■要約
rakumoは、Google Workspaceのユーザー管理、認証、セキュリティ機能を共通利用し、Google Workspaceの機能を補完する領域(共有カレンダー、共有アドレス帳)から、Google Workspaceにない領域(電子稟議、電子掲示板、勤怠管理、経費精算)までをカバーし、クライアントの効率性向上に寄与するグループウェアサービス「rakumo」をSaaS方式で提供している。Google Workspace自体の利用者数が今後も増加することが見込まれており、Google Workspace導入企業へのマーケットシェアの拡大余地も大きいことから、同社は中長期的に高い売上成長が期待される。
1. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比36.5%増の1,096百万円、調整後EBITA※が同33.7%増の373百万円、営業利益が同16.3%増の261百万円、経常利益が同13.1%増の253百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同1.9%減の143百万円となった。サービス別売上高を見ると、rakumoサービスは価格改定効果やクライアント数、有料ライセンス数の増加、自治体向け施策などにより前年同期比15.7%増の799百万円、その他サービスは前期に子会社化した(株)DEGINA及び(株)エージェントシェアの新規連結効果により同165.6%増の297百万円と大幅に伸長した。なお、当中間期からより純粋なrakumoサービスの業績を開示する目的でrakumoサービスの売上高よりSmartVisionシリーズを除外している。調整後EBITAマージンは、前期に子会社化した2社の新規連結影響や人件費の増加などにより前年同期比0.7ポイント低下したものの、34.1%と高水準を維持した。主力のrakumoサービスの着実な成長にM&A効果が加わり、通期予想に対して順調に進捗している点はポジティブである。
※ 調整後EBITA=営業利益+のれん償却費(PPAによる取得原価配分後の各種償却費を含む)+株式報酬費用+一過性のM&A関連費用(仲介費及びデューデリジェンス費用)+株主優待費用。また、PPAはPurchase Price Allocationの略で、M&Aにより取得した資産及び負債を時価評価する会計処理のこと。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.3%増の2,330百万円、調整後EBITAが同31.5%増の770百万円、営業利益が同28.5%増の550百万円、経常利益が同26.1%増の540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の318百万円と高成長が続く見通しである。rakumoサービスは価格改定効果や「rakumo for Microsoft 365」の拡販、自治体案件の獲得などにより1,657百万円を見込む。人件費やのれん等償却費が増加するものの、増収効果により調整後EBITAマージンは前期比1.0ポイント改善の33.0%となる計画である。中間期の進捗率は売上高が47.1%、調整後EBITAが48.6%と順調である。価格改定効果が想定を上回り、Microsoft 365向けの商談や自治体案件も積み上がっていることから、通期予想の達成確度は高まっていると判断される。
3. 中長期の成長戦略
同社は2025年2月に、2025年12月期から2027年12月期までの中期経営計画を公表した。生成AIなどを活用し、「働き方改革支援」から企業の課題を解決する「組織改革支援」への進出を目指している。2027年12月期にARR※30億円、調整後EBITA10億円、営業利益7億円を目標とし、M&A投資枠30億円を設定している。2026年12月期中間期にはARRが20.1億円、累計M&A投資額が16.5億円となり、各施策は着実に進捗している。成長戦略は「rakumo」のグロース、新領域でのプロダクト展開、M&Aの加速の3本柱である。主力事業では価格改定や自治体開拓、生成AI機能の搭載、「rakumo for Microsoft 365」の拡販を進め、新領域では(株)パソナと連携して「aloop」を展開する。M&Aでは、DEGINAの中間期営業利益が前下期の7倍超に拡大するなど、収益面で着実な成果が表れている。主力SaaSの成長と新領域の拡大、M&Aを組み合わせることで、組織改革を支援するソリューションベンダーへの進化が期待される。
※ Annual Recurring Revenueの略で、毎年経常的に発生する収益のこと。
■Key Points
・2026年12月期中間期は、主力サービスの成長とM&A効果により大幅増収・2ケタ営業増益を達成
・価格改定効果やMicrosoft 365向け、自治体案件の拡大により、通期予想の達成確度が高まる
・中期経営計画目標に対しARRは20.1億円、M&A投資額は16.5億円まで進捗。3本柱の成長戦略による成長加速を期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)