■要約
TOKAIホールディングスは、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業である。約347万件の「顧客基盤」と多彩な商品・サービスをワンストップで提供する「総合力」、顧客ニーズに即応する「営業力」を強みに、着実に成長を続けている。
1. 2027年3月期第1四半期の業績概要
2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高で前年同期比3.2%増の59,993百万円、営業利益で同14.8%増の4,524百万円といずれも過去最高を更新した。グループ顧客件数が前年同期比35千件増、前期末比で6千件増の3,476千件と着実に増加したこと、またクラウドサービス関連収入を中心に法人向け情報通信事業が好調に推移したことが主因だ。エネルギー事業でスポット案件を受注したほか、コンシューマー向け情報通信事業の顧客獲得コストが減少したこと、間接部門におけるシステム刷新費用の計上時期が第2四半期以降にずれ込んだこともあり、利益面では計画をやや上回る順調な滑り出しとなったようだ。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は売上高で前期比6.2%増の260,000百万円、営業利益で同1.6%増の19,000百万円と期初計画を据え置き、過去最高更新を見込んでいる。賃金改定に伴う人件費の増加やシステム刷新に伴う費用増があるものの、増収効果で吸収する。主力のエネルギー事業は原油高で仕入れコストが上昇しているが、工業用ではスライド価格制を導入していること、家庭用では2026年7月に実施した料金改定や顧客件数の増加等で吸収し、増収増益を見込んでいる。また、クラウドサービスが好調な法人向け情報通信事業の拡大も増収増益要因となる。継続取引顧客件数は3,500千件と前期末比で29千件増を見込んでいる。
3. 「中期経営計画2028」の概要
同社は2027年3月期から新たに「中期経営計画2028」をスタートさせた。経営基盤の強化による安定的な事業利益拡大と株主還元強化を両輪とし、資本効率を高めながら企業価値の最大化を目指す。成長戦略として、Area(エリアの拡大)・Account(顧客数・契約数・対応業種の拡大)・ARPU(サービスメニューの充実やクロスセルによる1顧客当たり売上単価の上昇)の3軸で事業成長を加速度的に推進する“Triple Accel戦略”に取り組む。2029年3月期の経営数値目標として、売上高2,740億円、営業利益235億円、ROE13.0%、継続取引顧客件数360万件を掲げた(2026年3月期からの年平均成長率は売上高で3.8%、営業利益で7.9%)。成長事業として位置付けるエネルギー事業、法人向け情報通信事業、CATV事業では、M&A・アライアンス戦略を積極的に推進する方針だが、業績目標には戦略的M&Aの効果を織り込んでおらず、上振れ余地を残している。
4. 株主還元方針
株主還元については、従来は連結配当性向40~50%を目安に安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針とし、自己株式取得も機動的に検討してきたが、本中期経営計画では配当性向45%以上に加え、自己株式取得についても100億円以上と具体的な目標を掲げ、実施していく方針を打ち出した。同方針に基づき、2027年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の38.0円(連結配当性向45.0%)と4期連続の増配を予定しており、自己株式取得についても2026年8月6日付で発表している(取得額50億円、取得期間:2026年8月7日~2027年2月26日)。なお、株主優待については従来どおり継続する。
■Key Points
・2027年3月期第1四半期業績は利益ベースで計画を上回る滑り出し
・2027年3月期業績は期初計画を据え置き、過去最高更新を見込む
・“Triple Accel戦略”で顧客基盤と事業規模のさらなる拡大を目指す
・配当性向45%以上、自己株式取得も3年間で100億円以上を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)