ログミーFinance×コエキク 個人投資家向けIRセミナー
溝本俊哉氏(以下、溝本):和田興産株式会社代表取締役社長の溝本です。よろしくお願いします。
当社は、ただいまご紹介いただきましたように、神戸・阪神間を中心にマンションを主力とした住宅を供給している会社です。首都圏の方にはあまりなじみがないかと思いますので、本日は当社についてできるだけご理解いただければと思います。短い時間ではありますが、みなさまにはぜひお付き合いいただけると幸いです。
目次
溝本:本日は、当社の会社概要・事業紹介、強み・戦略、業績ハイライト、中期経営計画、そして株主還元についてご説明します。
会社概要
溝本:まずは会社概要と事業紹介です。当社は神戸・阪神間を中心とした地域密着型で、分譲マンションをはじめエンドユーザーの方々に住宅を提供しています。
創業は1899年(明治32年)で、創業から127年が経過しています。不動産会社としては業歴が長く、法人設立から見ても、今年度は第61期の決算となり、非常に歴史の長い会社とご理解いただければと思います。
もともとは神戸市兵庫区や長田区の大地主である和田家が保有していた土地を賃貸していたことが創業の原点です。スライドの写真右側の、代表取締役会長の和田剛直はそのオーナー家です。業歴の長さでは、兵庫県の上場企業の中でもトップ10に入る歴史を有しています。
事業内容は、大きく分けて2つの柱があります。1つ目は分譲マンションをはじめとする不動産販売事業、2つ目は賃貸マンションを中心とした賃貸その他事業です。
業務内容についてですが、当社はデベロッパーとして開発用地の仕入と、分譲マンションなどの企画に特化しています。建築は地元のゼネコンを中心に他社へ依頼し、販売も専門の住宅販売会社に外注しています。これにより、従業員数127名という少人数で、売上規模に比べ効率的に業務運営を行っています。
企業理念
溝本:当社はこのようなビジネスモデルのもとで、地元企業との協力関係を重視しています。また、その他のステークホルダーの方々と共存共栄の関係を築くことが、事業を円滑に進める上で必要不可欠だと認識しており、「共生(ともいき)」という言葉を企業理念としています。
沿革
溝本:当社の沿革についてです。当社は非常に長い歴史を有しています。1899年に神戸市兵庫区において不動産賃貸事業で創業し、その後、木造住宅事業などを展開しました。そして、1979年に株式会社へと組織改編を行っています。
1982年頃より、分譲マンションの一棟販売を行っています。この一棟販売とは、当社が用地を仕入れて建築を行い、完成後にマンションを丸ごと1棟譲渡するビジネスモデルです。例えば、1982年頃には大京観光(現:大京)の「ライオンズマンション」などが有名でした。当社が1棟単位で譲渡し、大京観光を介してエンドユーザーの方々へ1戸ずつ販売されていました。
しかし、1990年以降のいわゆるバブル崩壊に伴い、マンションを丸ごと1棟引き受けられる企業が事業的に厳しくなり、ビジネスモデルの転換が必要となりました。これに対応するため、当社は自社ブランド「ワコーレ」を立ち上げ、自らが事業主としてエンドユーザーの方々へ直接販売を行う事業を展開しました。この取り組みが、企業の急成長を促すきっかけとなりました。
その後、2004年にジャスダックに株式上場し、2020年に東証二部に市場変更しました。2022年の東証市場区分の見直しに伴い、現状はスタンダード市場に上場しています。
その間、2008年にはリーマン・ショックが発生し、多くの不動産会社が倒産しました。当社は「ワコーレ」ブランドが地域で非常に浸透していたことに加え、実需を中心とした事業モデルを採用していたため、金融機関から厚い支援をいただきました。
その結果、2010年2月期には2億円程度の赤字を計上しましたが、その翌期から黒字転換を実現しました。長い歴史の中で赤字を計上したのはその時だけであり、それ以外の期間は黒字を維持しています。
事業面の拡大については、木造戸建て事業の再開や、最近では鉄骨アパートなどの開発販売も手がけています。分譲マンションの地域拡大については、2012年以降に徐々に大阪へ進出しました。さらに、2021年には累積供給戸数が2万戸を突破するに至っています。
事業セグメント
溝本:事業セグメントについてです。当社は4つの事業セグメントに分かれています。主力事業である分譲マンション販売事業に加え、戸建て住宅販売事業、その他不動産販売事業、不動産賃貸事業の4つです。決算短信などでは、この4つのセグメントに分けて決算を報告しています。
分譲マンション販売
溝本:個別の事業セグメントの事業内容についてご説明します。まず分譲マンション販売事業についてです。一番の特色は神戸市を中心に、明石市や阪神間など神戸を基点として東西に広がる地域密着型で分譲マンションを展開している点です。
マンションの規模についてはスライドのとおり、だいたい30戸前後の中小型マンションが中心です。年間では15棟から20棟程度、戸数にして年間600戸から700戸ほどの引き渡しを行っています。
スライドの下段には、主なプロジェクト事例が掲載されています。左側は「ワコーレ芦屋大原」で、日本の中でも屈指の優良住宅地である芦屋にある物件です。現在では珍しくないものの、当時はすべての住戸が1億円以上するマンションの例はなかなかありませんでした。このようなプロジェクトを展開していました。
中央は「ワコーレ大阪新町タワーレジデンス」というマンションです。また、右側には地域プロジェクトとして「ワコーレ ザ・神戸トアロード」を掲載しています。このプロジェクトは神戸の有名な道路であるトアロードに位置し、192戸という比較的大型のプロジェクトとして代表的な事例です。
戸建て住宅販売
溝本:戸建て住宅販売事業についてご説明します。戸建て住宅販売事業では、建築原価が高騰している中でも、マンションと比較すると建築コストの上昇はそれほど顕著ではありません。そのため、エンドユーザーにとってお求めやすい価格で提供が可能です。また、不動産仲介会社からの用地情報ネットワークを活用できる点も強みとしています。
「ワコーレノイエ」というブランド名での展開では、分譲マンションで培ったデザイン性や企画力を活かし、付加価値を重視した取り組みを行っています。これにより、パワービルダーとの差別化も進めています。
その他不動産販売
溝本:その他不動産販売事業です。こちらは賃貸マンションや鉄骨アパートの開発を中心に、マンション用地や戸建て用地の素地売却も含めて、物件の出口の多様化に努めています。特にアパートなどの販売用収益物件については、土地の情報を有効活用することで、マンション開発にはあまり向いていない少し狭い土地を有効に活用する観点から取り組んでいます。
こちらの鉄骨アパートについては、販売価格がおおよそ2億円から3億円で、不動産での資産運用を考えている法人や富裕層を対象に販売しているセグメントです。
不動産賃貸事業
溝本:不動産賃貸事業についてご説明します。当社が創業した127年前から家業として賃貸事業を行っており、これが安定収益事業となっています。この点は、マンション専業デベロッパーと比較した際に、当社の特徴の1つとなっています。賃貸事業は非常に安定的な収益を確保でき、分譲マンション事業のように浮き沈みのある事業と並行して、収益の下支えを行っています。
スライド右側の円グラフに示されているとおり、資産構成を見ると、レジデンス系を中心に展開しており、稼働率はほぼ満室稼働に近い97パーセントから98パーセントを維持することで安定収益を確保しています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながら進めます。先ほどお話しいただいた中で、御社は不動産賃貸事業で収益物件を保有されているとのことですが、将来的にはこれらを建て直して販売していくのか、あるいは現在保有されている収益物件の売却をしていくのでしょうか? ポートフォリオの変更を含め、どのように進められるのか教えていただきたいです。
溝本:出口についてはさまざまな展開が考えられます。最近では、もともと賃貸住宅として保有していた物件について、隣地を取得したことを契機に、その賃貸住宅を取り壊し、隣地と一体的に開発するケースもあります。このように、出口戦略の多様化が進んでおり、市場での売却を行う一方で、さまざまなタイプの不動産をそろえることで、効果的な活用が可能です。このようにご理解いただければ幸いです。
事業エリア
溝本:当社の事業上の強みや戦略についてご説明します。まず事業エリアについてです。不動産業の基本は、開発地域を十分に理解することです。そのような観点から、当社では事業エリアをある程度絞り込んで事業を進めてきました。
主要な事業エリアとして位置づけているのは神戸・阪神間です。この地域は、特に関西において日本有数の住宅地であり、地方では人口減少が進んでいると言われる中で、一定の人口が見込めるエリアです。そのため、住宅供給の地域として非常にポテンシャルを有し、将来性のある地域で事業を展開しているとご理解いただければ幸いです。
住みたい街 神戸・阪神間
溝本:大手不動産会社7社が提携し情報提供するポータルサイト「メジャーセブン」では、「住んでみたい街アンケート」というものを関西圏についても毎年実施しています。
スライドに黄色で網かけされている部分が、当社がマンションを供給しているエリアです。20位以内に半数以上がランクインしており、非常に人気のあるエリアに住宅を供給している会社であるとご理解いただければ幸いです。
当社の強み・戦略 常設MG
溝本:当社の強み・戦略の部分に移ります。いわゆるマンションの販売拠点であるマンションギャラリーについてですが、当社はこれを常設で展開しています。通常、他社では1つのマンションごとにマンションギャラリーを設置しますが、当社は地域を限定しているため、常設のマンションギャラリーで複数棟を販売しています。
複数棟販売するメリットについては、1棟を販売するよりも3棟を販売したほうが、コスト面で優位に働くことがあります。また、1つのギャラリーで複数のマンションを扱うことで、お客さまにはタイプや金額帯が異なる複数のマンションを1つのギャラリーで選べるという利点があります。これが常設マンションギャラリーのメリットになっています。
当社の強み・戦略 賃貸、その他
溝本:先ほどの質問と重複する部分もありますが、当社は用地・物件情報に応じた幅広い出口戦略を持っています。1つの情報をいただいても、当社は分譲マンションや戸建て、アパートなど、さまざまな選択肢を持っているため、不動産仲介会社などから得られる情報を多様なかたちで活用できます。
このような点から、不動産仲介会社なども「和田興産に持っていけば用地を買ってくれるのではないか」という期待感を持って情報提供をいただいています。このようにして優良な情報がたくさん入ってくる仕組みになっているとご理解いただければと思います。
分譲マンション供給実績
溝本:分譲マンションの供給実績です。先ほど沿革の中で申し上げましたが、1991年の供給開始から安定して供給を続けており、年々供給実績を積み上げています。現在は594棟で、まもなく600棟に到達する見込みです。供給戸数は2万3,336戸で、比較的小規模から中規模のマンションを展開しています。
マンションというのは一度建設されるとそのまま残るため、これだけの棟数があると「ワコーレ」というマンションブランドの名が自然と目に留まります。そのため、地元地域では非常に知名度の高いデベロッパーとして認識されています。
近畿圏分譲マンション供給ランキング
溝本:近畿圏の分譲マンション供給ランキングについてです。マンションデベロッパーの実力を測る上で、供給数は1つのバロメーターとなります。当社の「ワコーレ」マンションは、昨年まで28年連続で神戸市において供給棟数No.1を維持し続けています。また、近畿圏においても供給棟数が第3位となっています。
他社については、例えばワンルームマンションを手がける会社や、大手が経営するデベロッパーの名前が挙がっています。一方で、当社は独立系のデベロッパーであり、その意味ではトップクラスの実績と位置づけられていると言えます。
坂本:スライドを見ると、御社は供給数および供給戸数でほとんど上位に位置しているとのことですが、関西におけるデベロッパー同士の競争は非常に激しいと思います。御社が常に上位に君臨している理由、特に神戸地区でトップである背景について、土地の所有者や不動産仲介業者とのリレーションや情報収集の取り組み方法など、御社の特徴があればお聞かせください。
溝本:分譲マンションを開発する上で、用地情報、つまり土地の情報が最も重要になります。そのような状況の中で、当社はこれまでコンスタントに供給を続けてきた実績があります。そのため、「和田興産に持っていけば土地を買ってくれるのではないか」という期待感が強く、情報を流していただける業者が多くいらっしゃいます。
また、出口においてもさまざまな選択肢を持っています。そのため、分譲マンションに適さない土地であっても、例えば戸建て用地にできたり他の用途にも使えたりするため、情報を無駄にしないという点も挙げられます。そのような中で、用地情報が的確に仕入れられていることが要因です。それが、供給ランキングで長く上位を維持している源になっていると考えています。
近年の戦略 ①大型マンション
溝本:近年の戦略ということで、大型マンションにも取り組んでいる点についてお話しします。これまで中小型マンションを中心に展開してきたと説明しましたが、100戸を超える大型マンションの開発も行っています。
スライドの上部にある「ワコーレ神戸元町ザ・ゲートタワー」というマンションについてですが、こちらは来年2月に竣工予定のマンションで、100戸を超える規模です。
このマンションは非常に歴史ある土地に建設されています。もともと三越百貨店の神戸支店があった跡地でプロジェクトが進められており、地元の方々にとっても由緒ある場所として認識されています。販売の進捗も順調で、すでに全戸完売しています。
このような大型プロジェクトを進めてきていますが、建築コストがやや上昇している状況です。そのため、中小型マンションだけでは建築コストの消化が難しい部分を、大型マンションの開発に取り組むことで、少しでもコストダウンを図るという考え方で進めてきました。
坂本:御社は平均で39.3戸程度という、基本的には中小型マンションを得意とする会社だと認識しています。先ほど触れられた資材の話も含め、100戸超の物件は土地の条件次第と思いますが、こうした大型物件の開発も手掛けられているとのことです。
そこで、今後の方針についてお聞きしたいのですが、これまでどおり中小型マンションの開発をメインに進めていくのか、それとも100戸以上の販売を強みにして大型物件の開発を推進していくお考えなのか、ポートフォリオのバランスについておうかがいできればと思います。
溝本:当社では、地域密着型のスタンスで事業を展開しています。そのため、地域で得られるどのような情報にも取り組む姿勢を基本としています。
ただし、神戸・阪神間では南に海、北に山がある地形のため、大規模開発が可能な分譲マンション用地がなかなか出てこないという一面もあります。
これまでは中小型マンションを中心とし、平均でおよそ40戸弱の規模で実績を重ねてきました。希少な立地の物件が出た際には、100戸を超えるものにも今後挑戦していきたいと考えています。
すでに100戸を超えるマンションのラインアップもそろえており、中小型マンションと併せて積極的に取り組みを進めていく方針です。
近年の戦略 ②新規事業
溝本:近年の戦略の2つ目として、新規事業についてです。今年度からスタートした中期経営計画において、その重点戦略の1つに「社会的課題の解決に向けたソリューション機能の充実と育成」が含まれています。
新しいことに挑戦するという観点から、分譲マンションや住宅だけではなく、スライドに示しているような新しいタイプの事業も進めています。左側には住宅型有料老人ホーム、右側には系統用蓄電所が示されています。
このように新たなビジネスに取り組みつつ、分譲マンションに関しては、今後予想される人口減少や世帯数の減少が進む中、急激な拡大は難しいと考えています。そうした状況を踏まえ、事業の多様化を進め、基盤を強化していければと考えています。
業績ハイライト 業績推移
溝本:近年の業績についてご説明します。過去5年間の売上高は、分譲マンションの引き渡し戸数に応じて若干の上下はあるものの、おおむね400億円を超える水準で推移しています。
現在、分譲マンションの価格はご案内のとおり上昇しており、その点では増収基調にあると言えます。
一方、利益面については、2期から3期前までは分譲マンションの市況が非常に良く、販売価格が上昇していましたが、ここ最近では建築コストの上昇もあり、ご案内のとおり利益が圧迫されています。そのため、過去2年間ほどはその影響を受けて減益基調となっているのが、近年の業績推移です。
業績ハイライト 2027年2月期計画
溝本:今期である2027年2月期の計画についてご説明します。計画では、売上高を460億円、営業利益を43億円、経常利益を30億円、当期純利益を21億円と見込んでいます。
8月末で第2四半期が終了しましたが、実績については資料に記載のとおりです。進捗率は、おおむね50パーセントを少し下回る水準となっています。
利益面については、当初の計画を上回る結果となっています。ただし、今期は分譲マンションの引き渡しが、主に下期の第4四半期に集中していることもあり、進捗率は50パーセントには達していません。しかし、通期ではこうした状況を踏まえても、目標達成が見込めると理解しています。
中期経営計画(2027年2月期~2029年2月期)
溝本:中期経営計画についてです。先ほどお話しした重点戦略の中で、人材が活躍できる環境整備の推進や、新規事業で取り上げた収益構造の転換を進めながら、新たな挑戦を継続していきたいと考えています。
各セグメントの事業戦略については資料記載のとおりですが、基本的には可能な限り新たな挑戦を行い、将来に向けて布石を打っていきます。そのような中で経営基盤の強化を進めていきたいと考えています。
中期経営計画(2027年2月期~2029年2月期)
溝本:中期経営計画における売上高と利益目標についてです。売上高は3期間合計で1,500億円を目指しており、前回の中期経営計画期間と比べて二十数パーセントの増収を目指す方針です。
ただし、利益面では建築コストや金利の上昇といった目先の課題があるため、前回の3期間合計と比べると減益基調になる可能性があります。
しかしながら、今回の中期経営計画の最終年度には、前回の中期経営計画の最終年度である2026年2月期並みの利益を達成できるよう、会社と社員一同努力を続けています。
坂本:こちらについてですが、スライドに「金利上昇傾向や人手不足による供給制約」と記載されています。現在、住宅ローン金利の上昇などがある中で、御社では三越神戸支店跡地の物件は成約済みという状況にあるとうかがっていますが、特に、最も精通されている神戸・阪神間における、顧客の新築マンションに対する意識の変化についてお聞きしたいです。
また、建設コストの上昇や土地価格の高騰があり、最終的に販売の坪単価を引き上げざるを得ない状況があると思います。価格や金利の上昇に対する顧客の姿勢や動向、そして御社の商品に関する工夫についてもお聞かせいただければと思います。
溝本:現在の状況として、住宅ローン金利は上昇していますが、当社では各金融機関に優遇金利を設定していただいています。そのため、現状ではおおよそ1.1パーセントから1.3パーセント程度で借り入れることが可能です。この影響については、現時点ではさほど大きな影響は出ていないように感じています。
神戸・阪神間は優良な住宅地であり、比較的所得水準が高い層の方が多い地域です。また、この地域は実需を中心としており、首都圏で見られるような投資目的のニーズが強いエリアとは異なります。そのため、実需の観点から見ると、現在のところ大きな影響が出ていないと考えています。
当社としては、可能な限り優良な用地を仕入れ、良質な物件を提供し、お客さまに選ばれるマンションを建設していければと考えています。
株主還元
溝本:最後に、株主還元についてお話しします。事業で得られた利益の配分方針については、中期経営計画でも謳っているとおり、事業への再投資には得られた利益の50パーセントから60パーセントを充てる方針です。また、配当性向については中期経営計画期間中に30パーセントを目標としています。
株主還元策については、安定配当の継続を基本的な考え方としています。ただし、今期は足元の減益計画を踏まえ、減配予想というかたちで公表しています。しかし、今期第2四半期において当初の予想を上回る実績となったため、中間配当を当初予想の25円から32円に変更しました。この判断は増益となった事実を踏まえたものです。
可能な限り事業を安定化させ、株主のみなさまに安定配当を継続していけるよう努めていきますので、ご理解いただけると幸いです。
私からの説明は以上です。
質疑応答:土地活用戦略の内容および具体的な事例、同業他社との比較について
坂本:17ページについてですが、御社は土地情報の形状や立地特性に応じてマンションを建てるイメージが非常に強いと認識しています。しかし、戸建てや収益物件、ホテル、老人ホームなど、仕入れた土地の用途を柔軟に振り分けられる体制をお持ちだとうかがいました。
一般的にマンションデベロッパーはマンションのみを手掛けるイメージが強いですが、これは御社の特徴の1つと言えると思います。あらためて、御社の強みについて教えていただけますでしょうか? 同業他社との比較や、御社が取り組まれている内容、または具体的な事例でもかまいませんので、お聞かせいただければと思います。
溝本:当社の場合、地域を限定して事業を展開している点が特徴です。
分譲マンションだけに注力すると、地域を拡大して神戸・阪神間や首都圏、その他の地域で展開することも考えられるかもしれません。ただ、当社は神戸・阪神間に特化して事業を進めています。そのため、出口戦略のバリエーションを増やしていく必要があると考えています。
また、分譲マンション事業においては、これまでの実績により、当社の知名度や認知度は非常に高いものになっています。そのため、例えば戸建て住宅事業を展開した場合でも、「和田興産が手掛ける戸建て住宅なら、これまでの『ワコーレ』などの分譲マンション事業の実績から安心できる」と評価していただける点があります。また、販売用の収益物件についても、マンションに適さない土地を上手に加工し、利用することが可能です。
この観点から、土地情報を提供していただける業者にとっても、「和田興産なら何とかしてこの土地を上手に加工し、利用してくれるだろう」という意識が高く、情報がどんどん集まってきます。
結局のところ、デベロッパーにとって用地情報は最も重要な生命線です。この情報がなければ事業が進められないわけですが、当社にはこうした土地情報が豊富に集まるという点が、一番の強みだと考えています。
このように、地域を限定して事業を進めてきたことは、長年の継続によって認知度やブランド力を高める結果につながりました。戦略的に見ても、これまでの方針は良い結果をもたらしてきたと認識しています。
質疑応答:トランクルームの事業計画と収益について
質問者:トランクルームについてですが、保有資産構成で1.7パーセントという数字は、経営的に今後、それ以上増やしていく予定があるのでしょうか? また、そこでどの程度の収益が上がっているのか教えてください。
溝本:トランクルームについては、かなり以前から手掛けています。駐車場をトランクルームに転用したものが主で、現在は大きな動きはなく、既存のものを細々と続けている状況です。このような現状だとご理解いただけると幸いです。
質疑応答:系統用蓄電所の事業計画と蓄電・放電のサイクルについて
質問者:系統用蓄電所についても、今後増やしていく予定はあるのでしょうか? 設備の規模がどの程度なのか正確にはわかりませんが、丹波篠山のスペースにさらに増設していくのか、それとも他の場所で計画しているのかについてもうかがいたいです。
また、電力不足時に放電するということですが、逆に電力が供給過多になってしまう場合についても時々話題に挙がることがあります。その場合、どのくらいの期間なら蓄電し続けてよいのかについて教えていただきたいです。
溝本:蓄電所についてですが、スライドにあるとおり、丹波篠山幡路蓄電所をはじめ、鹿児島県霧島市、三重県松阪市の3ヶ所で蓄電所事業を展開しています。
丹波篠山については軌道に乗っており、収益状況としてはおおよそ20パーセントの利回りを得られており、非常に収益性が高いです。鹿児島と松阪でも事業を行っているため、その状況を見ながら進めていきたいと考えています。
蓄電所については、再生可能エネルギーの一環として昼間に蓄電し、電力が不足する夜に供給する仕組みとなっています。今後、系統用蓄電所のニーズはますます高まると考えています。
質疑応答:現在の業績の認識と、今後の配当および業績の見通しについて
坂本:業績についてですが、足元の業績は非常に好調であり、上振れが期待できる状況です。業種的によくある下期偏重のパターンを踏まえると、非常に順調だと感じています。
配当性向を考慮されていることから、業績が上振れした際には配当も上振れされる可能性があるのではないかとイメージしています。また、中期経営計画において増収減益になっている部分についてですが、これは現在の事業環境が不透明であるためなのか、保守的な見立てであるためなのか、疑問に思います。
足元の状況を見る限りでは、このまま伸びれば増益で着地する可能性があるのではないかとも感じています。もちろん、将来のことは不確定な要素も多いため、詳細なご説明は難しいかと思いますが、現状のイメージと将来の見通しについて、お話しいただける範囲でご説明いただけると幸いです。
溝本:基本的に当社は安定配当を基本方針としており、可能な限り配当水準の維持を目指しています。ただし、足元の状況は非常に不透明です。先ほどのご質問にもありましたが、建築コストや金利の上昇といった要因がある中で、当社としては保守的な計画を立案する部分もあります。また、分譲マンションの引き渡しなどにより、収益が若干ぶれることもあります。
そのような要素を考慮しつつ、安定した収益を確保し、株主のみなさまに適切な還元ができるよう努めていきたいと考えています。
溝本氏からのご挨拶
溝本:終わりにあたり、当社の特徴についてあらためてお話しします。
当社は、神戸・阪神間を中心に主に分譲マンション事業を展開する、地域密着型のデベロッパーです。長年培ってきた地域密着の強みを活かし、安定的な事業運営を通じて持続的な成長を続けている会社です。
知名度は決して全国的に高いわけではありませんが、神戸においては地域トップクラスの供給実績を誇っており、当該地域では非常に大きな存在感を持っていると自負しています。
また、株主還元については、安定配当を基本方針としており、より安心してご投資いただける企業を目指していきたいと考えています。本日はご清聴ありがとうございました。