企業情報
設立:2021年4月
事業内容:施設インテリア・内装に係る企画、デザイン設計、施工および家具・什器等の提供をワンストップで手掛ける総合インテリアソリューションプロバイダー
登壇者名
株式会社オリバー 代表取締役社長CEO 大川和昌 氏
株式会社オリバー 常務取締役 浦隅明弘 氏
会社概要
浦隅明弘氏(以下、浦隅):常務取締役の浦隅です。よろしくお願いします。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。当社の会社概要については、目論見書のカラーページをご覧いただくと、イメージがつきやすいかと思います。
当社は「インテリアをデジタルテックで進化させるデジタルインテリアソリューションプロバイダーとして社会に貢献する」という想いのもと、ホテル、オフィス、レストラン、商業施設、医療・公共施設など、ホスピタリティの高い空間に対してインテリアソリューションを行うことにより、社会やお客さまの課題解決をデジタルとともにワンストップで図る企業です。
みなさまが日常生活の中で必ず接する施設において、当社の家具が非常に高い確率で使用されています。オリバーという企業名は、まだ広く認知されていないかもしれません。しかし、私どものお客さまや、そこで使用されている当社の家具には、知らず知らずのうちに触れたことがあるのではないかと思います。
このような施設にお越しの際に家具をご覧いただくと、空港などさまざまな場所で、イスをひっくり返さないまでも「oliver」というロゴを目にしていただけると思います。
質疑応答:再上場までの5年間の変革について
質問者:5年前にいったん上場廃止となり、今回再上場されたということですが、この5年間で御社にはどのような変革があったのでしょうか? また、再上場する際の思いについて、大川社長におうかがいしたいです。
大川和昌氏(以下、大川):代表取締役社長CEOの大川です。目論見書の「2.沿革」をご覧ください。数字は記載されていませんが、MBO前はほぼ家具屋、家具メーカーという位置づけでした。
当時、何のためにMBOを行ったのかを開示していたとおり、少子高齢化が進む中、コンサルティングからデザイン、内装設計、外装工事、造作家具、そして元来の祖業であった家具まで、ワンストップでお客さまから直接お仕事をいただけるようなビジネスモデルに転換するためです。
社会には膨大な数の古くなったビルのストックがあり、それらをすばらしい空間に変えていける企業にならなければ、人口減少が進む中でイスとテーブルだけを作っていては成長は難しいと考えました。
また、当社のホテルや飲食関連のお客さまがコロナ禍で大変な打撃を受けたこともあり、まだ直接的な影響が少ないうちにMBOを決意しました。
複数のファンド企業と話し合いを行いましたが、私たちの想いを共有し、一緒に取り組んでいただけるファンド企業に協力を得てMBOを実施しました。その結果、この5年間でほぼ計画どおりにビジネスモデルを転換することに成功しました。売上のカーブが急上昇しているのは、モデルチェンジがうまくいった成果であると自負しています。
質疑応答:インテリア業界の市場展望と成長領域について
質問者:インテリア業界の市場は、今後ますます拡大していくのでしょうか? それとも改装がメインとなり、堅調な成長になるのでしょうか?
大川:各社で見解は異なりますが、私は、2030年以降は新築が減少し、既存のビルや施設の改装がメインとなると思います。日本はそのような国になると考えています。
その際には「AIを活用してどのように働くか」ということを反映したオフィスや、インバウンドのお客さま向けの改装が重要になります。例えば、日本人に比べて多人数で宿泊される傾向のあるインバウンドの方々に対応するため、2部屋をつなげて1部屋として5人が泊まれるようにする、ホテルの改装工事などです。
このような取り組みを進めることで、当社は2040年頃まで十分な需要があると予想しています。新築だけに焦点を当てることは、少し先細りになると思います。
浦隅:当社の強みである5つのマーケットについて、それぞれの市場動向は多少異なると考えています。現状、金利が発生する時代において、オフィスや不動産市況を含めると、2030年以降は多少なりとも鈍化してくる可能性があると見ています。
一方、最近為替が若干動いていますが、円安と外資の動きは非常に相性が良く、日本の不動産を一括で購入し、ブランディングを行うケースが増えています。このような案件は主にリニューアル工事が主体となっており、当社は特命でご発注いただける立ち位置を築きつつあります。
また、チェーンストアにおいては、国内だけでなく日系企業の海外進出が進み、海外で成果を上げる企業が増加しています。当社も海外出店支援を進めており、まだ数字としては小さいものの、成長領域として捉えられると考えています。
インテリアをよりわかりやすく、デジタル技術を駆使してみなさまに提供していくことも、当社の使命だと考えています。
ホームユースは非常に身近でわかりやすい領域です。個人で自宅の家具を整えようとする際には、ご自身の予算に応じて小売店や家具店を訪れ、インテリアを揃えることができるかと思います。
一方で業務用インテリアとなると、途端にわかりにくい世界となります。このような領域に対しても、当社が光を当てることで社会課題の解決を図り、日本のインテリアの発展に貢献していきたいと考えています。また、生産性や品質の向上を図ることで、人口減少というマクロの課題がある中でも当社の成長領域を拡大していきたいと考えています。
質疑応答:継続顧客売上の高さの要因と強みについて
質問者:継続顧客売上が非常に高いのですが、お客さまにそれだけ支持される御社の強みはどのあたりにあるのでしょうか?
大川:当社はメーカーから発展したという背景があり、非常に強固な強度を持った設計や、ベストな金額の調達といった強みを有しています。加えて、現在はインテリアデザイン力も備えており、これまで家具だけを購入していたお客さまから「全部任せるよ」といったかたちで、アップセルにつながっています。
また、継続顧客売上88パーセントのうち、約40パーセントは毎年まったく同じ商品を納品しています。例えば寿司チェーンのスシローさまでは、まったく同じフォーマットで完全に同一の商品を月に10店舗ほど納入しています。また、タリーズさまの店舗でもまったく同じ商品を納品するケースもあります。
三井不動産さまに関しては、「ららぽーと」においてほぼ特命に近いかたちで共用部のご注文をいただいています。ホテルでは時折コンペになることもありますが、物流センター内のオフィスは当社が非常に得意とする分野であり、このような案件もかなり特命に近いかたちで発注をいただいています。
このように、同じ企業さまであっても多様な施設をお持ちの大手企業のお客さまが多く、そのような発注を含めて88パーセントという割合を実現しています。
浦隅:私どものお客さまは継続性が高く、ロイヤルカスタマーが増加しています。大手企業さまほどレギュレーション(基準)が非常に高く、担当者の方も数年で交代されることがあります。
そのため、私たちは担当者さま以上にその企業さまの基準を深く理解し、間違いのないものを継続的に納めることで、お客さまの事業の成長・発展において重要な役割を果たしていると考えています。このような取り組みがリピートにつながっているのではないかと感じています。
質疑応答:初日の株価推移と市場からの評価について
質問者:初日の初値が310円、終値が301円となりました。これに対する評価や市場からの受け止められ方について、社長はどのようにお考えでしょうか?
大川:私の立場としては、高くても安くてもどちらにしても悩むものです。泣くほどでもないですし、笑うほどでもないと言ったところでしょうか。
浦隅:今日1日の株価の推移や売買の流れを見ると、ご評価いただいているのではないかと認識しています。始まったばかりですので、株主さまのご期待に応えられるよう、しっかりと経営を行っていきます。
大川:当社は参入障壁が高いビジネスですが、事業内容がわかりにくく、一言で説明しにくい総合力を持っています。今後もPRを継続し、株主さまにご理解いただきながら、株価も順調に成長していくことを望んでいます。
今日の株価については、「市場からそのように評価されたのかな」「もっと説明をしなければならないかな」と考えていますので、ぜひ記事にしていただければと思います。
質疑応答:専門人材の確保について
質問者:業界全体で人手不足が問題となっている中、どのように、また、いつ頃専門人材を確保していくのか、その点についておうかがいしたいと思います。
浦隅:今回のIPOは、公募によるものではありません。そのような意味では、資金調達が目的ではなく、優秀な人材の獲得、競争優位性の確保、そして持続的な成長を目指しています。
当社は多くの有資格者が在籍していますが、優秀な人材をさらに獲得していくためには、市場における認知度の向上と信頼の獲得が必要だと考えています。また、人手不足に関連する課題として、持続的な成長投資の一環であるM&Aが大きく関わってくると考えており、こちらも今回のIPOの大きな目的の1つとして掲げています。
質疑応答:デザインと強度設計のこだわりについて
質問者:御社が手がけられた商業施設について、上質な空間の雰囲気が、訪れた人々の意識に伝わる部分があるかと思います。先ほどの「強固なプロダクトを設計する」という観点に加え、訪れた人々へ訴求するデザイン面のこだわりについて教えてください。
大川:一番の課題はバランスです。太ければ醜く見え、細ければ強度が不足します。そのため、施設に合った基準を満たすように強度設計を行っています。
例えば、「ヘビーデューティ」というシリーズがあります。通常、日本のメーカーではイスの落下試験を行いませんが、私どもでは20センチの高さから1,000回の落下試験を実施し、それをクリアした製品が「ヘビーデューティ」シリーズとなります。
特に、フードコートのような場所は、荒く使用されることが多い施設です。製品をテナントが所有していないため、乱暴に扱われる場でも耐えられるような強度設計を行っています。あるいは、丁寧に使っていただけるような高級ホテルのイスであれば、おしゃれさを優先していますし、当社は非常に豊富なノウハウを持っています。
例えば、9ミリメートルのダボを組み立てる際にも接着剤がはみ出ることを確認し、充填されていることを確認するなど、製造にも注意しています。当社は乃村工藝社や丹青社が競合先だと言われることがありますが、実際にはそうではありません。彼らも大切な仕事を手がける際にはオリバーに声をかけてくださいます。
今回の上場にも親引けとして、乃村工藝社の子会社や内田洋行にもご参加いただいています。オリバーは、特に木製品の強固な設計力をご評価いただいています。
浦隅:一般のお客さまからは、「この空間のデザインがいいね」としか認識されないかもしれません。しかし、そこには裏付けされた生産管理があり、それによって製品が生まれています。
先ほど社長が申し上げたように、この点についてはプロの方々から高く評価をいただいています。だからこそ、当社がお作りした家具がさまざまな場面で採用されているのではないかと考えています。
自社工場をお持ちの企業が厳しく管理するのは当然のことですが、当社はファブレスであり、当社の資本ではない工場やサプライヤーさまが生産をしています。それでも間違いのない基準を当社はしっかりと持っています。
さらに、基準を設けるだけでなく、当社が製造工程からしっかりと管理し、現場への納品までを一貫して担うことで、最終的な品質の向上につながり、ひいてはデザイン面への反映にもつながっていると考えています。
質疑応答:M&Aの計画について
質問者:M&Aのお話がありましたが、現在検討されているかどうか、または今後買収したい業界・業種などがあれば教えてください。
大川:一部開示しているかと思いますが、当社は最近、内装にも力を入れていることから、内装業や照明、屋外インテリアの会社など、アセットライトな企業でノウハウを多く持つような形態のM&Aをいろいろと検討しています。
ただ、現時点で蓋然性のある契約はありませんので、これからのお話になります。
質疑応答:インテグラル社によるサポートについて
質問者:少し昔の話になるかと思いますが、インテグラル社を選ばれた経緯や理由、上場に至るまでにどのようなサポートがあったのか、教えていただけますか?
大川:詳しくお話しすると長くなりますが、当社はMBOを行う際に3社ほどパートナー候補を検討していました。MBOも選択肢の1つという中で、良いパートナーがいなければMBOは実施しなかっただろうと思います。
幸いなことに各社からご提案をいただく中で、当社の現在のかたちを実現する方向にフルベットいただいたのがインテグラル社です。派遣された担当者の人柄や保有するノウハウ、資格なども十分に把握した上で、インテグラル社とともにMBOを実施しました。
本当に一体となって取り組んできたため、当社が望んでいたすべてを実現していただけたと感じています。その中にはM&Aも含まれていましたが、結果的に唯一それは実現しませんでした。
しかし、資格者の採用や研修制度、資本効率を考えた経営などに関するさまざまなアドバイスもあり、当社はこれまで内輪での経営を続けてきた企業であったため、こうした外部の視点は非常に有益でした。