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メンバーズ、AI時代の成長基盤を整備 AX事業への変革を最優先に「やりきるAX」を推進

2027年3月期 第2四半期 連結業績ハイライト

髙野明彦氏(以下、髙野):みなさま、こんにちは。株式会社メンバーズ代表の髙野です。本日はお忙しい中、2027年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本題に入る前に一言ご報告します。9月30日に中間期および通期の業績予想を下方修正し、通期の営業利益計画を25億円から2億円へと大幅に引き下げました。株主・投資家のみなさまに多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

本日は、この結果に至った原因と、そこから何を変えていくのかを、私自身の言葉でお伝えします。

それでは、第2四半期決算の概要をご説明します。はじめに業績ハイライトです。上期累計の売上収益は117億8,800万円、付加価値売上高は113億9,200万円で、いずれも前年同期比で約3パーセントの増収となり、修正後の計画どおりに着地しました。

営業利益は3億8,900万円の赤字となりました。修正計画のマイナス4億3,000万円を上回って着地しました。

KPIでは、新卒1・2年目を除く1人あたり売上単価が前年同期比プラス7.2パーセント、AI/データ関連売上比率は15.5パーセントまで高まりました。その売上は前年同期比で80.2パーセント伸びています。1億円以上の取引社数は53社となり、前年より6社増加しました。

一方で、新卒1・2年目を除く稼働率は80.6パーセントと、前年同期比で2.6ポイント低下しています。単価とAI関連の売上は着実に成長していますが、AX事業への転換はまだ道半ばと認識しています。この点を全社の最重要方針として、スピード感を持って取り組んでいきます。

2027年3月期 第2四半期 連結P/L

次に、連結P/Lです。稼働率の低下により売上総利益率は19.9パーセントと、前年同期比2.8ポイント悪化しました。販管費は、新卒社員の増加とM&Aの影響に加え、事業構造の転換に向けた投資を継続したことで、前年同期比17.5パーセント増加しています。

この結果、営業利益は前年同期比で6億5,200万円減少し、マイナス3億8,900万円となりました。この上期の進捗を踏まえ、9月に通期営業利益計画を2億円に引き下げました。

連結 売上収益/付加価値売上高

売上収益と付加価値売上高の四半期推移です。第2四半期単独の売上収益は60億3,700万円で、前年同期の59億8,100万円を上回りました。成長率は鈍化していますが、増収基調は引き続き維持できています。

付加価値売上高 増減要因分析

付加価値売上高の増減要因です。前年同期比でプラス3億2,200万円となっており、内訳としては、単価の上昇がプラス6億7,200万円と大きく寄与し、稼働率低下によるマイナス分を吸収しています。

領域別では、DX領域がプラス8億1,700万円、成長率14.2パーセントと伸長した一方で、Web運用などの非DX領域はマイナス4億9,500万円と縮小しています。

DX領域の成長が従来領域の縮小により相殺される構造が継続していることが明確に現れています。今後は人員数の増加に依存した成長から脱却し、AX事業への転換・変革を通じて、1人あたり付加価値売上高の向上を重視していきたいと考えています。

連結 営業利益/販管費・率/売上総利益率

営業利益、販管費・率、売上総利益率の推移です。上期累計の営業利益はマイナス3億8,900万円ですが、第2四半期単独では600万円と、黒字を確保しました。

第2四半期単独の売上総利益率は前年同期比で4.5ポイント低下しました。販管費率は、新卒採用の増加やM&Aの影響に加え、採用・育成および営業・マーケティング双方を強化したことで、1ポイント上昇しました。

DX比率・AI/データ関連売上

DX比率とAI/データ関連売上です。上期累計のDX売上比率は57.8パーセントで、前年同期比5.7ポイント上昇しました。ただし、DX領域の成長率は14.2パーセントとなり、昨年度まで30パーセント以上の高成長率だったことを考えると鈍化しています。

一方で、AI/データ関連売上は前年同期比80.2パーセント増と大きく伸びています。第2四半期単独では連結売上の15.5パーセントを占めるまでに成長しており、今後も全社で集中的に強化し、さらに成長率を引き上げていく方針です。

DGT社数/1社あたり付加価値売上高/売上規模別取引社数

続いて、顧客基盤の状況です。クロスセルの強化により、年間換算で3億円以上の取引社数は前年同期比で2社増加し、1億円以上の取引社数は6社増加しました。DGT上位50社の1社あたり付加価値売上高は、ほぼ横ばいで推移しています。

引き続きABM型のアカウントマネジメントを強化し、拡大に注力するアカウントを大幅に増やしていきます。これまで中心だった業界・業種・部門以外にもターゲットを戦略的に拡大することで、1社あたりの取引をさらに広げていきたいと考えています。

専門カンパニー数/付加価値売上高/DX人材比率

専門カンパニーとDX人材比率です。専門カンパニー全体の上期累計付加価値売上高は59億6,500万円、前年同期比18.7パーセント増となりました。DX人材比率は期末目標の90パーセントに対して83.5パーセントと順調に進捗しています。AI・AX人材の育成をより強化していきたいと考えています。

1人あたり売上単価/稼働率

続いて、1人あたり売上単価と稼働率です。売上単価は97万5,000円、前年同期比5.5パーセントの上昇となり、新卒1年目の影響を除くとプラス7.2パーセントと着実に向上しています。稼働率は新卒1・2年目を除くと80.6パーセントで、前年同期比2.6ポイントの低下、全体稼働率(第2四半期累計)は74.6パーセントで2.7ポイントの低下となっています。

ただし、月次で見ると、5月の71.2パーセントを底に回復基調となっており、9月には76.9パーセントまで戻っています。また、新卒1年目・2年目の稼働率は前年同期比で順調に改善傾向にあると見ています。

DC数/新卒・中途採用数/離職率

続いて、デジタルクリエイターの人数と採用・離職の状況です。第2四半期末時点のデジタルクリエイター数は2,592名で、前期末から136名増加しました。2026年4月には新卒247名が入社していますが、今後の採用については量的な拡大を追うのではなく、新卒採用においては成長率に応じて増加ペースを見直し、中途採用においてはAX分野の専門人材に絞って進めていく方針です。

経営指標としては、デジタルクリエイター数よりも1人あたり付加価値売上高の向上を当面重視していきます。上期の離職率は4.8パーセントで、前年同期比で1ポイント改善しました。引き続き経営の重要なテーマとして、通期でも1ポイント改善のペースを目指していきたいと考えています。

業績予想修正の要因と今後の取り組み

ここから、業績予想を修正した要因と今後の取り組みをご説明します。まず、何を読み違えたかという点ですが、生成AIの急速な進化により、運用、デザイン制作、コーディング、リサーチなどの定型工程の需要が想定よりも早く大きく減少しました。顧客の投資抑制も想定以上に長期化しています。さらに、AXサービスでは、商談から売上計上までに当初想定していた以上の時間を要する状況が生じています。

当初計画に対して、上期の売上収益では外部環境要因で約5億5,000万円、稼働率の低下で約2億5,000万円の減収影響が出ていると試算しています。

次に、対応が遅れた理由をご説明します。前期、DX領域は付加価値売上高が32パーセント伸長していました。私たちはこの高成長をやや過信してしまったと認識しています。その過信により市場変化の兆候を軽視し、このような大幅な乖離が生じたと考えています。

加えて、AI活用型サービスの開発・売上も計画に到達していませんでした。これらは市場環境だけのせいではなく、経営判断と対応の遅れが原因であると、私自身非常に重く受け止めています。

また、第1四半期の決算発表時点で稼働率の低下を認識していましたが、AX関連の受注および単価の上昇で計画に追いつけると判断し、予想を据え置きました。結果として、業績悪化の予兆を早期にお伝えすることができませんでした。

判断が後手に回ったという指摘を真摯に受け止めています。その上で、今期は短期的な利益の追求よりも、メンバーズ全社の事業をAI時代に成長できる基盤を構築していくこと、すなわちAX事業への全社的な変革を最優先課題として取り組みたいと考えています。

具体的には、スライド右側に記載している内容に基づき、30個以上のAXサービスの開発、既存事業のAX変革、230名のAX人材の育成・輩出、AX商談1,000件の創出を目指した営業体制の刷新を進めていきます。また、経営管理と情報開示についても強化・見直しを図っていきたいと考えています。

複数の前提シナリオを基に計画を立て、月次での予実管理をこれまで以上に徹底し、計画から一定以上乖離した場合には、決算発表を待たず速やかに開示していきます。

修正計画の前提と感応度

続いて、修正した計画の前提と感応度についてご説明します。通期営業利益を2億円に修正していますが、これは確保すべき最低限のラインと位置づけた保守的な計画と考えています。修正計画は、下期の全体稼働率が75パーセント程度、1人あたり売上単価が前年同期比プラス8パーセントを前提としています。

稼働率は5月を底に回復・改善しており、9月時点では76.9パーセントとなっています。昨年度も上期77.3パーセントから下期82パーセントへと約5ポイント上昇しており、例年、下期のほうが高くなる傾向があります。

単価のプラス8パーセント増には、低単価案件からの撤退による構成改善と、既存顧客への単価改定が、それぞれ約半分ずつ寄与しています。この単価改定の効果は、下期により大きく現れると見込んでいます。

また、第2四半期から全社的にAXサービス・AX事業を立ち上げ、強化しています。立ち上げにかかる投資費用は計画に織り込んでいますが、立ち上げ後のAX関連の受注や稼働の増加については修正計画には一切織り込んでいません。このような状況から保守的な計画になっていると考えています。

次に、感応度について、稼働率が1ポイント、単価が1パーセントずれた場合に、営業利益計画にどれほど影響を及ぼすのかご説明します。

稼働率が1ポイント変動すると営業利益に約1億5,000万円、単価が1パーセント変動すると約1億2,500万円が上下することになります。通期計画の達成に必要な下期の営業利益は5億8,900万円で、これは前年下期のおよそ4割強の水準です。現状の受注・稼働水準を維持すれば、十分達成可能な数字と考えています。

AX関連の商談件数、受注額、配属人数といった先行指標を月次でモニタリングし、その進捗を今後の決算発表ごとに定量的にご報告していきます。

外部環境:市場の状況と競争ポジショニング

続いて、今後の方針と戦略をご説明します。はじめに外部環境です。AI・DX市場においては、国内DX関連投資が2030年度に9兆3,000億円に達すると見込まれており、総量では拡大していると考えています。

また、クライアントのビジネスにおいては、あらゆる業界でAIを前提とした事業や現場業務の再設計・再構築が進んでおり、今後さらに加速すると考えています。

一方で、当社を含むBtoBの企業支援ベンダーも、あらゆる業界で激変に直面しており、提供する支援の内容が大きく変わっていくと考えています。コンサル業界やSI業界、広告代理店、BPOやコンタクトセンター、派遣・SESなど、BtoBベンダーのすべてがAIの大きな影響を受け、今後は事業や市場の再定義が進むものと見込まれます。

調査業務や定型業務、設定・制作・開発業務など、人手を要していた業務がAIに置き換わり、人数と期間で課金する人月モデルの評価は低下していくと考えています。

そのような中で、価値の源泉は、新たなテクノロジーを顧客の現場の本番環境に実装し、成果を創出するということに移行していくと見ています。顧客の現場でAI実装を担うFDE組織を大手企業が設立する動きも見られますが、弊社はこのような市場環境の中で一定のポジションを確立していけると捉えています。

このような状況下において、当社が目指すポジションをスライド右側に示していますが、これまで以上に企画・設計領域へ大きく移行していく必要があると考えています。当社の強みである「あたかも社員」の常駐・伴走を、顧客へのAI実装・成果創出へと進化させ、顧客のデジタル企業化を内側からともにやり抜くデジタル実装パートナーを目指していきます。

競争優位性:なぜ「常駐・伴走×AI実装」で成長できるのか

では、なぜ当社がこの領域で成長できるのか、当社の強みについてお話しします。顧客のAXにおいては、業務理解・設計・実装・定着の各工程で障害が生じ、進行が滞ることがあります。

現場業務や組織の実情を十分に考慮していない中でAIを導入しても、結局使用されない、AIにどこまでを任せるべきかが曖昧で業務に深く踏み込めないなど、結果的に技術的なPoCで止まってしまうケースが非常に多く見受けられます。

さらに、AIを導入したとしても、データ整備の負担が重く、データが整っていないために良い成果を出せずに最終的に活用されないまま止まってしまうこともあります。また、外部依存により顧客内部にノウハウが蓄積されず、変化に十分対応できないなど多くの壁が存在します。

当社には、これらの課題に対応するさまざまな強みがあります。現場に常駐する「あたかも社員」、人とAIの役割を明確に切り分け、その体験をデザインし直すデザイン力、データ整形からエンジニアリングまで一貫して対応する実装力、顧客側にナレッジを残す内製型の伴走支援です。

内製化を支援すると売上が減少するのではないかというご意見をいただくこともあります。確かに個別の工程ではそのようなケースもあります。しかし、これまでの実績では、信頼が深まることで支援範囲が周辺領域や別部門へ広がることがありました。

また、お客さまが内部で体制を作っても安定しない場合には、弊社のような外部パートナーと体制を組むほうが安定することもあります。そのような事例を含め、取引が継続し、顧客1社あたりの売上が中長期的に拡大するケースが多く見られ、これを成長サイクルとして組織的に回していきたいと考えています。

AI関連の案件では、要件が明確に固まりきらない状況が非常に多くあります。そのような状況から現場に入り込み、コンサルティング、PMO、マーケティング、UXデザイン、データエンジニアリングのケイパビリティを活用し、AIの本番実装と成果創出までやり切れる企業として、当社は市場において、ユニークで価値の高い存在になれると考えています。

今後の方針/施策/目標

今後の具体的な方針・施策・目標についてお話しします。デジタル実装パートナーへの進化に向け、全社のAX事業化を6つの方針で進めます。「AXサービスの競争力強化と拡充」「AXサービス営業体制の刷新」「既存事業のAX変革」「AX人材の育成」「既存顧客の拡大」「中長期的な成長への継続投資」です。

主なKPIは、AXサービス30個以上、AX関連商談1,000件、売上単価プラス10パーセント、AXコンサル・エンジニア230名の輩出などです。これらを通じて、10億円の新規AX案件の受注を目指します。人材については、全社員がAIエージェント構築などのAXスキルを身につけるための研修を順次進めています。

AX加速に向けて:AIサービス群「やりきるAX」の提供を開始

これらの具体策の1つとして、8月に提供を開始したAIサービス群が「やりきるAX」です。非常に当社らしい名称としています。

当社のこれまでの多くの現場での実績を基に、従来のケイパビリティであるデータ活用、エンジニアリング、マーケティング、UXデザイン、PMOなどを組み合わせ、顧客に対してAXの実装や成果創出を提供するサービス群を開発していきます。

AXを加速するーデータ・AI活用支援事例①

ここから支援事例を少しご紹介します。大手インフラ・エネルギー企業では、問い合わせ業務の自動化や許認可手続きにおけるエージェントの回答精度向上を実現しており、精度を50パーセントから72パーセントへ向上させています。

大手IT企業では、AIエージェントを活用したUX検討の品質底上げを実現しています。いずれもPoCで終わることなく、本番業務への実装と成果創出まで一気通貫で支援しています。

AXを加速するーデータ・AI活用支援事例②

そのほか、金融、製造、官公庁、ゲーム、IPビジネスなど幅広い業界で、AI実装の成果・実績を創出できています。これらの実績を資産とし、AXサービスを横展開していきたいと考えています。

2027年3月期 業績目標

最後に、業績目標と株主還元についてご説明します。まずは今期の業績目標です。修正後の通期計画は、売上収益250億円、付加価値売上高241億円、営業利益2億円です。今期は短期的な利益の確保・追求よりも、事業構造、サービス、人材のAX転換への投資を最優先する方針です。

営業利益2億円は大幅な下方修正となりましたが、確保すべき最低限のラインと位置づけています。この計画は足元の稼働率の実績を前提とし、下期のAXの受注・稼働増加は織り込まない非常に保守的なものです。

資本政策・株主還元方針

資本政策と株主還元の方針です。株主還元は、DOE5パーセント以上、配当性向25パーセント以上を目安に、継続的かつ安定的な増配を基本方針としています。財務規律としては、ROE25パーセント以上、営業利益率10パーセントを目標に掲げています。

来期以降の配当方針は、事業構造の転換を完了した上で、中長期的に成長と連動した健全な還元水準を目指していきたいと考えています。

株主還元/ROE

株主還元とROEの実績です。今期の期末配当予想は、前期から2円増配の1株あたり35円を予定しており、初配から15期連続の増配となる見込みです。

今回の利益率の低下は、市場変化の中での事業構造転換の過程で生じる一時的なものであり、当社の本質的な強みが失われているわけではないと考えています。また、手元流動性や自己資本の水準を踏まえると、配当原資に問題はないと認識しています。

結果として、今期の配当性向は約300パーセントと非常に高い水準となりますが、これが複数期続くことは想定していません。ROEも一時的に株主資本コストを下回る見通しですが、AX事業への転換を急ぎ、目標の25パーセントに向けて回復させたいと考えています。

顧客と共に社会変革をリードするデジタル実装パートナー

最後にあらためてお伝えしますが、今回の業績予想判断の成否は、スピード感を持った実行にかかっていると認識しています。その進捗は今回限りの説明で終わらせず、今後の決算発表ごとに定量的にご報告します。

当社グループは、このAI時代において顧客から強く必要とされ、成長できる企業になるべく、全社でAX事業への転換に全社を挙げて取り組んでいます。それを通じて、顧客のデジタル企業化を内側からともにやり抜くポジションを、これまで以上に強く追求していきます。

みなさまからさらにご信頼いただける会社となるよう、私自身が先頭に立って取り組んでいきます。今後とも変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:株主還元について

司会者:「足元の株価水準と今回の業績予想の修正を踏まえ、株主還元についてうかがいます。配当35円を維持した場合の配当性向は300パーセント近くになると理解しています。配当の水準に加えて、自己株式取得など、株価や資本効率の観点から取り得る施策について、現時点でのお考えと判断基準を教えてください」というご質問です。

髙野:業績予想を大きく修正することとなり、投資家や株主のみなさまにご心配をおかけしたことを、経営として非常に重く受け止めています。この経営責任については、AX事業への変革を迅速にやり遂げ、利益水準を回復させることで果たしていきたいと考えています。

配当については、当社は経営成績の伸長に見合った成果の配分や、継続的な増配を基本とし、中期的にはDOE5パーセント以上および配当性向25パーセント以上を目標とする基本方針です。

2027年3月期の配当については、基本方針に則り、DOEおよび配当性向を総合的に勘案した結果、業績予想の修正後も1株あたり35円に据え置いています。修正後の配当性向は約300パーセントと非常に高い水準となった一方で、DOEは6.9パーセントと目標の5パーセント以上を達成しています。

当社は配当性向について、業績連動を加味しつつ、安定配当を補完する指標として運用しています。今回の利益率の低下は、先ほどもお伝えしたとおり、一時的な事業構造転換の過程で生じる短期的なものと考えています。そのため、継続的かつ安定的な増配という基本方針に基づき、期末配当予想を維持しています。

過去にも、利益が落ち込んだ状況において配当を維持・増配しながら、その後ROEを改善してきました。このような実績を踏まえ、手元流動性や自己資本の水準などを総合的に勘案し、配当原資の確保には問題がないと考えています。

ただし、このような高い配当性向が今後も継続すると想定しているわけではありません。AX事業への転換とその後の収益改善を踏まえ、中長期的には成長と連動した健全な還元水準を目指していきたいと考えています。

自己株式取得については、現時点で発表できることはありません。今期は短期的な利益の確保よりも、全社をAI時代に適応し、力強く成長させる体制へ転換することを最優先と考えています。

そのため、経営資源はAI関連のサービス開発、収益性の改善、事業の拡大、さらにはそれを担う人材の育成に重点的に振り分けていきます。この取り組みにより、中期的な企業価値の向上を図り、株主のみなさまの利益に資するものと考えています。

ROEの回復についても、これらの投資により利益水準を回復させることで実現可能と考えています。さらなる資本政策については、自己株式取得を含め、事業の進捗や市場環境、財務状況を踏まえ、総合的に適切な判断を行っていきます。

質疑応答:月次稼働率回復の要因と下期の見通しについて

司会者:「第2四半期の営業利益はほぼ収支均衡でしたが、月次稼働率は5月の71.2パーセントを底に9月には76.9パーセントまで回復しています。この改善は既存案件の再配置によるものなのでしょうか? それとも新規案件の獲得によるものなのでしょうか? また、下期に向けて稼働率の改善が続くと考えてよいのでしょうか?」というご質問です。

髙野:基本的には既存・新規どちらの拡大も含まれていると考えていますが、方針としては、AX以外の既存業務領域を大幅に拡大する計画は持っていません。ただし、そのような中でも、季節変動の影響により既存業務領域において一定程度、稼働率が改善していく状況があります。

特に今期の第1四半期は、外部環境が不透明な状況であったことも加味し、低めに見込んでいました。第1四半期が底の水準となり、第2四半期と第3四半期はおおよそ同水準、第4四半期に最も高まるという基本的な季節性がありますので、それに沿った上昇を見込んでいます。

下期に向けた稼働率については、特段の施策がなくても第4四半期に向けて改善していく方向だと考えています。ただし、今期においては既存領域で新たな案件を積極的に獲得するというよりも、既存事業におけるAXでの生産性を大幅に向上させる取り組みを並行して実施していきます。

加えて、季節性の影響による上昇が見込まれます。大幅な上昇には至らないまでも、AX案件の新規受注も進んでいく中で、下期に向けて稼働率は回復基調にあると考えています。

質疑応答:AI案件の受注遅れとAX事業の進捗について

司会者:「AX関連の商談は増えているとのことですが、実際の受注や売上計上までには想定以上の時間がかかっているようです。現時点で最も大きな障害は何でしょうか? また、AX事業の拡大によって、既存のDX業務の縮小をいつ頃から補えると考えているのでしょうか?」というご質問です。

髙野:AI案件における受注の遅れについて先ほど説明しましたが、お客さまの中で構想が固まりきっていない状況が多くあります。特に第1四半期の段階では、当社としてもその状況を完全には把握できておらず、リード発生から受注に至るまでの過程や、現実の受注率についての見通しが甘かった面がありました。

現時点では、お客さまの構想が曖昧な状況が多いことを踏まえ、その前提を理解した上で営業リードの獲得状況や営業進捗状況を分析し、リードの獲得数を増やす取り組みを進めています。

さらに、第1四半期の段階と比べお客さまの構想が明確になっているケースが増えているため、今後AX事業がさらにスピード感を持って受注できる手応えを得ています。

AX事業の成長が既存のDX業務の縮小をいつから補えるかについて言及することは、非常に難しいと考えています。これが、今回の通期業績予想を大幅に下方修正した理由です。そのため、この下期においてAX事業の成長が既存領域の縮小を上回ることは見込んでおらず、来期以降になると考えています。

ただし、繰り返しお伝えしているとおり、この下期のAX事業については公表計画上では想定していませんが、全社的に集中して取り組んでいる中で、一定の成果が出ると考えています。そのスピード次第では、今後どの時点で既存領域の縮小を上回るかについて、より明確に見通せるようになると考えています。

質疑応答:AI活用によるビジネスモデルの方向性について

司会者:「従来は人材を採用・育成し、顧客に配属することで成長してきましたが、AIの普及によって必要な人材やスキルが急速に変化しています。今後もこの成長モデルを基本的に維持するのでしょうか? それとも、AIによる生産性向上を活用して、社員数を大きく増やさずに売上・利益を成長させるモデルへの転換を目指すのでしょうか?」というご質問です。

髙野:大きく2つの方向性があると考えています。1つは、AXプロジェクトが多数存在する領域で、新しいAIによる業務変革プロジェクトを進めていくことです。この領域では、基本的に人月モデルが引き続き存在すると考えています。

ただし、これまでのエンジニア人材や制作人材などよりも、もう一歩上流の、当社でいう「AXコンサル」のような工程が求められると思います。従来取り組んできたPMOなどに加え、AXコンサルにおいても、当社の「あたかも社員」的な要素が非常に重要になり、これが大きな強みになると考えています。

また、「あたかも社員」、つまりPMOとしてこれまで展開してきた領域をAXコンサルに発展させることで、AXプロジェクトを大規模に受注する機会が今後も数多くあると考えており、人月モデルの継続が見込まれます。

一方で、定常的に行っていたマーケティング業務による成果向上の部分については、AIの活用によって生産性が飛躍的に向上すると考えています。従来どおりの顧客業務量であれば人数は減少してしまいますが、生産性が飛躍的に向上することで、これまで以上に多くの市場に対してアプローチすることが可能になると考えています。

従来は、1人1案件、あるいは1チーム1案件として5人から10人が稼働するモデルが多くありましたが、今後は1人あたり5案件から10案件に対応することも視野に入れ、ターゲットをより大きく設定し、これまで以上に市場を広く捉えたビジネス展開が重要になると考えています。

このような2方向の取り組みを踏まえ、今後のビジネスモデルを抜本的に見直す必要があり、この両者を念頭に置きながら組み立てていく方針です。

質疑応答:営業利益回復の最優先項目と今後の見通しについて

司会者:「今期の営業利益2億円は最低限のラインということですが、来期の収益回復を考えた場合、最も重要なものは稼働率の回復、単価の上昇、AX案件の拡大のどれでしょうか? また、来期には営業利益率をどの程度まで回復できると考えているのでしょうか?」というご質問です。

髙野:この下期において「AXサービスを30個以上」と掲げていますが、これは全社的に、現在のAI時代にふさわしいサービス内容へと転換させることを、下期で実現したいと考えています。それらを活用し、新たな売上として10億円を目指します。

来期においては、その30のサービスが全社の事業としてAI時代に適したAX事業へ、具体的にはAXサービスの内容へほぼ移行していることを前提に、来期のスタートからそのサービスをもって全力で稼働率を向上させていけると考えています。

一方で、既存領域は引き続き縮小しており、稼働率と単価の低下要因となっています。これをDX/AX領域の拡大による稼働率と単価の向上で相殺する状況は、来期も続くと考えています。そうした中でも、稼働率はできる限り引き上げていきたいと考えていますが、最も優先して取り組むのは単価の向上だと考えています。

さらに、AX案件の拡大については、今期下期のスタートとして10億円を目指しており、非常に重要なKPIだと考えています。

加えて、来期の営業利益率をどの程度まで回復させられるかについては、現時点ではまだ試算中であり、少なくとも今期を上回る水準にできると考えていますが、微増ではなく、明確に改善させることを目指しています。具体的な数値については、あらためてご説明できる段階になりましたらお伝えします。

質疑応答:AX・DX案件の違いとAI活用による生産性向上の影響について

司会者:「AX案件について、従来のDX案件と比較して単価や粗利益率にどの程度の違いがあるのでしょうか? また、AIによって社員1人あたりの生産性が向上した場合、その効果を顧客への単価引き下げではなく、御社の利益率改善につなげることは可能でしょうか?」というご質問です。

髙野:従来のDX案件と比べて、AXコンサルやAXエンジニアは、1人あたり売上単価で数十万円高い水準で受注できています。ただし、案件としての実績はまだ多くないため、この水準のまま拡大していくかについては、引き続き注視していきます。

いずれにしても、市場においてAXコンサルやAXエンジニアは非常に価値が高く、人数も少ないことから希少性が高い存在です。市場全体が需要超過の状況であるため、単価向上に向けた非常に優位なポジションになると考えています。

現在の定型業務においては、AI導入によって生産性が飛躍的に向上し、仮に従来100だった業務量が50になった場合、その削減された50が、単純に当社の売上減少を意味するのかというと、そうではないと考えています。例えば、そのうち25は当社の取引として維持し、残りの25はお客さまに還元するという運用が可能だと考えています。

すべてのお客さまとこのような議論を進めているわけではありませんが、当社のサービス価値をご評価いただくことで、生産性の向上がそのまま売上の減少につながるわけではなく、単価向上や収益性向上に結び付けられるというのが、現時点の手応えです。また、今後は市場全体でも、このような動きがさらに広がると予想しています。

そのため、市場全体でどのような商慣習が形成されていくのかを見極めつつ、場合によっては、人月ベースの契約ではなく、「AIプラットフォーム利用料」のように固定費をいただくモデルの導入も可能性として視野に入れています。

いずれにしても、お客さまと新たな収益モデルや収益化の方法を調整しながら進めていきたいと考えています。なお、これらの変化によって、売上が大幅に減少するとは考えていません。

質疑応答:人材価値を維持する業務の方向性について

司会者:「生成AIによってWeb運用だけでなく、一部のDX業務でも需要が減少しているとのことですが、今後さらにAIの性能が向上した場合、現在は高付加価値とされている業務にも需要減少が広がる可能性はないのでしょうか? どのような業務であれば、今後も人材による支援の価値を維持できると考えていますか?」というご質問です。

髙野:現時点で、「今は高単価だが、遠からずAIに代替される可能性がある」と具体的に想定している業務はありません。 ただし、PC上で完結する専門業務については、今後も一定のリスクがあると考えています。

そうした中で、今後も人材の価値を高めて提供できるのは、先ほどお伝えしたAXコンサルやAXエンジニアのような職種だと考えています。これらは、お客さまの業務やビジネスを的確に理解し、それを変革する役割を担うものです。

エンジニアリングやデータ分析といった専門スキルを単独で提供するだけではなく、お客さまの業務を変革し、新たな成果を創出することが求められます。そのため、ビジネスを深く理解し、変革スキルと専門スキルを兼ね備えた人材が、特に重要になると考えています。

このようなプロジェクトは今後数多く生まれてくると予測しています。そのため、定型業務ではなく変革を推進できる人材こそが、今後も高い価値を持ち続けると考えています。

質疑応答:AX事業の具体的内容について

司会者:「AX事業は企業のどのような課題を解決できるのでしょうか? また、どのように営業しているのでしょうか? 具体的な事業の中身についてご説明をお願いします」というご質問です。

髙野:当社やお客さまを含め、これまで多くの企業の業務は、人を前提とした業務フローに基づいて設計され、業務システムが構築されてきました。 しかし、AIが自然言語を処理できるようになるなど、データ活用の幅が今まで以上に広がる中で、人にしかできなかった業務がAIに置き換わるケースが増えてきています。

一方で、AIの活用は、人の仕事を減らすことだけが目的ではありません。大量の業務データを処理できることや、稼働時間に制約がないことなど、AIのほうが得意な分野も多くあり、これまで人が対応しきれなかった領域にも対応できるようになっています。

このように、人を前提とした業務やビジネスを、AIを前提とした業務やビジネスへと転換していくことで、生産性を大幅に向上させることができます。それだけでなく、正確性を高めることや、新たな分野に対応できるようになることで、 CS(顧客満足度)のレベルを大幅に引き上げることも可能です。

コールセンターはその代表的な例です。これまでつながりにくかったコールセンターにおいて、AIが一次対応を担うことにより、課題を解決できると考えています。

質疑応答:今後の経営管理の見解について

司会者:「今回の大幅下方修正では、市場環境の変化に対する経営判断の遅れも認められています。今後、需要変化を早期に把握するために、従来の稼働率や単価に加えて、どのような先行指標を経営管理に取り入れるのでしょうか?」というご質問です。

髙野:この点については、KPIそのものよりも、事業の見極めが非常に重要だと考えています。KPIが下降傾向にあることは、以前から経営管理として認識していました。

その上で、事業やサービスとしての展望をどう見極めるかについては、KPIに含まれるリード数などの先行指標を確認しつつ、AI市場の急激な変化を踏まえ、その事業やサービスにどのような変化が起きているのかを厳しく見極める必要があると考えています。

今回は、市場の変化を認識してはいたものの、DX領域の成長を背景に「大きな方向性としては成長できるはずだ」という過信があり、悪化の予兆を軽視してしまったことが原因です。経営として事業の将来性の見通しを誤り、事業やサービスのリスクを軽視して判断した点が、最も大きな誤りだったと認識しています。

今後は、経営および事業・サービスの判断において、リスクシナリオを踏まえることが非常に重要であると考えています。複数の視点を持ち、経営としてリスク感度を高めながら判断していきます。

質疑応答:稼働率向上の見通しと課題について

司会者:「稼働率向上における見通しについて、足元で理論的にはどの程度の稼働率まで上げることが可能なのか、また、その過程において営業が課題なのか、自社人材のレベルアップが課題なのか教えてください」というご質問です。

髙野:同業他社と同様に、稼働率は85パーセントから90パーセント程度が目指すべき水準であり、理論的にはその範囲を達成できると考えています。

その実現に向けては、顧客のニーズがAX・AIへ大きく変化している中で、高い価値を提供できるAXサービスへと、事業・サービスの中身を転換していくことがまず重要です。これにより、新規領域での稼働率向上が見込めると考えています。

一方で、既存領域においては引き続きダウントレンドが継続している部分があると認識しています。当社の生産性向上と既存領域のダウントレンドが相殺し合う関係にある中で、AXサービスの開発と営業をいかに加速できるかが、重要なポイントになると考えています。

髙野氏からご挨拶

髙野:今回は非常にふがいない結果に終わり、大変申し訳なく思っています。しかしながら、当社の本質的な強みを活かし、市場が大きく変化する中で今後有利なポジションを築いていけると確信しています。

今後は、変革に向けたスピードをいかに加速させられるかが重要です。AXサービスを数多く開発し、全社のサービスをAX・AI時代にふさわしいものへ転換することで、顧客のAXパートナーとして認められる存在になるべく、スピード感を持って取り組んでいきます。

今後ともどうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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