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rakumo Research Memo(9):中期経営計画達成へ各施策が進捗。M&A2社のPMIと新領域の拡大を推進

■中長期の成長戦略

rakumoは2025年2月に、2025年12月期から2027年12月期までの中期経営計画を公表した。中期経営計画では、グループウェア・コラボレーションツールでの「働き方改革支援」から一歩進め、生成AIなどのテクノロジーを用いて、企業の各組織が抱える課題を解決する「組織改革支援」への進出を目指している。

2027年12月期の目標数値は、ARRは2024年12月期比179%増の30億円、調整後EBITAは同129.4%増の10億円、営業利益は同82.6%増の7億円、配当性向は30%を掲げている。また、3年間のM&A投資枠として30億円を計画している。2026年12月期中間期のARRは20.1億円(進捗率67.0%)、累計M&A投資額は16.5億円(同55.0%)となった。2026年12月期通期予想の調整後EBITA770百万円及び営業利益550百万円は、2027年12月期目標に対してそれぞれ77.0%、78.6%の進捗となる。予想配当性向も25.7%まで上昇しており、各目標の達成に向けて着実に進んでいる。

重点取り組みは、既存サービス「rakumo」のグロース、新領域でのプロダクト展開、M&Aの加速の3点である。既存サービスのグロースにおいては、自治体を中心としたマーケティングへの注力、新規顧客の獲得に向けた代理店販売プロセスの改善や直販体制の強化を進めるとともに、販売パートナーと協働したプロダクト拡充により、クロスセルを促進している。複数の大型案件で内示を獲得しており、2026年12月期末の自治体向けライセンス数は前期末の約2倍となる16万IDを見込んでいる。

HRテック領域では、2025年4月にパソナと業務提携し、同年5月に人材管理・採用支援ソリューション「aloop(アループ)」の提供を開始した。同サービスはアルムナイや内定辞退者、社員の友人・知人など、企業と接点がある人材の情報を一元管理し、多様な人材活用を実現する仕組みを備えている。加えて、パソナのコンサルタントが伴走し採用業務を代行することにより、人事部門の負担軽減も可能にする。2026年4月にはSun Asteriskへの導入が公表され、社員紹介による採用強化と中長期的なタレントプールの構築に活用されている。システム提供だけでなく、導入から運用、採用実務まで支援する点に同サービスの特長がある。同社は今後もパソナとの連携を深化させ、HRテック領域での展開を広げ、日本企業の持続的な人材戦略を支援していく考えである。

M&A戦略については、代表取締役社長の清水氏が旗振り役となってM&Aを進めている。2025年12月期は2件を実施しており、いずれも中期成長に直結する案件である。2025年7月にはCMSの提供を中心に事業展開するスタートレ(現 DEGINA)を買収した。DEGINAは中小企業や個人事業主向けに「DEGINA ONE」を提供しており、累計3,100社超の導入実績を持つ。動画埋め込み、Instagram連携、ヒートマップ分析などの機能を備え、集客や求人領域で高い付加価値を提供している。強みは新規開拓営業の知見、CMS領域でのビジネスノウハウ、安定的な財務基盤、低解約率のサブスクリプションモデルなどである。中間期までに信販会社との契約見直しやコストの適正化、新CMSへのアップグレードなどを進めた結果、2026年12月期上期の営業利益は2025年12月期下期の7倍超に拡大しており、PMIの成果が収益面に表れ始めている。下期はWeb商談やAIサービスなどの新施策を準備しており、安定収益源としての成長が期待される。同年8月には、HR領域で人材紹介会社向けサービスを展開するエージェントシェアを子会社化した。エージェントシェアの主力サービス「AGENT SHARE」は、全国の人材エージェントが求人・求職者情報を共有して自動マッチングできる仕組みである。なお、大手企業の参入や類似サービスの増加により、2026年12月期中間期は営業損失となっている。同社は「AGENT SHARE」と「AGENT ACCESS」の機能強化、「AGENT COLLEGE」のプロダクト化、販売支援など収益性の回復に向けた各種施策を進めている。施策の効果を見ながら事業計画の見直しも検討しており、期待した改善が得られない場合には減損リスクが残る。当面は収益性の回復が課題となるが、既存のネットワークや顧客基盤、「aloop」との補完関係を生かせれば、HRテック事業を拡大する余地はある。

同社は今後も中大型案件を中心に数件のM&Aを検討し、必要に応じてデットファイナンスを活用する方針である。2026年12月期から2027年12月期までの資金配分では、M&Aに20億円、新規・既存事業への投資に7億円、配当、自己株式取得や株主優待に9億円を充てる見通しである。今後は案件数の積み上げだけでなく、投資規律とPMIの実効性が中期経営計画達成の重要な条件となろう。

このように、同社の成長戦略は既存サービスの進化、HRテック及びMicrosoft 365向けサービスの拡大、そして積極的なM&Aによる事業ポートフォリオの拡張という三位一体の施策により構成されている。自社開発とM&Aを組み合わせながら、解約率の低いサブスクリプション型サービスを複数保有することにより、ARRの持続的成長と利益の安定化を同時に実現する戦略である。

また、生成AIを製品開発と社内業務の双方で活用し、プロダクトの高度化と付加価値向上を進めており、単なる業務効率化ツール提供から、企業経営や組織改革に資するソリューションベンダーへと進化する方向性を鮮明にしている。一部の買収先では収益改善が課題として残るものの、主力サービスの成長、AIによる開発力の向上、新領域への展開は着実に進んでいる。これらの施策が相互に機能することで、同社は国内SaaS市場における競争優位を強化し、中長期的な成長基盤を確立していくものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

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