■ドルは158円台でもみ合い、米インフレ警戒と原油高が支えるも日銀利上げ観測が重し
今週(10月12日-16日)はドルが原油高と米インフレ指標への警戒感を背景に上値を試したものの、200日移動平均線の壁に阻まれ、158円を挟んだレンジから抜け出せない一週間となった。週初12日は、東京市場がスポーツの日で休場となり、流動性が低下する中、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビア首都リヤドの主要空港攻撃を受けた原油高で金利先高観が強まり、158円75銭まで上昇した。13日は、中東情勢の紛争激化を背景とした原油高に加え、29-30日開催予定の日銀金融政策決定会合で利上げを見送るとの観測から円売りが優勢となり、158円台半ばまで値を上げたが、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事らの発言を受けて上値は限定的となった。14日は、米9月消費者物価指数(CPI)が総合・コアともに市場予想を上回り、27-28日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が強まったことで一時158円95銭と159円手前まで急伸したが、ベージュブックの内容が強弱まちまちでスタグフレーション懸念から米長期金利が低下に転じ、ドル買いは後退して上昇分の大半を吐き出した。15日は、米9月小売売上高の内容に一部弱さが見られたことや世界的なAIブームを巡る信用不安から、安全資産として米国債が買われ、米長期金利の低下とともに157円55銭まで下落、その後は米9月卸売物価指数(PPI)が4年ぶりの高水準となったことで158円台を回復した。週末16日はウォーシュFRB議長が「事前に政策判断しない」と述べ利上げを示唆しなかったことで、10月FOMCでの追加利上げ観測がさらに後退、ドル売りが先行して157円70銭まで下落したが、植田日銀総裁が利上げ継続姿勢を示したことによる円買いと、原油高に連れた金利上昇でドルは下げ渋った。日銀の追加利上げ観測と介入警戒感が上値を抑える一方、原油高と日米金利差が下値を支え、158円を挟んだ一進一退の一週間だった。
16日のニューヨーク外為市場でドル・円は157円70銭まで下落後、158円34銭まで上
昇し、157円99銭で引けた。
【来週の見通し】
■底堅いか、米国経済に不透明感も金利高でドル買い継続
ドル・円は底堅いか。米国経済に先行き不透明感が広がり、ドル売りに振れやすい地合いが予想される。ただ、フランスの財政・政治情勢への懸念からユーロなど欧州通貨が売られれば、相対的にドルが選好され、ドル・円の下値を支える可能性がある。
足下で発表された米国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は予想外に加速し、インフレ高進による国内経済への影響が懸念され、長期金利は低下。それを受け、ドル買い縮小の場面が想定される。
ただ、20日発表予定の米9月住宅着工件数は前回を上回る見通し。またPMIも製造業、サービス業とも高水準が期待されており、市場予想を上回るなど堅調な内容となれば、米国経済の減速懸念が後退し、ドル買いが再開しよう。
一方、フランスの財政・政治情勢が不安視される中、ユーロなど欧州通貨は引き続き売られやすく、ドル選好地合いを支える見通し。もっとも、欧州通貨安がクロス円の下落につながれば、ドル・円を圧迫する可能性もあろう。
27-28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、29-30日に日銀金融政策決定会合を控え、全般的に金融政策への思惑が広がりやすい。日米中銀が年内にそれぞれ1回ずつ利上げするとの見方が維持されれば、日米の金利差縮小を見込めず、ドル・円は下げづらい展開が続くとみる。
【米・9月住宅着工件数】(20日発表予定)
20日発表の米9月住宅着工件数(年率換算)は130.5万件と、8月の127.5万件を上回る見通し。年初から水準を切り下げているものの、改善が示されればドル買い材料となろう。
【米・10月製造業・サービス業PMI】(23日発表予定)
23日発表の米10月PMIでは、足下の景況感が注目される。製造業は55.5、サービス業は57.9と前回を下回る見通し。ただ、いずれも50を大きく上回る高水準とみられ、米国経済の底堅さを示す内容となりそうだ。
予想レンジ:155円00銭-161円00銭
上値ポイント:159.5円、160.3円、164.0円、170.0円
下値ポイント:154.9円、151.9円、151.6円、149.2円、146.2円
【ドル買い要因】
・Fed3.75~4.00%へ利上げ・追加利上げ観測
・日本の財政悪化懸念
・中東緊張・原油高による米インフレ再燃警戒
・日米金利差を背景としたドル買い
【ドル売り要因】
・日銀1.25%へ利上げ・追加利上げ観測
・日米当局の為替介入警戒
・米国債務40兆ドル突破による財政悪化懸念