マネーボイス メニュー

介護ってどれくらいお金がかかるの?なかなか人には聞きづらい疑問点をFP・落合陽平が解説!

内閣府が発表した「平成26年版高齢社会白書」によると現在の65歳以上の高齢者人口は3,190万人。これは日本の総人口の25.1%にあたり、過去最高となっています。このことからも今後、ますます介護需要が増えるということは想像に難くありません。そんななか、「落合王子のマネーアカデミー」を配信するファイナンシャルプランナー落合陽平さんは、実際にどれくらいお金がかかるのかや、公的介護保険で使えるサービス、各介護状態でみられる症状などについて詳しく解説してくれています。

あなたはちゃんと理解していますか?「介護」と「お金」の大事な話

8月8日の日本経済新聞によると、2015年3月末時点で、要支援・要介護の認定を受けた人は606万人と、初めて600万人を超えた。これは日本人の約20人に1人が介護認定を受けた計算になり、ここ10年で5割増加である。
民間調査団体のエイジング総合研究センターによれば、2025年には800万人を超え、日本創成会議によれば、2025年には東京都と周辺3県で合計13万人分の介護施設が不足するとみられている。厚労省の推計でも2025年には全国で介護職員が38万人分足りなくなるとみられているため、日本の介護事情改革は急務である。

介護というと、お金がかかるイメージがあるだろう。

実際介護にはお金がかかるため、介護保険という社会保険によって、要介護認定者は補助を受けることが出来ている。40歳以上の国民が支払う介護保険料と税金がその財源であり、実際サービスを受ける要介護者は1割負担でOK(上限あり)ということだ。(所得によっては2割負担となる人もいるし、自治体独自のサービスや民間のサービスは対象外となる。)

まずは各介護状態でみられる症状をみていこう。

◇要介護1 <生活の一部について部分的に介護を必要とする状態>

食事や排泄はほとんどできるが、時々介助が必要な場合がある。立ち上がりや歩行などに不安定さが見られることが多い。問題行動や理解の低下が見られることがある。

◇要介護2 <軽度の介護を必要とする状態>

食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある。立ち上がりや片足での立位保持、歩行などに何らかの支えが必要。ものわすれや直前の行動の理解の一部に低下が見られる。

◇要介護3 <中等度の介護を必要とする状態>

食事や排泄に一部介助が必要。立ち上がりや片足での立位保持などが一人でできない。入浴や洋服の着脱などに全面的な介助が必要。いくつかの問題行動や理解の低下が見られる。

◇要介護4 <重度の介護を必要とする状態>

食事にときどき介助が必要で、排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要。立ち上がりや両足での立位保持がひとりではほとんどできない。多くの問題行動が見られることがある。

◇要介護5 <最重度の介護を必要とする状態>

食事や排泄がひとりでできないなど、日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。意思の伝達がほとんどできない場合が多い。

それぞれの介護状態で支給限度額は違いがあるが、当然重ければ重いほど支給限度額は上がる。(要介護5の場合は、360,650円となりその1割を負担すればよい。)
では、その上で公的介護保険が使える各サービスをみていきたい。

Next: 公的介護保険が使えるサービスってどんなものがあるの?


初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

落合王子のマネーアカデミー

[月額540円(税込) 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
これまで1000世帯以上のライフプランニングを手掛けてきた若手ファイナンシャルプランナー「落合 陽平」がお届けする”お金”と”経済”のはなし。
フラットな立場で、ライフプランに役立つ情報から、世界の政治経済まで、「誰にでも分かりやすく」をモットーに、独自の視点で「お金」の本質を解いていきます。
学生から今一度勉強したい大人まで、これを読めばニュースの本質が分かる! ご購読はこちら!

1.訪問介護

訪問介護はホームヘルプとも呼ばれ、訪問介護員(ホームヘルパー・介護福祉士)が、自宅を訪問し介護や生活支援を行なう、居宅サービスの中で最も利用されているサービス。身体介護だけでなく、生活の援助なども対応しており、時間制で料金が決まっている。

2.通所介護(デイサービス)

通所介護は「デイサービス」と呼ばれ、利用者が通所介護施設に通って、入浴や食事等の日常生活上の支援や機能訓練を受けたり、生活上の相談・助言、看護師や保健師等による健康状態の確認などの支援が受けられるサービス。
リフト付きの車での送迎もあるため、車いすの方の利用も可能となっている。

3.訪問入浴介護

訪問入浴介護は、自宅に移動式の浴槽を設置、もしくは、入浴設備がある車両内で入浴を介助するサービス。寝たきりの人や身体を動かすことができない人、感染症があり自宅や通所施設での入浴が困難な人が利用できる。
通常は看護職員(看護師または准看護師)1名と介護職員(介護福祉士、ホームヘルパー等)の2名の合計3名が訪問するが、主治医が問題ないと判断した場合は、介護職員3名で訪問することもある。費用は訪問する職員によって異なる。

4.通所リハビリテーション(デイケア)

通所リハビリテーションは「デイケア」と呼ばれ、老人保健施設や病院や診療所等の医療関係施設に通い、理学療法士や作業療法士や医師から、機能訓練(リハビリテーション)をはじめ、食事、入浴等の日常生活の支援を日帰りで受けられるサービスで、リフトバスなどによる送迎もある。

他にもいくつかあるが、概ねこういったサービスが介護状態になると受けることが出来る。

最後に肝心の費用であるが、生命保険文化センターの平成24年調査によると、月々にかかった費用(公的介護保険の自己負担含む)の平均は1ヵ月あたり7.7万円となっており、介護のための増改築等の一時的費用として平均91万円となっている。

さらにこの費用がいつまでかかるか?であるが、平均すると4年9ヶ月となっているため、

(7.7万円×12ヵ月)×4年9ヵ月+91万円(初期費用)=529万9,000円

これが介護状態になると必要な金額の目安となる。
もちろん、これよりもかかる場合もあるし、かからない場合もある。夫婦両方とも介護状態になったと考えれば、1000万以上は必要になるというのが介護というものである。

介護の問題は、自分だけでなく親の問題でもある。自分はそうはならないと思っていても、親が介護になる可能性は十分にあるのだ。そのためにも、親とはきちんとお金の話をしておく必要がある。親の意思も含め、お盆の帰省の時期に話をしてみるのもいいだろう。

落合王子のマネーアカデミー』2015/8/10号より抜粋
※太字はマネーボイス編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

落合王子のマネーアカデミー

[月額540円(税込) 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
これまで1000世帯以上のライフプランニングを手掛けてきた若手ファイナンシャルプランナー「落合 陽平」がお届けする”お金”と”経済”のはなし。
フラットな立場で、ライフプランに役立つ情報から、世界の政治経済まで、「誰にでも分かりやすく」をモットーに、独自の視点で「お金」の本質を解いていきます。
学生から今一度勉強したい大人まで、これを読めばニュースの本質が分かる! ご購読はこちら!

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。