人は一般的に、得られる喜びの大きさより、失う恐怖の大きさを重視するといいます。これは投資の世界でも同じで、人は利益を得るための行動よりも損失を回避する行動を積極的に取る傾向があります。これを「損失回避性」といい、株やFXで確実に稼ぐためにはこの損失回避性を克服し、これに逆らう行動をとることが重要です。(『FPO公式[FX・株式投資 応援メルマガ]』)
「利益は伸びづらく、損失ばかりが膨らみやすい」は人の性だった
人は苦痛を嫌うもの
イメージしてみてください。
突然、電話が鳴りました。時計を見ると深夜、1時過ぎです。ようやく眠りについたと思ったタイミングで叩き起こされたアナタ。
声の主はハイテンションでこう告げます。
「○○さん、おめでとうございます!先日応募された懸賞で、見事一等賞の車に当選されました。すぐに取りに来てください♪」
そのときアナタはどんな感情になるでしょうか。
「こいつは馬鹿か!いま何時だと思ってるんだ!!」と寝ぼけながらも非常識さに怒りを覚えることでしょう。
では、次の場合はどうでしょう。
「○○さん、すぐに起きてください!今、あなたの車が車上荒らしにあっていますよ!」
きっと一気に目が覚めて車のもとに飛び出すはず。そして声の主によく知らせてくれたと感謝すると思います。
つまり、人は得られることの喜びの大きさより、失うことの恐怖の大きさが勝るということ。
投資でいうと、利益を得られるより、失うことで被る苦痛のほうが比重が高いため、何とかしてそれを回避しようとする行動を選択します。
これを行動経済学では「損失回避性」といいます。
油断するとひかっかる、2つの認知バイアス
投資心理学に興味を持って勉強したことがあれば、“プロスペクト理論”はご存知でしょう。これも損失回避性に関連する考え方です。
例えば、以下のような2つの選択肢があったとします。アナタならどちらを選びますか?
ケース1
- A:もれなく1万円が当たるクジ
- B:50%の確率で2万円が当たり、残り50%は何も無しのクジ
さてどうでしょうか…。
この場合、多くの人がAを選ぶといいます。これはAを選んでいれば必ずもらえる1万円を、Bを選ぶことで失ってしまう恐怖を回避するための行動です。
まさに損失回避性。
では、次の場合はどうでしょう。アナタならどちらを選びますか?
ケース2
- A:もれなく1万円罰金を取られる
- B:50%の確率で2万円払わないといけないが、残り50%は罰金免除
すると今度はBを選ぶ人が多くなります。絶対に払わないといけないという損失を回避したいわけです。
Aを選んでいれば1万円で済むのに、Bを選ぶことでひょっとして払わなくて済むかもと考えてしまう。
ケース1では2万円の可能性を放棄して、確実に1万円をゲットするほうを選んだのに、ケース2では確実に1万円で済むほうを放棄して、リスクが高い罰金免除の可能性を選んでいるのです。
Next: 含み損が膨らめば膨らむほど、なぜか平気になってくる不思議現象
損切りが遅れるほど感覚はマヒしていく
実は、こういった損を確定させることに拒否反応を示すことが「損切り」を決断させない理由となっています。
さらにいうと、いつまでも損切りできないことで、額が大きくなると、感度がだんだん鈍ってくるのです。
わかりやすくいうと、こんな感じ。
A店で1万円で販売されている商品が、歩いて15分ほど先にあるB店で7000円で売っていれば、ほとんどの人がB店まで足を伸ばすと思いますが、同じくA店で30万円で販売されている商品が、B店で29万7000円で売っていれば、どうでしょう。
いずれも3000円の差額ですが、感覚が異なることを感じる人も多いはず。
要するにあまりに金額が大きくなると、どっちでもいいと感じる!?
損が大きくなり過ぎると、開き直りというか、もうどうにでもなれみたいな気持ちになってしまう人がいるのです。今のうちにサッサと決済しておけば、こんなに大きな損にはならなかったのに…という経験に覚えのある人もいることでしょう。もし、含み損のまま放置している株やFXのポジションがあるなら、もう一度見直してみる価値があるかもしれません。
多くの人が「損失回避性」のトラップに陥っているとするなら、これに逆らわない限り株やFXで稼ぐのは難しいのですから!
『FPO公式[FX・株式投資 応援メルマガ]』(2016年3月22日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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