■業績動向
1. 2026年12月期中間期の業績概要
ROBOT PAYMENTの2026年12月期中間期の業績は、売上高で前年同期比14.3%増の1,785百万円、営業利益で同16.0%増の445百万円、経常利益で同20.9%増の465百万円、中間純利益で同21.4%増の325百万円と2ケタ増収増益が続き、中間期として過去最高業績を更新した。主力プロダクトの「サブスクペイ」「請求管理ロボ」ともに顧客アカウント数、顧客売上単価が伸長したことにより、売上総利益は同15.5%増の1,640百万円となった。人件費を中心に販管費は同15.3%増の1,194百万円となったが、売上総利益の増加で吸収した。また、営業利益率は売上総利益率が同0.9ポイント上昇したことにより、同0.4ポイント上昇の25.0%となった。なお、ARRは同11.1%増の3,515百万円となった。
主な費用の増減について見ると、売上原価は同4百万円増の144百万円となった。サーバー費用等が増加したものの、減価償却費が同16百万円減少したことにより、全体では若干増に収まった。販管費のうち、給与手当は同76百万円増の413百万円となった。AI時代における競争優位性の確立に向け、顧客獲得力を高めるためマーケティング及びカスタマーサクセス部門の人員を増強したほか、AIを活用した開発体制の構築や開発の内製化を推進するためエンジニアを増員した(中間期末従業員数は前年同期比30名増の170名)。そのほか、広告宣伝費は費用対効果を重視した広告施策の実行により同6百万円増の227百万円となり、開発費は内製化に伴う外注費の削減により同7百万円減の165百万円となった。
同社は新規プロダクトとして、2026年3月に「債権回収ロボ」をローンチした(特許出願済み)。同システムは、債務者の特性に応じた督促スケジュールや手段(電子メールや架電等)を自動で最適化する仕組みである。従来は担当者の経験に依存した属人的な業務であったが、導入により督促プロセスがデータ化され、最適なタイミング・手段で督促をかけられるようになり、債権回収率の向上が期待できる。また、督促件数が増加しても比例的な人的リソースの投入を必要としないため、業務コストの削減効果も見込まれる。ローンチから約5ヶ月が経過し、導入実績もいくつか出始めており、従来アプローチが難しかったメーカーや卸売事業者からの問い合わせも入ってきているようで、順調な立ち上がりを見せている。
(1) ペイメント事業
ペイメント事業の売上高は前年同期比12.8%増の1,076百万円、セグメント利益は同22.2%増の591百万円となった。継続的なサービス機能の拡充や積極的なマーケティング施策の実行、営業活動の強化により新規顧客の獲得が進んだことに加えて、既存顧客の成長に伴う顧客単価の上昇が増収増益要因となった。リカーリング収益は同13.4%増の1,057百万円と順調に増加し、2026年6月時点のARRは同8.9%増の2,106百万円と伸び率はやや鈍化した。
主力サービスとなる「サブスクペイ」のKPIを見ると、2026年12月期中間期末の顧客アカウント数は前年同期比2.7%増の8,897件、2026年6月の顧客単価は同6.6%増の19,724円となった。顧客アカウント数は通期で10%増を計画していたため、計画を下回るペースとなっている。一因として、解約率が想定を上回ったことが挙げられる。第1四半期は前年同期比0.09ポイント上昇の0.85%、第2四半期は同0.23ポイント上昇の0.67%となり、3四半期連続で前年同期を上回った。同社の顧客は中小企業や個人事業主が中心で、解約理由は事業撤退が大半を占め、競合他社への乗り換えといったケースはほとんどない。物価上昇などマクロ環境が影響している可能性もあるが、これらアカウントは決済取扱高も少なく、結果的に顧客単価の上昇要因ともなっている。
2026年12月期中間期の決済取扱高は前年同期比11.1%増の128,031百万円、決済処理件数は同7.3%増の8,546千件といずれも順調に推移し、従量課金収入の増加に寄与した。前年同期は、クレジットカード会社による審査基準の厳格化に伴い、当該審査基準を満たさない顧客※の強制解約が発生したことや、セキュリティ強化に伴う3Dセキュア機能の必須化(従来はオプション機能として提供していた)の影響を受け、決済処理件数が一時的に減少した。具体的には、顧客側での新機能実装の初期対応や、消費者による認証操作がスムーズでないケースがあったが、これらの影響が一巡したことで、足元では巡航速度の成長ペースへ復帰している。
※ たとえば、カード決済利用契約の申請内容とは異なるサービスを行っていた事業者等で強制解約が発生した。
(2) フィナンシャルクラウド事業
フィナンシャルクラウド事業の売上高は前年同期比16.4%増の706百万円、セグメント利益は同54.2%増の171百万円となり、リカーリング収益は同16.6%増の695百万円、2026年6月時点のARRは同14.5%増の1,409百万円といずれも2ケタ成長となった。バックオフィス業務の効率化に取り組む企業が増えるなか、「請求管理ロボ」の継続的なサービス機能の拡充や積極的なマーケティング施策の実行、営業体制の強化により新規顧客の獲得が進んだことに加えて、顧客単価が上昇したことが増収増益要因となった。人件費の増加があったものの増収効果で吸収し、利益率も前年同期の18.3%から24.3%に上昇した。
「請求管理ロボ」のKPIを見ると、2026年12月期中間期末の顧客アカウント数は同12.6%増の1,092件と順調に増加したほか、顧客単価も同1.7%増の106,681円と堅調に推移した。第2四半期における解約率は前年同期の0.74%から0.76%と若干上昇したものの、クラウドサービス事業者や士業、デジタルコンテンツ関連事業者などの新規獲得が進んだ。代理店施策として、金融機関と見込み客への共同営業を開始したことも顧客獲得に寄与したようだ。
2026年12月期中間期の顧客請求金額は前年同期比94.3%増の933,772百万円、請求書発行枚数は同41.6%増の3,727千枚と大幅増となった。前期に新規獲得した複数の大口顧客が本格稼働したことが主因である。ただ、請求金額及び発行枚数に応じた従量課金がリカーリング収益に占める比率は低く、顧客単価へ与える影響は軽微にとどまっている。
(3) その他
その他として「債権回収ロボ」の収入等2百万円を計上し、セグメント損失56百万円を計上した。「債権回収ロボ」の導入企業として、電力小売事業者のアルカナエナジー(株)、新車の短期リースに特化したサブスクリプションサービスを展開する(株)クルカ、整骨院・鍼灸院・美容サロン特化の予約システムや電子カルテシステムを展開する(株)クロスリンク、決済代行サービス事業者の(株)ユニヴァ・ペイキャストなどがある。2026年7月時点の月次売上高は約70万円と発展途上にあるものの、機能面の要望が多く寄せられており、期待と関心の高さがうかがえる。同社では顧客ニーズに応じた機能拡充を進めており、同年6月には「請求管理ロボ」との自動連携を開始したことから、下期以降の導入拡大が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)