マネーボイス メニュー

アイル Research Memo(5):システムソリューション事業が売上総利益率上昇をけん引

■アイルの事業概要

5. 品質・生産性向上と売上総利益率上昇の好循環スパイラル
同社は製販一体(営業とSEの組織一体化)体制により、カスタマイズ工数削減やトラブル未然防止に取り組んで総合的な品質・生産性向上を実現し、ストック売上拡大とともに売上総利益率上昇につなげるという好循環スパイラルを形成している。また個別カスタマイズ対応を基本戦略とする一方で、パッケージ機能の強化・オプション化による受注拡大や、品質・生産性向上によるリードタイム短縮などの施策により、継続的に売上総利益率の上昇を推進している。

そして売上高と売上総利益は拡大基調、売上総利益率は上昇基調である。2022年7月期~2026年7月期の推移で見ると、2026年7月期の全社ベースの売上高は20,889百万円で2022年7月期12,944百万円から約1.6倍に拡大、売上総利益は11,991百万円で同6,738百万円から約1.8倍に拡大し、売上総利益率は57.4%で同52.1%から5.3ポイント上昇した。このうちシステムソリューション事業の売上高は18,409百万円で同11,036百万円から約1.7倍に拡大、売上総利益は10,768百万円で同5,775百万円から約1.9倍に拡大し、売上総利益率は58.5%で同52.3%から6.2ポイント上昇した。CROSS事業の売上高は1,933百万円で同1,385百万円から約1.4倍に拡大、売上総利益は1,054百万円で同792百万円から約1.3倍に拡大した。なおCROSS事業の売上総利益率は54.5%で直近のピークであった2024年7月期の58.0%から3.5ポイント低下したが、これは「BACKYARD」の開発費増加が主因であり、今後は「BACKYARD」の本格展開に伴って上昇基調となる見込みである。クラウド関連仕入品の価格上昇に対しては、価格対策(クラウド月額利用料金値上げ)を実施して吸収している。

また2026年7月期の全社ベースのストック売上高は9,286百万円で同5,576百万円から約1.7倍に拡大、ストック売上総利益は5,515百万円で同3,304百万円から約1.7倍に拡大した。ストック売上総利益率はおおむね59%近辺で推移している。この結果、販管費は6,425百万円で同4,637百万円から約1.4倍に増加したものの、ストック売上総利益の販管費カバー率は85.8%で同71.3%から14.5ポイント上昇し、販管費の8割強をストック売上総利益でカバーできる収益構造となっている。

6. ビジネスパートナーとの連携強化
同社は売上成長と利益拡大に向けてビジネスパートナーとの連携を強化している。直近の連携事例としては、2025年7月に「CROSS MALL」がSHOPLINE Japan(株)のECサイト構築サービス「SHOPLINE」と連携開始、同年10月に「CROSS MALL」が(株)DaiのBtoB ECプラットフォーム「Bカート」と連携開始、同年12月に「CROSS MALL」が(株)メルカートの次世代クラウド型ECサイト構築プラットフォーム「メルカート」と連携開始、2026年3月に「CROSS MALL」が「TikTok Shop」と連携開始、同年8月に「CROSS MALL」が(株)ハイクリのアパレル特化在庫管理・需要予測AI「Vestory」と連携開始した。

7. リスク要因と課題・対策
情報システム・サービス産業における一般的なリスク要因としては、経済環境変化に伴う企業のIT・DX投資の抑制、受注競合、案件大型化に伴う開発期間の長期化、個別プロジェクトの不採算化、技術革新への対応遅れ、人材確保などがある。企業のIT・DX投資については、景気変動の影響によって一時的に停滞する可能性があるものの、中長期的には高水準で推移することが予想される。特に同社がターゲットとしている中堅・中小企業(システムソリューション事業では中堅・中小規模の製造・卸売業、CROSS事業ではEC事業者)ではIT・DX化が遅れているため引き続き市場開拓余地は大きいと考えられる。また同社はパッケージソフト開発・販売が主力のため、受託開発が主力のシステム開発会社に比べて個別プロジェクト不採算化リスクは小さい。一方で、顧客ニーズに沿った柔軟な個別カスタマイズによって競合他社との差別化を図っているため、カスタマイズ時における工数増加などが利益率低下要因となるが、この対策として製販一体体制の強化やAIの活用によって生産性向上を推進している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。