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浅沼誠氏(以下、浅沼誠):株式会社淺沼組代表取締役社長の浅沼です。本日は、当社の個人投資家説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
ただいまより、株式会社淺沼組の会社説明会を始めます。まず私から、当社の沿革や創業理念、事業概要についてご説明します。その後、執行役員コーポレート・コミュニケーション部長の浅沼真里香より、中期3ヵ年計画の内容に沿って、足元の取り組みや業績、そして株主還元の内容についてご説明します。
1. 会社概要
浅沼誠:当社を初めて知っていただく方も多いかと思いますので、概要について簡単にご説明します。当社は1892年に奈良県で創業し、総合建設業を営んできました。今年で創業134年を迎えます。会社の規模としては、連結売上高が1,752億円、営業利益が72億1,100万円、全体の従業員数は約1,800名です。
2. 沿革
浅沼誠:このスライドでは、当社の沿革を示しています。当社の起源は江戸時代までさかのぼります。1892年に奈良県で創業し、その後、大阪府に本社を移転して全国へ事業を展開してきました。
現在は、日本国内だけでなく、海外ではシンガポールを中心に事業を展開しています。
3. 創業理念
浅沼誠:当社は、創業者である淺沼幸吉の「仕事が仕事を生む」という事業に対する信念の下、「和の精神」「誠意・熱意・創意」を創業理念としています。創業から130年を超える現在も、この理念は脈々と社員に受け継がれ、淺沼組らしさともいえる企業風土の礎となっています。この企業風土を支える社員一人ひとりこそが、当社の財産であり、事業活動を支える最も重要な基盤です。
4. 事業概要(国内)
浅沼誠:続いて、当社の事業概要についてご説明します。単体の事業ポートフォリオは円グラフのとおり、およそ8割が建築事業、2割が土木事業およびその他事業となっています。
4. 事業概要①建築事業(国内)
浅沼誠:ここからは、それぞれの事業の概要をご説明します。まず、国内の建築事業です。スライド左下の棒グラフは、直近5年の完成工事高(売上高)を示しています。
また、折れ線グラフは完成工事利益率を示しています。昨今の資材・労務価格高騰の影響を受け、2023年度はやや減少しましたが、選別受注を強化したことで、2024年度および2025年度では改善が見られます。
スライド右下の円グラフに示されているように、倉庫・工場・住宅の施工実績が豊富で、その他にも教育研究施設など、さまざまな案件をバランスよく建設しています。
4. 事業概要②土木事業(国内)
浅沼誠:国内の土木事業についてです。先ほどと同様に、スライド左下のグラフには完成工事高および完成工事利益率を示しています。
また、用途別の完成工事高については、スライド右下に記載された円グラフのとおり、上下水道をはじめ、さまざまな種類の工事を行っています。
4. 事業概要③海外事業
浅沼誠:海外事業についてご説明します。当社は1976年から海外での事業展開を開始し、今年で50年を迎えます。
進出当時はグアム島を中心に展開していましたが、現在ではシンガポールで買収した3社のリニューアル関連子会社を中心に、ASEAN地域で事業を展開しています。
特に、スライド右下に記載の、シンガポールで電気設備工事業等を行っているEvergreen Engineering & Construction Pte. Ltd.の業績は堅調に推移しており、連結業績にも貢献しています。
5. 業績推移(連結)
浅沼誠:このスライドでは、当社グループの業績を直近5年の数字でグラフ化して示しています。
スライド右上の営業利益については、先ほどお話ししたとおり、資材・労務価格高騰の影響により一時的に落ち込みましたが、現在は改善しています。純資産・自己資本比率が2024年度に減少している要因は、中間配当を導入したことなどによる一過性のものであり、問題ない水準を維持しています。
総じて、売上高・利益は着実に増加しており、スライド左下に記載されているROEも10パーセントを超える水準を継続しています。これは、資本効率を意識した経営の成果が表れていると考えています。
1. 中期3ヵ年計画のテーマ
浅沼誠:ここからは、執行役員戦略企画本部コーポレート・コミュニケーション部長である浅沼真里香より、具体的な取り組みや業績、配当の内容について、中期3ヵ年計画の内容に沿ってご説明します。
浅沼真里香氏(以下、浅沼真里香):執行役員戦略企画本部コーポレート・コミュニケーション部長の浅沼真里香です。ここからは私が、中期3ヵ年計画に沿って、当社の取り組み内容についてご説明します。
今年度は中期3ヵ年計画の最終年度にあたります。当社では、中期3ヵ年計画の中で3年間注力する内容として6つのテーマを掲げていますが、本日は時間の都合により、主にテーマ1、2、3について簡潔にご説明します。
2.テーマ毎の取り組み(1/6)
浅沼真里香:1つ目のテーマとして、「国内コア事業の強化」というテーマを掲げています。先ほど社長からもご説明があったとおり、当社のコア事業は国内の建築および土木の事業です。この中核事業をさらに強化していこうというのが、1つ目のテーマです。
その具体的な取り組みの1つとして、スライドの1つ目の項目に記載している「選別受注の高度化・強化」という内容があります。ご存知の方も多いかと思いますが、建設業はまず、案件を受注した段階で、金額や工期などの契約条件が概ね決まります。その後、工事を進める中で、原価の変動など多くの変動要因が発生しますが、それを適切にマネジメントし、お客さまに建築物を引き渡すというビジネスモデルです。
したがって、受注時にさまざまな要素を十分に検討した上で、受注を判断することが、案件の収益性において非常に重要であるという前提があります。
そこで当社では、案件の受注段階で、工事の内容や契約条件、採算性、リスクを十分に確認し、さらに事業全体としてどのような案件のポートフォリオを組むべきかを見ながら、戦略的に案件を見極め、受注を進めていきます。
それを便宜上「選別受注」という言葉で表現していますが、そのような方針を徹底しています。これにより、収益力の向上と事業の安定を図っています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):現在、選別受注を進められており、その中で効率的に運営されているというお話をうかがいました。スライドの中央図は、青い部分と赤い部分で構成されており、鉄骨で作られたものと技術力の向上・伝承を担う鉄筋コンクリートで構成されたものが示されています。
こちらで目標とするポートフォリオが設定されているとのことですが、現在の状況では、資材価格や労務費の高騰といった経営を揺るがす問題が多々あると思います。
このような環境下において、御社ではどの程度の受注が可能か、現場のキャパシティや効率的な運営、さらには採算面に関して、どのようにお考えですか? このバランスに関しては調整が必要だと思いますが、そのコントロールのコツについて教えていただけますでしょうか。
浅沼真里香:まさにおっしゃるとおり、このバランスを取りながら進めていくことが、受注時における重要なポイントだと考えています。採算面に関しては、例えば「この工種だと利益率は何パーセント」「この工種については何パーセント」のようなかたちで、期初に受注時の利益率のハードルを設定しています。これが下限となるハードルであり、営業部門のみなさまには、このハードルをクリアした案件を獲得するよう取り組んでいただいています。
加えて、利益率だけではなく施工性、すなわち当社の社員1人あたりの完成工事高(売上高)も意識して、案件を獲得しています。
スライドの緑色の枠で囲まれた図の左側は、利益率や施工効率に関する内容です。今おっしゃっていただいたとおり、当社は効率だけではなく、右側に示されている技術面も十分にバランスを見ています。具体的には、左側にはS(鉄骨)造と記載されていますが、工場や倉庫に代表される鉄骨造は比較的施工がしやすい特徴があります。
技術者の育成や技術力の向上・伝承という観点から、RC(鉄筋コンクリート)造の施工にも取り組んでいます。例えば、住宅や学校、病院といった難易度の高い案件も一定程度獲得し、社員の技術力を高めています。
これらに目標ポートフォリオは設定しておりませんが、案件の種類においてバランスを取りながら進めています。
また、おっしゃるとおり、キャパシティの確保は非常に重要なポイントです。昨今は人手不足が経営課題となっていますが、当社では受注の段階で、社員と協力会社の体制が確保できた案件のみを受注することで、確実にコントロールしています。
坂本:よくわかりました。
浅沼真里香:今お話ししたのは選別受注の内容ですが、国内コア事業の強化において、もう1つご紹介したいのが、スライド下段の3つ目の箇条書きにある「協力会社を含めた現場の生産性向上に資するDX施策の推進」です。やはりコア事業を強化するには、生産性向上に資するDXが不可欠であり、いわゆる「現場DX」と言われる、現場の生産性向上につながる施策の推進が重要です。
これまで現場では多くのシステムが分散して存在し、さまざまなプラットフォームで業務を行うほか、一部に紙を使った業務も残っていました。そのため、それらをすべて1つのプラットフォームに集約し、重複する入力作業を省いたり、システム間のデータ連携を確実に行うといった現場DXを進めてきました。そして先日、このプロジェクトの導入が無事完了し、現在は稼働を開始しています。今後は、これにAIを組み込むことも検討中です。
2.テーマ毎の取り組み(1/6)
浅沼真里香:このスライドでは、国内単体の受注案件を工事種類別に分類した内訳を示しています。スライドの左側は建築事業、右側は土木事業の内訳になります。特に建築事業においては、バランスを非常に重視しており、倉庫、住宅、宿泊施設、事務所など、さまざまな案件をバランスよく獲得している様子を示していると考えています。
2.テーマ毎の取り組み(2/6)
浅沼真里香:ここからは、2つ目のテーマである「リニューアル事業の強化」についてご説明します。当社ではおよそ5年前から、ゼネコン業界においては比較的早く、リニューアル事業を新築と同じくらいの中核領域と位置づけ、その強化に取り組んでいます。このスライドでは、まずリニューアル事業に注力している理由について記載しています。
いろいろと記載していますが、要点をお伝えすると、やはり需要と収益性が高いという2点です。特に需要に関しては、スライド中段の建築物ストック統計というグラフに示されているように、リニューアルの対象となる建築物のストックが非常に多いことが、需要があるというポイントになっています。
次に、当社の強みについてですが、スライド中段より下に3点記載しています。
まず土台となるのが、スライドの一番下に記載している対応力・技術力です。リニューアル工事では、建物を改修する際に新築時の図面が残されていないケースも少なくありません。そのため、実際に建物を解体して初めて状況が把握できることが多々あります。
このようなケースでは、解体の過程で判明する状況を的確に判断し、柔軟に対応することが求められます。この点で、当社はリニューアルならではの課題に高い適応力を持っています。
また、リニューアル特有のケースとして「居ながら工事」と呼ばれる工事があります。例えば、オフィスをリニューアルする際、建物利用者の方々がいらっしゃる状態で工事を進める場合が挙げられます。このような新築工事では発生しない特殊な工事手法が必要ですが、当社にはその分野での豊富なノウハウや経験があり、的確に対応することが可能です。
次に、スライド下段の右上に記載している「案件サイズ」についてです。リニューアル工事は、大手ゼネコンが必ずしも積極的に手掛けるような案件サイズではない中規模案件が非常に多いのが特徴です。当社の事業規模ならではの強みを活かし、機動的かつ柔軟にこうしたサイズの案件に対応できることが、当社がリニューアル市場に参入できる十分な理由であり、親和性が高いと考えています。
また、スライド下段の左上に記載している「付加価値の高い提案」についてです。当社では、環境配慮や快適性の向上といった分野においても研究開発を進めています。そのため、単に古くなった建物をリニューアルするだけでなく、このような付加価値の高い提案を行うことが可能です。
いわゆるリニューアルの松竹梅のようなかたちで、シンプルなリニューアルから付加価値の高いリニューアルまで、さまざまな提案ができる点が、当社の強みの1つと考えています。
2.テーマ毎の取り組み(2/6)
浅沼真里香:具体的な数字についてです。スライド左側には国内リニューアル事業の数字が示されています。受注高は堅調に推移しており、特に注目していただきたいのが、赤枠で囲った国内リニューアル事業の利益率です。こちらは完成工事利益率ですが、非常に堅調な推移を見せています。
先ほど少し触れましたが、リニューアル事業は新築事業に比べてさまざまな要因により収益性が高い傾向にあります。さらに、直近3期の推移を見ると、適正なレベルでの高い水準を維持しながらも、さらなる引き上げが進んでいます。
これは、リニューアル事業を一層強化していることに加え、先ほどお伝えした選別受注の徹底や、付加価値の高い提案を地道に積み重ねていることの成果と考えています。
2.テーマ毎の取り組み(2/6)
浅沼真里香:付加価値の高い提案力について具体的にご説明します。スライドに示しているのは、「還土(かんつち)ブロック」「立体木摺土壁」と当社が命名した環境配慮型の技術で、土を使用したものです。これらは特許を取得しており、スライド左側の写真が「還土(かんつち)ブロック」、右側の写真が「立体木摺土壁」を用いた実際の作品を示しています。この技術は環境への配慮だけでなく、意匠性も重視したものです。
2.テーマ毎の取り組み(2/6)
浅沼真里香:このスライドは、このスライドでは、先ほどお伝えした2つの技術の受賞実績をご紹介します。ここでは、環境面で評価された賞だけでなく、スライド中段中央の写真にある「グッドデザイン賞」を受賞するなど、デザインや意匠性についても高い評価を得たことが示されています。
提案力の向上に向けては、単なる改修にとどまらず、お客さまのニーズやご予算に応じて環境配慮技術を駆使しながら、建物の価値を高める提案を行うことで、リニューアル事業を引き続き強化しています。
2.テーマ毎の取り組み(3/6)
浅沼真里香:3つ目のテーマである「人材の獲得・確保・育成」についてです。みなさまもご承知のとおり、生産労働人口の減少により、建設業界でも担い手不足が課題となっています。
そのような中でお伝えしたいのは、スライドの一番上に記載されているとおり、当社の平均勤続年数は21.8年で、主要ゼネコンの中で1位にランキングしている点です。また、採用人数についても、スライド右上の水色の表で赤枠内に記載されているように、新卒採用と中途採用の合計が目標人数を超えるかたちで採用できています。
また、中段に記載の離職率についても2.9パーセントと、まずまず良い数字となっていることは、当社の誇れる点だと考えています。
坂本:こちらについて、さらに詳しくおうかがいしたいのですが、先ほど「平均勤続年数が21.8年」とご説明いただきました。これはゼネコン22社の中で1位ということで、また、離職率についても2.9パーセントと非常に低い水準で推移していると感じます。
定着率が高いということは、おそらく良い会社であり、転職の必要性を感じないということだと思いますが、この点についての理由を、もう少しご教示いただけますでしょうか。
浅沼真里香:私自身、この点を非常に誇りに感じていますが、その理由は2つあると考えています。
1つ目の理由としては、中堅ゼネコンとしては意外かもしれませんが、処遇面において大手とそれほど差がない点が挙げられます。もちろん、まだ改善が必要な部分もあるかもしれませんが、給与面や福利厚生が手厚い点は特徴だと思います。
特にそれを示しているのがスライドの1点目です。初任給を30万円に引き上げたことや、4年連続での賃上げ、そして福利厚生の充実など、さまざまな取り組みが行われていることからも言えるかと思います。
もう1つは、企業文化です。社員からよく聞くのは、「風通しが良い」や「面倒見が良い」、あるいは「すごく仲が良い」といった内容で、そのようなことが非常に感じ取れるところがあります。一度退職した人からも、「帰ってきたい」という声を聞くことがあります。
余談になりますが、1つエピソードをご紹介します。当社では現在、中期3ヵ年計画の施策の一環として、ブランディングやPRの強化を進めています。その中で、広告という選択肢も含め、どのように当社を打ち出していくかをあらためて検討するため、当社がどのような会社で、どのような社員がいるのかを調査しようとアンケートを実施しました。
当社は単体で約1,200人の社員が在籍しており、その全員を対象に「淺沼組や建設について、また日々の仕事において、情熱・夢中・誇り・愛着等を感じたエピソードがあれば教えてください」という質問を設けたアンケートを実施しました。この質問はそのままの内容で社員に投げかけ、回答期間はおよそ2週間だったと思います。その結果、1,200人中600人、つまり約半数の社員から回答を得ることができました。
これほど多くの社員が回答してくれたのは、会社に愛着を持ってくれている証だと思います。このエピソードから、当社の雰囲気や特徴を感じ取っていただけるのではないでしょうか。
坂本:非常にわかりやすかったです。
3.TOPICS
浅沼真里香:最後に、直近のトピックスを1つご紹介します。この度、相葉雅紀さん主演の身体障害者野球をテーマにした映画『4アウト ―もう一度、プレイボール―』に協賛しました。
当社は2018年から日本身体障害者野球連盟への協賛を継続しており、障がいの有無にかかわらず、一人ひとりが情熱と誇りを持って挑戦できる社会の実現を応援してきました。
本映画に協賛する運びとなったのは、そのご縁からです。障害を抱えながらも野球に挑み続ける、熱い作品になっています。本作は11月6日に全国公開されますので、お時間がありましたら、ぜひご覧ください。
1. 2025年度 実績- 業績ハイライト(連結)
浅沼真里香:業績および株主還元についてご説明します。まず、業績および財務の内容について、直近期である2025年度の実績を概要としてご説明します。
スライド右側の表の中央付近に記載されているのが2025年度の実績です。受注高、売上高、利益はいずれも前期を上回り、増収増益となっています。
先ほどご説明しました戦略的な受注が功を奏していることや、リニューアルが順調に推移していることが、今回の業績につながっています。
その結果、スライド下部に記載のとおり、ROEは10.9パーセント、ROICは7.8パーセントとなり、いずれも前期比・計画比で増加し、株主資本コストと資本コストをそれぞれ上回る水準です。
2. 2026年度 第1四半期 実績・進捗(連結)
浅沼真里香:直近の具体的な内容として、今年度第1四半期の状況をご説明します。スライド右側の表の濃いグリーン部分が今年度の計画・着地見込みで、その右側に第1四半期の実績、さらにその右側に進捗状況と前年同期比を記載しています。
受注高は前年同期を上回る水準で推移しました。売上高は前年同期比で若干の反動があり減少しましたが、特に注目していただきたいのが利益の面です。営業利益は16億8,700万円となり、前年同期比プラス51.7パーセント、約1.5倍という結果です。
この数字だけを見ると、2026年度計画がやや保守的だといったご質問をいただくことがありますが、そのような意図ではございません。ただし、まだ第1四半期ということもあり、通期計画は据え置きとしています。一方で、足元では順調に推移しています。
また、スライドの下から5行目に記載されている繰越工事高は、第2四半期以降に持ち越され、売上に寄与する数字です。スライドの一番右側をご覧いただくと、前年同期比29.1パーセント増と、着実に積み上がっています。
工事の大型化や工期にゆとりを持った案件のみを受注していることもあり、若干工期が長くなっている側面もあります。しかし、これは今後の売上につながる受注残であり、順調な水準を確保できていると考えています。
なお、冒頭でご説明したとおり、当社は受注段階で十分な人手を確保しています。そのため、「受注が増えているので、人手は大丈夫か?」というご質問をよくいただきますが、その点については現時点で特に問題はございません。
3. 中期3ヵ年計画 業績計画(連結)
浅沼真里香:このスライドでは中期3ヵ年計画の3年間の推移を示しており、今期が最終年度となります。受注高や売上高を大きく伸ばすというかたちではありませんが、利益率を十分に確保し、利益額を向上させる計画となっています。
ROEは10.3パーセント、ROICは8パーセントと、相応の水準を確保していると思います。
4. 株主還元 ①配当金額・配当性向推移
浅沼真里香:ここでは、当社が2期前に策定した中期3ヵ年計画における株主還元についてご説明します。グラフでは、2018年4月を起点とした配当金額および配当性向の推移を示しています。薄いグリーンが当初計画、濃いグリーンが実績を表しています。
配当金は、2018年度から着実に増加しています。2026年度は現時点で45円の配当を計画しており、9期連続で当初計画比増配となる見込みで、結果として累進配当となっています。
今中期3ヵ年計画では、配当性向70パーセント以上という方針を掲げているため、引き続き投資家のみなさまに当社株式を保有していただけるよう、環境整備を進めながら対応しています。
4. 株主還元 ②自己株式の取得・消却
浅沼真里香:株主還元に関するトピックとして、1つご紹介します。今年の8月に開示しましたが、自己株式の取得と一部消却を実施しました。
こちらのスライドには取締役会の決議内容を記載しています。具体的には、約10億円相当の株式を約108万株取得し、そのうち自己株式90万株を消却しました。
この内容について、株主還元は基本的に配当性向70パーセントとしています。ただし、足元では中東情勢の影響もあり、株価が軟調に推移する局面がありました。また、建設業界全体でも軟調な動きが見られたことを受け、当社としても資本コストや株価を意識した経営を行う中で、市場の評価をさらに高めることを目的に、このような対応を実施しました。
タイミングについては、TOPIXの構成銘柄に確実に入るという意思もあり、8月に自己株式の取得を行いました。
坂本:御社は非常に積極的に株主還元を行っており、特に配当性向が70パーセント以上というのは他社と比較して非常に高い水準かと思います。また、PBRについても1.5倍前後、ROEも10パーセントから11パーセント前後と、東京証券取引所の要請を踏まえた経営をすでに進められている中で、高配当に加えて自社株買いも実施されている状況です。その点についてお聞かせください。
さらに、実際に取得した株式を消却まで確実に行っていますが、今後の資本構成の最適化や自社株買いについては、いったん消却されている状況を踏まえ、どのようなかたちで進めていかれるのか、また、活用されるパターンについての方針も併せて教えていただけますでしょうか。
浅沼真里香:基本方針として、配当性向70パーセントを維持し、配当を重視しています。ただし、株価が少し軟調になってきましたので、市場価値を上げるために自己株式の取得と一部消却を実施しました。このように、機動的な選択肢の1つとして実施を検討しています。
3. 株主還元 ②株価騰落率・PBR推移
浅沼真里香:株価の騰落率とPBRの推移についてです。こちらは中期3ヵ年計画の2期前、2018年4月を起点としています。緑が当社、赤がTOPIXで比較しています。
株価は一時的に軟調に推移していましたが、8月に自社株買いと消却を行ったことで、ある程度持ち直した状況です。
また、PBRは10月16日時点で1.44倍、PERは13.46倍となっています。配当については45円を予定しており、配当利回りは5.21パーセントと一定の水準を保っています。
まとめとして、当社についてどのような印象をお持ちいただいたかという点についてですが、134年の歴史が築いた信頼と実績に基づく堅実な経営の印象をお持ちいただけたかと思います。
一方で、ゼネコンとしていち早くリニューアルを本格的に実施したり、環境配慮型技術を積極的に開発したり、中堅企業ならではの意思決定の迅速さを活かして、一部では先駆的な側面もあると考えています。
この堅実経営と先駆的な面を支えているのが、当社の社員です。「建設が好き」と言ったり、会社に愛着を持っていたりする社員が中心となっています。このように、社員が支える会社として理解していただけると幸いです。
さらに、当社は株価を意識した経営を確実に行い、利益率・ROE・ROIC・配当などを重視し、株主のみなさまにきちんと還元していきます。このような数字を確実に出していく会社であるとご認識いただければと思います。
以上で、私からの説明を終わります。
質疑応答:受注高の増加とインフレによる将来の減益リスクについて
質問者:社長におうかがいしたいのですが、受注高の伸びが非常に大きい一方で、売上高がそれほど増えていません。受注高については過去の計算に基づき単価も決まっているはずですので、現在のインフレが続くと、将来工事が始まった際に減益要因になる可能性があります。その点についてどのようにお考えでしょうか?
浅沼誠:おっしゃるとおり、受注高は伸びており、インフレの中で積み上がっている状況は確かにそのとおりです。
現在、完成工事高の伸びが少ないというご指摘がありましたが、工事の着工から当初はなかなか出来高が上がらないケースがあること、また、物件が非常に大型化しているため、このタイミングでは完成工事高が上がりきらない状況にあると考えています。
ただし、今後期末に向けて完成工事高が増加し、それに比例して利益も上がってくると考えています。一方で、リスクという面では原価の捉え方が重要になりますが、昨今の建設業法の改正に伴い、お客さまとの価格交渉や追加交渉が非常に良いかたちで進んでおり、当社の業界としては良い方向に向かうのではないかと想像しています。この流れは今後も継続すると期待しています。
また、今後の状況についてですが、先ほど株価に関する話もありました。建設業は人手に依存する業界であり、株価が軟調に推移している中で、限られた人員の中では完成工事高がなかなか伸びないことを投資家のみなさまが懸念されていると思います。
しかし当社としては、海外事業やリニューアルを担う子会社も含めて、現在手がけている仕事を着実にこなし、利益率を高める取り組みを愚直に進めていきたいと考えています。
質疑応答:金利上昇が建設業へ及ぼす影響について
質問者:素朴な質問かもしれませんが、昨今金利がかなり上昇しており、建設業の企業にはかなり影響があるのではないかと思っています。その点についてコメントがなかったので、もし可能であればご教示いただければと思います。
浅沼真里香:おっしゃるとおり、金利上昇局面においては、さまざまな影響があるかと思います。その1つとして、当社のお客さま、特にデベロッパーにとっては、金利上昇が計画の見直しにつながるケースが考えられます。ただし、現時点でそのことによって当社の業績に影響を及ぼしている状況はありません。
また、直接的ではないかもしれませんが、金利上昇が物価の上昇に影響を与える可能性もあります。その点については、受注段階で金額や利益の面を十分に確保した案件のみを受注しているため、物価上昇分を吸収できる案件を確実に取っています。
浅沼誠氏からのご挨拶
浅沼誠:先ほどコーポレート・コミュニケーション部長からもお話がありましたように、当社は堅実経営を基本としています。現有の人材で対応可能な業務を確実に遂行し、お客さまの信頼を得るという基本方針は、これからも変わることはありません。
また、先ほどポートフォリオの話にも触れましたが、私たち中堅ゼネコンとしては、豊富な業務経験を基に、技術者がそれぞれの担当分野や施工物件のノウハウを積み重ねることが、当社の財産であると考えています。
このような観点から、バランス良く受注を行い、世間の情勢に左右されることなく、安定した受注と利益率の向上を目指す会社でありたいと考えています。今後とも末永くご支援いただけますよう、どうぞよろしくお願いします。