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船場 Research Memo(6):積極的な成長投資(人材、DX、提携等)による企業規模の拡大、利益率の向上を目指す

■成長戦略・トピック

船場では、2025年12月期を初年度、2027年12月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を推進中である。スローガンは、「Create More Fun and More Fans!」であり、顧客志向のさらなる深耕による高付加価値の提供を宣言している。重点施策には、(1) 未来を創る人材の育成と獲得、(2) 「Good Ethical Company」のファンベース構築、(3) サービス領域の拡大と提供価値の向上、(4) 持続的成長を支えるサプライチェーン、(5) グローバル市場の深耕を掲げた。数値計画では、最終年度となる2027年12月期に、売上高で400億円、営業利益で25億円、親会社株主に帰属する当期純利益で17億円、配当性向50%以上、ROE10%以上を目指す。事業領域では、短期的には「オフィス・余暇施設等」分野が、中期的には海外市場が成長ドライバーとなるだろう。進捗は順調であり、中期経営計画最終年度のさらにその先を見据えた先行投資が続いている。

(1) 未来を創る人材の育成と獲得
ディスプレイ業界においても人材採用の難易度が上がっている昨今ではあるが、同社では積極的な人員採用を行っており、将来の成長に向けた体制強化は着々と進んでいる。連結従業員数は2026年12月期中間期末に前期末比38名増の592名となった。業界内でも成長性の高い同社の戦略やダイナミックな仕事内容に共鳴した、個性豊かな人材が集まっているという。短期的には人件費率が上昇するが、大規模案件の増加に備える人材補強が進んでいるため、中期的には人件費率は抑制されることになるだろう。

採用活動における同社の工夫としては、役員面接を早期に行うスタイル(外資系企業などで行われている方法)を採用し、優秀な人材の囲い込みや意思決定のスピードアップにつながっているという。また、報酬に関しても新たな人事制度を導入した。新人事制度では、迅速な事業運営を実現すべく、評価・報酬における業績連動や透明性を強化した。

(2) 「Good Ethical Company」のファンベース構築
同社は「アジアNo.1のEthical空間創造企業」となるべく、「Ethical Innovation Hub」の開設など、同社が強みとするエシカルな企画能力・業務プロセス・素材活用・実装手法などを追求している。直近事例では、海洋プラスチック問題解決の最前線拠点である世界海洋プラスチックプランニングセンター(PLA PLA、佐賀県唐津市)において、体験型展示コンテンツの企画からデザイン・設計、制作・施工までを一貫して担当した。不要となった漁網をアップサイクルして展示什器や空間演出の一部に活用し、映像やジオラマをはじめとする多様な体験型コンテンツを組み合わせることで、来館者一人ひとりの行動変容につなげる展示空間を創出した。下賀茂温泉「源泉一途 南伊豆」リニューアルプロジェクトでは、客室・レセプション・レストラン・大浴場の実施設計及び施工を担当した。

(3) サービス領域の拡大と提供価値の向上
近年の挑戦としては、福岡空港の案件がある。同社は、空港の大規模エリア(アクセスホール、免税店エリア、フードホール、北側コンコース、有料ラウンジ、航空会社ラウンジ)の内装デザインから設計、制作・施工を担当し、「中洲の街並み・屋台・祭りの山車」という福岡を象徴する要素をデザインに取り入れることで、文化の存続と発展への貢献に挑戦した。2026年3月、「福岡空港国際線ターミナル」は、ドイツの国際的なデザイン賞であり、世界三大デザイン賞の1つに数えられる「iF Design Award 2026」を受賞した。

クリエイティブな他社とのネットワークによる共創も加速する。世界最大級の組織・人事コンサルティングファームであるマーサージャパンとの連携(2025年5月)や、コクヨとのグローバルでの提携(同年7月)、BIM分野グローバルリーダーである米国Autodeskとの、CDEの構築及び業務プロセス改革を目的とした戦略的提携(同年8月)などは、2026年12月期の業容拡大と提供価値の向上に寄与しつつあるという。

2026年8月に同社は、世界中から厳選した家具や照明、インテリア小物、ギフト、オリジナルアイテムを多く取り揃えるホームファニシングショップ「ザ・コンランショップ」を運営するコンランショップ・ジャパンと戦略的業務提携を締結した。同社の持つ空間の企画・設計・施工・現場対応力と、ザ・コンランショップが持つグローバルなブランド力、商品編集力、ライフスタイル提案力を組み合わせ、法人市場における新たな価値提供と両社の事業拡大を目指す。提携の背景には、商業施設や宿泊施設、医療施設などに求められる価値の変化がある。機能性や施工品質にとどまらず、家具、照明、アート、小物などを含めた一貫した世界観や、その場で過ごす体験そのものへと関心が広がっているという。両社は、販売機会の拡大、共同提案・共同受注、商品・サービスの共同開発などを通じて、空間と商品を一体で捉えた提案を行う。

(4) 持続的成長を支えるサプライチェーン
同社では「サプライチェーン戦略室」を設置し、グループ会社(株)装備との一体戦略による納品力の拡充を図っている。強みのある関西・九州でのネットワークに加え、関東での強化も進めている。

(5) グローバル市場の深耕
同社は現在アジア5拠点(台湾、シンガポール、上海、ベトナム、マレーシア)に進出しているが、海外各社における中期経営計画を策定し、事業体制の再構築を図っている。総合商社出身者が海外専任として活躍するなど、人材の強化も奏功している。地域ごとに市場の特性は異なるため、現地をよく知る人材とグローバル人材がチームを組んで現地化するのが同社の方針である。当面はシェアの高い台湾が柱となるが、案件単価の高いシンガポール、成長するベトナムなどもポテンシャルがある。また、将来的には、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリなどの大都市への事業展開も検討する。2025年7月、同社とコクヨは、国内並びにグローバル成長戦略の空間創造事業パートナーとして戦略的業務提携を締結しており、高度化・多様化するオフィス空間のニーズに迅速かつ柔軟に対応するための連携が期待できる。海外の売上構成比は前年同期比で2.0ポイント上昇の13.0%(2026年12月期中間期)と順調である。

■株主還元策
2026年12月期は6期連続増配となる年配当金78.0円を予想
同社は、株主に対する利益還元を最重要経営目標の1つとして位置付けており、財務体質や将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら、毎期の業績に応じた配当を行うことを基本方針としている。また、中期経営計画2027の期間中の配当性向は50%以上を目安に実施する方針である。2025年12月期には年配当金76.0円、配当性向53.5%を実施した。2026年12月期は、好調な業績予想を背景に、2021年12月期から続く6期連続増配となる年配当金78.0円(前期比2.0円増配)、配当性向52.4%を予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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