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ドリーム・アーツ Research Memo(3):ノーコード開発ツール「SmartDB」でデジタルの民主化を推進(1)

■ドリーム・アーツの事業概要

1. 経営環境
同社は「BD(ビッグ・ドーナツ)市場」にフォーカスし、「BD市場のリーディングカンパニー」を目指している。BDは同社の造語で、「ビッグ」は同社がターゲットとする国内の従業員1,000名以上の大企業を指す。「ドーナツ」は企業内システムを指し、ERPなどのミッションクリティカルな基幹系システムを取り囲むように配置されている現場部門向けのシステム領域を指す。同社は一般的な業務(非ミッションクリティカル領域)のデジタル化からMCSA※1(MCS※2周辺領域)まで幅広い範囲で「SmartDB」の活用を考えている。近年、多様なSaaS(経費精算、請求書管理、契約・法務、顧客管理、マーケティングオートメーション、ビジネスインテリジェンスなど)が普及し、BD領域の投資効率は徐々に向上しているが、大企業においては未だレガシーな基盤システムの保守に多くの予算が使われており、デジタル化を遅らせる大きな要因となっている。DX推進には、基盤システムの刷新と業務プロセスのデジタル化が必須で、それには同社の注力エリアであるノーコード開発ツールの活用が有効である。

※1 MCSA(ミッションクリティカルシステムエイド):同社の掲げる「ミッションクリティカル領域のシステムを支える」というコンセプトのこと。SupportではなくAidという表現を使用しているのは、Aidが「困難な状況にある人や組織を実践的に助ける」という意味を含むためであり、同社の「BD領域の業務デジタル化」に取り組む姿勢を示す。
※2 MCS(ミッションクリティカルシステム):「Mission(任務・使命)」と「Critical(危機的な・重大な)」を掛け合わせた語で、企業や組織の存続に欠かせない業務を遂行するうえで重大なシステムを指す。金融機関の勘定系システム、製造業の生産管理システム、鉄道会社の運行管理システムなどが挙げられるが、財務会計システム、人事労務システムなどは業種を問わず該当する。

主力製品である「SmartDB」はERPフロントシステムとしての活用が可能であり、その市場規模は1,630億円になると予測されている(デロイト トーマツ ミック経済研究所(株)「ERPフロントソリューション市場の実態と展望2026年度版」※)。一方、「SmartDB」が分類される国内SaaS市場の規模は2兆9,083億円と見込まれている((株)富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2026年版」※)。同社は、「SmartDB」はこれらの市場にとどまらず、受託開発にも引けを取らない高度な機能を備えているため、受託開発市場8兆7,673億円(総務省情報流通行政局 経済産業省大臣官房調査統計グループ「情報通信業基本調査結果2022年3月29日」※)へのアクセスも可能だと考えている。なお、同社は、「SmartDB」の提供価格から算出した市場規模を3,220億円と推計している。これは、同社のターゲットである1,000名以上の大企業3,722社に就業する従業員数1,342万人(総務省統計局「令和6年経済センサス」※)に、「SmartDB」と他製品をセットで利用した場合の想定金額(1人当たり月額2千円)を乗じて算出している。現在の売上規模、顧客基盤から考えると、成長余力があると思われる。

※ 同社提供資料より抜粋。

2. 事業セグメント別概要
同社は、「クラウド事業」「オンプレミス事業」「プロフェッショナルサービス事業」を展開している。クラウド事業では、「SmartDB」「InsuiteX」「Shopらん」「DCR」を提供しており、いずれも月額利用料によるストック収益となる。オンプレミス事業は、過去に販売した「SmartDB」「INSUITE」のパッケージソフトウェアの管理・運用業務でライセンス料がスポット収益、ソフトウェアメンテナンス料がストック収益となる。プロフェッショナルサービス事業は、クラウド事業及びオンプレミス事業にかかるシステム開発・改修、導入支援、各種作業などの労働集約型業務でスポット収益となる。2025年12月期の売上高比率は、ストック収益が87.5%、うちクラウド事業が79.0%を占め、収益基盤は安定している。

(1) クラウド事業
クラウド事業は、自社開発したアプリケーションソフトウェアをSaaSの形態で提供する事業である。提供サービスは、幅広い業界で利用される「ホリゾンタルSaaS(「SmartDB」及び「InsuiteX」)」と、特定の業界で利用される「バーティカルSaaS(「Shopらん」)」及び特定顧客向け開発運用一体型サービス「DCR」がある。ホリゾンタルSaaS及びバーティカルSaaSは月額利用料によるストック収益で、利用人数や用途に応じてユーザーライセンス、バインダ(データベース)ライセンス、各種オプションなどの組み合わせを可能としている。一方、「DCR」は開発するシステムの要件の個別性が高いため、内容に応じてサービス料を定めている。

a) ホリゾンタルSaaS「SmartDB」
「SmartDB」は、プログラミング不要のノーコード開発ツールである。ノーコード開発ツールは、業務に精通した現場担当者がシステム開発を推進することで、要件定義や仕様設計などの開発プロセスを短縮し、開発生産性を向上できる。さらには、現場部門自らが業務デジタル化を推進することで、これまで放置されていたアナログ業務のデジタル化が進み、DXに向けた企業文化や組織風土の変革に取り組みやすい環境づくりにもつながる。単純なデータベースやワークフローといった標準的なものから、ERPのフロントシステムや生産管理・在庫管理などの基幹業務を支えるサブシステムに至るまで、幅広い領域で活用できる。従来は、こうしたMCSの周辺領域もシステムインテグレーターが担っていたが、ノーコード開発ツールにより現場主導で開発・運用が可能となるため、投資効率の向上とビジネス環境への機動的な対応が同時に実現した。多くのSaaS企業が提供する経費精算業務などでは、後から機能不足が判明しても諦めるか、大掛かりなカスタマイズが必要になるが、「SmartDB」は多くの場合でそうしたカスタマイズをせずに機能追加可能な点も強みである。

「SmartDB」の競合優位性は、優良な顧客基盤、豊富な導入実績、大企業における業務デジタル化ノウハウ及び運用ノウハウの蓄積により築かれている。これらの導入実績とノウハウの蓄積は、大規模組織で利用する際に要求される、高度な権限管理や複雑な業務プロセスを構築する機能の網羅的な実装につながっている。また、大企業に対する難易度の高い商談プロセスをマネジメントする営業体制と、業務デジタル化を短期間で成功に導く手厚い導入支援体制(課題ヒアリング、初期設定、操作トレーニング、アプリケーション開発支援、運用・展開方法の検討支援、事務局支援など)も強みだ。

「SmartDB」は、アイティクラウド(株)が運営するIT製品レビュープラットフォーム「ITreview(アイティレビュー)」で発表された「ITreview Grid Award 2026 Summer」において、「ノーコードWebデータベース」「ワークフローシステム」「文書管理システム」の3部門において、SaaSで唯一、最高位の「Leader」に同時認定されている。「ITreview Grid Award」では23期連続、3部門同時は17期連続での受賞となり、対外的な評価及び認知度も高まっている。また、テクノ・システム・リサーチの「2025年SaaS型ワークフロー市場のメーカーシェア調査」によれば、「SmartDB」は全体市場シェアが28.0%で5年連続No.1、従業員1,000名以上の大企業におけるシェアは51.9%でこちらもNo.1を獲得しており、こちらも5年連続となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)

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