当社グループ体制について
市川康平氏(以下、市川):株式会社ラストワンマイル取締役執行役員の市川です。2026年8月期通期決算説明会を始めます。まず、当社グループ体制についてご説明します。
当社グループでは、松永光市を代表取締役社長 兼 COOとしてラストワンマイル本体のガバナンス強化および事業の拡大を図り、渡辺誠を代表取締役会長 兼 CEOとしてグループ全体の事業拡大を担っています。
既存会社及び新規会社の定義
既存会社および新規会社の定義についてです。当社は2022年11月に渡辺が代表取締役に就任して以来、積極的なM&Aを実施し成長してきました。M&Aによる業績の寄与を明確化するため、前期において連結決算に12ヶ月分含まれる会社を「既存会社」、12ヶ月未満の会社を「新規会社」と定義しています。
2026年8月期においては、ベンダー、HOTEL STUDIO、SHCが既存会社となり、テルベルが新規会社となりました。
主力事業について
主力事業についてご説明します。営業利益約1億円以上の事業をスライドの1番から5番、営業利益1億円以下の事業をまとめた「その他事業」を6番としています。詳しい事業内容は次のスライドでご説明します。
事業系統図1 -アライアンス事業-
1つ目の事業はアライアンス事業です。スライドのAに示されたアライアンス先から、Bの当社グループへ顧客データ(リード情報)を連携いただき、Cの見込み顧客に対して電気やガスなどの各種サービスを案内し、成約時にはDのサービス提供事業者から販売手数料を得ることができます。
主な費用は、Aのアライアンス先に支払う見込み顧客の紹介料となります。得られる売上は、ストック型とフロー型の2種類があります。ストック型は、自社サービス「まるっとシリーズ」の使用料や、Dのサービス提供事業者から、顧客が契約している限りサービス使用料の一部を継続的な収入として受け取るパターンです。フロー型は、Dのサービス提供事業者から契約時に一時金として販売手数料を受領するパターンです。
アライアンス事業は、当社グループの売上と利益において最も規模の大きい事業です。このアライアンス事業のネットワークを基盤に、各事業間のシナジーを創出するスケールメリットこそ当社の強みだと考えています。
事業系統図2 -集合住宅向け無料インターネット事業-
2つ目の事業は、集合住宅向け無料インターネット事業です。現在、日常生活においてインターネットは不可欠となっていますが、多くのマンションでは入居者無料のインターネット設備が標準装備されています。
当社はスライドのDの通信事業者等の商社やメーカーからインターネット設備を仕入れ、スライドのAに示したマンション等所有者へ設備の導入を行っています。
売上は、設備導入の初期工事費用がフロー型の売上となり、顧客からの月額利用料がストック型の売上として構成されています。
事業系統図3 -コンタクトセンター事業-
3つ目の事業は、コンタクトセンター事業です。ラストワンマイルの福岡本社を中心に展開しており、一般的なコールセンター事業に該当します。スライドのAにある官公庁、不動産管理会社、飲食店といったアライアンス先から委託を受け、Cのアライアンス先の顧客からの問い合わせ対応や受付業務を行っています。
売上構成については、不動産管理会社向けに販売している入居者向けの会員サービスのストック型売上と、電話対応件数や受託席数に応じたフロー型売上の2種類があります。
一般的なコールセンターとの違いとして、当社は24時間365日対応の自社コンタクトセンターを運営しています。コンタクトセンター市場において、同業他社が自社で対応しきれない部分を当社が受託するケースもあります。
事業系統図4 -ホテル事業-
4つ目の事業は、ホテル事業です。ホテル事業には2つのモデルがあります。スライドのA1の受託モデルは、物件所有者から集客や清掃などの運営を成果報酬で受託するものです。一方、A2の直営モデルは物件所有者から物件を借り上げ、当社が事業オーナーとしてホテルを運営するものです。
A1の受託モデルでは、宿泊客から得られる宿泊料金の一部のみが収益となりますが、固定費などのリスクを抑えることが可能です。一方で、A2の直営モデルは宿泊代金をすべて享受できるため、一定のリスクはあるものの、長期的かつ安定的に大きな収益を見込める事業モデルとなっています。
当社はアライアンス事業で培った不動産ネットワークを活用し、空室物件のホテル転用やホテルからマンスリーマンション事業への経営リソースのシフトといったノウハウを有しています。
事業系統図5 -リスティング・メディア事業-
5つ目の事業は、リスティング・メディア事業です。この事業はアライアンス事業とは異なり、顧客の獲得に他社を介さず、自社でリスティング広告やWebメディアを運用して、スライドのCの顧客から直接流入を獲得し、Aのサービス提供事業者の各種サービスを提案・販売するものです。
主な費用としては、広告宣伝費が発生します。得られる売上は、アライアンス事業と同様に、ストック型とフロー型の2種類があります。
ストック型では、自社サービス「まるっとシリーズ」の利用料、またはAのサービス提供事業者から契約後に発生するサービス利用料の一部が収益になります。フロー型では、Aのサービス提供事業者から契約時に受け取る販売手数料が一時金としての収益となります。
事業と管轄会社について
スライドは、5つの主力事業において、当社グループが管轄している会社を一覧で示したものです。続いて、2026年8月期第4四半期および通期実績についてご説明します。
決算ハイライト(累計期間)
渡辺誠氏(以下、渡辺):代表取締役会長兼CEOの渡辺です。まず、決算ハイライトについてご説明します。売上収益は前年同期比で27.6パーセント増加し、営業利益は前年同期比72.5パーセント増と大幅に増加しました。
ストック型売上は、前年同期比11.2パーセントの増加となりました。EPSに関しては、前年同期比で85.4パーセント増加しました。
決算ハイライト(計画対比)
計画比の決算ハイライトです。計画では売上収益が188億円でしたが、実績は197億8,900万円となり、達成率は105.3パーセントです。
営業利益は計画で18億700万円でしたが、実績では19億8,300万円となり、達成率は109.7パーセントです。EPSは計画の414.2円から実績の467.4円へと着地し、達成率112.9パーセントとなっています。
2026.8期4Q 連結会計期間実績・前年同期比較
スライドは第4四半期の実績のみを示しています。実績については累計で説明しますので、ここでは割愛します。
2026.8期 連結累計期間実績・前年同期比較
累計についてご説明します。売上収益は197億8,900万円で、前年同期の155億1,000万円に比べて27.6パーセント増加しました。営業利益は前年同期の11億5,000万円から19億8,300万円へと大幅に増益しています。
売上増加の主な理由として、アライアンス事業のリード情報数の増加、手数料単価の向上、そしてM&Aを行ったテルベルの連結が挙げられます。これにより、売上収益・営業利益ともに大幅な増加となりました。
売上収益及び営業利益 四半期推移
売上収益および営業利益の四半期推移についてです。2026年8月期の売上収益および営業利益は計画を上回って推移しました。それに加えてM&Aを行った会社が順調に推移したことで、増収増益につながっています。
ストック型・フロー型ビジネスモデルの方針
当社のビジネスモデルには、ストック型の売上とフロー型の売上の2種類があります。どのようなかたちで販売しているのかという質問をよくいただくため、スライドでご説明します。
ストック型売上は、継続的に収益が入る仕組みです。例としては、ウォーターサーバーの使用料などが挙げられます。一方フロー型売上は、一時的に収益が発生する仕組みを指します。現在では主に電気の紹介販売を行った場合、一時金として売上を一括計上する形式がこちらに該当します。
長期間にわたってより多くの営業利益を得られる商材を選定して販売するという方針を取っています。ストック型売上とフロー型売上を比較して、より多くの収益の獲得を見込める商材を販売していく方針です。
主要KPI(ホテル事業以外):ストック型年間売上推移
ストック型売上とフロー型売上の推移についてです。全体の売上をストック型売上とフロー型売上に分けた場合、スライドの左側に表示されているストック型売上が38.3パーセントを占めています。
ストック型売上は主に電気、ウォーターサーバー、インターネット回線、その他の項目から構成されています。「その他」にはガス、会員サービスに加え、最近では防犯カメラなどが含まれます。
スライドの右側のフロー型売上についてですが、こちらは伸びが大きく、主な要因としてアライアンス事業のリード情報数の増加が挙げられます。
その結果、フロー型売上の割合が大幅に伸び、61.7パーセントとなっています。ストック型売上も伸びていますが、それ以上にフロー型売上が伸びたという状況です。
会社別 売上収益及び営業利益推移 (単位:百万円)
スライドは、売上収益および営業利益の推移を示しています。このデータはラストワンマイル単体とグループ会社を合算した数値です。
注意点として、第3四半期累計と通期累計を比較すると、ラストワンマイルの営業利益が減少していますが、こちらは第4四半期に株式報酬費用等を計上したためです。前期比では大きく増益しています。そのため、営業利益が第3四半期累計期間と比較して若干下がっていますが、これはまったく問題ありません。実質的には増加しています。
LOM単体 2026.8期累計期間実績・前年同期比較
こちらはラストワンマイル単体の累計期間実績の前年同期比ですが、割愛します。
2026年8月期以降IR一覧(2026/10/15時点)
スライドは2026年8月期以降に発表したIRの一覧です。特に重要なものが2点あります。1つ目はスライドの15番の自己株式取得の状況についてのお知らせです。2つ目は16番の剰余金の配当に関するお知らせです。これらについて、ご説明します。
2026/9/29公開 自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ
自己株式の取得についてです。株式数としては5万1,100株、総額では約2億円を市場から買い付けています。
2026/10/15公開 剰余金の配当に関するお知らせ
剰余金の配当についてです。今回、2026年8月31日を基準日とする期末配当は12円に決定しました。
中長期経営方針
長期経営方針については変更ありません。「長期的な営業利益を獲得し、1株当たりの利益を最大化し、株主へ還元する」ことを目指します。
中期経営方針についても、変わっていません。2026年8月期はM&Aが一時的にストップしていますが、株主還元についても変更なく、財務状況を見ながら総合的に判断して実施していきます。
中期売上収益・営業利益計画
中期経営計画についてです。2026年8月期の売上収益は、スライドの左側に記載のとおり、達成率105.3パーセントの197億8,900万円となっています。2027年8月期は、修正後の中期経営計画どおり、220億円を予想しています。
スライド右側の営業利益については、2026年8月期は19億8,300万円で、達成率は109.7パーセントです。2027年8月期の営業利益については、中期経営計画どおり、22億800万円を見込んでいます。
当社が発行した時価総額または営業利益に紐づくストックオプションの概要
ストックオプションの概要です。スライド下部に示しているとおり、2026年8月期において、株式報酬費用計上前の営業利益が20億円を達成しました。
成長戦略サマリー
成長戦略に関しては、各主力事業の拡大とM&Aによる規模拡大を掲げています。新規事業に関しても、同様にM&Aが可能となれば新規領域への進出を図りたいと考えています。
発行済み株式数とEPSの推移
EPSの推移についてです。2026年8月期はテルベルの子会社化に伴う希薄化がありながらも、1株当たり467.4円となっています。2027年8月期については、509.5円を見込んでいます。
主要な自己株式の取得及び処分履歴(2023.8期以降)
こちらのスライドは、当社の自己株式の取得及び処分履歴について記載しています。主にM&Aで買収した会社との株式交換というかたちで処分しています。2026年9月28日に取得完了した分についても、基本的な方針としてM&Aに使用することを想定しています。
質疑応答:決算ガイダンス開示後の株価推移について
市川:「今回の決算ガイダンス開示後の反応について、想定内の推移でしょうか? このような反応になった要因について、何が一番大きいと思われますか?」というご質問です。
渡辺:株価については市場が決めることであり、こちらからコメントするのは難しいところがあります。ただ、想定の範囲内かという点では、株価は市場が決めるものであり、当社としては、業績で応えていくことが重要だと考えています。
質疑応答:還元方針の据え置きについて
市川:「前回の説明会で、PER改善のため、配当もしくはその他の手段を講じることも検討するとおっしゃってましたが、本当に検討されているのでしょうか? 今回の株価反応の最も大きな要因は、還元方針の変更がなされなかったためと考えますが、この意見についてはどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
渡辺:こちらは多くの株主さまから指摘されていることだと承知しています。今回、社内でも議論を重ねました。その結果、2027年8月期については事業投資を優先する方針となり、可能な範囲で増配することに決定しました。
質疑応答:光通信グループ出身の取締役と株主還元の議論について
市川:「光通信グループ出身の取締役の働きについて、株主還元等を検討する議論の際、支障になるようなことはないでしょうか?」というご質問です。
渡辺:支障になることはありません。合理的に議論を進められていると思います。
質疑応答:IFRS採用企業のPER低迷と日本基準の採用について
市川:「IFRSを採用していることについて、御社と同程度の時価総額の企業では、日本基準を採用している会社が多く、他社の事例を見てもIFRS採用企業のPERは低迷する傾向にあるように感じます。今後日本基準に戻すことは検討されないのでしょうか?」というご質問です。
渡辺:確かに、IFRS企業のPERは低迷する、あるいはやや低くなる傾向がありますが、それはのれんの関係によるものだと思います。日本基準に戻すことは、現時点では検討していません。将来についてはわかりませんが、少なくとも今は検討していません。
質疑応答:成長率の見通しについて
市川:「2027年8月期の成長率が2026年8月期と比較してかなり低く感じますが理由をお聞かせください」というご質問です。
渡辺:中期経営計画を達成することを前提としており、社内でもさまざまな議論を重ねています。まずはこの計画を達成させることを優先としていますので、成長率については上振れる可能性もありますが、計画では据え置きました。
補足すると、特に今期はストック型の部分に営業面で力を入れていきたいと考えています。こうした点も含めて据え置いたかたちとなっています。
質疑応答:営業利益率の改善要因とストック型への注力について
市川:「営業利益率が2025年8月期より改善されていますが要因を教えてください。また、2027年8月期予想についても2026年8月期と同等の営業利益率となっていますが、同じような事業計画を想定されていますか?」というご質問です。
渡辺:営業利益率が改善されているというよりもフロー型が大きく伸びており、売上・利益ともに計画を上回っています。そのため、営業利益率がかなり高くなってきています。
2027年8月期については、フロー型も伸びる予定ですが、ストック型のほうに注力する方針です。事業計画については、中期経営計画を基本に据えています。
質疑応答:ストック型売上の現状と成長見通しについて
市川:「ストック型売上の四半期推移をみると第3四半期から第4四半期にかけてほぼ横ばいになっています。インターネットが今後も伸びていくとお話しされていましたが、今後はどのような成長を見込んでいらっしゃいますか?」というご質問です。
渡辺:集合住宅向け無料インターネット事業は、確かに件数が増加していますが、完全なストック型のため利益の回収には時間がかかるビジネスモデルとなっています。
そのため、急に営業利益に反映されるわけではなく、現状はほぼ横ばいとなっています。ただし、こちらの事業は今後も件数が増加し、徐々に進展していく見込みです。
今期はウォーターサーバーなどのストック型事業に注力し、オプションサービスについてもフロー型よりもストック型を重視する方針としています。
ストック型売上が第3四半期から第4四半期にかけて横ばいになっているのは、ストック型の成長以上にフロー型が伸びているということもありますが、ストック型は、件数を出しているものの、利益の回収には時間がかかるという要因が大きいです。
質疑応答:今後のM&Aの方針と体制構築について
市川:「2026年8月期は新たなM&Aがありませんでしたが、今後の方針を教えてください」というご質問です。
渡辺:M&Aについては、当社のPMI業務の関係で、2026年8月期は実施できませんでした。2027年8月期以降については増員し、体制の構築を行っています。体制が整い次第、M&Aを再開する予定です。少々お待ちいただければと思います。
質疑応答:中期経営計画の達成見通しと上方修正について
市川:「2027年8月期の営業利益計画22億800万円は当初の中期経営計画のままです。2026年8月期の上振れ分を反映して上方修正しないのですか?」というご質問です。
渡辺:中期経営計画を当初策定した時には、かなり高い水準だと言われており、その達成を従業員全員が大前提として考えていました。その水準を維持した上で、今期はストック型を厚めに取っていきたいと考えています。そのため当初の計画どおりで上方修正はしていません。
質疑応答:2027年8月期中期経営計画の内訳と上振れの可能性について
市川:「2027年8月期の計画の事業別の内訳と前提について、補足をお願いします。中期経営計画どおりの数字での期初ガイダンスになっていますが、前期も上振れ着地していることから今期も上振れを狙えるであろうと考えています。中期経営計画どおりで開示したことから、何か懸念等があれば教えていただきたいです」というご質問です。
渡辺:事業別の内訳については、スライドのグラフに示しているとおりの計画となっています。上振れする可能性は十分にありますが、会社の方針としては中期経営計画を大前提に達成を目指しています。懸念点はないと考えています。
市川:1点補足します。2027年8月期の中期経営計画に掲げる業績を達成することを大前提としつつ、翌期以降の成長に向けた投資もできる限り行っていきたいという意向もあります。そのため、ストック型収益の獲得を含めた成長投資も実施していきたいと考えています。
質疑応答:顧客紹介手数料率の上昇要因について
市川:「顧客紹介手数料の総額と比率が、第4四半期以外は前年同期と比較して大きく上昇していますが、どのような背景によるものですか? 第4四半期では手数料率が前年同期と比較して2.3ポイント下がっていますが、どのような要因ですか?」というご質問です。
渡辺:スライドに記載しているとおり、顧客紹介手数料の総額が増加している理由は、不動産会社などからご紹介いただく件数が増えているためです。これにより顧客紹介手数料が増加しています。
手数料率が上がっているのは、手数料単価が上がっていることが要因の1つです。一方で、第4四半期の手数料率が2.3ポイント下がっている要因としては、不動産会社等への支払額の比率が若干減少していることが挙げられます。
市川:少し補足します。手数料単価については、以前から何度かご説明しましたが、若干上昇傾向にあるのは事実です。ただし、激しい競争や価格競争に巻き込まれているわけではないと認識しています。
先ほどご説明したように、当社が持つ独自の主力事業間でのシナジーを活かし、価格競争には巻き込まれず、十分利益を確保できる計画を立てています。
質疑応答:「ミンナのユニオン」の記事に対する認識と対応について
市川:「『ミンナのユニオン』の記事は、すべてガセという理解でよいのでしょうか? 警察に相談するなど対応をされているのでしょうか? 万が一この記事が正しかった場合のリスクは大きく、株価の足かせになっているように見受けられますので、可能な範囲でご説明いただきたいです」というご質問です。
こちらは私から回答します。当社としては「事実に基づかない、または事実を歪めた記載が含まれている」と認識しています。そのため、現在弁護士と連携し、対応を相談中です。現時点でお伝えできる情報は、以上です。
質疑応答:営業利益30億円に向けた取り組みについて
市川:「スライドの業績連動ストックオプションは、営業利益20億円の条件を2026年8月期に達成し、次は30億円となっています。時価総額のストックオプションは200億円および300億円です。2028年8月期に営業利益30億円を目指す場合、オーガニックとM&Aの内訳はどうお考えですか?」というご質問です。
渡辺:営業利益30億円を目指す上で、オーガニックの成長は当然進めていきますが、M&Aも強力な武器の1つとなります。したがって、社内の体制が整い次第、進めていく方針です。2028年8月期での達成を目指していきます。
質疑応答:次の中期経営計画の公表について
市川:「中期経営計画の次の計画の公表時期をご教示ください」というご質問です。
渡辺:次の中期経営計画については、社内でも議論を重ねましたが、現状では公開に至っていません。
質疑応答:時価総額の向上に向けた取り組みについて
市川:「時価総額向上について、現状のままでは期限までに200億円の達成も危ぶまれる局面ですが、どの程度本気で達成に向けて打ち手を考えているのでしょうか?」というご質問です。
渡辺:200億円の達成が危ぶまれている状況に対して、当然ながらなにもしないわけではありません。営業利益だけでなく、達成に向けたその他の施策も検討しています。現時点では具体的な内容を申し上げることはできませんが、現在検討中です。
質疑応答:取締役会の議論と会社方針の決定プロセスについて
市川:「大株主のプレミアムウォーターは、配当以外の株価向上施策を試みようとする場合には取締役会で反対されていることはありますか? TOB等のお考えがあるならば株価を安く維持するほうに意識が向く可能性を憂慮しており、時価総額向上の妨げになっているのではないかと懸念しています」というご質問です。
渡辺:こちらは取締役会に関する内容です。取締役にはそれぞれの考えがあり、さまざまな意見が出るため、全員一致の場合もあれば、そうでない場合も当然あります。すべての意見をしっかりと聞いた上で取締役会で判断を行っています。その過程でさまざまな議論が行われたりすることもあります。
会社の方針もそこで順次決定されていきます。きちんと議論を重ねた上で取締役会で対応しています。その点についてはご安心いただければと思います。
TOB等に関してですが、現時点で当社として、そのような事実は把握していません。ご懸念の件について、そのようなご意見があることは承知しているところです。株主のみなさまに信用していただけるよう、そのような点を踏まえた適切な案を出せればと思っています。
質疑応答:時価総額に関する考え方について
市川:「ストックオプションの条件である『時価総額200億円を達成しにいく』という発言は撤回するのでしょうか?」というご質問です。
渡辺:当然、時価総額は株価に紐づくものであり、こちらでコントロールすることはできません。これは市場が決めることです。ただし、市場に影響を与えるのは当社が発信する情報や結果であると思っています。これらの点については、きちんと達成できるように施策を講じており、現在も取り組んでいます。
質疑応答:AIによるSEO、広告費、営業利益への影響について
市川:「インターネットでの集客において、AIの影響でSEOでの獲得は下がり、リスティング単価が上昇しています。ラストワンマイルとしての事業へのポジティブな影響およびネガティブな影響について、どのようにお考えなのかをお聞かせください。また、今期、来期での営業・成長戦略について補足説明いただきたいです」というご質問です。
渡辺:AIの影響についてですが、ご指摘のとおりSEOの獲得は低下しています。しかし、工数が削減されることで、さまざまな仕組みを構築できるようになっています。
リスティングの単価については、おそらく広告費を指していると思いますが、広告費は確かに上昇しています。しかし、それ以上に効率化が進んでいるため、AIの導入によって営業利益は増加しています。
当社にはリスティング・メディア事業がありますが、AIの影響により、こちらも効率化が進んでいます。アライアンス事業やコールセンター事業などのさまざまな分野でもAIの恩恵を受けており、今後も営業利益がさらに増加していくと考えています。
売上が上がることと経費が下がることの両方の側面がありますが、効率化による経費削減の影響が大きいのではないかと考えています。当社にも人海戦術で対応している部隊などがありますので、それらへの影響が出てくるだろうと予想しています。
したがって、AIのおかげで効率も上がり、非常に良い結果になるのではないかという期待を持っています。
質疑応答:事業投資強化の決定経緯について
市川:「株主還元を強化するといった発言を撤回して、事業投資に回す決断をした経緯を教えてください」というご質問です。
渡辺:こちらは役員を集めて取締役会等で議論を重ね、多くの意見を出し合った結果、最終的に事業投資に回す決断をしました。
質疑応答:2027年8月期の税負担率の想定について
市川:「2026年8月期と今期期初予想の2027年8月期に対して、経常利益から純利益までのパーセンテージが約3ポイント悪化しています。前期に比べて何の費目で純利益が削られているのか教えていただきたいです」というご質問です。
こちらは私からお答えします。「経常利益」というのは、おそらく税前利益のことかと思います。2026年8月期の実績は34.1パーセント、2027年8月期の計画では37パーセントと試算しています。
これまでの当社の事業体や各種要因を考慮した結果、2025年8月期の実績値では40.1パーセント、2026年8月期の第3四半期までの累計で約37パーセントとなっています。
繰延税金資産、つまり税効果会計の加算や減算など、税務上の損金になるかならないかといった数値が変動することが主な要因です。当社の計画外で発生するケースが過去にあり、その実績率を踏まえた上で、保守的に計画を立てています。
質疑応答:時価総額向上に対する姿勢について
市川:「株価が上がらない要因として、その1つは簡潔すぎるご説明にあるようにも思っています。株価に関しては市場が決めるものではあるものの、期待できるかどうかについては、踏み込んだご説明をいただけると投資家も熱を帯びやすいです。時価総額向上があまりに淡白な説明で流されていますが、本気度はどれぐらいなのでしょうか?」というご質問です。
渡辺:こちらに関しては、株価を煽るようなご説明はできず、またすべきではないため、どうしても踏み込んだかたちでのお話が難しい部分があります。ただし、時価総額向上に関しては全員が一丸となって本気で取り組んでいるという姿勢は変わりません。申し訳ありませんが、現時点では以上のご説明となります。
質疑応答:事業投資の詳細と株主還元政策について
質問者:株主還元についておうかがいします。3ヶ月前、渡辺氏が株価に対して不満をお持ちであり、適正に評価されるよう株主還元を行い、さらには自社株買いまで実施されました。
しかし今回のご説明の中で、事業投資に回す必要が出てきたとうかがいました。この3ヶ月間で事業投資に充てる必要がある資金需要が増加したと考えられます。
事業投資では具体的に何にどのように活用するのか、そして事業投資に充てる分がいつの利益にどのように影響するのかをご教示いただけますでしょうか?
また、増配についてですが、「できる限り増配した」とおっしゃっていますが、現在の株価に対して御社の配当利回りは0.98パーセントにすぎません。このような増配は、やってもやらなくても同じだと思います。
事業投資をきちんと行い成長していくという意思を示すのであれば、その内容を資料に記載するなどしたほうがよかったのではないでしょうか。このような増配は本当に必要だったのかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか?
渡辺:おっしゃるとおりの部分もあります。増配に関しては、現在の国債利回りなどを考慮しても、「なんでこの増配なのか?」という疑問はあるかと思います。事業投資との関係も考慮してどの程度回せるのかという議論を経た結果、可能な範囲で設定した金額となっています。
成長投資については、グループ会社を含め、現在フロー型で獲得しているものをストック型へ振り分けたいという考えや、運転資金および財務管理の観点から確保すべき部分もあり、さまざまな意見が出されました。そのうえで、現段階で可能な範囲をまとめた内容となっています。
特に2027年8月期はインターネット無料マンションなどの大口顧客がある程度見えてきており、そのような案件の獲得のために一時的な支払手数料などを確保する必要があります。
これらの資金需要やキャッシュフローの状況を考慮して実施した次第です。そのため、ご満足いただけるような株主還元額ではないかもしれませんが、その分、2027年8月期および2028年8月期で営業利益などの結果として反映させていければと思っています。
質疑応答:新中期経営計画の発表時期と方針について
質問者:先ほどの質問の中で新中期経営計画について話題が出たのですが、少し議論しているというお話をうかがいました。ということは、2027年8月期の着地を待たずに、それより前に次の中期経営計画を発表する可能性があると理解してよいでしょうか?
それとも、今回の2027年8月期の着地後に、次のガイダンスを出すタイミングで発表するということでしょうか?
渡辺:新中期経営計画に関して、現在決定している事項はありません。ただし、投資家のみなさまにとって発表時期は最も気になる点であると認識しています。
当社では、2024年11月に策定した中期経営計画を絶対達成するという方針のもとで進めてきた経緯があります。そのため、この計画を実行するまでは、次のステップに進むに当たって多くの意見が出てしまう状況です。
社内でこれらの意見をしっかりと取りまとめる必要があり、新中期経営計画に関してまだ統一された方針に至っていません。したがって、現時点では新中期経営計画を発表すべきではないという判断となり、今回は見送っています。
「発表したい」という思いもありますが、ここから先の3年間の方針については、まず役員間で意見を一致させることが重要です。「この方針で行こう」という方向性が定まれば、発表に進みたいと考えています。
しかしその前に、今期の第1四半期や第2四半期の状況を確認しなければなりません。現時点では、「まだその部分が達成できていないうちに次の計画はできない」という懸念やさまざまな意見があるため、見通しが立ってからが適切かと思います。まだ発表できる状況には至っていないのが現状です。
質問者:「出すか出さないかについてまだ一致していないが、内部では一応存在している」ということでよろしいでしょうか?
渡辺:いえ、存在していません。
質疑応答:情報セキュリティリスクへの対応とサービス停止の可能性について
質問者:御社はビジネスモデルとして個人情報をかなり取り扱っておられると思いますが、ここ最近、多くの企業から個人情報が流出したという報道が相次いでいます。
そこで、サイバーセキュリティ対策についてうかがいたいです。「情報流出しないためにこういうことをしています」というご回答は可能かと思います。しかし、個人情報が流出することを前提にしておいたほうがよいのではないかとも考えています。
情報セキュリティリスクについて、また、実際に流出してしまった場合の対応について、どのようにお考えでしょうか?
渡辺:現在、多くの企業で情報流出が発生している中で、当社だけが流出しないとは断言できないのが正直なところです。ただし、当社が保有している情報は、主に入居者の住所・氏名・電話番号等で、決済情報は保有していません。
セキュリティ対策として、IPアドレスを固定にするといった取り組みをはじめ、さまざまなサイバー対策を実施しています。最大限の対策を施していますが、現時点でハッカーがどのような手段で攻撃を行うかは予測が難しいです。そのため、住所、名前、電話番号が最大のリスク対象になると考え、それを念頭に置いて適切な対応を進めていきます。
さらに、セキュリティに関しては、先ほどご説明した対策以外にも、サーバーの分散管理や保有する情報を最小限にとどめるなどの施策を実施しています。しかし、すでにセキュリティを破られている企業が多数存在する現状では、安全性を完全に保証することは困難です。したがって、当社としては最大限のリスクを想定し、それに基づいた対応を行うしかないと考えています。
市川:私から少し補足します。昨今、多くの被害が発生している入り口として、VPNサーバーなどの脆弱性を突かれて侵入されるケースが多いと認識しています。
当社でも、会社のネットワークやサーバーの出入口がどのような状況になっているかをあらためて棚卸ししていく、また、設置されている機器やソフトウェア、ミドルウェアなどに最新ではないものがないかといった、いわゆる基礎的な棚卸しから始めて、最新版へのアップデートなどを進めることを社内で検討しています。
また、教科書どおりの回答かもしれませんが、ゼロトラストといったスタンスに立ち、認証強化なども視野に入れて検討しています。
質問者:情報流出によってサービスそのものが攻撃を受けて停止する可能性は、ほぼないと考えてよいのでしょうか?
渡辺:当社のサービスが止まる要因として考えられるのは、電話線の関連です。CTI(Computer Telephony Integration)を使用しているため、完全に止まる可能性は低いとは思います。ただ、申し訳ありませんが、明確にお答えするのは難しいです。
市川:例えば、当社の販売管理システムが不正アクセスを受け、アクセス権限をすべて奪われるといった事態が発生すれば、サービスの提供が困難になる可能性があります。
質問者:例えば水が止まるとか、インターネット無料マンションのインターネットが止まるだとか、また、HOTEL STUDIOでホテルの予約ができなくなることはありますか?
渡辺:ホテルの予約は外部のOTA(宿泊予約サイト)を通じて行っているため、当社のシステムが攻撃を受けても、予約がすぐに止まる可能性は低いと考えています。
市川:1点補足します。一方で、当社が提携して使用しているサービス側に、不正アクセスが発生した場合には止まってしまう可能性はゼロではありません。
渡辺:可能性はあります。当社が攻撃されても当社は止まりませんが、当社が利用している提携サービス、例えば当社が提携しているOTAのサービスが攻撃されたり、サーバーが止まった場合、当社も停止する可能性はあります。
質問者:アライアンス先の1社が攻撃されたとしても、いろいろなアライアンス先があるので、すべてが一斉に攻撃されなければ問題ないということですか?
渡辺:一斉に攻撃されることは考えづらいので、当社が攻撃されて突然大規模な障害が発生するような事態は、おそらく起こらないと思います。
質問者:1社や2社が攻撃された場合でも、一部分が停止するくらいが最大限の影響と考えてよいでしょうか?
渡辺:今のところ思い当たる限りではそのとおりです。取引先が攻撃されて、その取引が停止する可能性はあり得ます。
渡辺氏からのご挨拶
渡辺:2026年8月期は中期経営計画どおり、あるいはそれ以上の達成を果たした部分がありますので、2027年8月期も目標どおり、高いと言われている中期経営計画をきちんと達成していきたいと強く思っています。
ただ、市場からはそれ以上を求められているとも感じています。また、株主還元についても非常に重要な課題だと感じています。今日のお話でもたくさんの質問をいただきましたので、これについては取締役会等でしっかりと議論していくべき事項であるとあらためて思いました。
引き続き応援をよろしくお願いします。本日は、誠にありがとうございました。