■要約
コーア商事ホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場する、医薬品原薬の輸入・販売及び医薬品の製造販売等を行うグループの持株会社である。ジェネリック医薬品原薬の輸入・販売(原薬セグメント(原薬販売事業))からスタートし、現在は注射剤を主とした医薬品の製造販売、医薬品の受託製造(医薬品セグメント(医薬品製造販売事業))にも注力する。
1. 2026年6月の業績概要
2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比6.1%増の24,678百万円、営業利益で同2.3%増の5,476百万円、経常利益で同2.7%増の5,521百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%増の3,748百万円と、増収増益となった。売上高・各段階利益ともに過去最高を更新した。期初予想比では、売上高は顧客の在庫調整等に伴い下回ったものの、各段階利益は計画を上回って着地した。セグメント別では、原薬セグメントは、近年上市した品目の拡販や、ジェネリック医薬品の数量シェア拡大に伴い増収増益となった。また、医薬品セグメントは、蔵王工場で受託製造しているプレフィルドシリンジ製剤が堅調に推移したものの、本社工場の主力製品である錠剤の販売が競合の参入等により減少し、増収ながら利益は横ばいとなった。設備投資は、蔵王第二工場の建設が予定どおり進行し増加した。自己資本比率及びROA、ROEなどの経営指標はプライム市場に上場する全産業平均を上回り、高い安全性と収益性を兼ね備えていると弊社では評価する。また、「原則、毎年増配」の方針に基づき、1株当たり年間配当は期初予想から1.0円増配して同2.0円増の18.0円とし、株主還元にも十分に配慮している。
2. 2027年6月期の業績見通し
2027年6月期の連結業績は、売上高で前期比8.2%増の26,700百万円、営業利益で同3.8%減の5,270百万円、経常利益で同4.7%減の5,260百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.2%減の3,590百万円と、増収減益を見込んでいる。セグメント別では、原薬セグメントは、2025年以降上市品の貢献や2026年6月期に売上高予想の未達要因だった顧客での在庫調整があった取引が一巡し正常化すること等により増収を予想するが、税制改正の影響による租税公課の増加や人件費の増加などから小幅の増益を予想する。医薬品セグメントは、本社工場の主力製品である錠剤の販売が減少するが、蔵王第二工場を2027年3月に前倒しで稼働し、プレフィルドシリンジ製剤の主力製品増産により増収を計画するものの、減価償却費や賃上げによる人件費、研究開発費の増加等により減益を見込む。ただ、例年どおり保守的な業績予想であると弊社では見ている。配当については、減益予想であるが、1株当たり年間配当は、同1.0円増の19.0円を予定している。中・長期的な成長戦略に従って設備投資を行う一方、引き続き株主還元に十分配慮していると評価できる。
3. 中・長期の成長戦略
同社は2024年4月に長期事業計画の財務目標を公表し、2030年6月期に連結売上高40,000百万円、連結営業利益8,000百万円を目指している。2025年6月期以降、連結売上高・営業利益はともに年平均10%超の成長率を見込む意欲的な計画である。原薬セグメントの収益基盤に加え、成長ドライバーである医薬品セグメントを拡大させることで、両セグメントの営業利益を同規模にする。この長期事業計画の達成に向けて、3ヶ年の中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)では、売上高31,900百万円、営業利益6,530百万円、ROE12%以上を目標としている。原薬セグメントでは、長期目標達成に向けた蓋然性のある成長、サプライチェーンの強化と多様化、「医薬品専門商社」に向けた新規事業の推進、などを計画する。また、医薬品セグメントでは、開発提案型の受託事業(CDMO)戦略の推進、蔵王工場受託事業の本格展開、などを計画する。2027年6月期は一時的な踊り場であるが、事業戦略の推進によって2028年6月期からは成長軌道に戻る計画だ。弊社では、長期事業計画の達成に向けた中期経営計画の進捗状況を注視したい。
■Key Points
・2026年6月期は売上高・各段階利益ともに過去最高を更新。年間配当は期初予想を上回る増配を実施
・2027年6月期は増収ながら小幅な減益を見込む。減益予想ながら、年間配当は増配を継続する予定
・長期事業計画では、原薬セグメントの収益基盤に加え、蔵王第二工場の本格稼働により医薬品セグメントの拡大を計画。目標達成に向けて、3ヶ年の中期経営計画を推進中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)