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アイリック Research Memo(6):さらなる成長と資本効率の両立の実現を目指す

■アイリックコーポレーションの成長戦略

1. 3ヶ年計画(2026年6月期~2028年6月期)
市場環境として、年間保険料総額で生命保険マーケットは28兆円、損害保険マーケットは9兆円が払い込まれる巨大マーケットであり、保険販売チャネルについては保険ショップ経由での加入シェアが上昇基調である。また2026年6月1日施行の改正保険業法では「乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保」などが義務付けられたため、保険業界で唯一、複数の商品を同一フォーマットで比較可能な機能を有する「AS-BOX」の優位性を生かし、損害保険領域への展開も含めた新たなビジネスチャンスが生まれることが予想される。こうした市場環境のなかで、同社は「保険IQシステム」を活用して生産性の高い「保険クリニック」を展開するだけでなく、「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供することにより、保険領域に関するNO.1ソリューションカンパニー(保険ショップNO.1×保険ソリューションNO.1)を目指す。

2025年8月に策定した3ヶ年計画(2026年8月期~2028年6月期)では、さらなる成長と資本効率の両立の実現を目指し、最終年度2028年6月期の目標値として売上高15,205百万円、営業利益1,578百万円、営業利益率10.4%、ROE20.0%以上を掲げている。売上高は全社ベースでCAGR17.3%(セグメント別には保険クリニック事業が18.9%、FA事業が14.3%、ソリューション事業が7.9%、システム事業が24.3%)を想定し、成長投資を吸収しながら営業利益率とROEの向上を推進する。セグメント別の2028年6月期の計画は、保険クリニック事業の売上高が8,046百万円で営業利益(全社費用等調整前)が1,051百万円、FA事業の売上高が2,680百万円で営業利益が157百万円、ソリューション事業の売上高が1,850百万円で営業利益が794百万円、システム事業の売上高が2,628百万円で営業利益が324百万円としている。

主要KPIとして、保険クリニック事業の「保険クリニック」店舗数(直営とFCの合計)は、2025年6月期末の283店舗から2026年6月期末307店舗、2027年6月期末327店舗、2028年6月期末363店舗、さらに2031年6月期末までに500店舗を目指す。直営店の新規出店を加速するほか、M&Aの活用、FCの新規加盟や既存加盟店舗を拡大する。また「保険クリニック」のさらなるブランド力向上(マーケティング強化や新規出店など)、出店スピードに合わせた人材の採用・育成(「保険IQシステム」や配属後の育成プログラムによる未経験者の早期戦力化など)、M&Aで譲り受けた店舗の収益性改善・向上、新たな出店エリアの開拓などを推進する。

FA事業は同社FA事業部とLA訪問販売部門の融合・シナジー創出を推進し、保険領域にとどまらない総合金融企業IFAビジネスの拡大を目指す。ソリューション事業は、生命保険募集人約120万人市場をターゲットとする「AS platform」を核とするプラットフォーム戦略によって「AS」シリーズ等の拡販を推進し、さらに改正保険業法施行に伴い損害保険領域への本格展開を目指す。システム事業はAI-OCRの開発で培った技術を生かし、保険業界以外もターゲットとしてAIプロダクト・AIソリューション戦略を推進する。

計画初年度2026年6月期は業績が予想を下回った。ただし保険クリニック事業はM&Aも寄与して店舗数が順調に増加し事業基盤が拡大したほか、出店拡大に向けた人材採用・育成や店舗開発・運営体制強化が順調に進展した。FA事業は募集人増加による事業基盤強化が進展した。ソリューション事業では受託案件未達によりフロー売上への依存リスクが顕在化したが、MRR拡大や改正保険業法対応に向けた先行投資を着実に実行した。システム事業ではストック売上の伸び率が鈍化したため新たなAIプロダクト開発を強化した。そして計画2年目の2027年6月期は2ケタ増収増益ながら計画を下回る見込みであるが、最終年度2028年6月期については計画を据え置いた。最終年度の目標達成に向けて、2027年6月期は利益成長よりも人材や開発の成長投資を優先し、事業基盤強化に注力する方針だ。

株主還元を強化

2. 株主還元策
株主還元については2026年6月期より基本方針を変更し、連結配当性向の目安を50%以上(従来は30%台程度)に引き上げるとともに、中間配当を開始した。また原則として減配しない累進配当を導入するなど株主還元を強化した。これによって2026年6月期の配当は前期比2.0円増配の32.0円(中間期末16.0円、期末16.0円)とした。前期の30.0円(期末一括)には記念配当5.0円が含まれているため普通配当ベースでは同7.0円増配となる。配当性向は66.6%である。そして2027年6月期の配当は前期と同額の32.0円(中間期末16.0円、期末16.0円)、配当性向は58.9%を予定する。引き続き業績の拡大、株主還元やIR活動の強化などにより企業価値の向上に努め、時価総額100億円以上の早期達成を目指す。

3. サステナビリティ経営
同社は顧客、保険会社、代理店の「三者利益の共存」の実現を目指し、保険流通を「良循環化」させ、顧客の利益を守るために事業活動を行っている。同時に、事業活動が地球環境や地域社会に影響を与えることを認識し、社会課題の解決につながるサービスを提供するなどサステナビリティの実現に向けた取り組みも推進している。取り組み事例としては、保険販売事業を通じた保障の提供、クリニクラウン(臨床道化師)活動の応援、子ども未来応援基金の支援活動、ITを活用したサービス提供による保険流通の利便性向上、女性従業員が活躍できる働きやすい職場環境・就業環境づくり、直営店舗におけるLED照明導入による省エネ化推進などがある。2024年5月には東洋経済オンライン「女性部長の比率が高い会社ランキング上位50」で第5位(同社の女性部長比率は57.1%、全体平均は5.1%)にランクインした。また福利厚生の充実によって産休・育休後の復帰率は100%を維持している。

成長加速に向けた重点施策の進捗に注目

4. 弊社の視点
同社は積極的な人材投資、出店投資、プロモーション投資、新サービス開発投資等を継続して推進している。2026年6月期の業績は予定していた大型案件の未受注により計画を下回り、2027年3月期は利益成長よりも人材や商品開発等の成長投資を優先するため3ヶ年計画の目標値を下回る見込みであるが、保険クリニック事業では店舗数が増加して来店数・成約件数が増加基調であり、店舗当たり収益性も向上している。またFA事業では募集人増加による事業基盤強化策の成果が顕在化している。さらにソリューション事業とシステム事業では、改正保険業法施行を追い風として今後の新規顧客開拓やストック売上の拡大が見込まれる。このように、店舗ビジネスとソリューションビジネスの両面で成長が期待できる点を弊社では評価している。したがって成長加速に向けた重点施策の進捗に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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