中国が南シナ海にミサイルを配備。米国は極めて真剣な協議が必要と非難しましたが、問題は、米中が真剣な協議をしても解決の糸口が見つかるかどうか甚だ疑問なことです。(『マンさんの経済あらかると』)
市場に動揺も。今後の米中協議には細心の注意が必要
「真剣な協議」では解決が難しい米中対立
南シナ海問題から、米中関係がにわかに緊迫してきました。
17日、台湾と米国は中国が南シナ海のウッディー島に地対空ミサイルを配備したことを確認しました。先の米中首脳会談で習近平国家主席は、南シナ海を軍事基地にはしないと、オバマ大統領に約束したばかり。
ケリー国務長官は数日のうちに、極めて真剣な協議が必要と、危機感をあらわにしました。
問題は、米中が真剣な協議をしても解決の糸口が見つかるかどうか、はなはだ疑問なことです。
衛星からの写真を証拠として突きつけられれば、中国も言い訳できません。前からあったと言っていますが、それも通りません。
かといって、国内の国民の不満を考えれば、中国が謝罪してミサイル配備を撤収するとも考えられません。
しかも、中国にはそれなりの理由がありました。習政権の背後にはイスラエルの諜報組織との関連が指摘され、その意向に逆らえない面があると言います。北朝鮮の水爆実験からミサイル発射のすべてを掌握していたと言います。その隠れた狙いは日韓も含めた北東アジアの核武装とも言われます。
そしてウッディー島へのミサイル配備も、これら勢力の意向とも考えられます。そして見事に米国を刺激することに成功したことになります。
米国の対抗措置は?
しかし、これはオバマ大統領の面子を潰しただけでなく、第二の「キューバ危機」とも言うべき危険性をはらんでいます。
米軍の「航行の自由作戦」にミサイルが向けられたことになるからです。米国はどんな対抗措置に出るか。
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米国による中国潰しとしての「FRB利上げ」新たな不安材料に
まず考えられるのが、韓国にTHAADを配備すること。これは数センチ単位で目標をとらえ、攻撃する精度があると言います。中国にとっては大変大きな脅威となります。
それにとどまらず、米中冷戦をさらに進める形で、米国の中国攻撃が強まると思います。その1つがFRBによる利上げです。これが中国からの資金流出を高め、人民元安、外準減らしへと続きます。
米国の中国に対する姿勢は、明らかに厳しくなっています。
そこへ、中国があからさまな反米姿勢に出たために、これまで以上に米中関係が悪化し、中国経済への締め付けが厳しくなると見られます。
一方で3月利上げをしやすくするために市場の安定化努力を進めながら、米中緊張がエスカレートすれば、これが新たな不安定材料になります。
さすがに中国がエネルギー輸入の8割を依存するホルムズ海峡を封鎖し、中国へのエネルギー供給を止めてしまうことは、副作用も大きく、簡単ではないと思いますが、あからさまな対中国での経済制裁的な動きが出るだけでも、現下の「安定相場作戦」が瓦解しかねません。ここからの米中協議には細心の注意が必要です。
『マンさんの経済あらかると』(2016年2月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。