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クオルテック Research Memo(9):2030年に売上高70億円以上、営業利益率15%以上を目指す

■クオルテックの成長戦略

1. 新・中長期経営目標
同社は2026年8月、「事業計画及び成長可能性に関する事項」にて2030年を見据えた新たな経営目標を公表した。これまでの2027年に向けた経営目標(売上高50億円以上、営業利益率10%以上等)を見直し、2030年を見据えて企業価値最大化を図るべく、そのための目標を新たに設定した。2030年に向けた経営目標として、2030年の売上高70億円以上、営業利益率15%以上、設備能力40%増強、人員の30%増強、信頼性評価事業対SAMシェア3.5%を掲げた。売上面ではCAGRを12.9%に設定、既存部門の成長や新規事業の育成による事業領域拡大といったオーガニックな成長と合わせて事業提携やM&Aを積極化する。営業利益率については高付加価値案件の獲得や、各部門での自動化、AI/DXの推進による生産性向上を図ることで達成を目指す。設備投資では有形固定資産残高を40%積み増す(大阪・名古屋等の新拠点開設を含む)。研究開発費については売上比5%(2026年6月期実績は5.4%)を維持する。信頼性評価事業対SAMシェアについては、営業面の強化により市場成長を上回るシェア拡大を図る。

2. 事業構造改革
また同社では2026年7月、中長期的な企業価値向上を目的として事業ポートフォリオを見直すべく、事業構造改革を推進していくことを公表している。同社の主力事業である信頼性評価事業と微細加工事業のさらなる成長と、新たな収益の柱となる事業を育成することが中心テーマである。これら2事業に加え、パワー半導体試験機や測定器等の評価装置事業を新たな成長ドライバーと位置付け、将来の成長事業の創出に取り組むべく経営資源を集中させる方針だ。

この方針の下、収益性の低い事業からの撤退と成長性の高い事業への重点投資、及び新規事業創出を推進する。収益性の低い事業からの撤退については、バイオ事業を解散するとともにGeO2半導体事業から撤退する。前者は前期に厚生労働省から受注した案件の完了を受けて事業環境を見直したうえで決定に至った。今後の受託試験については分析部門で対応する。当該事業における人的・研究開発資源は主力事業及び成長事業に振り向ける。後者は半導体事業において、パワー半導体の受託事業から装置事業へ進化する施策の一環で、Patentix(株)との資本・業務提携を解消する。Patentixとの間で推進してきた「びわこ半導体構想」が一定の技術的知見及び人材面での成果を得ることができたことを踏まえて決定に至った。これらの知見は今後の信頼性評価事業におけるパワー半導体分野での分析・試験への活用が期待される。

一方、新規事業としてパワー半導体試験機や測定器等の評価装置事業、及びMAPプロジェクトを推進していく。パワー半導体試験機や測定器等の評価装置事業は、これまで信頼性評価事業において培ってきた信頼性評価技術や国内主要メーカーとの取引実績、パワエレテクノセンターのリソースを活用しながらパワーサイクル試験向けの試験機や測定器などの開発及び販売を推進する。将来的には今後発生する新たな試験に対応した試験機や測定器、電子部品の実装部の故障解析ソフトウェア、全固体電池の劣化状態を測る測定器といったアイテムの販売を拡大していくことを目指す。MAPプロジェクトについては低コストかつ環境負荷の低いコーティング技術の実用化に向けた取り組みであり、中長期的な成長の担い手として取り組みを強化していく。

微細加工事業の2030年までのCAGRは14.3%を見込む

3. 成長戦略
(1) 信頼性評価事業
信頼性評価事業については、これまで培った顧客基盤や自社設備を背景に安定した収益基盤としての成長を図るとともに、高付加価値が期待できる分野については積極的にリソースを集中させることでさらなる利益成長を目指す。前者は自動車、家電、電子部品を重点マーケットとし、積極的な設備投資と営業活動の強化によりシェアアップを図り事業領域を拡大する。後者については半導体やファウンドリを主要マーケットとし、分析・解析部門が中心となって積極的な設備投資と人材育成を図りつつ、営業強化による受注拡大を目指す。これらの施策により事業領域の拡大と利益成長の両面での成長を図り、企業価値の向上につなげる。

同社は国内の信頼性評価事業に関する市場規模として、2030年のTAM(事業が獲得できる可能性のある市場規模)を7,000億円、TAMのうち同社がターゲットとするエレクトロニクス分野を対象とするSAMを2,000億円と想定している。またSAMのうち同社の目指す売上規模(SOM)を70億円と設定した。エレクトロニクス分野を対象とした分析・解析に関する外注市場規模は、今後の先端半導体や全固体電池等の高度な次世代技術が広まるにつれて試験業務の増大や外注率の上昇が見込まれるが、TAM及びSAMにおける2030年までのCAGRとしては、TAMについては5~6%、SAMについては6%と想定している。同社としては2030年の事業の売上高を59億円以上とし、事業に係るCAGRを13.8%(装置事業を含む)と設定している。市場の成長を上回る成長を図ることで中長期の目標を達成する考えだ。同社としては2030年の目標達成に向けたマイルストーンとして、2026年を再構築フェーズと位置付け、この期間に設備・組織の基盤拡充を図る。2027年から2028年にかけての期間を収穫フェーズとし、新拠点の開設・拡充を図る。2028年から2030年にかけては加速フェーズとして装置事業への本格進出を図り、新規事業領域として確立させる方針である。この期間において組織構造改革をはじめ、設備・人材投資の活発化、AI活用、パワー半導体評価装置事業の拡大を図ることで事業領域拡大と利益面の成長を目指す。

(2) 微細加工事業
微細加工事業では現在の注力市場である車載部品、ヘルスケア、通信その他の3分野を対象に継続的な成長を図る。車載部品については自動運転に関連したカメラモジュール、ミリ波レーダ、照明用LED放熱基板等の市場拡大が見込まれるほか、ヘルスケア分野では医療機器、医療器具等のディスポーザル品、超音波プローブ、カテーテル、マイクロ流路といったアイテムに関する受注増が期待できる。通信その他の分野では高周波基板、大電流基板、バスバー内蔵基板等の特殊プリント配線板が対象アイテムとなる。これらの高難度なものづくり技術が要求される分野において自社のレーザ加工技術により対応することで、高付加価値・特殊用途・製品ライフの長い製品の受注増を目指し、利益面の成長を目指す。レーザ加工事業は原材料が不要で固定費率も低いことから、試作品受注から量産化に至る受注を多く獲得することで利益面の高い成長が期待できる。今後も各市場の拡大が予測され、受注増が見込まれることから、2030年の売上高を9億円以上、CAGRを14.3%と設定した。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)

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