マネーボイス メニュー

メンタルヘルスT Research Memo(2):ヘルスケアサービスを提供するWell-being企業

■会社概要

1. 会社概要
メンタルヘルステクノロジーズは、企業向けに産業医・産業保健サービスやクラウド型メンタルヘルス支援を提供する企業である。専門人材による業務支援とクラウドサービスを組み合わせたBPaaS事業※を中核に、従業員のメンタルヘルス対策や健康管理を支援している。同社グループは「ウェルビーイングのスタンダードを創る」をビジョンに掲げ、Well-beingサービスのリーディングカンパニーとして、メンタルヘルスや医療を取り巻く社会課題の解決を目指している。

※ SaaSなどのクラウドシステムとBPOを組み合わせ、単なるシステム提供や業務代行にとどまらず、業務プロセス全体を外部から継続的に支援・改善するサービスモデル。業務の標準化・自動化による効率化と、専門人材による運用支援や個別対応を組み合わせる点に特徴がある。

同社は2011年3月、現 代表取締役社長の刀禰真之介(とねしんのすけ)氏により創業された。その後、事業領域を拡大し、2022年3月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場、同年4月の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行した。同社の主要株主には刀禰氏のほか、第一生命保険(株)などが名を連ねている。

グループ会社では、(株)Avenirが中核子会社として2016年より産業医及び医療職の転職支援サービスを提供しているほか、(株)明照会労働衛生コンサルタント事務所が東海エリアを中心に大手企業向け産業医サービス、(株)みらい産業医事務所が九州エリアを中心に産業医サービスを提供している。また、2022年9月に新規設立した(株)ヘルスケアDXは、メンタルクリニックの運営支援サービス等を手掛ける。さらに、2026年3月にM&Aによりグループ入りしたインクルードは、就労移行支援事業所・自立訓練(生活訓練)事業所を運営し、2024年2月にグループ入りした(株)タスクフォースは、医療機関に対して看護補助者を中心とした人材サービスを提供している。このように、産業保健を中核としながら、メンタルクリニック運営支援、復職・就労支援、医療人材サービスまで事業領域を広げ、グループとしてヘルスケア・メディカル領域におけるサービス提供体制を構築している。このように同グループは、企業のメンタルヘルス対策を起点として、就労支援、医療機関向け人材サービス、クリニック運営支援などへ事業領域を広げている。上場企業として、第一生命保険などの大手企業を含む株主基盤も有し、メンタルヘルスと医療を軸とするヘルスケアグループの形成を進めている。

2. 沿革
同社は2011年3月、刀禰真之介氏が東京都千代田区に(株)Miew(現 メンタルヘルステクノロジーズ)を設立したことに始まる。創業当初はITソリューション事業を展開するとともに、製薬会社向けのデータ販売などを手掛けていた。2014年には、クリニック向けITサービスの共同展開を目的としてキズケアネット(株)を子会社化し、Miew System Service(株)(現 Avenir)へ社名変更するなど、早い段階から医療分野との接点を構築していた。

大きな転機となったのが2016年である。当時主力としていた製薬会社向けデータ販売事業は、製薬業界における検査データの不正・改ざん問題などを背景に、製薬会社が外部企業からのデータ購入を取りやめる動きが広がったことで事業継続が困難となった。これを受けて同社は事業ポートフォリオを抜本的に見直し、新たな事業を模索するなかで着目したのが産業医サービスであった。当時の産業医業界では、企業が法令上必要な産業医を選任・届け出する一方、実際の産業保健活動が十分に行われていない「形式運用」が少なくなかった。同社はこうした課題に着目し、法令が本来求める産業保健活動を実質的に提供することに事業機会を見い出した。2016年2月には、Miew System ServiceをAvenirへ社名変更してメンタルヘルスソリューション事業を開始し、同年4月には医師のキャリア支援事業も開始した。旧事業の縮小過程では従業員の多くが退職して2016年には少人数体制から再スタートしており、まさに現在の同社につながる「第二創業期」と位置付けられる。

その後、2017年にAvenirを完全子会社化し、2018年には社名をメンタルヘルステクノロジーズへ変更した。産業保健を中核とする事業基盤を拡大し、2022年3月には東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。上場後はM&Aや新会社設立を活用した事業領域の拡大を加速しており、2022年にヘルスケアDXを設立するとともに明照会労働衛生コンサルタント事務所を子会社化、2024年にはタスクフォース及びみらい産業医事務所、2026年3月にはリワーク(職場復帰支援)事業を展開するインクルードを子会社化した。さらに足元では、M&Aに加えて外部企業との提携を通じた「産業医クラウド」のサービス拡充も進めている。2026年7月には(株)グレイスグループと業務提携し、卵子凍結保管サービス「Grace Bank」を法人向けに提供することを発表した。同年8月にはInnoJin(株)と業務提携し、眼科オンライン診療サービスを「産業医クラウド」の付帯サービスに追加した。このように同社は、2016年の事業転換を起点として産業保健を中核事業に育成し、上場後はM&Aと業務提携を活用しながら、働く人のWell-beingを支えるサービス領域を段階的に広げてきた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。