるだろう。
【米・8月生産者物価指数(PPI)】(10日発表予定)
10日発表の米8月生産者物価指数(PPI)は、前年比+5.2%(7月+4.7%)、コア指数は+4.6%(同+4.2%)といずれも加速の見通しで、ドル買い材料になりやすい。
【米・8月消費者物価指数(CPI)】(11日発表予定)
11日発表の米8月消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.4%(7月+3.4%)、コア指数は同+2.4%(同+2.5%)とやや鈍化の方向で、ドル売りにつながる可能性もあろう。
予想レンジ:153円00銭-159円00銭
○上値・下値ポイント一覧
上値ポイント:157.8円、159.5円、160.3円、164.0円、170.0円
下値ポイント:154.9円、151.9円、151.6円、149.2円、146.2円
【ドル買い要因】
・米サービス業の底堅さと物価高
・日本の財政悪化懸念
・中東緊張・原油高による米インフレ再燃警戒
・日米金利差を背景としたドル買い
【ドル売り要因】
・日銀9月利上げ観測
・日米当局の為替介入警戒