■ 今後の見通し
2. 中期目標
はてなは中期目標として、2029年7月期に売上高50億円突破と経常利益率10%超の達成を目標に掲げた。2028年7月期の目標を1年先送りした格好となる。インターネット広告市場の構造変化(SNS広告や動画広告への需要シフト、広告単価の下落)や生成AIの普及により、コンテンツマーケティングサービス並びにコンテンツプラットフォームサービスの売上が想定以上に減少したことが主因である。同社ではこうした市場環境の変化に対応すべく、広告収入に依存していたビジネスモデルからの脱却と新規サービスの育成や生成AIを活用したプロダクトの開発に取り組んできた。2027年7月期まではその過渡期と位置付けられ、こうした取り組みの成果については、2028年7月期以降に顕在化するものと予想される。
成長エンジンとなるのは、「GigaViewer」を中心としたテクノロジーソリューションサービスとなるが、コンテンツマーケティングサービスやコンテンツプラットフォームサービスについても中期的には売上拡大を見込んでいる。利益面では、増収効果に加えて人件費率の低下が経常利益率の上昇要因となる。従業員数については、生成AIの活用で2027年7月期以降は年間数名程度の増員ペースに抑えることが可能になると見ている。目標どおりに業績が推移すれば、2029年7月期の経常利益は過去最高を記録した2019年7月期の449百万円を10期ぶりに更新することになる。
(1)テクノロジーソリューションサービス
2029年7月期の売上目標は2026年7月期比1.5倍の40億円強を目指す。出版社のDX支援サービスとなる「GigaViewer」が成長エンジンとなる。特に、「GigaViewer」はWeb版の導入顧客に対するアプリ版のリプレイスまたは新規アプリの導入、さらには海外版アプリの開発料並びに保守運用料の積み上げが見込まれる。さらに、2026年7月期よりマーケティング支援サービスを本格始動したことに伴うレベニューシェアの成長も見込まれる。(公社)全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、2025年の電子コミックの市場規模は前年比2.9%増の5,273億円と伸び率は鈍化したものの成長を続けており、今後も堅調推移が見込まれる。こうしたなか、アプリ版でのシェア拡大やレベニューシェア型サービスの拡大に加えて、海外市場向けの展開も視野に入ってきていることを考えれば、「GigaViewer」関連の売上成長余地は大きいと言える。
(2)コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスでは、新規事業となる「toitta」の育成に注力していくことで、2029年7月期の売上高で7億円強と2026年7月期比1.4倍を目指す。
(3)コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスに関しては、生成AIベンダーとのデータ活用に関する取り組みによる収益増を見込み、2029年7月期の売上高で5億円強と2026年7月期比1.6倍を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)