■アンジェスのACRLの取り組み状況
2021年7月より開始した希少遺伝性疾患の拡大新生児スクリーニング検査は、検査件数が順調に増加し、2025年12月期は約9万件を受託した。CReARIDからの検査受託に加え、2024年8月以降は地方自治体(またはその関連団体)からも受託を開始したことが要因だ。また、CReARIDが2025年3月末で受託サービスを終了したことに伴い、直接クリニックから検査を受託しており、1件当たりの単価も上昇した。ただ、検査機器や人的・資金的リソース面で処理能力が上限に達している状況にあり、2026年12月期は微増にとどまる見通しである。
同社は検査領域拡大の取り組みとして、2024年5月より希少遺伝性疾患の遺伝学的検査(確定検査)を開始した。さらに、2025年9月よりムコ多糖症の2次スクリーニング並びに経過観察、治療効果のモニタリングなどを目的としたバイオマーカー検査についても開始し、希少遺伝性疾患検査をワンストップで提供できる体制を構築した。従来、これらの検査をすべて行う検査所はなく、医療機関では異なる検査所に依頼する必要があり手間がかかっていたため、同社がワンストップで検査サービスを受託できる意義は大きい。確定検査やバイオマーカー検査の件数そのものは大幅に少ないため、業績への直接的な影響は軽微だが、これら希少遺伝性疾患に関する検査を多く行うことで、新たな治療薬候補品を見出す機会が増えるというメリットがある。
同社は今後も受託先の拡大や検査対象疾患の拡大に取り組み、検査事業の拡大を目指しているが、現状はHGF遺伝子治療用製品の上市を経営の最優先課題と位置付け、これに資金を集中投下する計画のため、能力増強投資などを先送りせざるを得ない状況が続いている。こうした状況を打破するため、他社との提携・組織再編等によって資金調達を行い、事業を拡大する方針を明らかにしており、現在候補先企業との協議を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)