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株式会社地域新聞社:個人投資家向けIR説明会文字起こし(1)

■個人投資家向けIR説明会を受けてのFISCOアナリストコメント

地域新聞社の2026年8月通期決算は、売上高が前期比5.8%増の3,335百万円、営業利益で同11.6%増の50百万円となった。先行投資を除いた実力値として通年で100百万円~200百万円の営業利益が見える状況は確認できたとしてきたが、着地としては前期比151.0%増の114百万円となり、引き続き成長を確認できた格好となる。

2027年8月期は、売上高で3,700百万円が見込まれている。予想の開示は売上高のみとなる。「Strategic Plan」に基づき進めてきた各種施策が次の成長フェーズへ移行するにあたり、先行投資やM&Aも絡んでくるための開示手法であろう。同社では一部株主グループによる共同協調行為(ウルフパック戦術)を受けて、成長へのアクセルと同時に、ウルフパック対策というブレーキが存在してきたが、それも峠を越しつつあるように見える。今後はアクセルの見え方が優勢になろう。

また、同社は560社超(上場企業42社を含む)が参加する完全審査制の成果協創型コミュニティ「Leading Startup Square(LSS)」に加盟した。LSSが新たに立ち上げる企業価値分析レポート「IVACレポート」の第1弾対象企業にも選定されている。IVACは企業価値を、Growth(売上成長)、Connection(ROIC向上)、Confidence(WACC低減)の3つの視点で解析する。同社は現状をROIC<WACCと認識しており、Strategic Planの遂行による超過利潤のプラス転換と、その拡大を目指すとしている。同社が現状を「ROIC<WACC」と自ら開示し、超過利潤のプラス転換を明確な目標に据えた点は、資本コストを意識した経営姿勢として注目すべき点だろう。

実業および開示姿勢にカタリストが期待される株価について、将来株価のイメージには、新機軸がもう一段形になった後に発表されるであろう中期経営計画が待たれるところだ。ただ、数年後の数億円の利益が想定される状況にあるという見方は不変となる。各種取り組みが利益の増加を加速させる可能性を感じつつも、巡航速度だと2028年8月期の先行投資を除外した営業利益を300百万円程度とした場合、最終年度で保守的にPER15倍と見積もる、もしくはPEGレシオ1倍程度まで評価すると、30~50億円程度の時価総額がイメージできることとなる。目標とする時価総額100億円を達成する際は、各種取り組みが利益の増加を加速させている状況となる。現状の時価総額である約25億円には、巡航速度で2倍、各種取り組みが利益の増加を加速させている状況でさらに2倍の上値余地があるということになる。

なお、地域新聞社は2024年2月に新代表として代表取締役社長の細谷佳津年氏が就任、同社が潜在的に持つアセット(フリーペーパー事業における2,400名近い配送スタッフ、174万世帯のカバー、6万人の読者とのインタラクティブなつながり、7,000社との取引、5拠点40エリアの営業網、140人の地域ライター、制作・校閲力、配送網)に光をあて企業価値の再定義を推進、2025年8月期は投資を先行しつつも利益が大幅に増加、再成長軌道に乗ったことが確認できた。2026年8月期はウルフパック問題が重なったものの、先行投資を積極化しつつ、2027年8月期に向けて一段の成長をかためる一年であった。

アセット活用による2つの戦略(アライアンスによって千葉県内から県外/県外から県内へと価値を橋渡しする「シーパワー戦略」、千葉県内で価値循環を図る「ランドパワー戦略」)を進める。アライアンスの対話先は58件に広がっており、ウルフパック問題の解決を契機に、実行を待つ案件の具体化が期待される。誌面ペルソナデータベース×AI活用(特許番号:特許第7785439号、「生成AIを活用した心理状態デジタルツインによる介入効果最大化技術」に関する特許を権利化)、クラウドファンディング×記事、地域共創プラットフォーム、奨学金返済支援サービスも絡んだ人材紹介ビジネスである「奨学金バンク」などの新機軸も矢継ぎ早に打ち出している。ペルソナデータベース×AIでは、特許(第7785439号)のPCT国際調査報告を受領し、請求項1〜18すべてで「特許性あり」との評価を獲得している。クラウドファンディング×記事は、千葉県飲食店支援の「カンパイPASS」が目標300万円を突破し、支援総額473万5千円でネクストゴール達成している。同社の案件でないものの、某スポーツチームのクラウドファンディングプロジェクトは、目標1億円に対して1.3億円が集まるような事例もあり、有望分野と見られる。地域共創プラットフォームでは、α(スタートアップ)・β(スピンオフIPO・福岡証取上場)・γ(農業)の3方向へ具体化が進行中だ。γ版では、農業産出額全国4位である一方、基幹的農業従事者の約7割が65歳以上という千葉県の課題に着目し、農家の株式会社化と株式交換を組み合わせた承継スキームを示している。奨学金バンク(人材紹介)では、2026年6月に100%出資子会社「株式会社Allegro Vivace」が設立され、ドライバー特化型人材紹介事業へ展開を拡大している。

企業が地域新聞社と株式を交換することで事業承継をスムーズに進める地域共創プラットフォームでは、元オーナー社長が譲り渡す企業の黄金株を保有して、自身の経営理念や方針を貫けるよう、重要な経営判断に対して拒否権を行使できる仕組みにくわえ、スピンオフ上場の構想も具備された。福岡市とのバージョンアップが進んでいるこの仕組みは、文化放送主催「中小企業ビジネス&イノベーションアワード2025」にてネクストヒーロー賞(次の時代の大きく飛躍しそうな社に贈られる賞)を受賞している。東京証券取引所スタンダード市場への市場変更に加え、福岡証券取引所本則市場へ上場(2026年4月15日上場)したのは、福岡市とスタートアップ支援および新産業創出を官民一体で推進することも狙いである。株主優待では、「ちいきの逸品」で利用可能な割引券や千葉県を中心に10店舗で使用できる割引券を導入している。地域共創の理念に合う施策であるとともに、株主優待利回りは約380%※1に達する。地域のみならず、従業員持株会への会社からの補助が50%と高率であり、従業員とともに株価を意識する体制に移行している点にも注目しておきたい。

※1. 優待額38,000円(ちいきの逸品での割引券9,000円分と店舗で使える割引券10,000円分=19,000円分を年に2回)を10月19日時点の終値98円(×100)で算出

株式会社地域新聞社:個人投資家向けIR説明会文字起こし(2)に続く

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