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川崎汽船、通期経常利益を上方修正 新中計発表で31年度ROE15%以上・当期純利益2,100億円プラスアルファを目指す

A-1:2026年度第2四半期業績

五十嵐武宣氏:代表執行役社長の五十嵐です。それでは、本日公表した2026年度第2四半期の決算および次期中期経営計画についてご説明します。

まず、2026年度第2四半期の決算についてご説明します。2026年度第2四半期の売上高は6,020億円で前年同期比1,014億円の増収、経常損益は1,183億円で前年同期比587億円の増益、親会社株主に帰属する中間純損益は1,245億円で前年同期比558億円の増益となりました。為替レートは上期平均で1ドルあたり160円47銭、燃料油価格は1トンあたり788ドルとなっています。

主な財務指標をスライド左下に記載しています。第2四半期末の自己資本は1兆7,468億円、有利子負債は3,225億円でした。DERは18.5パーセントです。自己資本比率は75.5パーセントで、オフバランス傭船料を含めた自己資本比率は59パーセントから61パーセントの範囲となります。

主な変動理由として、営業損益では、中東情勢による燃料油価格の上昇などで費用増がありましたが、ドライバルクセグメントの堅調な市況に支えられて増益を達成しました。経常損益は、OCEAN NETWORK EXPRESS(ONE社)からの持分法損益の増加により、大幅な増益となりました。

中間純損益は、これに加え保有船舶の売却等で特別利益を計上しています。保有船舶の売却は、通常の代替によるものであり、アセット売却を志向したということではありませんが、足元の売船市況の影響もあり、数字として大きく反映されたものと考えています。

A-2:セグメント別第2四半期業績

セグメント別の経常損益です。ドライバルクセグメントは160億円で前年同期比146億円の大幅な増益となりました。エネルギー資源セグメントは48億円で前年同期比6億円の減益です。製品物流セグメントでは、自動車船事業が153億円で前年同期比147億円の減益、コンテナ船事業は744億円で前年同期比プラス523億円となっています。本部・調整を含め、スライドに記載のとおりの合計になっています。

ドライバルクセグメントは、大型船、中・小型船ともに好調な輸送需要を背景に、市況が堅調に推移しました。前年同期比を上回る市況水準に加え、為替影響も寄与し、大幅な増益となっています。

エネルギー資源セグメントでは、LPG船やタンカー船などの市況が好調に推移しました。一方で、前年同期に発生した投資先の税効果見直しによる一過性の利益が剥落したことで前年同期比で減益となっています。

製品物流セグメントは、自動車船事業において中東情勢に起因する船腹稼働率の低下や、燃料費などの運航費増加の影響を受け、前年同期比で大幅な減益となりました。コンテナ船事業では、燃料油価格の上昇に伴い運航コストが増加しましたが、中東情勢や港湾混雑による船腹需給の引き締まりを背景に短期運賃が上昇したため、前年同期比で大幅な増益となりました。

B-1:2026年度通期業績予想

2026年度通期の業績予想です。通期の予想は、売上高が1兆1,700億円で前期比1,517億円の増収、経常損益は1,900億円で前期比809億円の増益、親会社株主に帰属する当期純損益は1,900億円で前年同期比571億円の増益となります。

為替レートは通期で1ドルあたり155円85銭、燃料油価格は1トンあたり805ドルを想定しています。また、その他の前提として、ホルムズ海峡は2027年3月末に向けて正常化し、通峡を再開できるのは2027年4月以降としています。

スエズ運河については、自営事業の船は今年度末まで通峡を見込んでおらず、すべて喜望峰経由ルートを継続しています。ONE社は、すでにご案内のとおり、いくつかのルートに関して通峡を計画しており、業績予想はこれらを前提として策定しています。

変動影響については、為替レートは1円の変動でプラスマイナス12億円、燃料油価格は10ドルの変動でプラスマイナス5億円です。株主還元は、配当については1株あたり120円を引き続き予定しています。自己株式取得については、9月18日に公表したとおり、1,225億円分の自己株式取得は終了し、10月2日に全量消却を完了しています。

通期業績における最も大きなポイントは、自営事業でのドライバルクセグメントの好調な市況の推移と、コンテナ船事業での短期運賃上昇による収支改善です。これらが全体を大きく押し上げた要因となっています。

B-2:セグメント別通期業績予想

セグメント別の通期業績予想です。ドライバルクセグメントの経常損益は320億円で前期比205億円の増益、エネルギー資源セグメントの経常損益は60億円で前期比47億円の減益の見込みです。要因は先ほどご説明したとおりです。

自動車船事業の経常損益は330億円で、前期比181億円の減益の見込みです。これは、燃料費や運航費における燃料油コスト、運航コストの上昇が主な要因です。コンテナ船事業の経常損益は1,070億円で前期比830億円の増益を見込んでいます。全体の通期予想としては経常損益1,900億円となります。

B-3:2026年度収支変動要因(2026年8月公表比)

上期および下期の変動要因についてまとめています。上期は、自営事業の自動車船において中東情勢の影響を織り込んでいたものの、その後の配船などの巻き返しにより収益が増加しました。また、ドライバルクの市況が好調に推移したため、自営事業で74億円の増益となりました。コンテナ船事業も短期運賃の上昇を背景に309億円の増益となっています。

下期は、ドライバルクは底堅いと見ていますが、自動車船における運航費の増加などの影響を受け、自営事業で合計64億円の減益を見込んでいます。コンテナ船事業では従来予想を上回る水準で短期運賃が推移すると考えており、231億円の増益見込みです。

C-1:資本政策の進捗と企業価値向上に向けて

中期経営計画全体の資本政策の進捗です。まず、「稼ぐ力の強化」として、中期経営計画期間中の営業キャッシュフローは1兆5,000億円を、「投資計画」として中期経営計画期間中に6,100億円の投資キャッシュフローを計画しています。

「最適資本構成」については先日発表したように、まずは短期的にオフバランス傭船料を含む自己資本比率50パーセント前後を目指し、適正化を進める予定です。「株主還元政策」については、先ほどお話しした自己株式の取得および消却を含め、8,800億円以上を計画しています。

ROICについては、スライド右上に記載のとおり、中期経営計画では2026年度6パーセントから7パーセントを見込んでいましたが、今回の上方修正を反映し、7パーセントの見込みとなっています。

C-2:株主還元政策

株主還元政策です。2026年度は1株あたり120円の配当を実施予定です。また、すでに終了していますが1,225億円の自己株式取得を行いました。

2026年度上半期の決算説明は以上となります。以降のスライドでは事業環境の変化について、Appendixでは事業の状況について記載していますのでご覧ください。

“K” LINEグループの目指す姿

中期経営計画についてご説明します。“K”LINEグループの目指す姿として、企業理念、ビジョン、大事にする価値観に変更はありません。

大事なキーワードは、「グローバルに信頼される“K”LINE」という企業理念や、「全てのステークホルダーから信頼されるパートナー」になるというビジョンです。「信頼される」ということをキーワードに今後も企業活動を続けていきたいと考えています。

Shipping Redefined.

今回の大きなテーマとして、「Shipping Redefined. 新しい海運を、つくる。」を掲げています。詳細は後ほどご説明します。

次期中計での戦い方

“K”LINEが持つ現場起点の「統合運用力」を活かし、その強みが発揮できる領域で、事業と機能を掛け合わせて提供価値を高め、事業成長と収益力向上を実現したいと考えています。スライドの図では、中央の「事業戦略」「機能戦略」「資本政策」から右側へ矢印を伸ばしています。

従来の海上貨物輸送を主軸とする姿勢には変化はありませんが、それを強みとして活かしつつ、右側にあるエネルギーサプライチェーン、海洋サプライチェーン、造船サプライチェーン、陸上物流、海洋・海上構造施設などの領域において、当社が持つ顧客基盤やパートナー基盤と連携することで、事業領域を拡大していきたいと考えています。

従来の中期経営計画で掲げてきた成長を牽引する3事業への投資を引き続き継続するとともに、それに加えて、サプライチェーンを軸に当社が持つ「統合運用力」を活かして事業を拡大していく考えです。

「統合運用力」については、スライドの下部にまとめてあります。顧客や社会の需要、現場が強い当社だからこそ把握できる現場の課題を出発点に、特に海運業では重要な能力の1つである海務・海技に、環境および先進技術の実装、さらにデータやAI、デジタルを用いることで、事業戦略と機能戦略を掛け合わせていきます。

新しいエネルギーのインフラストラクチャーを含めたサプライチェーンの構築という社会の要請や、新たな発電に向けたエネルギー調達方法など、海運造船も含め、新しいサプライチェーンや新しい場所で新たな事業を展開する際に、海運を中心とする当社の事業が果たせる役割があると考えています。さらに当社の特徴と力を組み合わせることで、活躍の場が広がると考えています。

“統合運用力”の活用事例

こちらはあくまで一例であり、現在取り組んでいることを記載していますが、これ以外にもさまざまなことを検討しています。

スライド左側のCCSサプライチェーン参画については、液化CO2を問題なくコントロールし、性状管理を行い、海上輸送を実現するなど、安全なサプライチェーンを構築することで新しい事業につなげています。

また、先週公表したアンモニア燃料自動車船についても、単に自動車船を建造し運航するだけではありません。今回、合同で公表した7社それぞれがリスクを取りながらまったく新しいバリューチェーンを構築し、新しい技術を実装しています。実現には7社以外の多くの方々の協力もあり、長い時間をかけて到達しました。

スライドの左から3番目には、川崎近海汽船が取り組むバイオマス発電のサプライチェーンについて記載しています。単にバイオマスを安全に輸送するだけでなく、バイオマスを使用し、脱炭素を取り入れた発電をどのように実現するかについて、じっくりと議論を進めながら新しい事業を創出しています。

ここではすべてをお伝えすることはできませんが、これ以外にもさまざまな取り組みを進めています。当社ではこれまでの中期経営計画での成長への投資に加え、これらの新しい事業領域への挑戦を積極的に進めていきます。

稼ぐ力の強化・成長投資・株主還元の遂行により、持続的な企業価値向上を実現

次の5年間で営業キャッシュフローは1兆円から1兆1,000億円を計画しています。現行中期経営計画では1兆5,000億円としていますが、コンテナ船事業を含めた大きなキャッシュフローがあった前の5年間に比べると、次の5年間ではこの水準を見込んでいます。

投資キャッシュフローは、キャッシュベースの純額、ネット金額として9,000億円を予定しています。また、株主還元については7,000億円から8,000億円を計画しており、配当として1株あたり120円で、5年間に3,500億円相当の株主還元を行ったうえで、追加の株主還元は機動的に検討する予定です。

その結果、ROEを15パーセント以上に引き上げることを目指します。スライド右側に記載のとおり、自己資本比率は短期的には50パーセント前後に到達させ、最終的には40パーセントから50パーセントの範囲でコントロールしていく方針です。

投資(純額)に9,000億円、株主還元に7,000~8,000億円を計画

キャッシュアロケーションのイメージです。先ほどのスライドでお話しした内容をまとめています。スライド左側のキャッシュインでは、営業キャッシュフローとして1兆円から1兆1,000億円を計画しており、その内訳は自営事業からの8,000億円と、コンテナ船事業からの2,000億円から3,000億円です。

さらに、投資キャッシュフローとして資産入替によるキャッシュインが2,000億円となります。スライド右側に記載された投資キャッシュフローの1兆1,000億円と合わせて、先ほどお話しした9,000億円という数字になります。

また、この5年間で6,000億円規模の負債活用も計画しています。主に設備借入がメインとなります。十分にレバレッジを活用した成長投資を行うという意味で、約6,000億円の負債活用をキャッシュインに含めています。

スライド右側にあるキャッシュアウトでは、投資キャッシュフローを1兆1,000億円とし、さらに株主還元として7,000億円から8,000億円を計画しています。ここに、1株あたり120円、総額3,500億円の配当金を含む計画です。

中期経営計画(2022-2026年度)の振り返り

現行中期経営計画の2022年から2026年の見通しです。この5年間で特に自営事業の収益強化と安定化が図れたことが非常に大きい成果であり、足元では900億円前後の純利益を継続的に出すことができる実力があると考えています。株主還元については8,800億円を予定しており、これも大きく進捗したと考えています。

ただ、一部の投資は2027年度以降にずれ込みました。リスクを適切に管理しつつ投資を推進することが、今後の課題の1つです。また、自己資本比率は足元でオフバランス傭船料を含めて約60パーセントとなっているため、資本効率の改善についても引き続き課題として認識しています。

目指すゴール(KPI)

次の中期経営計画において、大きなKPIとして設定しているものをスライドに記載しています。まず、ROEは全社で15パーセント以上を目標としています。2026年度見込みは、直近の上方修正を反映し、全社で11パーセントとなっていますが、さらに15パーセント以上に高めていきたいと考えています。

当期純利益は、現在、自営事業で900億円となっていますが、1,200億円プラスアルファに引き上げることを目指しています。

なお、2026年度はコンテナ船事業で1,000億円の利益を予想しています。

2031年のコンテナ船事業の当期純利益の目標値としては900億円を置いていますが、2031年のONE社の具体的な収益計画は公式には存在していません。これは、当社本体でROE15パーセントにあたる利益規模として900億円を置いているものになります。2031年の目標値にはこの900億円を含み、全社で2,100億円プラスアルファという表記をしています。

自己資本比率は、全社で40パーセントから50パーセントの範囲でコントロールする方針です。ROICは、現在は足元で7パーセントですが、ROE15パーセント以上にリンクさせるかたちで、全社で7.5パーセント以上と設定しています。

「全社ROE15%以上」に向けた道筋

スライドの左側に2026年度、右側に2031年度の姿を記載しています。2026年度までの5年間でドライバルクセグメントへの投資規模はネットで300億円となり、かなり少ない状況と考えています。2026年度の当期純利益は340億円、投下資本が3,100億円、ROICは足元の市況の良さも含めて11.5パーセントとなっており、これが当社のドライバルクセグメントの実力です。

2027年から2031年にかけて2,300億円の投資を行うことで、当期純利益は250億円となる見込みです。足元の340億円より低い数値ですが、ご存知のとおり現在は市況が非常に好調であるため、堅実に見積もった250億円がドライバルクセグメントとして2031年に達成できる数値だと考えています。投下資本は3,400億円、ROICは8.0パーセントを目標にしています。

エネルギー資源セグメントでは、この5年間で行った2,800億円の投資を次の5年間では2,900億円に増加させます。これには、先ほど触れたエネルギーサプライチェーンへの投資も一部含んでいます。投下資本は2026年度の3,800億円から2031年度には5,600億円へと、これまでの投資を実現してきた結果として、大幅に増加しています。

当期純利益は2026年度の160億円から2031年度には250億円、ROICは2026年度の5.0パーセントから2031年度には5.5パーセントとなる見込みです。他の事業に比べ、エネルギー事業においては先行して投資を進めていることから、投下資本が増加している点や、それに伴う金利負担が投資全体を通じて重くなっているため、手前では、ROICは他事業も合わせた自営事業の7.5パーセントと比べると相対的に低い数値になっています。私たちは全体のポートフォリオの中で成長に向けた必要な投資を着実に進めています。必要な投資を全体のバランスを考慮しつつさらに進めることによって、次の事業の核となるよう成長させていきます。

自動車船事業は、現在の投下資本は5,100億円で、2031年には6,700億円となる見込みです。現在の当期純利益は300億円で、これにはホルムズ海峡や中東情勢の影響、バンカー価格の上昇によるBunker Adjustment Factor (BAF)の回収が翌期にずれ込むなど、特殊事情も含まれています。

2031年には550億円の利益を達成できる実力があると見込んでいるため、4,500億円の投資を行い、投下資本6,700億円、ROIC10.0パーセントを実現する計画です。

近海内航・物流・港湾事業においては、現在の投下資本1,600億円を2031年度には1,900億円に増加させ、ROIC11.5パーセントの水準で運営していきます。その他の調整を含めて、自営事業全体で7.5パーセントのROICを目指して取り組んでいきます。

また、戦略投資枠として2,500億円を計画しており、並行して投資を進めることで、自営事業の投下資本を現在の1兆6,000億円から2兆1,000億円に増加させます。その結果、ROIC7.5パーセント以上を確保し、戦略投資枠を含めた自営事業全体でROE15パーセント以上を目指したいと考えています。

なお、現在の自営事業におけるROEは10パーセントであり、2031年度の目標である15パーセントとの差である5パーセントを今後いかにして埋めていくかが、これからの大きな取り組みになると考えています。

コンテナ船事業については、現在の投下資本は1兆1,500億円で、自己資本比率は62パーセント、ROEは12パーセントとなっています。これを2031年には投下資本1兆1,000億円にコントロールし、900億円をROE15パーセントにあたる数字として記載しています。オンバランス、オフバランスを含めて、自己資本比率を51パーセントに調整することで、コンテナ船事業でもROE15パーセント以上を達成する計画です。

これを実現すると、2031年度には2,100億円プラスアルファの当期純利益が見込まれます。このプラスアルファは戦略投資枠である2,500億円が生み出す利益に相当します。仮に戦略投資枠がなくても2,100億円の利益を見込んでおり、ここに戦略投資枠の効果を上乗せしていく考えです。

2031年度には全体の投下資本は3兆2,000億円となり、ROICは7.5パーセント以上、自己資本比率は46パーセントを想定しており、ROE15パーセント以上を目指していきたいと考えています。

「自営ROE15%以上」に向けた道筋

自営事業のROE15パーセントの積み上げの内訳は、利益成長2.5ポイントと資本効率改善2.5ポイントとなっています。利益成長2.5ポイント分の詳細は次ページに記載していますが、成長投資および「統合運用力」による競争力、収益力の向上、新たな事業の取り込みによりこれを実現していきます。

さらに、スライド右側に記載している「更なる向上」として、戦略的投資枠のプラスアルファにも取り組んでいきたいと考えています。

12,500億円(オンオフ込)の投資を戦略投資枠も含めて計画

セグメント別の投資規模です。次期中期経営計画では、自動車船セグメントが4,500億円、エネルギー資源セグメントが2,900億円、ドライバルクセグメントが2,300億円、戦略的投資枠が2,500億円です。

戦略的投資枠については、新たなサプライチェーン構築への投資や、M&Aを含めたスケールメリットとしての事業拡大、ケイパビリティ獲得のための機能強化に活用する予定です。合計は1兆2,500億円となります。

先ほどお伝えした投資キャッシュフロー9,000億円との差額となる3,500億円は、オフバランス投資を予定しています。この1兆2,500億円はオンバランスとオフバランスの投資を合計した金額です。スライド左側にある現行中期経営計画の6,100億円も同様に、オンバランスとオフバランスの合計額となっています。

適切なリスクテイクに基づく投資で自営事業の投下資本を拡大し、利益成長を実現

事業セグメント別の投下資本の変化を示しています。自営事業の投下資本を26年度の1兆6,000億円から31年度には2兆1,000億円に増やしたいと考えています。スライド右側では事業セグメント別の当期純利益を比較しています。900億円の当期純利益を1,200億円に増やし、さらに戦略的投資枠でプラスアルファを上乗せしたいと考えています。

コンテナ船事業の課題と対応

コンテナ船事業の課題と対応です。スライドの3項目は、すでに公表した内容と同じです。当社が株主を務めるONE社では、新しいCEOが着任したところです。

事業競争力の強化、資本効率の改善、そしてガバナンス強化について、株主としてしっかり協力し合いながら達成していきたいと考えています。こうした内容を、当社にとって非常に重要な事業であるコンテナ船事業に対する取り組みとして整理しているところです。

株主還元政策

株主還元政策です。次期中期経営計画の5年間で、1株あたり120円、累計3,500億円規模の株主還元については確実に実行する方針です。また、3,500億円から4,500億円規模の機動的な株主還元を、配当または自己株式の取得を通じて実施していく計画です。これに向けて、当社は事業規模の拡大に努めていきます。

以上、中期経営計画の大きな骨子についてのご説明になります。

質疑応答:ONE社の運賃市況と運賃前提について

Q:ONE社の足元の運賃市況についての見解と運賃前提についておうかがいします。スエズ運河への回帰により実質供給量の増加がある一方で、船社による供給調整も行われていると理解しています。当期の閑散期を控える中で、足元の市況やONE社の運賃前提をどのように見ているのか、確認させてください。

A:3ヶ月前の時点では、運賃市況が7月末頃にピークを迎え、その後なだらかに下降し調整局面に入るだろうという見立てを行っていました。しかし、その後8月に入っても荷量が落ちなかったこと、加えて夏場にアジア諸港で台風などの天候要因による港の混乱や供給制約が生じたことから、8月も運賃は下がりませんでした。

9月に入り若干の下降傾向を見せ、調整局面に入ってきており、下期は季節要因である閑散期の影響を見込み、ONE社では運賃は下がっていくと考えています。

一方で、スエズ運河の通峡再開に伴い、船舶供給量が増加することが予想されます。当面の間は、スエズ運河を通るサービスと喜望峰を経由するサービスが混在する状況が続くと考えられます。それに伴い、ヨーロッパやアジアの港湾に混乱が生じる可能性があります。

また、米国では現在、依然として強い需要が続いています。季節要因とは異なる動きとして、AIやデジタル関連のデータセンター需要などによる底上げ効果がどこまで続くのかは不透明な状況です。このような環境の中、ONE社では下期における冬場の閑散期に向け、運賃の減少を織り込んでいます。

質疑応答:自営事業の減額修正におけるBAF回収のタイムラグの影響について

Q:今期の計画修正において、下期計画では自営事業で64億円の減額修正がされています。このうち、言及のあったBAF回収のタイムラグによる影響はどの程度なのか、また、タイムラグの影響が大きく、全体としてはそれほど弱くないという見方になるのか、教えてください。

A:通期のセグメント別の業績予想において、自動車船事業は8月公表比で75億円の減益を公表しています。減益の大半は燃料油価格の見直しによるものです。

状況を概観すると、ホルムズ海峡封鎖の長期化により配送が引き続き混乱しています。中東向けについては、代替輸送ルートによる対応や他の仕向地への振り分けを行いながら、全体の荷量を補完しています。

需要は引き続き非常に好調ですが、ご案内のとおり滞船等の影響により、配船効率が低下しています。この低下を抑えるため、運航費や傭船料の負担が増加しています。

また、昨今の燃料費が高止まりしている影響で見直しが行われ、BAFの回収タイミングが翌期以降にずれ込みました。減益幅の大半はBAFの回収が翌期にずれ込んだことによるものとご理解ください。

自動車船事業の業績悪化の大きな要因は燃料油価格が関係しています。ただ、回収時期の問題であり、ご質問にあった「大丈夫なのか」という点については、それほど大きな心配をしなくてもよいと考えています。

質疑応答:自動車船の下期業績見通しについて

Q:自動車船事業における第2四半期の利益実績を踏まえると、やや控えめな印象があると感じています。下期の燃料油価格の高騰は理解していますが、上期もその点は織り込んでいたと思います。配船効率の悪化もあり、為替も下期は保守的に設定されている点も承知していますが、本当にここまで控えめな利益見通しでよいのかという点について確認させてください。

A:上期は配船の工夫や荷量の取り込み施策が奏功し、最終的には8月公表比で増益となったと考えています。しかし、日々工夫を重ねながら対応していますが、現在の世界的な滞船などの運航効率の低下を踏まえると、上期と同様の傾向が続くとは考えにくく、現時点での見方が妥当ではないかと考えています。

そのため、このような数字となっています。今後、アップデートを適切に行いながら説明していきたいと思います。

質疑応答:現中期経営計画期間における営業キャッシュフローの見通しについて

Q:現中期経営計画期間における営業キャッシュフローの見通しは、特段上振れない認識で問題ないでしょうか? 期初計画対比で利益は上振れていますが、おそらく営業キャッシュフロー見通し1兆5,000億円の端数として処理されているのではないかと考えています。

特に端数部分を気にする必要がないのか、もしくは株主還元に関する記載にあるような機動的な追加施策の可能性がまだ排除されていないという状況なのか、このニュアンスについて確認させてください。

A:ご指摘のとおり、営業キャッシュフローの1兆5,000億円は、おおよそまとめた数字として示しています。そのため、期初計画時点からの業績の上振れによって増加していることは間違いありません。

また、先ほどご説明した中期経営計画に沿い、当面は資本効率を高めるための自己資本の適正化を進めるという方針のもと、追加で発生する営業キャッシュフローについて、どのようなかたちで、どのタイミングで活用していくかを検討する必要があると認識しています。ただ、現時点では方針が具体的に決まっているわけではないことをご理解いただければと思います。

質疑応答:コンテナ運賃の下期見通しについて

Q:コンテナ運賃の下期の見通しについて、下落を見込んでいるというお話でした。しかし、10月以降の運賃は下落というよりも引き続き高止まりの状況で推移しています。そのため、計画対比では運賃および業績が上振れていると見てよいのか、それとも異なる見方があるのか教えてください。

A:ご指摘のとおり、10月時点ではそれほど大きく落ち込んでおらず、足元で言えば上昇傾向にあると言えます。ただし、11月以降については、スエズ運河の影響などがどのように出てくるかはまだわかりません。そのため、下期全体が保守的であると判断するには、タイミング的にやや早いと考えています。

10月の状況だけを捉えると固めと理解していただいてもかまわないかと思います。

質疑応答:エネルギー資源事業における計画の下方修正について

Q:エネルギー資源事業の利益計画の下方修正についてです。金額としては大きくないのですが、市況が堅調な中で下方修正が行われたことに意外性を感じたため、確認させてください。

A:ご指摘のとおり、VLCCおよびVLGCの市場が非常に強い状況にあります。しかし、当社のエネルギー船はLNG船も含め、基本的には長期契約に入っており、一部市場動向に影響を受ける部分はあるものの、基本的には市場の変動に左右されにくい収支構造になっています。

また、先ほどの説明にあったとおり、前年同期比では、前期に一過性の利益が発生していたものが、今期では剥落している状況であり、これがマイナス要因となっているという構造であるとご理解ください。

質疑応答:輸送数量の動向と欧州航路の需給環境について

Q:ONE社の資料にデータセンター関連の内容が記載されていますが、品目の状況で確認されていて書かれているのかどうか教えてください。サイクルとしては、現状では輸送数量が夏と比べて減少しており、運賃も下がっています。北米においては若干の減少が見られます。輸送数量の減少について、どのように把握されているのかについて教えてください。

また、欧州航路のほうでは値上げが行われ、現状では成功していると考えていますが、需給の面でうまくいっている理由について、どのように認識しているのか、教えてください。

A:データセンターやAI関連などのコモディティがカテゴライズされているのかどうかということですが、多岐にわたるもので、どれが明確にデータセンター向けかなど、はっきりとした分類は実は存在しません。これはONE社が顧客を通じて得た情報をもとに総合的にまとめている内容です。

一方で、半導体需要も同時に増加傾向にあります。グループ会社などの荷量の傾向から見ても、半導体や半導体設備などの需要が増加しているのがわかります。このような相関関係の中で、特に米国向けのAIやデータセンター関連の需要が引き続き堅調に増加していると分析しています。

ただ、総量からすると、全体に占める割合はまだそれほど大きくありません。そのため、冬場の閑散期における荷量の減少を織り込んでいます。

次にヨーロッパ向けですが、景気に関してはそれほど需要が強いという傾向にはないものの、スエズ運河やヨーロッパ、アジアの各港で供給制約が生じていることや、アジアの積み地から従来米国向けに出荷されていた荷物が、今年は米国の関税の影響で仕向地をヨーロッパに振り替えた可能性が考えられます。

今までヨーロッパ域内で流通していた貨物が、価格の安さも伴い、アジアからの出荷に置き換えられている可能性があり、これが構造的な変化ではないかと推測しています。ただし、現時点で正確な分析は行っているわけではなく、あくまで憶測の段階です。

質疑応答:エネルギー資源セグメントの市況前提について

Q:エネルギー資源セグメントの市況前提についてです。第3四半期以降の見通しについては、現状と乖離した水準であり、3月以前のデータを基に作成されています。そのため、現在の状況や第2四半期の状況を踏まえると、利益に対する感応度をどのように考えるべきか教えてください。

また、第1四半期の説明では、市況やスポット分が一部反映されているとのことでした。現状ではどれくらいのプラスアルファがあるのか、またはないのかを確認させていただければと思います。

A:VLCCやVLGCに関する市況がどの程度影響を受けるかという点については、「限定的」とお伝えしましたが、実際のところ、ほとんど影響を受けない構造になっています。

当社は、それらの船種におけるマーケットエクスポージャーがほとんどないこともあり、収支の観点でいうと、契約が終了する場合や新たに更新する場合、LNG船においてはプロジェクト開始や契約終了のタイミングに限られ、それ以外の局面では大きな収支の変動は生じません。

そのため、市況が良い際の大きな収益アップは享受できない構造となっているところはありますが、ダウンサイドも抑えるような構造です。そのため、マーケットの影響があまり出ないという仕組みになっています。

質疑応答:ONE社の運賃推移に対する考え方について

Q:ONE社の実績についてです。第2四半期の運賃が前年同期比で37パーセントほど上がっていると思います。ただ、CCFI(China Containerized Freight Index:中国輸出コンテナ運賃指数)などのスポット運賃で北米や欧州だけを見ると、5割や7割上がっているように見えるので、この違いについて教えてください。 

A:ONE社の長期運賃と貨物構成との見合いによるものと考えます。

Q:中長期運賃の伸びはそれほど大きくないにしても、これほどまでに差が出てしまうものなのでしょうか? 

A:ONE社では長期運賃の割合が特に北米航路で高いため、スポット運賃が上昇傾向にある際には、お客さまが長期運賃を優先して荷物をブッキングしてくることが影響しているのだと思います。

質疑応答:パナマ運河の状況がコンテナ船の市況に与える影響について

Q:パナマ運河の状況がコンテナ船の市況にどのような影響を与えているのか、あるいは与えていないのかという点について教えてください。

A:パナマ運河に関しては、引き続き影響を受けており、パナマ運河を通れずに喜望峰経由になるケースが継続しています。まだ改善や解消の見込みが立っておらず、これはONE社に限らず、業界全体の課題として影響が続いています。

質疑応答:営業キャッシュフロー活用の検討時期について

Q:営業キャッシュフローは上振れする見込みであり、上振れた部分をどのように活用するのかについては現在検討中とのことでした。今年度までの分を現行中計の中で使い切るというものなのか、それとも翌期以降、来年度以降の新中期経営計画に繰り越すというものなのか、考え方について教えていただけますか?

A:現行中期経営計画の中で使い切るか、次期中期経営計画も含めて検討するかについては、現在検討中です。現時点で「必ずこうします」という具体的な考えを持ち合わせているわけではないことをご理解いただければと思います。

質疑応答:ドライバルクの中小型船市況の強さと今後の運賃見通しについて

Q:ドライバルクについて市況前提等も確認しており、ケープサイズが強いことは理解しています。ただ、中・小型の船舶については、何がこの強さの要因になっているのでしょうか? 

おそらく、先物が6ヶ月先まで確認できるのではないかと推察し、運賃も同様に見られるのではないかと考えています。その点も踏まえ、向こう半年の運賃市況についてどのようにご覧になっているか、ご教示ください。

もし可能であれば、ケープサイズと併せて、退役する船と新たに出てくる船の差分が需給にも一定の影響を与えているのではないかと思うのですが、その点も含めてドライバルク市場について教えてください。

A:ドライバルク市況の見方についてご説明します。ケープサイズは今年非常に強い状況にありました。一時期は5万ドルに達するようなレートも見られ、その極端なレートからは現在調整に入っていますが、引き続き12月のFFA(Forward Freight Agreement:海上運賃先物)の数字は3万ドルを超えており、依然として良好な水準を保っています。

この背景としては、ギニアから出荷されるボーキサイトや鉄鉱石が大きく寄与していると考えています。

一方で中・小型船に関しては、穀物輸送が非常に強く、これが市況を牽引している要因の1つです。さらに、マイナーバルクと呼ばれるものの中でも、例えば銅などが挙げられます。銅はAIやデータ関連分野で使用される需要が高く、強く動いています。

大型船のドライバルク全体において、ホルムズ海峡の影響はそれほど大きくありませんが、中東から輸送されているものとして、肥料が挙げられます。この肥料は一時的に荷動きが多少減少しますが、代替ソースとして北米や南米からの輸送が行われるため、航海距離が延びるという現象が見られます。このような要素が影響し、中小型船も非常に強い市況を維持しています。

船の供給に関しては、一番供給が少ないのはケープサイズとなります。第2四半期までのケープサイズの供給は0.6パーセントです。一方、パナマックスやハンディマックスはそれより船隊の供給が多いものの、いずれにしても老齢船との比較でみると、供給圧力はそこまで大きくないと分析しています。

また、市況がある程度落ち着くと老齢船が退出していくことも考えられるため、供給と需要という観点では、しばらくの間は比較的需要が強い状況が続くと見込んでいます。

質疑応答:スエズ運河の通峡再開への見通しについて

Q:業界紙などでは、スエズ運河の通峡比率が5割といった記事が見られますが、業界としてどのような見通しを持っていますか? また、ONE社が10月から通峡を再開していると思いますが、今年度のスエズ運河を通る割合について、もし見通しがあれば教えてください。

A:非常に予想の難しい質問ですが、まずスエズ運河の現状についてお話しします。一般的に、通峡再開は約5割に達しているとされています。先ほど「ONE社は10月から通峡再開」と説明されましたが、アジアの積み地を出港したのが10月で、スエズ運河を通り始めるのは11月からです。

ONE社が属するプレミアアライアンスは、アライアンスの中で最も遅くスエズ運河の通峡再開を決定しました。他のアライアンスはすでに前から検討し、安全性を確認したうえで通峡再開に踏み切っています。ONE社も安全が確認され次第、対象のループを順次増やしていく方針です。

質疑応答:スエズ運河の通峡再開後の状況見通しについて

Q:来期以降の中期経営計画にも関わる点として、コンテナ船がスエズ運河を通ることによって、船舶が余剰となる可能性があるのではないかと考えています。

余剰船舶が仮に北米ルートに回る場合、港湾の混雑につながり業績にはポジティブな影響があるのか、それとも供給過剰となってしまうのか、現時点では非常に先の話であり、はっきりとしたことはわからないかもしれませんが、どのように考えればよいのか教えてください。

A:現時点ではコンテナ船全体のキャパシティの約10パーセントがスエズ運河の通峡回避によって吸収されていると見られています。例えば2027年度のいずれかのタイミングで全面的にスエズ運河通峡が再開された場合、この10パーセントがマーケットに戻ることになるでしょう。

ただし、今年、特に顕著に現れたアジアやヨーロッパの港湾混雑、いわゆる洋上以外での供給制約は、この10パーセントを上回る影響を及ぼしていると思われます。そのため、洋上以外の供給制約がどのように解消されていくのかを総合的に見ていく必要があります。また、スエズ運河の再開も段階的であり、全面的な正常化には数ヶ月かかると見込まれます。

さらに、2027年のどこかのポイントで正常化が進むと、約10パーセントのトンネージが市場供給として復活することになり、供給の純増と捉えられます。加えて、2027年は2026年に比べ、特に後半に新造船の供給が約9パーセント増加するとの予測があります。

したがって、2027年度は需要と供給のバランスに加え、供給制約がどう動くかを注視する必要があります。また、近年は老齢船のスクラップがほとんど行われていないため、各船会社がどのタイミングでスクラップに踏み切り、トンネージの調整を図るかも重要な要素となります。明確な答えは難しいですが、供給が増加の傾向に向かうことは予想されます。

質疑応答:自営事業の300億円プラスアルファについて

Q:自営事業で300億円プラスアルファを目指されるという点についてです。この「300億円プラスアルファ」については、過去投資した部分がリターンとして顕在化する部分と、これからの投資で積み上げていく部分の両面があるのではないかと思います。この300億円の中身について、もし分解が可能であれば教えてください。

A:スライド左側の①自営事業のトータルをご覧いただくと、900億円が1,200億円となっています。すでに投資をしているものやこれから投資をしていくものについて、追加の金額がどれくらいになるかは、まだ集計できていません。

一番大きなポイントとしては、自営事業の中で自動車船事業が300億円から550億円に増加している点です。これは、これまでと同様にLNGデュアルフューエル船や先日プレスリリースしたアンモニアデュアルフューエル船を含む投資の積み上げによるものです。ただ、300億円というのは中東情勢の影響を大きく受けていたことから、それが回復しつつある状況と言えます。

一方で、エネルギー資源セグメントでは160億円が250億円に増加しています。この大半は、すでに行った投資がようやく成果を上げ始めていることが背景にあります。特に2029年、2030年に向けての投資がすでに確定しており、それが現実化してくると考えてください。

また、ドライバルクセグメントは、現在の数字が足元の好調な市況を反映した数字となっており、250億円に減少するというよりは、定常化すると考えてください。当社としては、この数字はある意味コンサバティブとは言いませんが、非常にニュートラルに設定されていると考えています。

このようなものを積み上げることで、過去の投資も含めて900億円となり、さらにこれから追加していくものが、2030年、2031年に向けて効果を発揮し、最終的に2031年で成果が実現するという順序で構想しています。

質疑応答:株主還元について

Q:株主還元について、アクションロードマップを見ると、自己資本比率を5割前後に向けて株主還元を実施するという内容が、2027年度までに進める計画のように見えます。この点について、早期に50パーセントを目指し、それに伴う資本政策を進めるということでしょうか?

また、現在の安定配当水準である120円を130円に引き上げていくためには、どのような要素が判断材料となるのかについても教えてください。

A:当社としては5月の本決算時に、先ずは短期的に自己資本比率50パーセントを目指すとお伝えしました。時間軸としては、おおよそ2年間で50パーセントを目指す計画となっています。先日、1,225億円規模の自己株式取得を実行しました。これにより50パーセントという目標に向けて着実に取り組む意思を示したものとご理解ください。

自己資本比率40パーセントから50パーセントの範囲への移行を目指す中、早期に50パーセントに到達するため、レバレッジの活用と株主還元を積極的に進めていきます。

また、配当120円への上乗せについては、先ほど話題に上がった自営事業収益が現在の900億円から1,200億円に向かって増加していくとの確信を得ており、手応えを感じています。実績を踏まえつつ、収益体質がさらに改善されることを確認しながら、配当の引き上げも検討していく方針です。

当社が特に注目しているのは、営業キャッシュフローの1兆円のうち自営事業で8,000億円となっている点です。この5年間で相当な手応えを持っており、この8,000億円の営業キャッシュフローをどれだけ確保し、さらに上振れさせることができるかが重要です。ここが注視すべきポイントであり、力を入れていくべき部分と考えています。

質疑応答:営業キャッシュフローの上振れ時の資金使途について

Q:営業キャッシュフローの上振れ時における資金使途の考え方についてです。機動的に対応する方針かと思いますが、自己資本比率の目標レンジやROEの目標を踏まえた上で、レバレッジを高める選択肢と還元を拡大する選択肢があるかと思います。成長投資と還元のバランスについて、補足があれば教えてください。

A:営業キャッシュフローは、現在1兆円から1兆1,000億円を見込んでいます。上振れた際の資金使途については、その時の状況を見ながら判断するほかないと考えています。

投資の進捗状況や、その時点での需給を含む経済環境を考慮し、場合によってはなんらかの備えが必要になる可能性もあります。また、金利や為替の状況も含め、その時点で投資にふさわしい環境であるかどうかを見極める必要があるかと思います。

株主還元やその他も含め、当社は利益成長と資本効率の改善を注目するポイントの1つとして掲げています。資本効率の改善という意味では、自己資本比率を40パーセントから50パーセントの範囲でコントロールすることを重視しており、このような点をバランスよく判断しながら決めていくことになると考えています。

質疑応答:アセット売却の基本方針について

Q:アセット売却で2,000億円程度を見ていると思いますが、金利が上昇しハードルレートも上がっている中で、今後のバランスシートコントロールの基本的な考え方と、今後の考え方について教えてください。

A:アセットの売却については、積極的にアセットを売却して資金化するというよりも、必要な入れ替えを重視しています。ご指摘のとおり、金利環境の変化を含め、損益や善し悪しを考慮しながら進める必要があると認識しています。今後5年間についても継続して状況を見ながら判断していく予定です。

老齢化した船や燃費効率の低い船の入れ替えについては、競争力を高めるためにも十分留意しながら対応していきたいと考えています。

質疑応答:事業セグメント別投下資本と当期純利益の見通しについて

Q:事業セグメント別投下資本と当期純利益について、投下資本はネットで増加する見通しとのことでした。こちらは、キャパシティの増加で、更新投資をした後にこのようなアセットのサイズになると考えてもいいのかどうか、確認したいです。

自動車船事業においては、年率約5パーセントでキャパシティを増やしていくものとして捉えればいいのかどうかと考えています。

A:自営事業の投下資本の増加については、1つはご指摘のとおりキャパシティの増加が含まれています。もう1つは、昨今のアセットバリュー、特に新造船価を含めた価値の上昇や、異なる燃料を使用することによる船価の上昇なども織り込んでいます。

これらも含めての投下資本の増加ということで、単純に5,000億円の投下資本の増加がすべてキャパシティの増加に直結するわけではありません。また、船価の高い船と低い船があり、比較的バリューの高い船への投資が中身として多く反映されている点もあります。

質疑応答:経常利益の見通しおよび算定の考え方について

Q:利益として純利益の目標が提示されていますが、経常利益ではどのような見通しなのでしょうか? エネルギー資源セグメントにおいては、特別利益や船舶の売却が今期の利益に含まれているため、2031年時点でこれをどのように判断しているのか確認したいです。

船舶の売却などを定期的に行う予定があるのか、また、その点を見積もった上で評価しているのかを確認させてください。

A:ご指摘のとおり、経常利益とアセットの売買による損益を合わせて見るほうが事業経営として適切であると考え、今回は純利益を基準にした経営計画を策定しています。

事業別の数値は年度によって異なりますが、毎年おおむね100億円から200億円弱の特別利益を見込む前提で計画を立てています。今年度の予想としては、1,900億円の経常利益に対し、1,900億円の当期純利益を見込んでいます。これに近い数値、もしくは経常利益と比較して僅かに当期純利益が劣る程度の、いわゆる経常損益段階と当期利益段階の差として現れるトランザクションを毎年想定しつつ作成しています。

Q:セグメントで見ると、一定程度組み込まれていると考えればよいのでしょうか? 自動車船事業について、これまでの話では更新投資をしてきた分、2030年以降にはそれなりに売却される船も増えてくると思います。

この点について、そのような売却がきちんと組み込まれて見込んでいるのか、それともざっくりとした前提で作成しているのか、どのように考えたらよいか教えてください。

A:セグメント別にしっかりと、かなり積み上げて作成しており、細かく計画を積み上げたものです。

ただ、ご指摘の点について言えば、自動車船の業界では比較的、利益が出るタイミングで売船するよりも、船をスクラップするまで使用することが多いため、いわゆる船舶の売買による特利損はそれほど大きくない船種セグメントになっています。

そのような背景もあり、大きな比重があるのはやはりドライバルクセグメントとエネルギー資源セグメントのほうです。ただし、当社はエネルギー資源セグメントにおける保有船の隻数が多くないため、実際に大きなウェイトを占めるのはドライバルクセグメントというのが実情です。

質疑応答:市況エクスポージャーに対する考え方について

Q:市況エクスポージャーの考え方についてです。エネルギー分野において市況エクスポージャーをあまり取っていないとのことですが、次の中期経営計画期間中に市況エクスポージャーの取り方を変更する計画があるのか、それとも現状を維持するイメージなのか、教えてください。

A:市況エクスポージャーに関しては、これまで長期契約を重視してきた経緯から、先ほどエネルギーの部分で説明したとおり、大きなポジションは取っていません。

今後も急激に大幅な増加を計画することは、現時点では中期経営計画に含めていません。ただ、船舶投資の順序として、今後の契約更改を見据え、船をやや早期に仕立てることで、各種の商談やサプライチェーンに関連する話に参加できるという観点があります。

船舶価格の動向を見ながら、投資を若干前倒しすることで、そのサイクルの中でエクスポージャーが多少増える可能性はあると考えています。ただし、方針として大きく増やしていくということは、現時点では考えていません。

また、サプライチェーンを含めて新しい事業への挑戦自体が非常に大きなリスクを伴うと私どもは考えています。そうした観点から、適切なリスクをどのように、どこで活用し、どの事業にリスクを取らせるべきかをしっかりと見極める必要があります。取れるリスクを的確に測定し、必要なリスクはしっかり取るという方針で投資を進めていきます。この点を引き続き重視していきます。

質疑応答:戦略投資枠を含めた投資に対する考え方について

Q:戦略投資枠を含めた投資状況について、現状どの程度まで積み上がっているのか教えてください。戦略投資枠の部分では事業領域を拡大させるという内容が挙げられていますが、どの部分に特に重点を置こうとしているのか、考え方を含めて現状の投資状況について教えてください。

A:すでに決定済みの部分とそれ以外の部分の状況についてという趣旨のご質問かと思います。ざっくり、1兆2,500億円のうち、約3分の1はすでに決定されており、これから効果が出てくる部分です。それ以外の部分については、戦略投資枠も含め、今後決定していく部分が多いと考えています。このような割合とご理解ください。

質疑応答:戦略投資枠の方向性について

Q:戦略投資枠2,500億円について、M&Aも検討するとのことで、冒頭にサプライチェーンも意識しているとの説明がありました。一方で、M&Aのマルチプルもかなり上がっているかと思います。

フォワーディングや陸上など、さまざまな領域を挙げていますが、特にどの分野を強化したいと考えているか教えてください。

A:戦略投資枠には一つひとつ積み上げるサプライチェーンへの取り組みも含まれています。また、M&Aについてもさまざまに検討を進めています。ただ、なかなか実行に移せておらず、難しい部分もあります。

したがって、個別の詳細については差し控えますが、スケールメリットを取れる、当社が強みを持つ事業の拡大を目的にM&Aを進められればと考えています。

また、ケイパビリティのさらなる向上や、必ずしも事業そのものとは限りませんが、当社の「統合運用力」を強化するために必要な機能についても、早期に取得したいと考えています。

一方で、いきなり大規模な新規分野への投資を行うということは現時点では考えていません。

質疑応答:戦略投資枠の方向性と差別化に向けたリスクテイクについて

Q:今回の中期経営計画において、ある程度のリスクテイクをしていくという決意を強く感じ取っています。国内外の同業他社と比較した際に、御社の差別化や強みについて、どのように認識しているか教えてください。

A:差別化という観点で申し上げると、各社それぞれ相応にリスクテイクをされていると思います。

ROE10パーセントから15パーセントを目指す道筋の中で、当社は投資規律を重視し、海運事業を中心にその周辺分野に集中して事業展開を進めてきました。その結果、収益力も含め、ようやく筋肉質な経営体制を整えることができたと考えています。

具体的には、2026年にはROE10パーセントを達成するアセット運用を実施しており、相当量のエクイティを投入しています。9,000億円以上の自己資本を自営事業に充当している状況です。

また、当社では海技・海務や環境対応の脱炭素に向けた先進技術の実装など、地道ではあるものの着実に取り組みを進めており、その結果として収益力と手応えを実感しています。このような基盤により、現在の数字が実現していると考えています。さらに、ROICも自営事業で7パーセントを達成しています。

この筋肉質な経営体制を維持しながら、新たな領域でリスクテイクを進めるというバランスをうまくコントロールしていくことが、当社の強みだと思っています。

ご説明が不十分な点もあるかと思いますが、そのような姿勢をご理解いただければ幸いです。

質疑応答:M&Aについて

Q:M&Aに関する質問です。市況エクスポージャーの観点ではドライバルクやエネルギーといったセグメントが挙げられますが、今後ROE15パーセントでの利益成長を目指すにあたり、M&Aによる補強を通じて成長を実現できると考えているセグメントはどこでしょうか?

A:M&Aについて、現在いろいろと検討しているため、具体的に申し上げることは難しい状況です。ただ、ご指摘のとおり、ドライバルクやエネルギーなども対象になる可能性は十分にあります。それ以外のセグメントについても検討を進めています。

また、現在マルチプルが高騰している状況や、のれんの取扱いなど、さまざまな課題があります。そのため、慎重に検討の上、もし実行に移した際には「しっかり価値があるM&Aだ」という説明責任を果たす覚悟も必要だと考えています。その中でしっかりと取り組む所存です。具体的な業界特定についてはご容赦いただければ幸いです。

質疑応答:2027年度業績予想の見通しについて

Q:来期の業績予想について、ここまでのお話を振り返ると、おそらく投資を進める中で、既存の投資の成果が表れてくる部分もあると思います。

一方で、今後の投資が増益に寄与していくと考えた場合、来期のコンテナ船部門の見通しが厳しい状況になる可能性もあるかと思います。その場合、経常利益ベースでやや厳しい状況に直面するのではないかと感じています。

経常利益が減益となることも将来的には覚悟しておかなければいけないのかという点について、見解を示してください。

A:業績予想に関しては、あらためて2027年度の業績予想についてお話しする機会を設ける予定です。

今回発表した中期経営計画は、さまざまなシナリオを想定した上で「このようなかたちで到達していきます」ということをご説明するために作成したものです。当然ながら中期経営計画期間中の変化も想定しており、そのような環境下でも着実に実行できる内容にしています。

そのため、2027年度単体に限らず、途中の進捗においても、コンテナ船事業を含め多少ボラティリティが生じる可能性があると考えています。しかし、当社の自営事業が安定的に事業の基盤となっているため、リスクをしっかりと把握しながら遂行していくことで、この5ヶ年計画を着実に達成できる見込みです。

2027年度の業績予想についてのご説明は、もう少しお時間をいただければと思います。

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