■要約
恵和は、液晶ディスプレイに使われる光学シートを主力とし、ニッチ市場にターゲットを絞り高付加価値製品を提供している。画面を明るくし、美しく見やすくする技術力が高く、主力製品である光拡散フィルム「オパルス(R)」(以下、「オパルス」)はLEDから出る光を均一に拡散し、光のムラのない画面を実現している。
1. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高10,537百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益1,898百万円(同15.5%減)、経常利益2,021百万円(同3.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,410百万円(同103.3%増)となった。連結業績予想を、ノートパソコンの売上鈍化の影響を主因に下方修正した。修正予想に対する進捗率は、売上高は50.5%、営業利益は66.8%、経常利益は68.1%、親会社株主に帰属する当期純利益は68.6%となる。売上高については、光学製品事業のノートパソコン向けがメモリー不足の影響を受けつつ新規採用機種を伸ばした。機能製品事業では、クリーンエネルギー部材と医療衛生フィルムが顧客要因で減少したが、ウレタンフォーム用工程紙「A!Prog-UF」の海外売上や防錆資材の売上拡大が増収に貢献した。利益面は、高利益率の光学製品事業の増収が寄与したものの、人件費や新規製品開発に向けた研究開発費、海外関連費用等が増加したほか、中東情勢を背景とした原油高を受けて売上原価が上昇し、営業利益率が4.7ポイント低下、営業減益となった。親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期の事業撤退損失がはく落し、増益で着地した。
2. 2026年12月期の業績見通し
ノートパソコン市場でのメモリー不足や不安定なEV市場動向を受け、期初の業績予想を下方修正した。修正後予想は売上高20,877百万円(前期比2.0%増)、営業利益2,842百万円(同33.7%減)、経常利益2,968百万円(同30.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,055百万円(同9.4%減)となっている。期初に計画した注力領域や施策について方向性に大きな変更はなく、修正後予想の達成を視野に入れ、「海外」をキーに、特に「車載」「工程紙」に注力する。売上高について、光学製品事業ではノートパソコン市場のメモリー不足の影響継続を予想するものの、「車載」では堅調な「オパルス」と回復基調の「オプラム」の需要を取り込む。機能製品事業については、成長期待の大きいウレタンフォーム用工程紙「A!Prog-UF」の海外強化により伸長を見込む。営業利益率は、売上原価の上昇と成長投資を反映し前期比7.3ポイント減の13.6%と低下するが、堅実に価格交渉や自動化等による生産性向上を進める。為替に関しては、2026年7月の日米協調介入をきっかけに9月から本格的に円高が加速しており、注視が必要だろう。
3. 中期経営計画
2025年8月、改めて経営理念「自然と産業の調和を創造する」を見つめ直し、「高品質の提供」によるCSV※1の実現に向け、中期経営計画(FY2025-FY2028)を策定し、新たなスタートを切った。目標指標として2028年12月期に売上高270億円、営業利益59億円、ROIC※213.5%、ROE12.9%を掲げている。人的資本の強化、労働生産性の向上、フロントローディング、海外拠点の4点に注力する。人的資本の強化では、コア技術に関しては中心拠点でのOJT方式による人材育成を進めている。労働生産性の向上では、製造現場データを活用し、高品質はもちろんオンスケジュールの供給体制を徹底し、顧客満足度を高める。フロントローディングについては、開発や製造の振り出し戻りを回避し、オンスケジュールとコスト低減を実現する。海外拠点に関しては、China+1対応として既に駐在員事務所を構えるベトナムに物流、生産、加工拠点を立ち上げる計画で、ほかにも、北米デトロイトでは事務所を開設し、独フランクフルトでは拠点の登記が完了した。いずれも主目的は「車載」関連のマーケティングで、OEMやTier1との直接接触の機会を増やすほか、欧米では展示会への出展を積極化して最新の市場情報を獲得し、提案や商談につなげるなど実行に移しており、既に成果は出始めているようだ。なお、2026年9月には北米デトロイトの展示会にて、車載ディスプレイ向けPFASフリー等の環境負荷の少ない高機能光学フィルムを展示した。
※1 Creating Shared Valueの略で、経済的価値と社会的価値の両立を意味する。
※2 企業が事業活動のために投じた資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標。税引後営業利益÷投下資本(有利子負債+株主資本)。
■Key Points
・2026年12月期中間期はメモリー不足のなか増収も、原価上昇の影響を受け営業利益は減益
・2026年12月期下期は「海外」をキーに「車載」「工程紙」に注力
・CSV実現に向け、PFASフリー対応など新製品開発と海外展開を推進
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)