■要約
1. 会社概要
kubell(クベル)は、国内最大級のビジネスチャットサービス「Chatwork」の提供や、業務のDXを推進し、中小企業の生産性向上を支援する業務プロセス代行サービス「タクシタ」をはじめとするBPaaS(Business Process as a Service)事業を展開する。同社の強みは、日本国内の労働市場が抱える構造的課題に対し、的確なソリューションを提供している点にある。少子高齢化による労働力不足や中小企業の生産性向上の必要性に対応するため、ITリテラシーが低い企業でも容易に導入・活用できるChatworkを中核に据え、多くの中小企業に貢献している。Chatworkは日本国内で100.3万社(2026年6月末時点)の導入実績を持ち、特に中小企業層に向けたサービスの提供により競合との差別化に成功している。さらに業務プロセスそのものをクラウド経由で提供するBPaaSを展開することで中小企業の業務効率化を支援する。DXが進みづらいIT未熟層であるマジョリティ市場に対しても、導入しやすいソリューションとして提供している。
2. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高5,276百万円(前年同期比16.4%増)、EBITDA938百万円(同62.2%増)、営業利益556百万円(同278.7%増)、経常利益552百万円(同316.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益490百万円(前年同期は14百万円の損失)となった。2026年8月14日に公表した通期業績予想下限値に対する進捗率は、売上高が49.0%とおおむね計画どおりで、EBITDAの進捗率は62.5%と想定を上回った。主力のSaaSドメインが安定した成長を継続したことに加え、BPaaSドメインの売上高が1,193百万円(前年同期比77.5%増)と、高い成長率を維持しながら全社成長を力強くけん引した。同社が推進するSaaSとBPaaSの融合戦略の下、100万社を超える顧客基盤を活用したクロスセル戦略が進展していることもBPaaS事業の成長を支える重要な要因になったと考えられる。利益面では、売上高の伸長に加え、広告宣伝費や業務委託費を中心としたコスト構造の最適化、生産性向上の効果が顕在化したことで、EBITDAマージンは17.8%まで上昇した。これは中期経営計画で掲げる2026年の目標レンジである10~15%を上回る水準で、収益構造の改善が想定以上のスピードで進んでいることを示している。
3. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高10,768~10,958百万円(前期比13.0~15.0%増)、EBITDA1,500~1,700百万円(同9.4~24.0%増)、営業利益620~918百万円(同28.0~89.3%増)、経常利益615~913百万円(同34.4~99.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益456~753百万円(同112.2~250.5%増)を見込んでいる。期初は成長率ベースで開示していたが、通期業績見通しの確度が高まったことを受け、具体的な金額レンジによる開示へ変更した。中間期時点で売上高はおおむね計画どおりに進捗する一方、EBITDAは想定を上回るペースで推移しており、会社側の業績に対する手応えがうかがえる内容となっている。売上高が2ケタ成長を維持しつつも、利益成長率がこれを大きく上回る見通しとなっているのは、Chatworkの利用拡大に加え、高成長を続けるBPaaS事業の規模拡大、さらには広告宣伝費や業務委託費を中心としたコスト最適化による収益性向上が寄与するためである。同社が掲げる「成長と利益創出の両立」が着実に進展していることを示す内容と言えよう。今後は既存事業の成長に加え、M&Aや新規事業の進捗が中期経営計画達成に向けた重要なポイントになると考えられる。
■Key Points
・国内最大級のビジネスチャットサービス「Chatwork」や、業務プロセス代行サービス「タクシタ」をはじめとするBPaaS事業により中小企業の生産性向上を支援
・2026年12月期中間期は、売上高・各段階利益のすべてで増収増益を達成
・EBITDAマージンは中期経営計画で掲げる目標レンジを既に上回り、通期業績予想達成の蓋然性が高まる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)