■成長戦略
1. 「中期経営計画2026-2028 メイホーサーティービリオンドライブ」
メイホーホールディングスは「従業員承継型M&A」と「企業支援プラットフォーム」の提供による成長を目指している。同社代表取締役社長の尾松豪紀(おまつひでとし)氏は「企業集団の規模として、中長期的には全国各都道府県に数社のグループ企業が存在することにより企業数100社、連結売上高1,000億円、社員数1万人の達成が可能と考えている。企業支援プラットフォーム基盤を強化するために目標として掲げていた連結売上高100億円は2024年6月期に達成した。次の目標である連結売上高300億円に向けて、既存グループ企業のオーガニック成長や持株会社の社内管理体制充実など基盤固めの時期と考えているが、企業支援プラットフォームのさらなる充実、個社の増収増益、グループ全体の資金力増大、資本提携によるネットワークの拡大といった基本戦略を着実に推進していきたい」と将来ビジョンを語っている。
2025年8月に策定した「中期経営計画2026-2028 メイホーサーティービリオンドライブ」(2026年6月期~2028年6月期)では、将来ビジョンである「企業数100社、連結売上高1,000億円、社員数1万人」の達成に向けた第1ステップとして、最終年度2028年6月期の目標値に連結売上高300億円、EBITDA30億円、EBITDAマージン10%を掲げている。連結売上高の2025年6月期実績(130億円)比170億円増加の内訳は、オーガニック成長で30億円増加、M&Aによる非連続な成長で140億円増加となる。
基本戦略としては、中小企業の解決すべき課題(経営者の高齢化と事業承継問題、人材・経営資源の不足、デジタル化遅れと低生産性、資金調達の制約など)に対して、非連続な成長を実現するための「従業員承継型M&A」及び各企業のオーガニック成長を後押しする「企業支援プラットフォーム」提供を推進する。なお同社のM&Aの基本方針としては、実績と成長可能性を重視し、売却を前提としない長期保有を掲げている。目的は「企業支援プラットフォーム」のさらなる充実と地域企業の存続、対象とする企業は将来に不安を感じている中小企業や成長意欲の高い中小企業である。M&A対象企業の特長としては特定の地域で実業を営んでいること、許認可事業であること、公共事業関連の元請企業であること、従業員や技術に関するリソースを持っていること、健全な経営を行っている企業であることを挙げている。また今後のM&Aについては、対象業種をグループ企業とのシナジーが見込める関連業種へ広げることや、大型案件へチャレンジすることを検討する。なお、同社は2026年6月期に計上したレゾナゲートの減損損失を踏まえ、M&A審査及びPMI運用の見直しを行うとしており、今後のM&A実行における規律強化を図る方針である。
計画初年度である2026年6月期の進捗状況としては、M&Aを5件(株式取得2件及び事業譲受3件)実行し、地域創生、人材派遣、建設の各分野で事業領域・地域基盤を拡大した。M&A件数は現中期経営計画のKPI(年間2~5件)のレンジ内となった。「企業支援プラットフォーム」の提供では、「地域企業の自律と連携」をグループの存在目的として明確化するとともに、メイホーフィロソフィを体系化(6編31条の判断・実践基準で構成)した。そしてグループ全社で個社経営理念・ビジョンの策定を完了し、共通価値観の浸透に向けてグループ全社の社長を対象に研修を実施した。経営管理基盤の整備では、セグメント別基幹システムの要件定義に着手し、経営ダッシュボードについてはExcel版の運用を開始した。2027年6月期は、認知度向上に向けた日経・東証IRフェア2026への出展や広告宣伝活動の強化、基幹システム・経営ダッシュボードの構築推進などに取り組む方針である。
2. 弊社の視点
同社はM&Aを積極活用した成長を目指している。現時点では、大型M&A関連の一時的費用やのれん償却の影響を吸収できるだけの収益規模・基盤に至っていないが、そうした状況でも2026年6月期は営業・経常利益、EBITDAが過去最高を更新した。今後はさらなる収益規模の拡大に伴って、一時的費用やのれん償却の負担が吸収されることが期待される。また、M&Aでグループインした個々の企業の「稼ぐ力」や、シナジー創出によってグループ全体としての「稼ぐ力」を一段と高めていくことが今後の課題となるが、レゾナゲートの減損を踏まえたM&A審査・PMI運用の見直しが今後の買収規律の強化や統合効果の早期実現にどのようにつながるかを注視したい。同社独自の「企業支援プラットフォーム」による経営支援の成果に加え、グループ企業数の増加に伴って様々なシナジーの創出も期待されるため、中長期的にグループ全体の収益が飛躍的に拡大する可能性があり、その中長期成長ポテンシャルに弊社では注目している。したがって中期経営計画の目標達成などにより、同社グループ全体の「稼ぐ力」の向上を確認できれば、同社に対する投資対象としての関心が一段と高まると弊社では考えている。
■株主還元策
株主還元は重要な経営課題、現状は内部留保の確保を優先
株主還元について同社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本方針としている。しかし現状は内部留保が充実しているとは言えず、2017年2月に純粋持株会社として設立されて以来、配当を実施していない。将来的には内部留保の状況及び事業環境を勘案しながら株主への利益還元を目指すが、現状においては配当実施の可能性及びその実施時期等について未定としている。
■サステナビリティ経営
サステナビリティ経営について同社は、特にマテリアリティなどを公表していないが、「地域創生」や「地域における雇用の創出」を掲げ、事業を通じて地域社会の発展に貢献することを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)