「毎月5万円の積立てで25年後に1億円」など海外の金融商品には夢のある文句が並びます。本当に信じてよいのでしょうか? 飛びつく前に考えることがあります。(『教育貧困にならないために』川畑明美)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。
日本の基準で考えると危険? 目に見えないリスクを考慮すれば…
注目される「フロンティア諸国」の不動産
「毎月5万円を積立てて、25年後に1億円!」など、海外の金融商品は夢のある文句が並べられています。
私も「海外にはきっと夢のような金融商品がある」と考えて、マレーシアやフィリピンなど視察したこともあります。
特に海外不動産投資では、既に割高になっている新興国ではなく「フロンティア諸国」に関心が高くなっています。
ただしフロンティア諸国は、新興国よりもさらに経済の発達が遅れている国々です。人口も爆発的に増えると期待されているので、不動産も高く売れると言うのですが…。
外国人が買える不動産は限られている。しかも売却が難しい
まず、そのような国では、外国人が購入できる不動産は、限られています。
つまり、現地に住む人は、絶対に購入できない高額なマンション(海外ではコンドミニアム)しか購入できなかったりします。
現地の方が買えないのでしたら、爆発的な人口増加は関係ないと思いませんか?
外国人が購入した高級マンションは、同じく外国人にしか売れません。新規参入する外国人ならば、中古のマンションよりも新築マンションの方が欲しくなりませんか?
結局、買い手がつかなくなる可能性が大きいのです。
「金利6%」の海外銀行の定期預金は有利か?
フロンティア諸国の不動産はリスクが大きすぎるので、「金利の高い国で銀行の定期預金を作ろう」と考える人もいます。
不動産を購入するよりはいいかもしれませんが、少し冷静になって考えてみましょう。
金利が6%近くもあるフロンティア諸国の銀行の定期預金は、一見、魅力的に見えます。
ところがフロンティア諸国は、まだ株式市場もない国がほとんどなんです。つまり、金融市場が発達していないので、日本の銀行と同じように考えてはいけません。
必ず格付け会社で、現地銀行の格付けを確認してみましょう。格付けが低い銀行でしたら、倒産の確率が高い銀行ということです。
つまり、格付けの低い銀行の定期預金は、「非常に投機的な債券」を購入することと同じです。
日本と違って、預金保護機構がない国がほとんどなので、銀行が倒産したら、お金は戻ってきません。
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海外の金融資産のデメリットは大きい
海外の金融資産のデメリットは、日本に持ち込むと、結局日本の税制で課税されることです。
あまり利益が残りません。
これ、事業でも言えることなのですが、「売上」を上げることにばかり頭が行ってしまい、利益がどのくらい残っているのかを考えていない人が多いのです。
使う時期に「使えるお金」になっていて、なおかつ、金利や目に見えるものだけではなく、税金や渡航費など目に見えていない経費を考えてから、海外の金融資産を考えてください。
そんなに、夢のように儲かる金融商品はないことが理解できます。
『教育貧困にならないために』(2018年4月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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