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「サナエ」と呼ばれる日【フィスコ・コラム】

米中間選挙の結果、共和党が上下両院で少数派に転落した場合、トランプ政権の日本に対する円安是正要求は一層強まるかもしれません。内政が手詰まりになれば、通貨政策を切り札に外交に活路を見出そうとすることが予想されるためです。高市政権は期待に応えられるでしょうか。

11月3日の中間選挙を前に、トランプ氏の支持率は3割あまりに低迷しています。共和党が下院だけでなく上院でも過半数を失えば、減税や歳出を巡る政権の構想は議会の壁に突き当たります。財政拡張に歯止めがかかるとの期待からドルが買われれば、製造業復活を目指すトランプ政権には逆風となります。残る任期2年あまりで成果を示すには、通商交渉や為替を巡る外交に重点を置くことが必須でしょう。

かつてクリントン政権は対日貿易赤字の縮小を狙って円高を容認し、1995年4月には一時1ドル=79円75銭と当時の史上最高値を記録しました。しかし、ドル安が他通貨にも波及するなか、ルービン財務長官の下で強いドルを重視する政策へ転換。その教訓からか、今年7月末の日米協調介入では、米国がユーロ売り・円買いを選択しました。ドルを直接売らずに円高を促し、基軸通貨への信認低下を避ける狙いがうかがえます。

一方、中国の人民元は第2次トランプ政権発足後、おおむね上昇基調をたどり、足元では1ドル=6.66元台と約4年ぶりの高値圏にあります。米中両首脳が関係改善を強調する背景には、元高を容認する中国への評価もあるはず。ただ、中間選挙でトランプ氏の求心力が低下すれば、中国が追加的な譲歩に応じる動機は弱まります。実際、中国人民銀行は元高の速度を抑える姿勢を示しています。

対照的に円は安値圏から抜け出せず、9月の日米首脳会談でも円安が懸案となりました。高市政権内ではリフレ政策との決別を示唆する発言が相次ぐものの、財政拡張への警戒は根強く、円相場の回復には結び付いていません。食料品の消費税率引き下げも、財源が不明確なままでは財政不安を招きます。米国が求めるのは、一時的な為替介入よりも円安を助長しない政策への転換でしょう。

トランプ氏は9月の米中首脳会談で習近平氏を「President Xi」(習主席)と呼び、第二次世界大戦中の両国の協力にも言及。これに先立つ日米会談では、自身を「ドナルド」と呼んだ高市氏に対し「Prime Minister of Japan」(日本の首相)と名前を口にせず、政策協調の隔たりを感じさせました。「サナエ」の呼び名は、円安との決別が試金石になるのでしょうか。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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