■業績動向
1. 2026年12月期中間期の業績概要
GMOグローバルサイン・ホールディングスの2026年12月期中間期の業績は、売上高で前年同期比11.5%増の11,091百万円、営業利益で同1.5%減の585百万円、経常利益で同9.4%増の632百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同18.6%増の490百万円となった。売上高は2ケタ増収を継続し、すべての事業セグメントで前年同期を上回った。一方、営業利益は電子認証・印鑑事業における一部海外売上の下期への期ずれや、中間期に開発投資が集中したことなどから小幅な減益となった。しかし、「GMOトラスト・ログイン」や「GMOサイン」などの重点商材は引き続き高い成長を維持しており、事業の基調は堅調である。売上高の通期業績予想に対する進捗率は49.8%とおおむね計画どおりとなった一方、営業利益の進捗率は36.0%にとどまった。ただし、営業減益の主因となった海外売上の期ずれや開発投資は一時的な要因であり、下期には改善が見込まれることから、通期業績予想を据え置いている。
2. 事業セグメント別の動向
(1) 電子認証・印鑑事業
電子認証・印鑑事業の売上高は前年同期比10.1%増の6,937百万円、営業利益は同19.9%減の428百万円となった。SSLサーバ証明書を中心とする既存の電子認証ビジネスが堅調に推移したほか、重点商材である「GMOトラスト・ログイン」「GMOサイン」が引き続き高成長を維持した。特に「GMOトラスト・ログイン」は前年同期比31.1%増、「GMOサイン」は同30.6%増と、いずれも30%を超える成長となった。一方、利益面では一部海外売上の下期への期ずれに加え、中間期に開発投資が集中したことが減益要因となった。期ずれは最大顧客1社で発生し、第4四半期に計上される見込みである。また、証明書ライフサイクルサービスに関する開発費も中間期に集中しており下期は発生しないという。このため、営業減益は事業の収益力低下によるものではなく、一時的な要因と言える。
重点商材についても成長余地は大きい。「GMOトラスト・ログイン」ではID数の増加に加えて、新機能の利用拡大による顧客単価の上昇が進んでいる。特にデバイス制限機能などのオプション利用が増加しているほか、サプライチェーン全体やグループ企業を対象としたID管理サービスへの引き合いが好調という。また、「GMOサイン」についても大企業からの新規申し込みが続いており、1社で複数部門が導入するケースや他社サービスとの併用も増えていることから、既存顧客内にも開拓余地が残されている。2026年12月期第2四半期の送信件数は約600万件まで拡大している。
(2) クラウドインフラ事業
クラウドインフラ事業の売上高は前年同期比12.8%増の3,917百万円、営業利益は同34.9%増の144百万円となり、増収増益となった。成長をけん引しているのがマネージドクラウドサービス「CloudCREW byGMO」である。企業のクラウド利用拡大やITエンジニア不足を背景に、クラウド環境の設計・移行から監視、セキュリティ運用までを継続的に支援するマネージドサービスへの需要が拡大している。「CloudCREW byGMO」の中間期単独の売上高は前年同期比28.6%増の898百万円となっており、ストック性の高い収益の積み上げが進んでいる。
案件獲得は好調である一方、AWSの高度なスキルを持つ人材の採用が計画に対して遅れている。このため、外部採用だけでなく、社内でAWS関連資格の取得を支援する制度を整備し、人材育成を進めている。また、プライベートクラウドなど既存サービスの運用人材については、GMO AIコネクトのプリセールスや構築・運用など成長領域への再配置も進めており、事業ポートフォリオの見直しと人材配置の最適化を一体的に進めている。
(3) DX事業
DX事業の売上高は前年同期比20.1%増の532百万円、営業損失は4百万円(前年同期は58百万円の営業損失)となり、増収とともに損失幅が大幅に縮小した。同事業では事業ポートフォリオの入れ替えを進めており、2026年4月にGMO AIコネクトが連結に加わった一方、GMOデジタルラボは7月にGMOインターネットグループ内のGMOコマースへ譲渡した。GMO AIコネクトが持つAI・データ連携技術と同社が培ってきた認証・セキュリティ技術を組み合わせ、AI領域を新たな成長軸とする方向を鮮明にしている。なお、GMO AIコネクトはみなし取得日が6月30日のため中間期損益には含まれず、第3四半期から業績寄与する。
GMO AIコネクトは当初損失計上を見込んでいたものの、GMOインターネットグループ内からの受注が想定以上に拡大したこともあり、2026年9月時点で単月黒字化を達成している。また、「GMOサイン」や「GMOトラスト・ログイン」へのMCPサーバー提供など、既存事業とのシナジーも早期に顕在化している。さらに、既存の「hakaru.ai byGMO」の顧客である工場・建築関連企業とGMO AIコネクトとの親和性も高く、既に受注につながっているようだ。また、DX事業のセグメント名称をAI関連の名称へ変更することを検討しており、今後はAIを活用して企業の生産性や競争力向上を支援する事業群として位置付ける方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)