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イード Research Memo(1):専門メディアを起点に「AIメディアカンパニー」へ進化

■要約

イードは、Webメディア・コンテンツの運営を行うクリエイタープラットフォーム事業(以下、CP事業)と、リサーチ及びECソリューションを提供するクリエイターソリューション事業(同、CS事業)を展開している。運営するWebメディア数は自動車、IT、エンターテインメント、金融など合計21ジャンル86メディアに上り、総登録会員数は100万人、月間ユニークユーザー数は2,500万人の規模となっている(2026年6月末時点)。特定メディアに依存しない「メディアポートフォリオ戦略」と、ネット広告収入のみに依存しない収益の多角化「360度ビジネス」戦略をAIエージェントも活用しながら推進し、「AIメディアカンパニー」として成長を目指している。

1. 2026年6月期の業績概要
2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比2.2%減の5,952百万円、営業利益で同50.8%減の226百万円と減収減益決算となり、期初予想(売上高6,400百万円、営業利益600百万円)に対しても未達となった。ネット広告における高利益率商材の売上が大きく落ち込んだことに加え、中長期的な成長を見据えてAI活用関連投資を実施したこと、サブスクリプションサービスや新規イベントの開催など多様な収益源を組み合わせた収益ポートフォリオの構築に取り組んだことが主因だ。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は子会社の吸収合併に伴う繰延税金資産の計上等により、同1.1%増の311百万円と増益を確保した。

2. 2027年6月期の業績見通し
2027年6月期の連結業績見通しについては、2026年9月1日付で連結子会社の(株)エンファクトリーの保有株式をすべて売却したことによる売上高及び利益へのマイナス影響や特別利益の見込み額を精査し、合理的な算定が可能となった時点で公表する予定にしている。エンファクトリーはオンラインショッピング事業や専門家マッチング事業、人材・組織開発支援サービス事業などを展開しており、2026年6月期の売上高は1,110百万円、営業利益は114百万円であった。2027年6月期は2ヶ月分が連結対象となるため、前期との比較では売上高で約9億円、営業利益で1億円弱程度の減収減益要因となる。一方で、株式売却益は6.4億円程度が見込まれるが、その他関連する費用などが発生する可能性もある。既存事業ベースではネット広告の売上が回復傾向となっているほか、ネット広告以外の事業を育成することでエンファクトリー売却によるマイナス影響を最小限に食い止める考えだ。また、AIの社内での活用領域が広がることで、生産性向上の効果も見込まれる。M&Aについても引き続き検討しており、メディアの場合は業界特化型で有料会員サービスなどネット広告以外の収入源を持っているところが対象となる。

3. 中期業績目標
中期業績目標として2030年6月期に連結売上高100億円、調整後連結EBITDA※12億円(2026年6月期は462百万円)を目指している。成長戦略としてCP事業では、AIでパーソナライズされた会員基盤「iid Smart id」をベースに、有料会員サービスやマーケティング支援サービスなど様々なサービスを効率的に展開することでネット広告依存のビジネスモデルから脱却し、AIメディアカンパニーとして「360度ビジネス」戦略を推進し高成長を目指す。また、M&A戦略の継続だけでなく、環境変化に合わせて事業ポートフォリオの入れ替えも適宜検討していく。

※ 調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用+M&A関連費用。

4. 株主還元方針
同社は配当方針として、2026年6月期よりDOE(連結株主資本配当率)の目安を従来の2.0%から2.5%に引き上げた。同方針に基づき、2026年6月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の23.0円(DOE2.5%)と3期連続の増配を実施した。2027年6月期も同1.0円増配となる24.0円を予定している。また、株主優待制度も導入しており、毎年6月末時点の株主(500株以上保有)に対して、継続保有期間1年未満の場合はQUOカード1万円分、1年以上の場合は1.5万円分を贈呈する。同社では今後も「成長投資」と「株主還元」の両立を重視し、持続的な企業価値向上を目指して配当や株主優待のほか自己株式取得についても適宜検討する方針だ。

■Key Points
・21ジャンル86メディアを基盤に、広告依存から「360度ビジネス」へ収益構造の転換を推進
・AI活用とM&Aにより2030年6月期に売上高100億円、調整後EBITDA12億円を目指す
・ネットキャッシュ27億円超、事業売却も含む資本循環型ポートフォリオ経営を推進
・DOE2.5%を目安に増配を予定、株主優待と自己株式取得の検討も含め株主還元を強化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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