■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画の概要
ロジザードは、製品開発及び人材への積極的な投資を通じて、事業規模の拡張と業績拡大の加速を目的とした中期経営計画を推進している。「時流×ハイタッチサービス」を基本成長戦略に掲げ、業績の拡大と企業価値の向上を図る基本方針に変わりはない。ここでいう「ハイタッチ」とは、顧客との密接な1対1のコミュニケーションを通じて課題や要望を緻密に汲み取り、個々のニーズに最適化された支援を提供するサービスを指す。最終年度である2028年6月期には売上高3,113百万円(2025年6月期比43.0%増)、営業利益539百万円(同31.8%増)、MRR209百万円(同40.5%増)を目標に据える。
売上高については、クラウドサービスをけん引役として、BtoB領域への取り組み強化を通じたMRRの安定成長に取り組む。また、次期中期経営計画を視野に入れた新規サービスの市場投入を現中期経営計画期間中に実施し、多様な顧客ニーズに対応することで受託開発売上の伸長と成長スピードの加速を図る。営業利益については、既存WMS事業の収益基盤の強さが継続しており、BtoB領域の拡大やMRRの積み上がりを背景に収益成長が続く見通しである。MRRについては、従来のBtoC企業からの案件に加え、BtoB領域案件の獲得により、堅調な積み上げを見込んでいる。
中期経営計画の方向性は、外部環境の変化を反映した適切な内容となっている。クラウドサービスによる高収益かつ安定した収益基盤の確立、BtoB案件の増加に伴う顧客単価の上昇が見込めることなどから、中長期的な成長が期待される。
2. 成長戦略
各成長戦略の進捗を見ると、BtoB領域への取り組み強化、未来を見据えた共創型での新規サービス開発、積極的な人材採用が着実に進展している。物流業界全体でDX需要が高まる環境下において、同社は既存事業の競争優位性を活かしながら新たな成長領域への展開を進めており、中期的な成長に向けた基盤整備は順調に進んでいると弊社では評価している。
(1) BtoB領域への取り組み強化
物流業界では2024年問題や人手不足への対応が重要課題となっており、企業の物流DX需要は一段と高まっている。同社はこれまで培ってきた物流ノウハウを活用し、BtoB領域向けソリューションの展開を加速している。2026年6月期は営業活動の強化によってBtoB案件の受注が拡大した。これに伴い顧客単価が向上し、MRRは前年同期比13.2%増と過去最高を更新した。また、製品開発面でもBtoB案件への対応力強化を進め、大規模かつ複雑な物流ニーズに対応できる体制を整備した。加えて、オービックビジネスコンサルタントや日建リース工業などとのパートナー戦略を推進し、新たな案件獲得につなげている。自社単独では接点を持ちにくい顧客層へのアプローチが可能となり、営業効率の向上にも寄与している。今後は流通・小売業中心の顧客基盤からさらに対象業界を拡大する。また、BtoB案件は大型化・長期化する傾向があるため、プロジェクトマネジメント人材の育成を強化し、案件遂行能力の向上を図る考えである。
(2) 未来を見据えた共創型での新規サービス開発
同社は既存事業の成長に加え、新たな事業機会の創出にも取り組んでいる。対象領域の拡大、研究開発、戦略的提携やM&Aを通じて、サプライチェーン全体を支える存在への進化を目指している。具体的な成果として、ぷらっとホーム(株)との共同研究により、ブロックチェーン技術を活用した共通デジタル荷札「Bit Waybill」の提供計画を発表した。物流業界全体でデータ連携の重要性が高まる中、業界横断的な情報共有基盤としての活用が期待される取り組みである。また、M&A及び投資活動を推進する専門部署を新設し、新規事業機会の創出と案件推進体制の整備を進めている。これにより、自社開発だけでは実現が難しい領域についても事業機会の拡大を図る方針だ。今後は「Bit Waybill」の提供開始に伴い、初期導入企業への定着支援を進めるとともに、参加企業の拡大に向けた営業活動を強化する。また、M&Aや提携を活用しながらサービス領域やノウハウを拡充し、物流全体を支える総合ソリューション企業への発展を目指している。
(3) 積極的な人材採用
同社の強みであるハイタッチサービスを継続的に提供するためには、人材の確保と育成が不可欠である。このため中期経営計画では積極的な採用投資を継続し、2028年6月期には177名体制の構築を目標としている。2026年6月期は計画上の目標人数152名に対し、採用活動そのものは順調に進捗したものの、一部人材の入社時期が2027年6月期へずれ込んだことから147名で着地した。ただし、採用基盤の整備は大きく前進している。採用プロセスや採用チャネルの見直し、採用サイトの刷新、データ活用による改善活動を進めた結果、応募者数は計画比2.6倍を達成した。これにより、将来的な採用活動の再現性向上に向けた基盤が整備された。2027年6月期は167名体制の実現を目標とし、前期に構築した採用基盤を活用しながら、必要な人材を量・質の両面で確保していく方針だ。また、採用後の立ち上げ支援やエンゲージメント向上施策も強化し、人材の定着と戦力化を進める考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)