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JBCCホールディングス、上期営業利益率11.1%で中計目標達成を見込む 営業利益は前年比+21.5%の大幅増

AGENDA

東上征司氏(以下、東上):みなさま、おはようございます。代表取締役社長の東上です。回を重ねるたびに決算説明会に多くの方々にご参加いただき、ありがとうございます。大変うれしく思っています。

本日は、2つの点についてご説明します。まず、昨日発表した上期実績について、特に今年は中期経営計画の最終年度にあたりますので、その進捗をご説明します。

ここ数週間はセキュリティについてみなさまの関心が集まっています。国内では複数企業でサイバー攻撃の被害が報じられており、当社のセキュリティ事業への影響も気になるところだと思います。セキュリティについては、このあと上期実績の中で、注力事業の1つとしてご説明します。その上で、本日2つ目のテーマとしてお話しするのはAIです。「アンソロピック・ショック」や「SaaS is Dead」、「SIerの将来はどうなるか」と言われているAIを取り巻く現在の状況です。

当社は4月に、この業界でも比較的早いタイミングでAIのサービスモデル構想を発表しました。この6ヶ月間で具体的な進捗がありましたので、その点も含めて、将来の戦略についてご紹介したいと思います。

2027年3月期 上期 エグゼクティブサマリー

上期のサマリーです。1点目は、チャレンジングな目標の1つとして設定した、営業利益率9パーセント台から11パーセントへの改善という目標を着実にクリアすることができています。スライド下部に記載のとおり、売上高は前年同期比5パーセント弱、営業利益は前年同期比20パーセントを超える力強い成長を遂げています。

2点目は、この成長が今後どのように続くのかという点です。クラウドおよびセキュリティの新規受注高は過去最高を記録しています。それぞれのソリューションフォーカスに関しては、後ほど環境も含めてご説明しますが、この過去最高の新規受注が、下期および来期の成長を支えるかたちになります。

3点目は、中期的な成長についてです。当社がAIを活用して新たなサービスをどのように構築し、お客さまに提供していくのかについても後ほど詳細をご説明します。

したがって、今期(2027年3月期)の業績は、5期連続の増収増益と6期連続の過去最高益を達成できる見込みであると考えています。

2027年3月期 上期 事業セグメント別概況

具体的なセグメント別の数値です。

2つの注力事業であるクラウドとセキュリティが牽引し、着実に成長しています。

また、システム開発(SI)の分野においては、5月の決算説明会で「中期経営計画の目標を変更した」とご説明しました。中期的に考えると、システム開発の責任や主体性がお客さま側に移行していくことが予想され、その際にSIerとして何を提供していくか、どのように対応していくかを準備する必要があるとお話ししました。

それに伴い、当社が独自に開発した超高速開発手法によるプロジェクトは、継続中のものについては本番稼働まで実施しますが、プロジェクト終了後は順次AIのエージェント化を進めていきます。

当社では過去10年間にわたって推進してきた超高速開発による成果物をすべてエージェント化し、これを今後お客さまに提供していく方針です。そのため、SIの売上が一定程度減少することを前提に予算を計画しています。予定どおりであるとご理解いただければと思います。

クラウド ー 市場成長を大きく上回る成長

具体的に、注力事業について一つひとつ見ていきます。

クラウド事業では、上期の売上高がおおむね100億円近くまで成長しており、前年同期比で36.9パーセント増と力強い成長を示しました。マーケット全体の成長率が約17パーセントと言われている中、その2倍を超えるスピードで成長していることになります。

当社はマルチクラウドの環境を提供し、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud(GCP)」といったクラウドサービスを展開しています。それぞれの特長をお客さまの環境に応じて活用することを推奨しています。

AI環境を整備したいと考えるお客さまが非常に多くいらっしゃるため、「Microsoft Copilot」の受注は従来に比べて大幅に成長しています。ただし、これは一面を捉えた結果にすぎません。当社の提案は、単に「Microsoft Copilot」を提供することが目的ではありません。AIを使える環境を整備すること自体は誰にでもできます。

当社が現在提案しているのは、AIを活用してそれぞれの個人の生産性を向上させる段階を皮切りに、部門全体の生産性を向上させ、さらに、部門を超えたプロセスビューで取り組むことです。

例えば、受注からデリバリー、請求、回収に至る一連のプロセスを見直し、それにAIを適用することで劇的な生産性向上が可能と考えています。このようなサービスまで視野に入れたAIの活用を推進していきたいと考えています。

また、そうなると、AIエージェントが増えていきますので、「エージェントをどのように管理すればよいか」ということが必ず求められることになります。当社は、こうしたステップを含めてご提案しています。その第1ステップとして、「Microsoft Copilot」を使える環境を提供しているとご理解ください。

同時に、クラウド事業には追い風が吹いています。ご承知のとおり、半導体の価格は相当上昇しています。そのため、例えば各企業が自社でWindowsサーバーの入れ替えが必要になった場合、見積もりを取ると、数年前に比べて数倍の価格になっているだけでなく、納期すら目処が立たない状況にあります。

また、スライドに記載しているとおり、VMwareについてはこの2年間で度重なる値上げが行われ、「VMwareの代わりになるような環境を作ってほしい」というご依頼がいまだに根強くあります。このような追い風を受けて、当社の新規受注高は過去最高を更新しています。

この6ヶ月間で新規の月額受注高は約2億5,000万円にのぼり、単純計算で12ヶ月分に換算すると年間30億円規模の新たなビジネスを6ヶ月間で創出したとご理解いただければと思います。

今後の戦略については、個人から組織、さらに組織を超えたプロセス全体に対して、価値を届けることを目標としています。

セキュリティ ー 市場成長を大きく上回る成長

セキュリティ事業についてお話しします。

現在、毎日のようにセキュリティインシデントが発生し、メディアで報道されています。これまでにも耳にされたことのあるランサムウェアによる被害は、依然として続いています。

ただし、この数週間で新たな脅威が出現しました。おそらく本日ご参加の方々の中には、個人的に利用しているサービスなどからお詫びのメールを受け取った方も多くいらっしゃると思います。このような状況は今後も続くと予想しています。

当社のセキュリティビジネスについて、市場全体の成長率は約5パーセントと言われていますが、この予測には直近に発生しているサイバー攻撃の動向が織り込まれておらず、成長率は今後さらに高まると思われます。当社のビジネスはその数値をはるかに上回るスピードで成長しています。

また、新規の月額受注高は約1億3,000万円にのぼり、年間の売上高に換算すると約15億円の新たなビジネスが創出されています。先ほどのクラウド事業と合わせると、新規の月額受注高は約3億8,000万円となり、年間の売上高に換算すると、この6ヶ月間で約45億円の新たなビジネスを生み出すことができたということです。

下期も上期と同じだけ受注できれば、年間では約90億円の売上高を創出できる計算になります。当社の連結の売上高は約800億円規模ですので、売上の伸びを大幅に加速できると見込んでいます。

セキュリティの防御については、「AI対AI」という表現が適切だと思います。当社の強みについて考えてみると、これまで長くセキュリティに携わってきた会社さまは、当然ながらセキュリティに対するスキルや知識が深いです。

しかし、現在の環境においてセキュリティインシデントが発生した際に求められるのは、セキュリティのスキルだけではありません。クラウドの技術力、さらにAIの技術力も当たり前のように必要とされています。単にセキュリティの経験や洞察力の深さだけではなく、クラウドやAIについても深く理解していなければ、発生したインシデントに対して適切な対応を取ることが難しいのです。

当社はもともとインフラに強い会社でしたが、それに加えてクラウドやセキュリティの技術力を積み上げてきました。その結果、お客さまから見ても、セキュリティインシデントに対応する上で最も頼りにできる会社の1つとして認知されています。

したがって今後もこの分野には多くの時間をかけて投資し、新たな脅威に対して学び、研鑽を重ねていくことが必要だと思います。

なお、経済産業省が主導しているサプライチェーンセキュリティの取り組みでは、各企業に自社のセキュリティレベル情報の開示が求められています。

現在、その詳細な発表を待っていますが、当社としても多くのお客さまからの「当社は今、セキュリティレベルを4にしたい。そのために何をすればよいか」というご依頼を受けていますので、詳細な内容が判明次第、展開できるよう準備を進めています。

この点については、クラウド同様、追い風の1つと考えています。

超高速開発 ー 進行中のプロジェクトを確実に完遂

超高速開発についてご説明します。

売上高は前年同期比で15.2パーセント減となり、ほぼ計画どおりの推移です。先ほどお話ししたセグメント別において、SIの売上は約5パーセント減少していますが、SIの売上高の約半分が超高速開発事業に該当します。残りの半分は、メインフレームのコンバージョンとヘルスケア向けの電子カルテ導入サービスに関連する事業です。

後者の事業に関しては、例えば、富士通のメインフレームがすでに製造中止を発表しているため、長期的にはプラットフォームを変更する必要性が高まっています。このような背景から、堅調なビジネスが続いています。

超高速開発に関しては、第3四半期も含め、進行中のプロジェクトが毎四半期、着実に本番稼働へ移行しています。移行後は、プロジェクトメンバーがこれまでのアセットをエージェント化する業務に携わることになり、ここが大きな投資となっています。

第3四半期および第4四半期においては、エージェント作成のトレーニングへの投資をさらに行う計画を立てています。その結果、下期は、上期と比較しても昨年対比で売上が下がる見込みですが、全体としては計画どおりであるとご理解いただければ幸いです。

今後の戦略については、冒頭でお話ししたSI事業モデルの変更に伴い、システム開発の主体は当社SIerからお客さま側に移行していくだろうと考えています。それぞれのお客さまの中には、全面的に自社で開発をしたいという方もいらっしゃいます。その場合、当社が培ってきたエージェントを提供しながら、共に開発し、その支援を行っていきます。

一方で、今後の開発では、自社で対応できる部分と従来と同様に当社に依頼する部分を組み合わせ、ハイブリッドなかたちで進めるケースが想定されます。IT要員の採用や育成が難しい状況下で、AIを活用した小規模な開発は可能であるものの、大規模な開発については引き続き当社に依頼したいと考えるお客さまが出てくると見込んでいます。

このように、今後の開発の進め方はいくつかのパターンに分かれていくと考えられますが、当社としては、事業モデルが変化していくという前提のもと、より新しい開発モデルの追求に注力していきます。それにより、当社自身の価値向上につながると考えています。

2027年3月期 業績予想

このような3つの注力事業の状況を踏まえ、今期の業績予想についてはすでに発表済みです。売上高、営業利益、当期純利益はスライドに記載のとおりです。

今年の配当金については、第1四半期の決算発表と同時に50円から60円への増配を発表しています。

JBCCグループのAIサービスモデル構想 ー Team × Platform

続いて、2つ目のポイントに入ります。

「SIerの将来はどうなるか?」と問われた時、当社は4月の初めと5月の決算発表会の際にもこちらのスライドの内容についてご説明しました。

これを当社の新たな価値としてご理解いただければと考えています。スライド左側が「Customer Innovation Team(以下、CIT)」、右側が「AI Orchestration Platform(以下、AIOP)」となっています。

今後はこれまでのシステム開発のあり方が変わってくると考えています。お客さまが求める部門の生産性向上、さらには部門を超えたプロセス全体の圧倒的な生産性向上や差別化を図りたいというニーズを具現化するために、それぞれの業務知識を持つ人とAIの技術を持つ人が協働し、お客さま側の支援役として入り、サービスを作り上げていくことが「CIT」のコンセプトです。後ほど具体的な例をご説明します。

業務系とそれを支えるインフラにおいては、クラウド環境の構築、適正なセキュリティの装備、そして日々生成されるエージェントをどのように管理するか、およびそれぞれのエージェントに対するデータのアクセス権限をどう管理すべきか、適切にモニタリングし改善することが求められます。当社はこれを「AIOP」と名付けて構築を開始しており、すでにいくつかのサービスを発表しています。

Customer Innovation Team がお客様に提供する価値

それぞれの進捗について、個別にご説明します。まず、「CIT」についてです。

クラウドのパートにおいてお話しした「Microsoft Copilot」の整備という観点では、大幅な新規受注高が継続しています。これは環境作りの段階にあたり、個人の生産性向上に向けた第1ステップです。

そこから、その取り組みを部門全体の生産性向上へと展開していきます。新たな取り組みの第1弾として、経理財務の分野でご提案を開始しました。すでにプロジェクトのキックオフを迎えたお客さまもいらっしゃいます。

この取り組みは非常に興味深く、当社にとっても、お客さまにとっても、新たな発見のある取り組みとなっています。

当社の経理財務チームのメンバーは、どの会社さまの経理財務でも同様の対応が可能です。このチームでは、エージェントを作成するまでは、SEが伴走し、エージェント作成を支援しながら生産性を向上させてきました。

一例として、来年4月から適用される新リース会計基準があります。これは、どの会社さまにも適用されるため、当社が作成したエージェントをご利用いただければ、自社で作成する必要はありません。

当社ではこれまで長年にわたりSEのサービスを提供しています。システムを構築するにあたっては、どのくらいの期間を要し、いくらくらい費用がかかるのかというプライシングを行い、見積書を作成し、契約に至る流れが基本です。

しかし、経理財務のメンバーがお客さまの経理財務部署に出向き、エージェント作りを支援するサービスについては、これまでプライシングを行ったことがありません。これを当社はサービスとして体系化し、契約を締結してプロジェクトを開始し、提供しています。

新たな発見は、「JBCCグループは、こうした業務面のサービスまで手がけてくれるのだ」という認識が広がる新しい局面が生まれたことです。

「こういうシステムを作ってほしい」「基幹システムを再構築したい」「クラウド環境を整備したい」「セキュリティを整備したい」という要望にお応えすることは、これまで長くSIerとして取り組んできたものであり、今後も継続していきます。

さらに、経理部門での支援を通じて、お客さまの経理部門と当社の経理部門が知恵を出し合うことで新たなアイデアが生まれ、共通の悩みも共有できるようになります。「こういうふうに解決できるんだ」「このグループはそういうことまで提供できるようなことを考えているんだ」といった評価をいただいています。

ここでは経理財務の例を挙げましたが、人事、総務、法務についても同様です。当社の取引先のメインターゲットは、売上500億円から2,000億円程度の企業であり、このような企業規模の各部門が取り組むべき課題は、大企業と同様です。

そのような中で生産性の向上は容易ではありませんが、当社は単にITサービスを提供するだけではなく、これらの業務までをご相談いただけるパートナーとして貢献しています。そうすることにより当社の認知レベルが上がり、見方が変わり、さらには信頼の度合いが深まることをはっきりと実感できています。

もう1つ、AIの取り組みで重要なのは、データをどのように扱うかということです。当社では具体的にサービスを発表していますが、AIがより正確な答えを出すためには、データを整理・整頓することが必要です。

データの中には、いわゆる雑データや不要なデータも含まれており、それを一部クリーンアップする必要があります。当社はこのようなニーズに応えるサービスをすでに発表済みで、データを整備し、自然言語で分析・活用できる環境の提供を開始しています。

今後第1ステップから第2ステップへと進み、プロセスの全体像や広い視点で捉えた時に、AIの適用がさらに定着していくと考えています。当社はこうした取り組みに伴走し、支援していきたいと考えています。

さらに重要なのは、スライド下部に記載している運用設計、例えばルールの整備です。AIのガイドラインや、各エージェントがどのデータにアクセス権限を持つか、さらにそれが正しく運用されているかをモニタリングすることは、当たり前のようでいて、これまでには存在しなかったものです。

「自分たちの会社では、AIのガイドラインはどう作ればいいんでしょうか?」という要望には、多くの会社さまと議論を重ねながら当社で取り組んできました。「CIT」では、これを設計します。

AI Orchestration Platform ― 企業で使い続けられるAI基盤の全体構想 ―

一方で、具体的な実装はインフラ部門が担当します。これは「AIOP」側の実装サービスとして位置付けています。

こちらのスライドをご覧いただくと、クラウド&セキュリティ基盤に関連するルールについて記載されています。「安心・安全な継続利用を支える基盤と運用」という観点でルールを作成し、権限の付与方法、データへのアクセス制御、トレーサビリティやモニタリングの実施などを定めることが必要となります。

例えば、現在みなさまがご覧になっている資料やチャートをAIを使って作成する場合、細部の作り込みや多数の試行錯誤を含めると、1つあたりおおよそ1万円程度かかります。仮にこれを1,000人が作成すると、1,000万円分のコストになります。

AIを誰がどのように使い、どの程度の費用が発生しているかを「見える化」することが必要です。また、それぞれの費用を各部門に配賦し、その進捗を適切に把握していくという、これまでにない取り組みが求められます。そうでなければ、トークンを多く使うことで利益を得るのはAIを提供する側だけになってしまいます。

そのため、当社では現在、AIの利用状況や費用を「見える化」するモニタリング機能を「AIOP」の中で構築中です。「AIOP」の最上位のレイヤーはアプリケーションが動作するレイヤーであり、エージェントが稼働します。例えば、新リース会計基準に対応したエージェントが稼働します。

また、当社がこれまで培ってきた独自の超高速開発手法「JBアジャイル」をエージェント化するため、大規模な投資を行っています。これにより、AI駆動の開発を進め、アプリケーションの実行を支えていきます。

そのインフラ部分とアプリケーションの間に位置付けられるのが、当社がユニークな価値として重視している長期記憶機能です。今年、当社はスパイスコード社に資本参加しました。同社の長期記憶の技術により、データを取捨選択したり、お客さまの暗黙知に相当するような内容を長期記憶に読ませたりすることで、より適切な答えを提供していきます。

自ら変革し、その実践知で、お客様のAI変革を共創

ここまで、「AIOP」や「CIT」に関する説明を行いましたが、こちらは、現時点での6ヶ月間の進捗のサマリーです。

当社もAI活用を徹底的に推進しています。また、3ヶ月に一度この場所を使って、社内で「J-AInnovation(ジェイ・エーアイノベーション)」と呼ぶ成果発表会を行っています。各部門がどのような取り組みを行い、どのような成果を得られたのかを共有する場として実施しています。

共有することは非常に重要であり、「あそこでこのような取り組みをしているのなら、このように自分たちはやってみよう」といった良い意味での競争を促す場にもなっています。組織を超えた取り組みなど、当社がホールディングス傘下の事業会社を持つ特徴を活かし、活動が広がっていく様子も見られます。

現在、全事業部門においてエージェントが作成され、2,000を超えるエージェントが日々稼働しています。そのため、先ほど申し上げたようにデータのアクセス権限をどのように設定していくか、またエージェントが自身をコピーした場合にそのコピーにも同様のアクセス権限が付与されるため、そのような部分をモニタリングすることなど、考えられる対応を実装していく必要があります。

これは全事業部に関わるため、さまざまな場面でエージェントが作られ、個人および部門の生産性が向上してきました。当社が次に挑戦すべきことは、自らのプロセスをどのように再設計し、AIを適用することで劇的に生産性を向上させる実体験を得ることです。この点について、次のステップを進めたいと考えています。

当社はこれらの経験を通じて、お客さまの変革を支援していきます。先ほどもお話ししましたが、経理財務が最初に取り組んだ分野です。その後、AI駆動の開発やSIエージェントがかなり整備されてきています。特に注目される点は、AIを活用してプログラムを作成することが、お客さま側でも可能であり、すでにすべてのSIerが取り組んでいると思います。

当社が開発しているエージェントは、上流工程、例えば現状分析において重要な役割を果たします。システムは何十年も積み重ねられた結果、いわゆるスパゲッティ状態になるといわれることがよくあります。この現状を把握し、どのようなシステムを構築するべきかという構想をしっかりと策定する必要があります。その構想を実現するためには、どのような要件が必要なのかという要件定義に、多くの時間と工数を費やしてきました。

当社は、この取り組みそのものをエージェント化しました。そして、今年まで進めてきたプロジェクトにそのエージェントを適用すると、どのようにうまく機能するか、どこに不具合があるか、またどこが不足しているかを検証してきました。検証を経て、ようやく実践のフェーズに入る段階となり、11月以降、この上流工程のエージェントを実際の開発プロジェクトに適用していく予定です。

ステップ・バイ・ステップで進めていく必要があるため、成果をみなさまにお伝えできるには多少時間がかかると思いますが、来月からのプロジェクト適用と実践は極めて重要なステップであると考えています。

四国電力グループにおいて「AIOP」に基づくプロジェクトが具体的にスタートしました。これは非常に楽しみな取り組みといえます。四国電力グループの情報通信事業を担うSTNetは、四国地域のICT企業として、情報システム開発、データセンターやクラウドといったプラットフォーム、光ファイバーなどの通信ネットワークなどのサービスを提供しています。現在、両社で「AIOP」の全体像を踏まえ、エージェントをどのように活用し基盤を管理するべきかについて、デザインを具体的に始めています。

このような取り組みを進めていく中で、四国電力のような企業グループでは独自の「AIOP」を求めているのではないかと考えています。現時点ではまだ議論の途中であり、先の話ではありますが、将来が楽しみなプロジェクトです。

先ほどご紹介したデータ分析基盤については、具体的な顧客との契約が締結されており、現在は実装段階にあります。しかるべきタイミングでお客さまの事例も公表できると思います。

AIサービスの価値提供モデル

6ヶ月の取り組みの成果を受け、今後は「CIT」と「AIOP」が当社グループの価値のコアになると考えています。システム開発そのもののあり方はモデルが変わり、全面的に支援したり、開発を両者で行ったり、ハイブリッド環境を構築したり、全面的に当社が請け負ったりといった形態は今後も継続すると思います。

ただし、新たな考え方のもと、「CIT」においてはお客さまに経理や人事、各プロセスの視点でAIを活用し、企業を強化するサービスを提供していきます。

また、日々作られるエージェントを管理し、モニタリングし、適正化していく「AIOP」については、新たな取り組みとして将来どのようなビジネスに成長するのかが非常に楽しみです。

当社はすでにクラウドとセキュリティ分野において3,000社を超える企業に毎日サービスを提供しています。これらのお客さまを含め、当社が業務系およびインフラ系サービスを新たな価値とともに伴走型で提供していくことを楽しみにしています。

お客様の変革をAIで実現し、伴走する ― AI Native Company―

今年後半はさらにAIへの投資を加速し、期初にお約束した目標を着実に超えることを目指します。

また、来年から始まる新たな中期経営計画を現在策定中であり、この新たな3年間で、先ほどお話しした「CIT」および「AIOP」の新たな価値をどのように具現化し、どの程度のビジネスへと成長させるのか、来年ご紹介できることを楽しみにしています。

質疑応答:クラウド業者とのすみ分けについて

質問者:さくらインターネットさまのようなオープンウェイトで、コストが10分の1とおうかがいしているようなクラウド業者が今後、御社のテリトリーに入ってきた際にどのようにすみ分け、対応されるのかについてお聞きしたいです。

東上:現在、当社のクラウドサービスは、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud(GCP)」を当社が再販し、その上に運用のマネージドサービスを付加して販売しています。あわせて、生成AIの基盤についても、「Amazon Bedrock」「Azure OpenAI Service」「Google Vertex AI」を例とする各社のLLM(大規模言語モデル)サービスを組み合わせて提供しています。また、SaaSとしては、例えば「サイボウズ」や「Microsoft 365」といったサービスそのものも再販しています。

その中で、さくらインターネットさまとは現在、取引はありませんが、同社が提供するAI環境も含め、そのインフラを当社が再販し、運用を付加して販売するケースは今後あり得ると考えています。位置付けとしては、そのようにお考えいただければと思います。

質疑応答:サイバー攻撃者の特定への対応と当社の守りのサービスについて

質問者:フォアーゼットさまは、攻撃者を見つけ、犯人を特定するところまで対応していると認識していますが、御社では攻撃者を探すような対応を行っているのでしょうか?

東上:まさに今起きている事象に対するご質問だと思います。当社のセキュリティサービスは、侵入経路の調査などを行いますが、その攻撃者を探すといった直接的な対応をとるサービスは提供しておらず、守りに重点を置いています。

つまり、攻撃と守りの構図がAI対AIとなる中で、当社はお客さま側の立場に立ち、どのように守るべきかを考えています。ただし、完全な防御というものは存在しないため、インシデントが発生した場合にどのように対応するかにかなり注力しています。

例えば、お客さま向けに「疑似インシデント訓練」というセミナーを定期的に開催しています。このセミナーは、お客さまの経営層向けと、実際に運用されている部門向けの2種類に分かれています。

経営層向けのセミナーでは、「疑似インシデント訓練」の最後に、経営層ご自身に「経営判断として何が求められるのか」を問うワークショップ形式の議論を行います。例えば、みなさまがご存じの会社では、インシデントへの対応に2週間を要したケースもあれば、4ヶ月を要したケースもありました。

その分かれ目となる重要な判断ポイントは、インシデントが発生した瞬間に業務を停止するか否かという、経営判断そのものです。つまり、受注、生産、出荷といった業務を止めることを指します。

これにより、一時的にお客さまや一般消費者にご迷惑をおかけするかもしれませんが、リカバリーに要する期間は非常に短く、例えば2週間で収束することも可能です。4ヶ月かかるケースと比べると、結果的に影響ははるかに少なくなります。そして、それをどのタイミングで公表するか、さらにしかるべき機関への届け出を行い、リカバリーに進むかが求められます。

また、疑似インシデント訓練の運用部門向けのケースでは、日頃の訓練だけで本当に十分なのかという点を重視します。

例えば、どの会社でもバックアップを取っていますが、バックアップを実際に復元する訓練を行っているケースは限られています。試してみると失敗することもあり、失敗すると復旧にかかる時間が長引いてしまいます。その結果、想定では12時間で復旧する予定だったものが、実際には36時間かかってしまうこともあります。

避難訓練をきちんと行うことが重要です。あくまで一例としてお話ししましたが、あらためてご質問の回答としては、当社は敵を探すことよりも、守ること、侵入経路の特定とその遮断をどのように行うべきかを考え、それをサービスとして提供しています。

質問者:ある意味、何かが起こった際にツールが必要になった場合、最も優秀なところを担いで、お客さまと一緒に対応を継続することは可能だという理解でよろしいでしょうか?

東上:おっしゃるとおりです。今後、必要が生じた場合には、そのような対応となると思います。

質疑応答:超高速開発の売上回復のタイミングについて

質問者:超高速開発の件についてお聞きします。新規のプロジェクトからAI駆動開発にシフトしているということですが、今期の売上高は減少する見込みです。この影響が一巡して再び売上高が回復するタイミングはいつ頃になるとお考えでしょうか?

東上:現在、来年4月からスタートする新たな中期経営計画の議論が進行中ですが、この反転のタイミングと、開発の主体性がお客さま側へ移り、それを支援するかたちになるのがどのようなタイミングかについては、なかなか予測が難しい状況です。

当社のマーケットやお客さまのニーズについて、開発の主体性がどちらにあるとしても需要の観点から見れば、間違いなく需要は存在すると思います。さまざまな市場データにもそのように示されており、基幹システムの再構築においても、今後数年間は市場が成長すると見ています。この需要に対して、当社がどのように応えていくかが重要となります。

具体的にいつ反転するかについては予測が難しい状況です。来年も引き続きエージェント作りを進める予定で、11月からプロジェクトの適用を開始するとお伝えしましたが、そのプロジェクトを一定数こなさない限り、そのエージェントがどれだけ成果を上げるかはまだ見通せていません。

おそらく、成果が見えてくるまで来年いっぱいはかかるのではないかと考えています。その上で、当社が主体的に開発を進めたり、あるいは支援を行ったりする中で、超高速開発のエージェント化が適用される規模が増えていくのは、2028年のどこかになるのではないかと見込んでいます。

同時に、SIの売上という観点からご質問への回答を広げると、向こう数年間は、まだSIの売上の約半分を占めるコンバージョンや電子カルテが着実にあります。特に、来年や再来年のプロジェクトについてもすでにご依頼をいただいており、これらは極めて安定した状態にあるとご理解ください。

質疑応答:サイバーセキュリティの現状対応における依頼内容について

質問者:サイバーセキュリティについて質問です。最近1ヶ月でAIを利用した攻撃が非常に増加していますが、具体的にどのような依頼が増えているのでしょうか? 診断業務なのか、ツールの導入なのか、あるいはインシデントが発生して被害を受けた企業の復旧対応なのか、この中で現在最も増加しているのは何でしょうか? 

東上:典型例としてはPHPの対応が挙げられます。これは全世界的にも共通して言えることですが、多くのお客さまから「自社環境でこれをどのように対応すべきか」「当社がすでに構築したシステムでのPHP利用について、どのように修正すればよいのか」といった相談が寄せられています。

また、新たなスマホアプリのセキュリティでもデータ漏えいが発生していることから、これに関する相談もございます。これらは、いわば現象面に対する問い合わせだと言えます。

次に挙げられるのは、これまで当社が紹介してきた「セキュリティをどのように強化すべきか」という視点です。

当社では具体的なロードマップを提示する提案を重ねてきましたが、今後さらにこれを進めていくことになります。特に、来年4月の新年度に向けて、多くのお客さまが予算作成のタイミングに入ります。

その中で、今年後半にどれくらいの対応が可能で、来年度にはどのレベルまで実装できるのかといった、年度単位や四半期単位での計画作りに関するご依頼が非常に増えています。このようなご依頼を新規の受注に結びつけるべく、当社としても対応しています。

質疑応答:AI開発による生産性向上と利益率の将来予想について

質問者:今回のAI開発によって、人員の効率化や案件数の増加が可能になるのでしょうか? また、将来的な利益率はどのように推移すると予想しているか教えていただけますか?

東上:当社グループ全体の人員に対する大きな方向性としては、AIを活用して個人や部門の生産性を向上させつつ、スキルの変化に対応しながら、人員(社員数)はおおむね現状維持のまま、現時点での成長を継続していく計画です。

また、ここ数年間で、ビジネスの内容をストック型に大きく転換してきました。現在の中期経営計画では、売上の60パーセントをストック化する目標をおおむね達成する見込みです。この割合は今後さらに増加していくと予想されます。

そのため、当社のビジネスは生産性の向上を着実に進めながらも、それに過度に依存せず、現状の人員体制で安定した成長を続けられると考えています。

ただし、スキルのリフレッシュや社員のリフレッシュは定期的に必要である点については認識しています。それにより、人員がフラットなままであるならば、利益率の改善が着実に見込まれるとご理解いただければと思います。

重要なのは投資です。今年の後半には、さらにエージェント開発に投資をする予定であり、クラウドやセキュリティ、開発、ならびに「AIOP」を含めた分野にも相当の投資が必要になると考えています。このため、エンジニアに対する投資についても相当な規模で計画を検討しています。

そうした投資を行いながらも、今期は利益率を9パーセント台から11パーセントに向上させています。今後の改善速度はやや緩やかになる見込みですが、それでも毎年着実に利益率の改善を実現したいと考えています。

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