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巴川コーポ Research Memo(4):2027年3月期は実質前期並みへ、第1四半期好発進で上振れ余地

■今後の見通し

1. 2027年3月期業績予想
巴川コーポレーションは2026年7月23日に、同年5月15日に公表した2027年3月期の中間期及び通期連結業績予想を上方修正した。通期予想は売上高38,600百万円(従来予想比600百万円増・1.6%増額)、営業利益1,600百万円(同600百万円増・60.0%増額)、経常利益1,700百万円(同700百万円増・70.0%増額)、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円(同250百万円増・55.6%増額)となった。前期比では売上高8.6%増、営業利益1.1%減、経常利益8.3%減、親会社株主に帰属する当期純利益25.9%減と、当初計画で示されていた「営業利益38.2%減」の大幅減益シナリオから、営業利益は前期比ほぼ横ばい水準を確保する見通しとなった。

2. 2027年3月期第1四半期実績
2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高10,107百万円(前年同期比18.5%増)、営業利益875百万円(同136.8%増)、経常利益893百万円(同96.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益593百万円(同95.8%増)となった。会社は中東情勢を背景とした半導体・ディスプレイ関連事業及びトナー事業での顧客の前倒し発注、機能性シート事業における機能性不織布関連製品の伸長、円安進展を増収の主因として挙げている。原燃料価格の上昇や設備投資に伴う減価償却費の増加も、価格転嫁と円安が吸収し、営業利益率は前年同期の4.3%から8.7%へ改善した。

第1四半期の利益進捗率は際立って高い。第1四半期だけで通期営業利益予想の54.7%、純利益予想の84.7%を達成している。上期予想(営業利益1,200百万円)に対しても営業利益進捗率は72.9%になる。このため通期予想は残る3四半期で営業利益725百万円(第1四半期の875百万円を下回る)しか見込んでおらず、第2四半期以降の急減速を前提とした計画となっている。これは会社が「前倒し発注に伴う反動減」と「原燃料価格高騰によるコストアップの製品払出しを通じた顕在化」を保守的に織り込んだためと見られる。

3. 上期偏重の収益構造
注目すべきは、上方修正の大半が上期に集中している点だ。上期予想は売上高19,000百万円(従来比1,000百万円増)、営業利益1,200百万円(同700百万円増・140.0%増額)、経常利益1,200百万円(同800百万円増・200.0%増額)と大幅増額、前年同期比10.7%増収及び25.6%営業利益増となる。一方、下期は、売上高19,600百万円(前年同期比6.6%増)に対し営業利益は400百万円にとどまり39.7%減益となる。営業利益率は上期6.3%に対し下期は2.0%と下落、通期営業利益の75%が上期に偏る構造になる。

さらに注目すべきは、今回の修正が「上方修正」でありながら、下期については当初計画から減額されている点である。当初計画(通期38,000百万円・営業利益1,000百万円、中間期18,000百万円・同500百万円)から逆算される下期は売上高20,000百万円・営業利益500百万円であったのに対し、修正後の下期逆算値は売上高19,600百万円・営業利益400百万円と、売上高で400百万円、営業利益で100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益では150百万円の減額となる。

同社は、上期を大幅に引き上げる一方で、下期はむしろ慎重度を高めている。これは修正理由に挙げられた「顧客からの前倒し発注」が下期需要の前倒しとして、会社が業績予想に織り込んでいると解釈できる。上方修正を改善と評価するのは早計ではあるが、それでも過度に慎重な姿勢と言えよう。

同社が修正理由に挙げた「顧客からの前倒し発注」は、需要の先食いである可能性もあるが、半導体向けでは追加発注の可能性が十分ある。さらに当初計画に織り込まれていた「中東情勢による価格転嫁未達リスク等△8.0億円」は、相当部分が下期に発生する前提と見られる。このため、下期営業利益率2.0%という前提は保守的であり、通期業績には再度上振れ余地があると考えられる。

4. 営業利益の増減要因
当初計画に織り込まれた「中東情勢△8.0億円」は、当初計画の営業利益10.0億円の8割に相当する規模で、保守的に織り込んだ性格が強い。今回の上方修正での営業利益増額幅6.0億円は、おおむねこれに対応するものであり、価格転嫁進展と円安でリスクの一部を埋めたと解釈できる。ただし増額分の大半は上期で、下期には相当額のバッファーが残されている可能性が高い。このため、早ければ今上期での再増額修正もあり得る。

5. セグメント別予想
2026年8月7日、会社は上方修正後のセグメント別業績予想を公表した。売上高では半導体・ディスプレイ関連事業が前期比23.2%増と突出した伸びを見込み、トナー事業(同7.0%増)、機能性シート事業(同4.3%増)、セキュリティメディア事業(同4.8%増)が続く。連結売上高予想38,600百万円は全セグメントの増収を前提とし、なかでも半導体・ディスプレイ関連事業が成長をけん引する見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

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