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スカラ Research Memo(6):M&A効果でDX事業やTCG事業が大きく成長する見通し(1)

■今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
スカラの2027年6月期の事業セグメント別の見通しについても、1年前の中期経営計画の発表値から修正していない。DX事業は前期の売上収益が予想を下回ったこともあり増収率が大きくなるが、既存事業の成長に加えてテラが連結対象に加わることで予想達成は射程圏内と見られる。一方、TCG事業は前期の売上収益が予想を大きく上回ったため、2027年6月期は減収見込みだが、実際の売上状況は好調を持続しているほか、HATOの業績が上乗せされることも考えれば、予想を上振れする可能性が大きい。人材事業は2ケタ増収増益が続く見通しで、インキュベーション事業はM&A支援サービスの回復等により2ケタ増収及び営業損失の縮小が見込まれる。

(1) DX事業
DX事業の売上収益は前期比35.3%増の5,980百万円、営業利益は同25.6%増の560百万円を見込んでいる。売上収益は、SaaS事業における月額課金収入の積み上げが進むほか、エッグによる国策事業も堅調に推移する見通しで、M&A効果が上乗せ要因となる。

2027年6月期の主な施策としては、医療・不動産・畜産等のアライアンス型SaaSの提供拡大による収益化、iシリーズ導入支援の体系化及びアップセル拡大、大企業向けSaaSの企画・開発の本格推進、FAQ自動生成・ナレッジ分類自動化などAI機能の実装を全プロダクトに展開、自治体内製化支援(SaaS×SES)共通パッケージの提供、次世代デジタルマーケティングの強化及びAI業務設計者の採用育成着手、などが挙げられる。

アライアンス型SaaSについては、売上規模こそ小さいものの着実に育ちつつある。2022年から大塚製薬との共創プロジェクトとして開発を進めてきた「スマートヘルスケアプラットフォーム」では、2024年9月より法人向け健康サポートプログラム「fitbiz(フィットビズ)」を企業向けに提供している。「fitbiz」はスマートフォンアプリを通じて、“従業員の健康習慣づくりのためのサポート”や“健康施策結果の見える化”を行う「従業員の健康習慣づくり」のためのサービスである。学習コンテンツ「生活習慣学習サポートプログラム」と大塚製薬の製品提供により生活習慣を見直す12週間の有償プログラム(1万円/人)で、プログラム終了後の結果や課題についてのレポートは、健康経営優良法人※の認定要件にも活用可能となっている。同社はシステム開発費に加え、サービスの運営・保守料や利用料の一定割合を売上に計上している。導入実績は徐々に増加しており、当面の売上目標として1億円を掲げている。

※ 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」するための、日本健康会議が認定する顕彰制度。従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けられる環境整備を目的としている。

畜産DXについては、デザミス(株)及び三井住友海上火災保険(株)と共同で、牛の遠隔診療や電子カルテ、指示書作成などの機能を備えた総合診療サポートツール「U-メディカルサポート※1」を開発し、2023年1月より提供している。デザミスが開発した牛の行動モニタリングシステム「U-motion※2」を通じて牛の健康状態の異変を察知し、酪農家がスマートフォンアプリ「U-メディカルサポート」を使って獣医師が遠隔で診療できるようにする仕組みである。これにより、診断遅れによる牛の健康状態の悪化を防ぐとともに、獣医師の業務負荷軽減にもつながる。2026年4月には、NOSAI青森の最新診療録(カルテ)様式を「U-メディカルサポート」に実装することが決定した。現状診療録の様式は各NOSAIで異なっており、獣医師はそれぞれの異なる様式の診療録を作成する必要があって業務負担となっていたが、「U-メディカルサポート」に実装することで、様式の違いを意識することなく診療録を作成することが可能となる。同社は今後、各地域のNOSAI様式を順次実装していくことで、「U-メディカルサポート」の利用者数拡大を目指す。そのほか、2025年12月に提供を開始した家畜の保険審査業務を効率化する新サービス「U-カルテチェック※3」は、保険申請のために提出されたカルテデータを自動的にチェックし、データの不備や規定外の情報を抽出する機能を持つ。既に、愛知県農業共済組合をはじめ複数のNOSAIで導入が進んでいる。同社では畜産DXでMRR10百万円を当面の売上目標として掲げている。

※1 月額料金(税込)は獣医師で1アカウント2.2万円、1診療所で5.5万円。ただし、酪農家は無料で利用可能。機能の追加により価格が変更となる可能性もある。畜産に関わる動物の診療施設数は全国で約4,000施設ある。
※2 牛の首に取り付けたセンサーが反芻・動態・横臥・起立等の主要な行動を24時間365日記録することで、牛の健康状態をリアルタイムに把握できるサービス。
※3 月額料金(税別)は5万円~(利用する機能及び月間のカルテ枚数に応じて変動)。

エッグが開発・提供しているフレイル予防事業は、導入自治体数がやや伸び悩んでいる状況にある。関心を寄せる自治体は多いものの、介護・医療費用が年々増加し自治体の財政を圧迫するなかで、予防システムに対して予算を確保するのが難しくなっているためだ。ただ、同システムを導入済みの鳥取県米子市では介護費用の抑制効果が出始めているようで、今後はこうした導入実績を定量的にアピールしていくことで、導入自治体数を拡大し、収益化を目指す。なお、エッグでは旅行支援割キャンペーンの事務局システムも手掛けている。今年7月に起きた令和8年熊本地震に対する政府の支援策として「九州ふっこう応援割」が10月から開始されることが決定したが、前回石川県で実施された旅行支援割キャンペーンで導入された実績から、今回も受注する可能性が高く、業績の増額要因となる可能性がある。

SaaS事業では主力の「i-search」「i-ask」に生成AI機能を実装し、機能拡充を図った新サービスを2026年9月にリリースする。「i-search」ではRAG※1技術を活用してゼロクリックサーチを実現するサービスで、ユーザーは調べものをする際に検索する手間を省くことが可能となる。また、保険会社と共同開発を進めている「SmartRAG※2」は実証試験を終え評価段階に入っているが、新たにAIエージェント機能を開発中で、2027年6月期中の導入を目指している。

※1 RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)とは、ChatGPTのような生成AIに、社内マニュアルや顧客データベースといった外部の専門知識を「参照」させながら、回答を生成させる技術のこと。
※2 毎月自動で更新される最新の法令データのみを参照し、コンテンツ原稿・保険募集文書の初稿内容を添削する機能を提供する。保険業界では法令遵守が厳格に求められており、保険募集文書などの確認作業の効率化につながるサービスとして需要が見込まれている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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