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柴田直樹氏(以下、柴田):株式会社ナレルグループ代表取締役の柴田です。本日はお忙しい中、2026年10月期第3四半期決算説明会をご覧いただき、誠にありがとうございます。
本日は、第3四半期までの業績に加え、中期経営計画「Change and Growth 2030」の初年度9ヶ月における重点施策の進捗についてご説明します。
本日のご説明は、大きく3つのパートに分けて進めます。まず第3四半期の連結業績についてご説明し、続いて各事業の主要KPI、最後に中期経営計画における重点施策の進捗についてお話しします。
FY2026 3Q 中期経営計画重点施策の進捗
それでは、第3四半期の業績についてご説明します。まずは第3四半期までの状況を、中期経営計画の重点テーマに沿って総括します。
中期経営計画「Change and Growth 2030」の初年度も9ヶ月が経過し、重点テーマとして掲げている「コア事業」「建設DX」「職人紹介」「生産性向上」の4つは、いずれも着実に前進しています。
コア事業では、稼働率が第3四半期の平均で前四半期比横ばいとなったものの、月次では6月以降改善し、7月には93.0パーセントまで回復しました。契約単価も第3四半期に52万8,600円まで上昇しています。一方、定着率については引き続き重要課題として認識しています。
建設DXでは、株式会社スカイマティクスとの関係を業務提携から出資に深化させ、「くみき」の利用拡大とDX人材の育成、および現場配属を連動させる取り組みを進めています。
職人紹介においては、一般社団法人全国建設人材協会の会員企業が2,100社を突破しました。さらに、BRANU株式会社、株式会社ダイサン、地域金融機関などとの連携により、顧客接点が面的に広がっています。
また、生産性向上の取り組みとして、6月に「コーポレートDX推進部」を新設し、7月には基幹システムをリプレイスしました。
第2四半期までは各戦略が準備・着手の段階から実行へと移行した時期であるとご説明していましたが、第3四半期までの9ヶ月間は、そこからさらに実装・拡大に向けた具体的な動きが進んだ期間であったと捉えています。
3Q連結業績ハイライト
連結業績のハイライトをご説明します。
売上収益は192億2,900万円、前年同期比7.3パーセントの増収となりました。建設ソリューション事業を中心に、技術者の在籍人数・稼働人数の増加や契約単価の上昇が増収に寄与しています。
一方、営業利益は22億300万円、前年同期比2.6パーセントの減益となりました。これは、営業力や採用力の強化に向けた人材投資、需給調整に伴う未稼働期間の増加に加え、建設DXや職人紹介などの成長領域への先行投資を継続していることが主な要因です。
ただし、営業利益は第3四半期累計計画を12.5パーセント上回る進捗状況です。売上は計画を下回っていますが、成長投資を継続しつつ、利益面では計画を上回る水準を維持しています。
3Q累計連結業績サマリー
損益計算書の概要についてです。売上収益は192億2,900万円で、前年同期比7.3パーセント増となりました。売上総利益は50億1,900万円で、前年同期比6.2パーセント増です。
営業利益は22億300万円で、前年同期比2.6パーセント減、親会社の所有者に帰属する四半期利益は15億1,200万円で、前年同期比5.4パーセント減となっています。
通期業績予想に対する進捗率は、売上収益が65.7パーセント、営業利益が73.2パーセントです。売上は計画に対してやや遅れているものの、利益は計画を上回って推移しています。
現時点で、通期業績予想の変更はありません。引き続き、コア事業の収益性改善と成長領域への投資を両立していきます。
四半期連結業績推移
四半期の業績推移です。第3四半期単独の売上収益は65億6,000万円で、四半期ベースでは過去最高水準となりました。
営業利益は8億4,800万円となり、第1四半期の7億2,400万円、第2四半期の6億3,000万円から改善しました。営業利益率も、第2四半期の9.9パーセントから12.9パーセントまで向上しています。
成長投資を継続する中でも、稼働率の改善や契約単価の上昇など、コア事業の運営において改善が見られ、第3四半期単独では収益性も向上しています。
セグメント別業績推移(3Q累計)
セグメント別の状況についてです。
建設ソリューション事業は、売上収益が173億5,000万円、前年同期比8.1パーセント増となりました。在籍人数の増加や契約単価の上昇を背景に増収となった一方、成長に向けた人材投資などの影響により、セグメント利益は17億3,700万円、前年同期比4.4パーセント減少しています。
ただし、四半期別の売上収益は、第1四半期が56億5,000万円、第2四半期が57億5,400万円、第3四半期が59億4,600万円と、着実に拡大しています。
ITソリューション事業は、売上収益18億7,900万円と前年同期並みとなりました。一方、セグメント利益は1億5,300万円で前年同期比37.0パーセント増となり、収益性が改善しています。
引き続き、当社グループでは建設ソリューション事業をグループの中核事業と位置付けながら、それぞれの事業の収益性向上に取り組んでいきます。
営業利益増減分析 (前年同期比)
営業利益の前年同期比についてご説明します。
売上収益の増加による利益の押し上げ効果があった一方、採用強化に伴う在籍人数の増加や需給調整により未稼働期間が増加し、利益を押し下げました。
また、営業力や採用力の強化を目的とした内勤人員の拡充や、建設DXや職人紹介といった成長分野への投資も継続しています。
その結果、営業利益は前年同期の22億6,100万円から22億300万円となりました。これらのコスト増加には、中期経営計画に基づく将来の成長を見据えた投資が含まれています。
今後も短期的な収益性とのバランスを図りながら、コア事業の収益基盤の改善および成長分野における事業基盤の構築を進めていきます。
営業利益増減分析(対当期3Q計画比)
こちらのスライドは、第3四半期累計計画に対する営業利益の増減分析です。売上収益は計画を下回りましたが、需給バランスに応じて採用する人材の属性やタイミングを機動的にコントロールしたことなどにより、人件費や採用関連の費用が計画を下回りました。
加えて、販管費を含めた費用コントロールも進めた結果、営業利益は計画の19億5,700万円に対して22億300万円となり、計画を上回って着地しています。
成長投資については、必要な投資を継続しながら、一方で事業環境に応じて採用やコストを機動的にコントロールすることで、利益とのバランスをとった運営を進めています。
主要KPI:在籍人数・稼働人数・稼働率 – 建設ソリューション(ワールドコーポレーション)
各事業の主要KPIについてご説明します。まず、建設ソリューション事業(株式会社ワールドコーポレーション)の状況です。
第3四半期の平均稼働率は91.9パーセントとなり、第2四半期と同水準でした。営業体制の強化や配置の最適化、需給バランスを踏まえた採用運営など、これまで進めてきた取り組みの効果が足元の稼働率に表れ始めていると認識しています。
しかし、通期計画の93.8パーセントに対しては、まだ改善の余地があります。足元の改善を一時的なものとせず、この水準を定着させた上で、さらに引き上げていくことが第4四半期の重要なテーマとなります。
主要KPI:在籍人数・稼働人数・稼働率 – ITソリューション(ATJC)
ITソリューション事業(株式会社ATJC)についてです。
第3四半期の平均稼働率は、91.6パーセントでした。四半期平均では第2四半期を下回りましたが、月次では4月の89.1パーセントを底に、5月は90.0パーセント、6月は91.6パーセント、7月は93.2パーセントまで改善しました。
研修修了者の現場配属が進んでいることに加え、上流工程案件の獲得により契約単価も上昇しています。引き続き、稼働率の改善と案件の高付加価値化を進め、収益性の向上につなげていきます。
主要KPI:採用人数・退職人数・退職率 – 建設ソリューション(ワールドコーポレーション)
こちらのスライドは、建設ソリューション事業における採用および退職の状況を示しています。第3四半期の採用人数は294名、退職人数は394名となりました。採用については、稼働率や案件需要とのバランスを考慮し、機動的に採用運営を実施しています。
一方、退職率は34.0パーセントとなり、第2四半期の33.3パーセントから上昇しました。人材定着については、引き続き重要な経営課題であると認識しています。
資格取得支援や技術者へのフォロー体制の強化に加え、この9月から開始した新たな人事制度など、定着に向けた構造的な施策を進めています。なお、詳細は後ほどご説明します。
主要KPI:採用人数・退職人数・退職率 – ITソリューション(ATJC)
こちらのスライドは、ITソリューション事業における採用および退職の状況を示しています。第3四半期の採用人数は17名、退職人数は30名、退職率は25.6パーセントとなりました。
IT業務支援領域への事業拡張に向け、人材ポートフォリオや採用方針の見直しを進めているため、採用は一時的に減少しています。
一方で、今後の事業拡大に向けた体制整備や人材定着に向けた取り組みを継続し、収益性を重視した事業運営を進めています。
主要KPI:契約単価
こちらのスライドは契約単価の状況を示しています。建設ソリューション事業、ITソリューション事業ともに、契約単価は上昇基調で推移しています。
建設ソリューション事業においては、第1四半期が52万円、第2四半期が52万5,000円、第3四半期が52万8,000円と、四半期ごとに着実に上昇しています。
ITソリューション事業においては、第1四半期が52万6,000円、第2四半期が53万1,000円、第3四半期が54万3,000円まで上昇しました。
人材需給がタイトな環境の中で、契約条件の見直しを進めていることに加え、技術者のスキル向上やお客さまのニーズに合わせた人材提案、さらには付加価値の高い案件への配属を進めています。人数の拡大だけでなく、単価の向上による質的な成長も引き続き重視していきます。
中期経営計画に基づく重点テーマ
中期経営計画「Change and Growth 2030」の進捗状況についてご説明します。こちらのスライドは、中期経営計画で掲げる当社の成長戦略と、今期特に注力しているテーマです。
ここからは、この4つの重点テーマについて、第3四半期までの進捗状況を具体的にご説明します。
コア事業の収益基盤改善 – 稼働率×契約単価
まず、コア事業における収益基盤の改善です。スライドには、重要なKPIである稼働率と契約単価を並べて記載しています。
稼働率は第3四半期の平均で91.9パーセントとなり、前四半期比では横ばいとなっています。一方、月次では5月が90.4パーセント、6月が92.4パーセント、7月が93.0パーセントと、明確に改善しています。
契約単価は、第1四半期が52万円、第2四半期が52万5,000円、第3四半期が52万8,000円と、一貫して上昇しています。したがって、現時点では単価が着実に改善し、稼働率も現在の水準が切り上がってきていると捉えています。
今後も、これら2つを同時に改善することで、単純な人員増加だけに依存せず、コア事業の収益力そのものを高めていくことが重要です。一方、定着率は依然として課題であるため、この点については次のスライド以降でご説明します。
稼働率向上への取り組み
稼働率向上に向けた具体的な取り組みについてです。稼働率の改善は単一の施策によるものではなく、営業面と採用面の両方から需給バランスをより細かく管理する運営方法へと見直したことが、現在の改善につながっていると考えています。
営業面では、待機中の技術者の職種や経験、地域ごとの案件需要に加え、今後の採用見込みも含めて需給状況を可視化しています。そして、案件が不足しているエリアや職種を早期に特定し、営業活動の優先順位や人員配置を機動的に見直す運営を進めています。
特に需給ギャップの大きいエリアでは、タスクフォースを組成し、集中的に案件開拓を行うなど、待機が発生してから対応するのではなく、事前に案件を確保する営業体制へと改善を進めています。
また、単に案件数を増やすだけでなく、技術者の経験や適性とお客さまのニーズをより的確に結びつけることで、提案から成約、配属までの精度とスピードを高める取り組みも進めています。
採用面では、採用数そのものを追求するのではなく、地域別・職種別の案件需要や稼働状況を踏まえ、採用する人材の属性やタイミングをより機動的にコントロールする運営へと移行を始めています。
併せて、採用時に仕事内容や配属後の働き方について、より具体的にご説明することで、入社後のミスマッチを抑え、早期の配属と定着につなげる取り組みを強化しています。
このような営業と採用を一体で管理する取り組みの積み重ねが、現在の稼働率改善につながっていると認識しています。
まだ通期計画の水準には達していないため、第4四半期においてもこの改善を一時的なものにせず、現在の水準を定着させ、稼働率をさらに向上させたいと考えています。
定着率向上への取り組み
人材定着については、引き続き重要な課題であると認識しています。退職率は第3四半期で34.0パーセントとなり、計画を上回る水準です。そのため、資格取得支援や人事制度の改定など、中長期的に技術者が長く働き続けられる環境作りを強化しています。
資格取得支援については、自社オリジナルの試験対策講座を、建築だけでなく電気、土木、管工事などに拡大しました。その結果、令和7年度後期の「施工管理技術検定」では新たに157名が合格し、2026年8月時点の総資格保有者数は全体で573名まで増加しました。
また、9月から技術者向けの人事制度を改定しました。当社で安心して中長期的なキャリアを形成できるよう、等級区分を見直すとともに、客観的な基準に基づく評価制度に改定しました。あわせて、競合水準を参考に技術者の昇給額も見直すことで、中長期的な定着を目指します。
このような施策は即座に退職率を改善するものではありませんが、現在は施策を組織に浸透させる段階にあります。継続的に取り組むことで、定着率の着実な改善につなげていきます。
建設DX -提携から事業化フェーズへ
新規事業領域である建設DX事業についてご説明します。
株式会社スカイマティクスとは、第1四半期の業務提携からスタートし、第2四半期の現場実装を経て、第3四半期には出資を行い、提携関係をさらに強化しました。
今回の出資の目的は、単なる資本参加ではありません。当社が持つ顧客基盤や建設現場との接点を活用して、同社の空間データ統合プラットフォーム「くみき」の利用機会を拡大するとともに、DX人材の育成と現場への配属を1つの循環モデルとして構築することにあります。
当社は、DXツールそのもののプロダクト開発ではなく、スカイマティクス社のような優れたテクノロジーと当社の現場人材や現場接点を効果的に組み合わせることで、建設現場への実装と定着を担うことを目指しています。
今後の事業展開としては、現在進行中である建設ICT支援の人材派遣に加え、建設業に特化した請負やBPOへ収益領域を広げ、このような高付加価値領域を当社の新たな収益モデルとして確立していきます。
付加価値収益モデルの拡張
新たな事業領域の収益化の進捗についてです。建設DX人材派遣、請負、BPOなどの付加価値領域の売上は、前年同期比273.9パーセント、前四半期比115.6パーセントと、順調に拡大しています。
連結業績全体に占める規模はまだ限定的ですが、重要なのは従来の人材派遣だけでなく、DX人材派遣、伴走型支援、請負、BPOといった複数の収益モデルが具体的に立ち上がり始めている点です。
私たちが目指しているのは、単に派遣人数を増やして成長する会社ではありません。既存の人材基盤と顧客基盤を活用しながら、1人当たり、1社当たりの付加価値そのものを高めていくことを目指しています。
当社が持つ3,700名を超える人材基盤と、長年にわたり築いてきた顧客基盤に、外部の建設DX事業者が持つテクノロジーの力を組み合わせることで、今後さらに建設業界に新たな付加価値を創出していきます。
引き続き、案件数と実績を積み上げながら、中長期的にはこの事業領域をコア事業に次ぐ新たな付加価値領域として発展させ、将来的な収益の柱の1つに育てていきたいと考えています。
職人紹介事業:外部パートナーによる顧客接点の面的拡大
注力事業の1つである職人紹介事業についてご説明します。
第3四半期までで特に進展したのは、外部パートナーを活用した顧客接点の拡大です。当社グループの一般社団法人全国建設人材協会は、建設業務有料職業紹介事業の許可を保有する全国でも数少ない団体であり、会員企業は2,100社を突破しました。
当社独自の事業基盤に加えて、静清信用金庫、埼玉縣信用金庫などの地域金融機関や、BRANU社、ダイサン社、損害保険会社など、それぞれが保有する建設事業者とのネットワークを活用しています。
当社は、すべての顧客を自社の営業力だけで開拓するのではなく、パートナー企業が持つネットワークを活用し、専門工事会社などとの接点を面的に広げることで、当社独自の職人マッチングプロダクトである「職人スカウト」を基盤としたダイレクトリクルーティング事業の認知と利用拡大を目指しています。
つまり、自社で営業人員を増やし続けなければ顧客が増えないモデルではなく、外部ネットワークを当社の顧客接点として取り入れることで、より効率的に市場を拡大するモデルを構築しようとしています。
現在は構築してきた顧客基盤をもとに、実際のマッチング件数や収益への貢献を積み上げるフェーズへの移行を進めています。
建設人材プラットフォーム構想の進展
これまでご説明してきた取り組みが、当社の中長期的な成長戦略の中でどのように結びついていくのかについてお話しします。
当社が進めている建設DXや職人紹介、そして外部企業とのさまざまな提携は、それぞれを単独の新規事業として進めているわけではありません。私たちが最終的に目指しているのは、建設業界の「人」に関わる、より大きな事業基盤を構築することです。
当社には3,700名を超える施工管理人材と、長年の事業で築いてきた顧客基盤があります。さらに、一般社団法人全国建設人材協会を通じた職人のネットワーク、2,100社を超える会員企業、そして外部パートナーが持つ企業ネットワークが加わりました。
また、スカイマティクス社、Arent社、BRANU社との連携による建設テクノロジーも重要な要素です。つまり現在、人材、企業ネットワーク、テクノロジーという3つの基盤がナレルグループ内で整いつつあります。
これらを単独の点に留めるのではなく、将来的に面として結びつけ、建設人材を「集める・育てる・つなぐ・現場で活かす」に至るまで一貫して支えられる会社へと進化していきたいと考えています。これが、私たちが考えている建設人材プラットフォームです。
さらに将来的には、人材の経験やスキル、資格、現場での実績などのデータを蓄積・活用し、人と企業、そして建設現場をより適切につなげられる基盤へと進化させていきたいと考えています。
もちろん現時点では、まだ構築の途上にあります。ただ、以前は構想に過ぎなかったものが、この9ヶ月で人材、企業ネットワーク、テクノロジーといった具体的な当社の経営資産として、少しずつ形になり始めています。これが、中期経営計画初年度における大きな進捗の1つであると捉えています。
生産性向上への取り組み
4つ目の重点テーマである、生産性向上についてご説明します。
当社が今後事業規模を拡大していくにあたっては、売上の増加に比例して管理業務や販管費が増加する構造を転換する必要があります。そのため、人的な運用を前提とした業務から、社内での標準化、自動化、デジタル活用を前提とする業務基盤への転換を進めています。
まず、2025年11月から「AI Boostプロジェクト」を実施し、各部署の社員が自ら業務課題を特定し、AIを活用した改善ツールを構築してきました。
次のステップとして、今年6月には「コーポレートDX推進部」を新設し、個別の業務改善から全社横断型の業務プロセス改革(BPR)、標準化、自動化へと取り組みを進化させています。
7月には、コア事業を支える基幹システムをリプレイスしました。さらに、第4四半期からは営業組織と業務プロセスの再設計を通じて、営業部の生産性向上を図るプロジェクトに着手しています。
今後は、人材と案件のマッチング精度を向上させるとともに、各種システムとの連携やAI・データ活用を進めることで、売上の成長に伴って販管費が同じように増え続けることのない、効率的な事業基盤を構築していきたいと考えています。
中計初年度の進捗と4Q以降の重点テーマ
最後に、中期経営計画初年度の進捗について、私なりに総括します。この9ヶ月を振り返ると、すべてが計画どおりに進んだわけではありません。コア事業では契約単価が着実に上昇し、稼働率も足元では改善が見え始めています。
一方、定着率については、依然として明確に改善すべき課題が残っています。この点については、第4四半期以降もしっかりと会社全体で向き合い、コア事業の競争力をさらに強化していきたいと考えています。
また、この9ヶ月で大きく前進したと考えているのが、当社の将来の成長に向けた事業基盤です。建設DX、職人紹介、外部企業との戦略的な提携、そして社内のBPRやシステム改革を実施しました。
一つひとつは異なる取り組みに見えますが、私たちはこれらを独立した施策として進めているわけではありません。人材、顧客ネットワーク、テクノロジー、そしてそれらを支える社内基盤など、2030年に向けて、ナレルグループが次の成長を実現するために必要な経営資産が、この9ヶ月で少しずつ形になってきていると考えています。
中期経営計画では、今期を「基盤構築・実装」、来期を「実装拡大・事業基盤強化」の期間と位置付けています。これまでの9ヶ月が「作る」フェーズだったとすれば、これからは「作ったものを事業として大きくし、具体的な成長と収益に変えていく」フェーズと考えています。
その前提となるのは、コア事業です。現在の稼働率改善を確かなものとし、定着率という課題にも正面から取り組むとともに、建設DX、職人紹介、そして建設人材プラットフォームといった次の成長領域を育てていきます。既存事業を強化すると同時に、新たな成長の柱を構築することが、現在のナレルグループにとって最も重要であると考えています。
第4四半期、そして来期に向けて、これまで積み重ねてきた経営資産を1つずつ具体的な成果に結びつけていきます。引き続き、2030年に向けた成長を着実に実現していきます。
私からのご説明は以上です。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:中期経営計画におけるM&A方針と財務規律について
司会者:「中期経営計画では、オーガニック成長に加え、M&Aや外部企業との連携も成長手段として位置付けられています。今後、M&Aについてはどのような考え方で取り組んでいくのでしょうか?
建設DXや職人領域など、現在の事業を補完する案件が中心になるのか、それとも既存事業の規模拡大につながる案件も対象となり得るのでしょうか? 財務規律の考え方とあわせて教えてください」というご質問です。
三井規彰氏(以下、三井):まず、M&Aについては、当社の考え方として特定の領域に限定していないという点があります。当社は施工管理の技術者派遣を中核事業としていますが、この事業基盤をさらに強化または拡大していくことが引き続き重要だと考えています。
そのため、既存事業との親和性が高く、顧客基盤や人材基盤の拡大につながり得る案件については引き続き検討していきたいと考えています。また、規模の拡大を目的としたM&Aも十分な選択肢になり得ると考えています。
一方、中期経営計画では、施工管理派遣に加えて建設DX、職人紹介、生産性向上といった領域を成長させていく方針を示しています。
これらの領域において、当社が現在保有していない機能や顧客基盤、技術、人材、ノウハウを取り込むことで、建設人材プラットフォーム構想の実現を加速できるような案件も積極的に検討する考えです。
したがって、M&Aの目的は必ずしも1つではありません。既存事業の規模を拡大するケース、成長領域の機能を補完するケース、参入や事業立ち上げのスピードを高めるケースなど、さまざまな型があると考えています。
特に重要なのは、案件の規模や事業領域そのものではなく、当社の既存事業とのシナジーがどの程度あるか、企業価値の向上にどのようにつながるか、さらに投資に見合うリターンが見込めるかといった点を重視していく方針です。
オーガニックな成長を基本としながらも、時間を短縮できる案件や、当社が単独では構築に時間を要するような事業基盤を獲得できる案件については、財務規律を維持しながら柔軟に検討していく方針です。
質疑応答:建設ソリューション事業の稼働率と今後の改善施策について
司会者:「建設ソリューション事業の稼働率について、第3四半期の平均は91.9パーセントと第2四半期から横ばいですが、月次では5月の90.4パーセントを底に、6月は92.4パーセント、7月は93.0パーセントまで改善しています。
これまで、稼働率は業績上の重要な課題として認識されていらっしゃったかと思いますが、足元の改善をどのように評価していらっしゃるのでしょうか? また、この改善は今後も持続すると考えてよいでしょうか? 通期計画である93.8パーセントとの関係も含めて教えてください」というご質問です。
柴田:第3四半期の平均では91.9パーセントと、第2四半期比では横ばいでしたが、足元では改善傾向が見え始めています。具体的には、営業や採用、技術者の配置を一体で管理し、地域および職種ごとの需要を的確に捉えた運営精度を高めていることが、成果につながり始めていると感じています。
例えば、どの地域にどのような技術者がいて、どのような人材を採用する予定なのか、そして建設案件がどの場所で必要とされるのかといったことを、需給ギャップを含めて把握します。待機が発生してから動くのでは遅いため、きちんと先回りし、案件をしっかり獲得していく動きへの転換が重要だと考えています。
また、ここからさらに稼働率を高めていくために必要だと考えているのは、案件と人材をいかにしっかりマッチングする機能そのものを強化することです。これまで、案件と技術者のマッチングにおいては、個々の営業担当者や営業管理職の経験や力量に依存する部分が多くありました。
しかし、経験の浅い営業マンを含め、一人ひとりが抱えている案件の中で機械的にマッチングを行うだけでは、必ずしも会社全体として最適な配置につながらないと感じています。今後は、部全体で案件と人材を横断的に管理し、マッチングを統括する機能を新たに設けて強化していきたいと考えています。
また、必要な「ずらし」という考え方も重要です。マッチングにおいては、技術者の希望条件や経験、案件自体の条件を完全一致させることだけが最適解ではありません。
技術者の経験や適性をきちんと見極めた上で、エリアや案件の内容、お客さまから求められている必要最低限の経験などを柔軟に捉え、どこまでマッチングが可能かを判断する仕組みが必要です。この判断を個々の営業担当者に委ねすぎず、営業組織全体で実行できる体制へと変えていきたいと考えています。
これにより、これまでマッチングできなかった案件と人材をつなぐ余地は、まだ十分にあると確信しています。需給を調整し、すでにある案件と人材をより高い精度でマッチングさせること、そしてこの両方の取り組みを進めることで、当社として稼働率をもう一段階改善していきたいと考えています。
通期計画の93.8パーセントに対してはまだ改善の余地がありますが、私たちが目指しているのは、一時的に数字を上げることではなく、高い稼働率を安定的に維持できる事業運営へと変革することだと考えています。
質疑応答:人材の定着率改善に向けた取り組みについて
司会者:「退職率は第3四半期で34.0パーセントとなり、第2四半期の33.3パーセントから上昇しています。通期計画の27.9パーセントに対しても、高い水準です。資格取得支援や人事制度の改定など施策を進めていらっしゃるとのことですが、効果はいつごろ現れるとお考えでしょうか?」というご質問です。
柴田:人材の定着については、引き続き会社として最も重要な経営課題の1つであると認識しています。第3四半期の退職率が34.0パーセントとなり、改善が見られなかった点については、経営として率直に受け止めています。
退職理由は1つではないと思いますが、第3四半期までを振り返ると、稼働率が低迷した局面で、待機期間中に退職する技術者が増えたことが退職率を押し上げた要因の1つだと認識しています。
待機の問題は先ほどの稼働率の話とも関連しますが、まずは待機そのものをしっかりと減らし、できる限り早急に本人に適した現場へ配属することが重要だと認識しています。
一方、定着の課題を待機だけでご説明できるとは考えていません。施工管理派遣や建設派遣という仕事の特性上、技術者は日々お客さまの現場で業務を行っています。そのため、会社として意識的に接点を作らなければ、技術者と会社との間に距離が生じやすいと考えており、ここを重視しています。
今年に入り、東京では毎月1回、テーマ別交流会を開催しています。技術者に集まってもらい、イベントを行ったり、会社から必要な情報をしっかりと発信したりしています。また、技術者同士や内勤社員とのコミュニケーションを意図的に作る機会として活用しています。
当然、この場に全員が参加するわけではありません。ただ、参加している技術者に限定すると、離職率が低い傾向があります。また、参加者数も毎月増加傾向にあり、これは非常に喜ばしい状況です。この取り組みは、私たちにとって重要な示唆を与えています。
つまり、給与や制度といった外的要因だけでなく、技術者が「自分はこの会社に所属しているんだ」「会社が自分を見てくれているんだ」と感じられるような接点を日常的にどれだけ作れるかが、重要だと考えています。
今回、テーマ別交流会を通じて東京本社では一定の手応えを得られました。そのため、今月9月からは関西支店でも同様の交流会をスタートします。
もちろん、交流会イベントだけで定着率の改善が図れるとは考えていません。オンライン・オフラインを問わず日常的な接点を増やすことに加え、技術支援課の体制強化も重要です。単に支援課の人数を増やすだけでなく、ヒアリング力や対応力の向上など、体制そのものを改善していきます。
その上で採用時のミスマッチを減らし、早期に適切な現場へ配属すること、配属後もフォローを継続することが大切です。
また、資格取得の支援や、それを人事制度で評価に反映させる仕組みを整備し、中長期的なキャリアを描ける環境を提供することが求められます。これらの取り組みは、先ほどご説明した人事制度と連携し、一連の施策として構築されています。
適切な現場で働けること、会社とのつながりを持てること、そしてこの会社で働くことで成長し、将来を描けるという3つをしっかりと作り上げることが重要です。
効果がきちんと数字に表れるまでには一定の時間が必要だと考えていますが、経営として最優先でしっかりと取り組んでいきたいと思います。
質疑応答:生産性向上の目的と取り組みについて
司会者:「中期経営計画では、生産性の向上も重点施策の1つですが、今回のコーポレートDX推進部の新設、基幹システムの刷新、AI活用やBPRの推進など、具体的な取り組みが増えてきています。
これらは今後、業績面ではどのような効果につながっていくとお考えでしょうか? また、効果が現れるまでの時間軸についても教えてください」というご質問です。
三井:私たちが掲げている生産性向上の目的は、単純なコスト削減を意味するものではありません。事業規模が拡大しても、それに比例して管理コストや業務量が増加しないよう、スケーラブルな事業基盤を構築することを目的としています。
当社の事業では、技術者数の増加に伴って採用、営業、人事労務、経理といった業務量が飛躍的に増えていきます。これまでと同様の業務プロセスで規模を拡大していく場合、売上が着実に伸びても、その分販管費も同様に増加することになります。
そのため、業務プロセス全体を見直し、システムやAIの活用を前提とした業務設計へと転換する必要があると考えています。この取り組みが、中期経営計画で掲げている生産性の向上に直結しています。
まず、第3四半期までの取り組みとしては、6月にコーポレートDX推進部を新設し、7月には基幹システムのリプレイスを実施しました。さらに、第4四半期からは、営業組織および業務プロセスの再設計を通じた営業の生産性向上プロジェクトにも着手しています。
定型業務を標準化または自動化することで、営業・採用・バックオフィスの生産性を向上させ、人がより付加価値の高い業務に時間を費やせる環境を整備していくことを目指しています。全社横断のBPR(業務プロセス改革)への取り組みを段階的に進めている状況だとご理解いただければと思います。
次に、時間軸についてご説明します。短期的にはシステム投資や人材投資が先行することになるため、直ちに大きな効果が現れるものではないと考えています。
なお、中期経営計画では、今期から来期にかけてを先行投資のフェーズと位置付けています。この期間において、生産性向上に向けた取り組みを投資とともにしっかり進めていきます。そのため、投資効果は再来期以降の利益成長フェーズで顕在化することを想定しています。
そして、この売上成長と販管費の増加を非連動化させることで、規模拡大の中でも中長期的に利益率を改善できる体制を構築することが、私たちが最終的に目指しているかたちです。
質疑応答:建設人材プラットフォーム構想の全体像と今後の展望について
司会者:「今回の決算説明資料では、これまで個別にご説明されていた施工管理技術者派遣、職人紹介、建設DXなどが『建設人材プラットフォーム』という1つの構想として整理されています。
投資家から見ると、それぞれの事業がどのようにつながり、最終的にどのような収益モデルや競争優位性につながっていくのかが重要だと思います。この構想の全体像と進捗を何で判断すればよいのかを教えてください」というご質問です。
柴田:建設人材プラットフォーム構想については、今回の資料でも特に重要なテーマとしてお伝えしたかった部分です。
まずお伝えしたいのは、私たちが目指しているのは、単に施工管理派遣にいくつかの新規事業を加えて売上を伸ばすことではありません。さらに大きな視点で、建設業界で働く人を中心に、業界を支える人材インフラを構築したいと考えています。
建設業界では、これから人手不足や高齢化、生産性向上、技能の継承が必要になると考えています。また、建設DXも進んできており、業界は大きな構造変化に直面しています。
しかし、建設現場を実際に動かしているのは最終的には「人」です。現場監督、職人、専門工事会社、ゼネコン・サブコンがそれぞれの現場でつながることで、初めて建物は作られます。
つまり、建設業界の生産性を本当に高めるには、単に新しいシステムを導入するだけでなく、誰がどのような経験や技能を持ち、どこで最も活躍できるのかを把握した上で、業界全体の人材の流れをより良くしていく必要があると考えています。
その点において、ナレルグループはすでに特徴的で大きな資産を有していると考えています。
まず、3,700名を超える施工管理技術者が在籍しています。また、スーパーゼネコンさまから地場ゼネコンさま、さらにはサブコンさままで、幅広いお客さまとの取引実績があります。さらに、当社の強みとして、全国建設人材協会やコントラフトを通じて、職人や専門工事会社との接点を広げてきた点が挙げられます。
全国建設人材協会の会員企業数は2,100社を超えています。また、スカイマティクス社やArent社、BRANU社といった企業との連携を通じて、テクノロジーを現場で実際に活用していただけるよう支援する取り組みも始まっています。
つまり、現在ナレルグループには、人材、企業ネットワーク、テクノロジー、そして建設現場とのリアルな接点が揃っています。
私たちは、これらを単なる1つの事業としてとどめるつもりはありません。建設、人材派遣、施工管理の派遣、職人紹介、DX人材、導入・定着支援、そしてBPOを1つの顧客基盤、1つの人材基盤でつなぎ合わせていきたいと考えています。
また、中長期的には、このような人材がどのような教育を受け、どのような資格を持ち、どのような現場でどのような経験を積んできたのかというキャリアをデータ化していくことが、会社として重要だと思っています。
将来的には、単に案件に誰を派遣するかという従来のモデルにとどまらず、「この人をどの現場に配置すれば成長できるのか」「どの現場で最も力を発揮できるのか」「企業側にはどのような人材が最適なのか」といった点まで、より精度高く支援できるようになると考えています。これ自体が、お客さまから当社をご指名いただける大きな強みの1つになると感じています。
私は、これが実現すれば、企業と人材の両方に大きな価値をもたらすと考えています。お相手となる企業にとっては、必要な人材や技能により早く、適切なタイミングでアクセスできる点が大きな利点です。
また、働く人にとっては、転職などで会社が変わっても、これまで積み上げてきた経験や資格、技能がしっかりと価値として認識され、それが次の仕事やキャリアにつながる仕組みが整うことになります。
そして業界全体から見れば、限られた建設人材がより適切な場所で、より高い生産性を発揮できる環境を実現することが重要です。このように、建設業界において私たちが目指している人材インフラを確立し、将来的にはそのような仕組みを提供する会社として成長させていきたいと考えています。
もちろん、これは明日完成するものではありません。しかし、私たちはゼロからこの構想を語っているわけでもありません。施工管理派遣で長年にわたり築いてきた人材基盤と顧客基盤に加え、新たに職人や専門工事会社とのネットワークが形成され始めています。
また、テクノロジー企業との連携が進み、さらにはBPOやDXの現場実装も開始されています。これまで点として積み上げてきた取り組みが、ようやく線としてつながり始めました。現在、この線をさらに面へと広げていく段階に来ていると考えています。
投資家のみなさまには、ナレルグループを単に技術者を派遣する会社として評価するのではなく、今後は建設業界で働く人々と企業をどれだけつなぎ、人の価値をどれだけ高め、業界そのものを支えていく会社としてご評価いただけるように変えていきたいと考えています。
抽象的な表現になってしまい申し訳ありませんが、まずは建設・施工管理派遣という事業のマルチプルを変え、引き上げていくことが上場企業として重要な取り組みだと考えています。
また、現在のように人口が減少している社会においても、建設業界の施工そのものが回る仕組みを構築し、そこを通じて当社を選んでいただける存在になることが、今後の重要なポイントだと思います。
評価指標の1つであるKPIについては、職人事業においては紹介数、ダイレクトリクルーティングのプロダクト導入数、単価が重要な項目となると考えています。
また、来期からは各DX企業さまと連携したオンボーディング人材支援が本格的に動き始める予定です。この支援において、毎月どの程度の人員が確保され、売上が積み上がっていくかというストック収益の状況も注視していきます。
さらに、注力事業であるBPO領域については、案件数、月次売上、そして必要なプロジェクトマネージャー(PM)数などの成果を社内で正確なKPIに落とし込みながら、施工管理派遣とは異なる新規事業として、来期以降には明確な開示ができるよう準備を進めようと考えています。
また、施工管理派遣事業をコア事業として強固なものにしながら、業界に新たに必要とされる企業を目指して進んでいきたいと考えているため、どうぞよろしくお願いします。
柴田氏からのご挨拶
柴田:本日はお忙しい中、最後までご参加、ご視聴いただき、誠にありがとうございました。本日お話ししたとおり、当社にはまだ課題が残っており、改善すべきテーマも存在します。
足元の事業を強固にしつつ、将来の成長に向けた取り組みを着実に進めていきたいと強く思っています。私自身、2030年に向けてナレルグループをもう一段、さらにはもう二段と大きく成長させ、みなさまの期待にしっかりと応えられる企業へと発展させたいと考えています。
引き続き、ナレルグループへのご理解とご支援、そして応援を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。