日本政府観光局(JNTO)のデータによると日本を訪れた外国人観光客の数は、昨年過去最高の1340万人となりました。中なかでも、中国を中心としたアジア諸国からの観光客が急増しています。彼らの楽しみは観光だけでなく「買い物」です。
旧正月である2月18日~24日までの春節休みに合わせ、中国人観光客が「爆買い」する光景も銀座や新宿、秋葉原などで数多く見受けられました。日本製品ならではの品質の良さと、店舗への信頼性から高額商品が飛ぶように売れると言われています。また、外国人観光客向けの消費税免税も購買への大きな原動力となっているようです。投資家のみなさんはインバウンド商機で上がる企業を見逃さないためにも、アジア諸国の観光需要シーズンを押さえておきましょう。
訪日外国人向けの売上高が前年同月比の3.2倍!
日本百貨店協会によると4月の全国百貨店売上高は2年ぶりに同月比を上回った(13.7%増)と発表しました。特に訪日外国人向けの売上高は197億円で前年同月比の3.2倍に達し、単月では過去最高を記録しています。
急激に進んだ円安の影響、ビザ発給要件の緩和、外国人観光客に対する免税制度などの相乗効果から、最近はアジア諸国からの外国人観光客の買い物ツアーが押し寄せてきており、東京都内の百貨店では、日本人よりむしろ外国人観光客が買い物袋をたくさん抱えて「爆買い」する様子がよくみられます。2015年4月に発表された観光庁の「訪日外国人の消費動向」によると、1回の訪日で使う買い物代は中国からの観光客が平均17万6,975円、香港からの観光客の平均は7万1905円、タイからの観光客は6万5970円消費するというデータがあります。
しかしながら、中国全体の海外出国者の行き先を見ると、日本は3%程度とまだまだ低いのです。アベノミクスの成長戦略では、2019年には訪日外国人を2500万人呼び込むことを目指していますから、今後ますます外国人の潜在的な訪日需要を取り込む必要に迫られることでしょう。
Next: 次のチャンスはいつ?アジア諸国の連休が知りたい
次のチャンスはいつ?アジア諸国の連休が知りたい
2015年下半期に注目すべきアジア各国の主な連休は以下の通りです。
日程 | 国/地域名 | 休日名 |
---|---|---|
6月19日~21日 | 台湾 | 端午節 |
6月20日~22日 | 中国 | 端午節 |
7月16日~21日 | インドネシア | ラマダン明け休日 |
7月30日~8月1日 | タイ | 三宝節・入安居 |
8月15日~17日 | インドネシア | 独立記念日 |
9月3日~5日 | 中国 | 戦勝記念日 |
9月26日~28日 | 台湾 | 秋分の日 |
10月1日~7日 | 中国 | 国慶節 |
10月9日~11日 | 台湾 | 建国記念日 |
12月5日~7日 | タイ | 国王誕生日 |
各国の連休のほかに、もちろん7月から8月にかけては夏休み旅行の需要が高まります。
六甲山観光株式会社では外国人旅行者を対象にした企画乗車券「六甲山ツーリストパス」を来年3月まで発売しているほか、「ドン・キホーテ」では外国人来客者に向け、多言語の利用規約が実装された無料Wi-Fi「DONKI_Free_Wi-Fi」を全店舗で提供しています。
アジア人観光客の好む商品は特徴的で、自国では手に入りにくい高級小型家電(炊飯器、美容機器)、高級酒、化粧品、便利な日用品、日本独特のお菓子(抹茶風味)などに集中する傾向があるようで、ビックカメラでは購入した商品を最短30分でホテルに無料配送するサービスなども行っています。
このような、日本独特のきめ細やかなサービスが浸透すれば、買い物を目的にリピーターとして来日する外国人も増えるはず。名勝地への観光誘致はもちろんのこと、買い物大国として名を世界に高めることが、魅力的な国として世界に再認識されるための第一歩と言えるのではないでしょうか。