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ギックス Research Memo(6):次の成長局面を支える収益性改善とAI戦略に注目

■業績動向

4. 弊社の見方
ギックスの2026年6月期は、収益性の改善と事業構造の転換が進展した1年であったと評価している。売上高は前期比15.3%増の2,765百万円となり、営業利益及びコア営業利益は黒字転換を果たした。

利益改善の背景としては、案件単位での収益管理と費用管理の強化が挙げられる。従来からプロジェクト管理自体は行っていたものの、2025年6月期に発生した大規模開発案件におけるコスト超過プロジェクトの発生を契機として、管理体制を大幅に見直している。現在は案件ごとに費用発生状況を高頻度でモニタリングし、個別費用の妥当性を精査する運営へ移行している。また、外注費についても最適化を進めた。従来は将来の案件獲得を見据えて外部リソースを先行的に確保していたため外注費負担が重かったが、足元では必要リソースの適正化を進めており、こうした取り組みが利益率改善につながったものと考えられる。収益改善が単なるコスト削減ではなく、プロジェクト運営そのものの改善によって実現された点を弊社では評価している。

一方で、売上成長に関して見れば、2026年6月期は大型案件の開始時期が後ろ倒しとなり、期初計画を下回る要因となった。案件開始時期は遅延しているものの案件自体が失注しているわけではなく、将来的な売上計上につながる可能性は高いと見られる。むしろ案件単価や契約規模の大型化は、同社の提供価値が高度化していることの裏返しと捉えることもできると弊社では考えている。

成長戦略の観点では、AI関連領域への取り組みが一段と鮮明になった。同社は従来から「Data-Informed」を掲げ、データに基づく意思決定支援を強みとしてきたが、現在はその思想を発展させた「AI-Informed」を掲げている。注目すべき点は、単なる生成AI導入支援ではなく、企業の業務やシステム全体へAIを組み込むことを目指していることである。企業によるAIエージェント活用への関心は急速に高まっているが、実際には既存システムとの連携や業務フローへの組み込みが大きな課題となる。同社は、複数の基幹システムを横断的に接続し、AIを通じて必要な情報を取得・活用できる環境構築を支援することで差別化を図ろうとしている。こうした取り組みは「AI wrapping」や「AIP」「セマンティックレイヤー構築支援」などの新サービス群にも反映されており、今後の成長ドライバーとして注目される。

また、同社が強調しているAI・データアセット戦略については、単なる構想段階ではない点にも注目したい。同社ではAIを活用したデータ蓄積や再利用の取り組みは上場以前から継続しており、既に開発効率向上やサービス提供の高度化に活用されている。近年の生成AIブームによってAI活用が注目されているが、同社の場合は長年にわたり蓄積してきたノウハウやコンポーネント及び業務知識を体系化し、事業戦略としてあらためて整理した側面が強い。今後、案件を通じて蓄積されるアセットが増加するほど再利用効果も高まり、利益率向上につながっていくと弊社では見ている。

「マイグル」についても、従来のキャンペーン支援サービスから継続型サービスへの進化が見られる。特に2026年3月に提供を開始した「ロイヤルティ・マイグル」は、企業との関係性が比較的弱いライトユーザーをロイヤル顧客へ育成するCRMサービスとして位置付けている。従来のスタンプラリー型施策はキャンペーン終了とともに利用が途切れるケースもあったが、「ロイヤルティ・マイグル」ではゲーミフィケーションを通じて継続的な顧客接点を創出し、顧客行動データを蓄積・活用しながら利用頻度向上を目指す。これは同社にとっても、従来のフロー型収益中心の「マイグル」事業をストック型収益へ転換する取り組みとして評価できる。

M&A戦略については、2025年10月に子会社化したメイズとのシナジー創出が今後の焦点となる。現時点でPMIは順調に進捗している。今後は、同社のコンサルティング能力とメイズのシステム実装能力を組み合わせることで、AI導入やデータ活用案件において企画から実装までを一気通貫で提供できる体制をどこまで強化できるかが重要となるだろう。さらに、中長期的にはAI活用需要とレガシーシステム刷新需要の融合にも期待したい。近年はAI関連テーマへの注目が高い一方で、企業がAIを本格活用するためには既存システムやデータ基盤の見直しが不可欠となる。今後はAI導入案件を起点として、より大規模なシステム刷新案件へ発展する可能性もあると弊社では考えている。

同社は収益管理体制を強化しながら、AI・データアセットを活用した再現性の高い成長モデルへの転換を進めている段階にある。後述のとおり、2027年6月期の業績予想は売上高成長率こそ8.5%増と保守的な水準であるものの、利益成長率は高く設定されており、収益性重視の姿勢を鮮明にしている。今後はAI関連サービスの拡販、「マイグル」のストック化、メイズとのシナジー創出などの進展が重要な注目点になると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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