決算ハイライト
宮本昌俊氏:代表取締役副社長執行役員CFOの宮本です。先週10月30日に開示した2027年3月期第2四半期の決算説明資料に基づき、決算の内容をご説明します。
まず、今回の決算ハイライトです。上期の決算については、M&T(モビリティ&テレマティクスサービス)分野の国内用品ビジネスやES(エンタテインメント ソリューションズ)分野におけるエンタテインメント事業が好調に推移したことに加え、円安の影響もあり、前年同期比で増収となりました。
事業利益については、S&S(セーフティ&セキュリティ)分野では無線システム事業の北米公共安全市場における減収の影響がありました。M&T分野では売上が好調であったものの、メモリーなどの部品価格の期初の想定以上の高騰の影響を受けました。しかしながら、米国関税還付金の計上などが寄与し、前年同期比で増益となりました。
一方、通期の業績予想については、今回修正を行いました。下期以降も国内用品ビジネスやエンタテインメント事業が堅調に推移すると見込まれますが、一方で、M&T分野での部品価格高騰の影響が懸念されており、無線システム事業の特に北米公共安全市場向けの販売が非常に厳しい状況にあります。これらの点を踏まえた修正です。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 全社実績
上期決算の内容についてご説明します。スライドに記載されているのは中間期、つまり半年間の実績です。売上収益は1,838億円で、前年同期比145億円、8.5パーセントの増収となりました。
事業利益は123億円で、前年同期比39億円の増益です。ただし、後ほども触れますが、この中には米国関税の還付金43億円が含まれており、それを除くと若干の減益となります。
営業利益は115億円で前年同期比19億円の増益、税引前中間利益は120億円で前年同期比17億円の増益、最終中間利益は82億円で前年同期比7億円の増益でした。EBITDAについては232億円、EBITDAマージンは12.6パーセントという実績です。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 分野別の状況
分野別の状況についてです。まずS&S分野ですが、この中間期の売上収益は404億円で、前年同期比では33億円、7.6パーセントの減収となりました。
無線システム事業の民間市場向けは回復しましたが、北米公共安全市場向けでは大きく売上が減少しました。また、前期にヘルスケア事業から撤退した影響もあり、前年同期比では大幅な減収となっています。
同分野の事業利益は55億円で、前年同期比4億円の増益となりました。ただし、スライド右側に示されているとおり、米国関税の還付金による利益へのプラス影響がS&S分野だけで30億円あります。それを除くと、事業利益は実質的に大幅な減益となりました。
次にM&T分野ですが、売上収益は1,076億円で、前年同期比122億円、12.8パーセントの大幅な増収でした。この増収は、国内用品ビジネスにおける販売増や、部品価格高騰に伴う価格反映などの影響によるもので、前年同期から大きく売上を伸ばしている状況です。
同分野の事業利益は30億円で、前年同期比では4億円の増益となっています。ただし、米国関税の還付金の影響が7億円ほどあるため、それを除くと前年同期比で若干の減益となる状況です。
ES分野の売上収益は313億円で、前年同期比54億円、20.8パーセントの増収となりました。特にエンタテインメント事業が非常に好調で、大幅な増収につながっています。
これに伴い、ES分野の事業利益は38億円となり、前年同期比で33億円の大幅な増益となりました。その他を加え、全社では売上収益1,838億円、事業利益123億円がこの上期の実績です。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 事業利益の増減要因
スライドには、事業利益における前年同期比の増減を要因別に示したグラフを掲載しています。前期、2026年3月期の中間期における事業利益は83億円の実績でした。これに対して、円安の進行により、為替ヘッジの影響で約15億円のマイナス要因があったと見ています。
また、前期から続くメモリーなどの部品価格高騰の影響が42億円ほどありました。これについては価格反映に努めていますが、価格反映の効果は上期の実績としては37億円であり、部品価格高騰に対して、まだ5億円程度反映が遅れている状況です。
固定費の増加分は58億円ですが、そのうち為替換算による増加が33億円ほどあり、これを除いた25億円程度が実質的には固定費の増加による悪化分となっています。
以上に加えて、売上増加や利益率改善によるプラス影響が74億円、さらに米国関税の還付金による利益のプラスが43億円あったことから、今期の中間期の事業利益は123億円という実績となりました。
2027年3月期通期業績予想
続いて、業績予想についてご説明します。中間期については、先ほどご説明したとおり、売上収益は非常に好調でしたが、事業利益については無線システム事業における販売減少等の影響があり、米国関税の還付金分を除くと、実質的には想定を下回る実績となりました。
第3四半期以降の下期についても、国内用品ビジネスやエンタテインメント事業が堅調に推移すると見込んでいます。
しかしながら、上期において非常に苦労したメモリーなどの部品価格の高騰については、下期以降も引き続き上昇すると予測しています。無線システム事業における北米公共安全市場向けの販売についても、期初には「下期以降にある程度回復する」と見込んでいましたが、その見込みを下回ると予測されています。以上を考慮し、今回、通期業績予想を修正しました。
スライドの赤線で囲んだ部分に、全社の通期業績予想の数字を記載しています。まず売上収益ですが、3,760億円で、前年同期比では191億円の増収、前回公表値からも120億円の増収を見込んでいます。
事業利益は223億円を見込んでおり、前年同期比では14億円の増益ですが、前回公表値からは11億円の減少を予想しています。ただし、スライドの表の右端に記載のとおり、通期では米国関税還付金による利益のプラス影響が45億円あると見込んでいます。それを除くと前年同期および前回公表値からも利益が大きく減少しています。
営業利益については195億円で前年同期比10億円の減益、税引前利益は197億円で前年同期比20億円の減益、最終当期利益は147億円で前年同期比21億円の減益を見込んでいます。
2027年3月期通期業績予想 事業利益の増減要因(対前年実績)
スライドは、今回の通期業績予想における事業利益の前年同期比増減グラフを示しています。前期、2026年3月期は、事業利益が209億円の実績でした。これに対し、為替ヘッジによる悪化影響を21億円、メモリーなど部品価格高騰の影響を116億円、それぞれ年間で見込んでいます。
一方で、価格反映効果は、111億円を予想しています。固定費の増加については79億円を見込んでいます。このうち為替の影響による増加が30億円ほどあり、それを除くと50億円弱の固定費の悪化となります。
また、前期に計上されていた撤退事業の損失引当がなくなることで4億円のプラス影響があります。さらに、売上収益の増加および利益率の改善で71億円、米国関税の還付金が年間で45億円を見込んでいます。これらを踏まえ、今期の業績予想における事業利益は223億円を見込んでいます。
2027年3月期通期業績予想 分野別の状況
今回の通期業績予想の分野別状況についてご説明します。まず、S&S分野ですが、今回の業績予想では売上収益900億円、事業利益94億円を見込んでいます。
前回発表からは売上収益で150億円、事業利益で62億円の減少となっています。スライドの表の右端に記載されているとおり、米国関税還付金による32億円のプラス影響を織り込んだ数字であるため、それを考慮すると実態としては減少幅がさらに大きくなっている状況です。これは、主に無線システム事業における北米公共安全市場向けの販売が大幅に想定を下回る見込みによるものです。
次にM&T分野ですが、売上収益は2,200億円を見込んでおり、前回発表から220億円の増加となっています。前年同期比では243億円、約12パーセントの増収を見込んでおり、国内用品ビジネスにおける増販や価格反映を想定しています。
同分野の事業利益は74億円を見込んでおり、前回発表から19億円の増加となっています。米国関税還付の影響が7億円程度あるものの、それを除いても12億円ほどの増加を見込んでいます。前年比では20億円の増益を予想しており、米国関税の還付の影響はありますが、それを上回る増益になる見込みです。
ES分野については、売上収益580億円を予想しています。特に上期にエンタテインメント事業が非常に好調だったことから、前回発表から40億円の増加を見込んでいます。前年比でも12億円の増収となります。
同分野の事業利益については55億円を見込んでいます。前回発表から32億円の増加、前年比でも30億円の増益を予想しており、これはエンタテインメント事業の好調によるものです。その他を含めた全社の業績予想としては、売上収益3,760億円、事業利益223億円を見込んでいます。
全社業績推移
続いて、四半期別の実績の推移についてです。今期、2027年3月期の第2四半期の売上収益は950億円となりました。国内用品ビジネスやエンタテインメント事業が好調で、大きく売上を伸ばしています。
事業利益については、第2四半期の3ヶ月間で103億円の実績を上げましたが、米国関税の還付金を除くと59億円となります。前年同期の53億円と比較すると、還付金を除いても増益となりました。また、第1四半期の事業利益は20億円でしたので、そこから大きく回復しています。
S&S 売上収益・事業利益推移
S&S分野の四半期推移です。第2四半期の売上収益は219億円で、前年同期の254億円から大幅な減収となっています。無線システム事業における北米公共安全市場向けの販売減、およびヘルスケア事業の撤退による影響が主な要因です。
第2四半期の事業利益は54億円と前年同期比で増益となっていますが、米国関税の還付を除くと24億円となり、前年同期の42億円から大幅に減少しています。第1四半期に比べるとかなり回復してきていますが、まだ前年同期の水準には達していません。
M&T 売上収益・事業利益推移
M&T分野の四半期推移です。第2四半期の売上収益は541億円で、国内用品ビジネスを中心に非常に好調で増収となっています。事業利益は24億円で増益となりました。関税還付を除いても16億円であり前年同期の9億円から増益、また第1四半期からも大きく利益を改善してきています。
ES 売上収益・事業利益推移
ES分野の四半期推移です。第2四半期の売上収益は168億円で、エンタテインメント事業の好調により大幅な増収となりました。事業利益は25億円で、大幅な増益です。関税還付を除いても19億円となり、非常に好調に推移しています。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 地域別連結売上収益
スライドの左側のグラフは、連結売上収益の対前年同期の増減を地域別に示しています。このグラフから、日本が最も大きく伸びていることがわかります。国内用品ビジネスとエンタテインメント事業の伸びがその要因です。
米州も若干プラスに見えますが、海外では為替の影響があったため、その影響を除くとほぼ全地域で実質的には前年同期比で減収となっています。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 連結損益サマリー
事業利益から下の段階損益についてご説明します。事業利益は123億円で、前年同期比で39億円の増加となっています。その他の収益・費用および為替差損益等はマイナス8億円となりました。
これは、前期にあった土地売却益の減少や、後ほどご説明する生産拠点の構造改革費用の計上などが影響し、前年同期から21億円ほど悪化しました。
その結果、営業利益は115億円で前年同期比19億円の増益となり、税引前中間利益は120億円で前年同期比17億円の増益、最終中間利益は82億円で前年同期比7億円の増益となりました。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 財政状態サマリー
財政状態、つまりバランスシートのサマリーです。スライドの下部の表の、下から2段目にある親会社の所有者に帰属する持分は1,454億円です。
配当や自己株式取得の実施に加え、9月末には若干の円高が進んだことによる為替換算調整のマイナスがありましたが、利益剰余金の増加により、前期末から約15億円増加の1,454億円となりました。これに伴い、自己資本比率は42.1パーセントという結果でした。
2027年3月期第2四半期(中間期)決算 キャッシュ・フローサマリー
キャッシュ・フローのサマリーです。営業活動によるキャッシュ・フローは238億円で、減価償却費の増加や米国関税の還付を含めた利益の増加により、前年同期比で77億円のプラスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは124億円の支出です。前期の中間期と比較すると、固定資産の売却収入が減少したことや、前期に発表した米国のIP無線関連企業であるSan Luis Aviation, Inc. の買収完了に伴い、この中間期に支払いがあったことから支出が増加しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは120億円の支出です。主に有利子負債の返済を進めたことにより、前期の中間期より支出が大きく増加しました。
以上が今回の決算および業績予想の内容です。私からのご説明は以上です。
S&S 無線システム事業の状況
鈴木昭氏:代表取締役社長執行役員COOの鈴木です。トピックスについては、私からご説明します。まず、北米の公共安全市場についてです。この上期は非常に低調でした。市場全体としては成長が継続していますが、以下の変化が見られます。
2022年から2024年にかけての成長過程では、コロナ禍からの反動需要や、州・地方自治体向け補助金の影響による一時的な需要増がありました。その反動が今期、2027年3月期に現れています。
現状、政府の補助金は連邦政府向けが大半を占めています。当社の主力市場である中小地方自治体では、予算の確保が非常に低調であり、受注も低調な状況が続いています。一方で、ハイブリッド市場の進行が想定以上に加速しており、ハイブリッド化に向けた競争激化も変化として認識しています。
スライドの右側に受注残のグラフがあります。グラフ右端の明るい緑色の部分は四半期末の受注残を示しており、第1四半期・第2四半期ともに前四半期から減少しています。この背景には、濃い緑色で示された四半期の受注高が非常に低調であることが挙げられます。この状況は下期も続くと見込まれており、今回の予想に反映されています。
S&S 無線システム事業の取り組み
次に、この低調に対応する取り組みについてご説明します。まず、北米における営業・販売体制の見直しを進めます。顧客情報をより可視化し、顧客の要望に即した営業に注力できる体制を整えることで、案件獲得力を強化していきます。さらに、チャネル戦略を再検討し、市場別・地域別に最適なチャネルを構築します。既存のチャネルを活用した営業やダイレクト営業を地域ごとに見直し、最適化を図ります。
また、グループ内の営業連携を強化します。JVCKENWOOD USA CorporationとEF Johnson Technologies, Inc. は、それぞれ民間市場と公共安全市場を分担して営業を行っていますが、この両社の連携を強化することが非常に重要であると考えています。
加えて、当初計画していたシステム受注がなかなか拡大しない現状を踏まえ、この戦略を見直すことで、収益の安定と拡大を目指します。この4つの大きなテーマを速やかに実行し、改善を進めていきたいと考えています。
商品についてご説明します。非常に評判の良い「VP8000」ですが、特に警察向けにはよりスリムなモデルが必要とされています。そのため、先週フロリダで開催された警察関連の展示会にスリムモデルを出展しました。このモデルは非常に高い評価を受け、すでに受注も開始しています。発売は2027年3月末を予定しており、下期を通じて受注を進めていくことで、本格的な売上貢献は来期に見込んでいます。下期中の受注獲得に注力していきます。
また、ハイブリッド化への対応として、San Luis Aviation社のPMIの中で、「Viking Connect」という新たな通信ソリューション、つまりスマートフォンとの接続を訴求しており、すでにいくつかの案件を確保しています。
さらに、下期の中で「Viking Connect」を「VP8000スリムモデル」と組み合わせた受注獲得を推進し、来期の受注残の積み上げを目指し活動を進めていく予定です。
M&Tの状況
次に、M&T分野の状況についてご説明します。特に用品ビジネスに関しては、前期末から新規導入した製品の販売増と、メモリー等の部品価格の高騰への対応の結果が増収につながっています。これが上期において貢献することになりました。
しかし、メモリーなどの部品供給問題については、依然として懸念が続く状況です。このような中、供給遅延や価格高騰が発生しても迅速に対応できるよう、常に状況を注視しながら、適切な対応を進めていきます。
来期以降は、部品の確保が非常に重要になります。そのため、調達部門と連携し、取引先さまとしっかり取り組むことで、この課題に対応していきます。
VISION2030に基づく構造改革の進捗
中期経営計画「VISION2030」においては、生産グランドデザイン等に基づき、構造改革を進めています。すでに開示されているヘルスケア事業の撤退に伴い、長岡工場における人員体制の適正化も進めました。
ヘルスケア事業の製品販売はこの12月で終了し、以降はメンテナンスサービス契約への移行を進めます。また、マレーシア工場およびアフターマーケット事業の製品生産を担うインドネシア工場でも人員体制の適正化を進めました。海外販売拠点を含めた配置の最適化を引き続き検討していきます。
これらの構造改革費用は今期に織り込んでいますが、その効果は来期以降、年間10億円程度を見込んでいます。
当期の株主還元の進捗
株主還元の進捗についてご報告します。予定していた約30億円の自己株式取得は完了しました。当社の株主還元方針として、総還元性向30パーセントから45パーセントを目安としている中で、今期の総還元性向は公表済みの配当予想を含めて約40パーセントとなる見込みです。今期の配当は、中間配当10円を含めて1株当たり年間20円で進めています。
当社からのご説明は以上となります。